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社員大工の育成と内製化とは?工務店経営者3名が本音で語る【家百講座 戸建て編 #31】
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社員大工の育成と内製化とは?工務店経営者3名が本音で語る【家百講座 戸建て編 #31】

大工不足が深刻化する時代に、あえて社員大工を自社で抱え、育成まで手がける工務店が注目されています。手間請けの外注大工とどう違うのか、内製化には何が必要なのか——工務店経営者3名がリアルな経験をもとに語り合った対談の内容を、この記事でお届けします。

この記事の結論はこちら
  • 社員大工のいる工務店=「大工店」という業界内の呼び名
  • 外注大工との決定的な違いは意思決定への関与度
  • 社員化でモチベーションと現場品質が変わる
  • 大工の職域を広げる「内製化2.0」という発想
  • 社員大工が「大工不足時代」の地域の家づくりを守る

1. 社員大工とは?手間請け大工との違い

工務店 育成の社員大工とは?手間請け大工との違いを表す図解イラスト

1-1. 「大工店」という言葉の定義

業界では、社員大工を自社に抱える工務店のことを「大工店」と呼ぶことがあります。動画では大木さんが「大工さんがいる工務店が大工店。一歩進めば、大工の育成までやっているのがさらに進んだ大工店」と整理しています。

一般の方は「工務店には大工さんがいるのが当たり前では?」と思いがちですが、実態は異なります。動画でも「地元で言ったら、大工がいない工務店の方が圧倒的に多い」と語られており、これは業界の現実を端的に示しています。

1-2. 手間請け大工との本質的な違い

社員大工と手間請け(外注)大工の違いは、雇用形態だけではありません。動画では、外注の場合は「外の注文だから」という立場の違いが生まれると指摘されています。

「社内なのか社外なのかで大きく変わるのは、意思決定を委ねていくということが内製化の側にあると思っている」

つくり手の一人はこのように語っており、外注大工にはどうしても「受注者」としての意識の壁があり、会社の方針や品質への深い関与が難しいという構造的な課題を指摘しています。


2. 工務店が社員大工育成に取り組む理由

工務店が社員大工育成に取り組む理由を表す図解イラスト

2-1. 大工不足という地域の危機

動画の冒頭でつくり手の一人が語った言葉が、社員大工育成の本質的な理由を示しています。

「30万人の大工さんのうちの半分以上が高齢。家づくりを守っていくとなったら大工がいないといけない中で、次の職人を絶対育てておかないと、この地域の家づくりを守っていけない」

大工の高齢化と絶対数の減少は全国的な問題であり、特に地方の工務店にとっては「外注で調達できればいい」という時代がいつまでも続くとは限りません。社員大工の育成は、地域の家づくりのインフラを守る行為でもあります。

2-2. ブランディングと説得力

飯田さんは「ずっと大工店に憧れていた」と語り、社員大工がいることへの動機をこう説明しています。「ブランディングとして大工さんがいた方が、なんか説得力があるんじゃないかと思った」という個人的な確信が、実際の社員化への踏み出しにつながったと言います。


3. 社員大工が工務店にもたらすメリット・デメリット

育成の社員大工が工務店にもたらすメリット・デメリットを表す図解イラスト

3-1. 社員化で変わるモチベーションと現場品質

飯田さんは、10年以上付き合いのあった大工さんに「社員にならないか」とプロポーズし、今年ついに社員大工化が実現したと動画で語っています。

その後の変化について、飯田さんは「職人さんとして本当にモチベーションが変わった」と実感を語ります。以前は手直しの依頼に渋い顔をすることもあったそうですが、社員になってからは「もっと効率よくやるためにはこうしようぜ」と自ら改善案を出すようになったとのことです。

3-2. 意思決定への主体的な関与

動画では、社員大工の最大のメリットとして「意思決定の委任」が挙げられています。外注大工は「外の注文をこなす立場」ですが、社員大工は会社の目標や品質方針を自分ごととして受け取り、現場での判断に主体性が生まれます。

3-3. 安定を求める大工側のニーズ

社員大工化は工務店側だけでなく、大工側にも強い動機があります。飯田さんの事例では、大工さん自身が「社員としてやれることが一番。仕事が途切れたり、会社がなくなったりするリスクが不安だった」と語っていたとのこと。年金や収入の安定など、フリーランスの職人が抱える不安を解消できる点が、社員化を望む大工の大きな理由です。


4. 一人前の大工になるまでの育成ステップ

社員大工 工務店の一人前の大工になるまでの育成ステップを表す図解イラスト

4-1. 単なる「作業員」を超えた職域の拡張

動画でつくり手の一人は、社員大工の育成について単に「手を動かす人を増やす」という発想とは異なる考え方を語っています。

「大工の職域をもっと広げた方がいいと思っていて、要は作業員みたいなことじゃなくて、構造計算に絡んだり、施工管理を担えたり、断熱気密の施工が得意な専門性を持つ人が出てきてもいい」

元々、大工はすべてを担う職業でした。専門分業化が進む中で「大工=施工作業」という位置づけが一般化しましたが、動画ではその枠を意識的に広げていくことが、現場品質の向上にも還元されると語られています。

