注文住宅の家づくりを進める中で、外構費用は後回しにされやすい項目の一つです。建物の見積もりがまとまった段階で予算が足りず、外構を大幅に削ってしまう——そんな後悔は家づくりの現場で繰り返し起きています。この講義では、全国の工務店から集まったつくり手たちが、外構予算の相場・最低ラインと、削ることのリスクについて本音で語っています。
- 外構予算の目安は建物本体価格の5〜10%、最低300万円が複数のつくり手の共通見解
- 土地の広さで換算するなら坪5万円が一つの目安
- 外構費用を真っ先に削ると「着るものを着ていない家」になるリスク
- 植栽は最初に整えるか段階的に育てるか、予算とライフスタイルで判断
- 庭のメンテナンスは「背伸びしない高さ」で管理できる計画が長続きの秘訣
目次
1. 外構予算の相場:プロが語る「最低ライン」とは

1-1. 建物本体価格の5〜10%が目安
動画の冒頭、参加したつくり手たちが外構予算の目安を一斉に発表する場面があります。武さんは「建物本体価格の最低5%、できれば10%は確保した方がよい」と述べました。
建物が3,000万円であれば5%で150万円、10%で300万円です。ただし1億円を超える規模になると敷地も広がり駐車場なども大きくなるため、5%では物足りなくなると武さんは指摘します。
「このお家の格に合わせた予算。できれば10%計上された方が、素晴らしいお家になるんじゃないかと思います」(武さん)
1-2. 土地の広さ×坪5万円という別の計算軸
大田さんは建物価格ではなく、土地面積に基づく「坪5万円」という計算軸を紹介しています。50坪なら250万円程度ですが、実際の提案では最低300万円後半を目安にしているとのこと。敷地が狭い都市部では300万円を下回るケースもあると補足しています。
大沢さんの会社は横浜エリアで小さな家を専門としており、外構を施せる敷地面積がそもそも限られます。そのため最低限の数字を提示した上で、建物が立ち上がった後に追加提案するスタイルをとると語っています。
大きさんは、平屋が多く土地も80〜100坪規模になりがちな顧客層に対して「最低300万円」を基準としつつ、100坪の敷地であれば400万円程度は必要だという見解を示しています。
2. 外構費用を削ることの本当のリスク

2-1. 「着るものを着ていない人が立たされているような家」になる
つくり手たちが口をそろえて強調したのが、外構費用を削ることへの警鐘でした。大田さんはこう語っています。
「みんな真っ先に外構を削りたがる。でも計画の中に外構費用をしっかり入れて、最後まで守り切って欲しい。建物が立ったはいいけど、着るものを着ていない人間が立たされているような感じにも見えてしまうので」(大田さん)
工事が進むにつれてコストが積み上がり「最後に削る場所が外構」になりがちな構図は、家づくりの現場で繰り返し起きています。だからこそつくり手たちは、外構を建物と同じ予算計画の中に最初から組み込むことを強く推奨します。
2-2. 建物と外構のバランスが崩れると印象が大きく変わる
武さんは「建物はすごいのに、外構がちょっと……と思われてしまうとよろしくない」と指摘します。建物の格に見合った外構があってはじめて、家全体の印象が完成するという考え方です。大きさんも「ここは絶対削らない」と断言しており、外構費用を死守すべき項目と位置づけています。
3. 植栽計画:最初に整えるか、段階的に育てるか