4-2. 他の大工店への視察と学び

飯田さんは社員大工化を進める半年前から準備を始め、仙台にある大工店の代表格とされる工務店に視察に訪れたと語っています。15〜20社が集まる勉強会に、自社の大工さんも一緒に連れて行ったとのこと。他の地域の社員大工たちと交流する中で、当の大工さん自身が「社員大工というブランドに憧れを抱き、羨ましいと感じ、自らそのメリットを語り始めた」という経緯がありました。


5. 採用から定着まで:社員大工の環境づくり

工務店 育成の採用から定着まで:社員大工の環境づくりを表す図解イラスト

5-1. 「プロポーズ」という関係構築

飯田さんが表現したように、社員大工化は単なる雇用契約ではありません。10年以上の信頼関係を積み重ねた上での「プロポーズ」であり、大工さんの側も「一緒にいいものを作っていきたい」という意志をもって応じるものです。

5-2. 給与制度と安心感の設計

動画では、月給制による安定した収入が社員大工の定着において重要な要素として挙げられています。手間請けでは仕事の量によって収入が変動しますが、給与として支払われることで「守らなければいけない家族がいる」大工にとっての安心感が生まれます。


6. 育成を成功させた工務店の実例

社員大工の育成を成功させた工務店の実例を表す図解イラスト

6-1. 外注から社員へ:変化の実感

飯田さんの事例は、育成の成功例として動画内で具体的に語られています。社員化から数ヶ月で現場での動き方が変わり、自発的な改善提案が出るようになったという実感は、内製化の効果を示す一次情報として非常に説得力があります。

6-2. 視察・勉強会を通じた意識醸成

社員化の「準備期間」として、視察や外部の勉強会への参加を活用した飯田さんの取り組みは、大工さん自身の意欲を引き出す上で有効に機能したと語られています。「社員大工になったらこんなことができる」と大工さん自身が夢を語り始めた瞬間が、転換点だったと言います。


7. 社員大工導入の課題と対策

工務店 育成の社員大工導入の課題と対策を表す図解イラスト

7-1. 「社員だからやる」という動機の問題

動画では、社員大工化の課題として正反対の視点も提示されています。つくり手の一人は「物づくりをしたくて職人になった大工にとって、社員でいると給料という安定を求める意識が生まれ、それが必ずしもモチベーションにつながるわけではない場合もある」という考え方を語っており、人間性や志向によって社員大工の効果は変わるという現実も指摘されています。

7-2. 「大工店が偉い」わけではない

動画の中でつくり手は冒頭から「大工を社内に持つ工務店が偉いということでは絶対にない。誤解を招かないようにお願いしたい」と明確に述べています。社員大工の有無は経営判断の一つであり、外注大工との連携で高品質な家づくりを実現している工務店も多く存在します。どちらが正解かではなく、それぞれの工務店の規模・地域・理念に合った選択が重要です。


8. よくある質問

社員大工 工務店 育成のよくある質問を表す図解イラスト

Q. 「大工店」とはどういう意味ですか?

動画では大木さんが「大工さんが社員としている工務店が大工店」と定義しています。さらに一歩進んで、大工の育成まで手がけている工務店を「より進んだ大工店」と表現しています。

Q. 社員大工と手間請け大工では、何がどう違うのですか?

最も大きな違いは「意思決定への関与度」です。動画では「社内か社外かで、意思決定を委ねていけるかどうかが大きく変わる」と語られており、社員大工は会社の品質方針や改善提案に主体的に関われる立場になると説明されています。

Q. 大工さんが社員になりたがる理由は何ですか?

飯田さんの事例では、「仕事が途切れたり、会社がなくなったりするリスクへの不安」「家族を守るための安定した収入と年金」が主な動機として語られています。フリーランスとしての不安定さを解消したいというニーズが、社員化の大きな動機になっています。

Q. 社員大工のモチベーションは実際に変わりますか?

飯田さんは「社員化から数ヶ月で、現場での動き方が全然変わった」と語っています。以前は手直し依頼に否定的な反応をしていた大工さんが、自ら「もっと効率よくやるためにはこうしようぜ」と提案するようになったとのことです。

Q. 社員大工がいる工務店の方が、品質が高いのですか?

動画では「大工店が偉いということでは絶対にない」と明確に語られています。社員大工の有無は品質の高低を直接決めるものではなく、会社の規模・地域・経営方針によって最適解は異なります。重要なのは、どちらの形態であっても職人と工務店が同じ方向を向いて家づくりに取り組めているかどうかです。


社員大工の育成と内製化の実態について、より詳しく知りたい方はぜひ動画をご覧ください。経営者3名のリアルな本音と現場のエピソードが、記事では伝えきれない熱量とともに語られています。

この講義の出演者

大木 剛(株式会社 樹々匠建設 静岡県浜松市)

木造新築住宅を手がける。家づくり百貨 加盟工務店。

公式ホームページ

飯田 亮(株式会社COMODO建築工房/COMODO建築設計室 栃木県宇都宮市)

木造新築住宅/戸建てリノベーション/マンションリノベーションを手がける。家づくり百貨 加盟工務店。

公式ホームページ

佐藤 友也(有限会社 扇建築工房 静岡県浜松市)

木造新築住宅/戸建てリノベーションを手がける。家づくり百貨 加盟工務店。

公式ホームページ

この講義を動画で見る(YouTube)

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