3-1. 「最初から完成」か「育てる楽しみ」かは予算と方針で決まる
植栽の予算をどう使うかについて、動画では興味深い議論が展開されました。大沢さんは「最初は高さを抑えた苗を入れ、5〜7年後に完成形に近づける」という段階的なアプローチを紹介しています。一方、別のつくり手は「最初に形を整えた上で、そこから育っていく様を楽しんでほしい」という考え方を示しました。
どちらが正解というわけではなく、予算と施主のライフスタイルによって使い分けるのが共通した認識です。
3-2. 庭にどこまでコミットできるかも重要な判断軸
大田さんは「お客さんが庭にどこまで関われるか」も大きな要素だと語っています。手入れを楽しめる夫婦もいれば、どちらか一方だけが興味を持つケースもある。庭を作ったことで、もともと全く興味のなかった夫が植物の管理から野菜づくりまで担うようになったという実例も紹介されました。
3-3. 「背伸びしない高さ」で管理する
大沢さんは庭の管理について「背伸び厳禁」という考え方を提唱しています。
「脚立に乗る仕事は今はいいけど、5年後・10年後もやれますか?ハサミが届く範囲で剪定できる高さに留めることが、長く自分の手で庭を楽しむ秘訣です」(大沢さん)
また、庭で使う脚立は3本足が基本であるのに対して家庭用は4本足が多く危険だという指摘もありました。安全に管理できる樹高の設計は、見た目だけの問題ではないということです。ただし、家のシルエットとのバランスや奥行き感を出すために高い木と低い木を組み合わせたい場合は、1〜2年に1回プロの植木屋に入ってもらうのも一つの選択肢とのことです。
4. つくり手がすすめる植栽の選び方

4-1. 失敗例から学ぶ:成長しすぎる木に注意
動画では植栽選びの失敗談も飛び出しました。あるつくり手は自宅にトネリコを植えたところ育ちすぎてしまい、最終的に根から抜く大変な作業になったと告白しています。成長が早く丈夫すぎる樹種は管理の手間が大幅に増えるため、選ぶ際には注意が必要です。
4-2. つくり手たちのおすすめと注意点
動画の中で挙げられた樹種と、その特徴に関するつくり手たちのコメントは以下のとおりです。
- もみじ:透き通るような緑と紅葉の美しさが魅力。鉄砲ムシが入ることがあるため注意が必要
- つつじ:どっしりとしたディープな緑でもみじとの組み合わせが映える。カイガラムシが付くことがあるので消毒が重要
- ドウダンツツジ:紅葉が燃えるような赤になり非常に美しい。成長が遅いため枝物として流通するほど
- マホニアコンフューサ(細葉ヒイラギナンテン):管理しやすく、脚立不要の高さで楽しめる
- ブルーベリー:紅葉も美しく実もなるが、甘い実をつけるには肥料の継続が必須
- オリーブ:人気があるが大きくしすぎると管理が難しく、鉄砲ムシの被害も多い
「緑って、予算全部かけるお客さんはいない。だから予算の中でどう美しく植栽を選ぶかが、設計者・植木屋側のレベルだと思います」(つくり手)
5. よくある質問

Q. 外構予算は建物の何パーセントが正解ですか?
武さんが語ったとおり、最低5%、できれば10%が目安です。建物が1億円を超える規模では5%でも500万円になるため、10%計上がより現実的といえます。逆に建物が小さく敷地も狭い都市部では300万円を下回ることもあります。建物の格・敷地面積・敷地条件に合わせて判断することが大切で、絶対的な正解はありません。
Q. 外構費用の最低ラインはいくらですか?
大田さん、大沢さん、大きさんの3人がそれぞれ「最低300万円」を目安として挙げています。100坪超の広い敷地では400万円程度が必要になるケースもあるとのことです。
Q. 外構費用を削ってもいい部分はありますか?
動画内のつくり手たちに共通していたのは「削るより、施主が一緒に手を動かせる部分で工夫する」という姿勢でした。DIYでフェンスを設置するなど施主自身が作業できる部分で費用を圧縮しつつ、全体の予算は守るというアプローチが紹介されています。むやみな削減は推奨されていません。
Q. 植栽は最初から作り込むべきですか、段階的に育てるべきですか?
最初から整えた方が完成形のイメージを共有しやすいという意見と、苗木から育てていく変化を楽しむ方が愛着が湧くという意見の両方がつくり手から出ました。施主が庭の管理にどこまで関わるかも踏まえて、担当のつくり手と相談しながら決めるのがベストです。
Q. 管理が楽な庭にするにはどうすればいいですか?
大沢さんが「背伸び厳禁」と語ったとおり、脚立を使わずハサミが届く高さに樹高を抑えることが基本です。手をかけられる部分とプロに任せる部分をあらかじめ分けて計画しておくと、長く快適に庭を楽しめると語られています。
より詳しい内容や、つくり手たちのリアルなやりとりは、ぜひ動画をご覧ください。
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