庭に芝生を敷こうと決意したはいいけれど、「天然芝と人工芝、どっちがいいの?」「高麗芝とTM9って何が違うの?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。芝生は一度張ると簡単には変更できないため、選び方を間違えると「思ったより手入れが大変だった」「見た目が想像と全然違う」といった後悔につながります。
この記事では、芝生の種類の特徴から、気候・日当たり・予算に合わせた具体的な選び方、プロが実際に推薦する品種まで、芝生選びに必要な情報を丁寧にまとめました。
- 天然芝と人工芝はコスト・手間・見た目すべてが異なるため、ライフスタイルに合わせて選ぶことが最重要
- 天然芝は日当たりと気候で品種が決まり、日本では高麗芝・TM9が定番でメンテナンス性に差がある
- 人工芝はパイル密度・耐久年数・排水性の3点を必ず確認してから選ぶと後悔が少ない
- 導入費用は天然芝が㎡あたり約1,000〜3,000円、人工芝は約4,000〜10,000円が目安でランニングコストは逆転する
- 「とにかく楽したい」ならTM9か高耐久人工芝、「本物の質感を楽しみたい」なら天然芝の選択がプロの共通見解
目次
1. 芝生選びの基本:天然芝と人工芝の違いを理解する

1-1. 天然芝と人工芝、何がどう違うのか
芝生を選ぶうえでまず整理しておきたいのが、天然芝と人工芝の本質的な違いです。見た目は似ていますが、素材も管理の仕方もまったく別物です。
天然芝は生きた植物ですから、季節によって色が変わります。春から夏にかけては鮮やかな緑を楽しめる一方、冬には枯れて茶色くなる品種もあります。踏んだときの感触や草の香りは、人工芝には出せない本物ならではの魅力です。
人工芝はポリエチレンやポリプロピレンを原料とした樹脂製で、一年中同じ緑色を保ちます。雨の翌日でもぬかるまず、すぐに使えるのが実用上の強みです。近年は製造技術が大きく進歩しており、近くで見ても天然芝と区別しにくいほどリアルな製品も登場しています。
1-2. 選ぶ前に決めておくべき3つの軸
芝生選びで後悔しないために、最初に以下の3点を自分の中で整理しておくと判断が格段に楽になります。
どんな使い方をしたいか:子どもやペットが裸足で遊ぶ場所なのか、見た目重視の庭なのかによって最適解が変わります。
どのくらい手入れに時間を使えるか:天然芝は定期的な芝刈り・水やり・施肥が必要です。外構店への相談でも「手入れの大変さ」を気にする声は多く、忙しい生活の中でどこまで時間を割けるかは、正直に自分と向き合うべき部分です。
初期費用とランニングコスト、どちらを重視するか:人工芝は初期投資が高い分、植物用薬剤や道具にかかるランニングコストはほぼゼロです。天然芝はその逆の構造になっています。
2. 天然芝・人工芝それぞれの種類と特徴

2-1. 天然芝の主な品種を比較する
天然芝には大きく「暖地型(夏芝)」と「寒地型(冬芝)」があります。日本の一般家庭で使われる芝生のほとんどは暖地型の日本芝です。
高麗芝(コウライシバ) は国内で最も普及している品種で、流通量が多く価格も安定しています。踏み圧に強く、比較的乾燥にも耐えられるため初心者でも扱いやすい品種です。ただし葉がやや硬めなので、裸足で遊ぶと少し刺さる感覚があります。
TM9(ティーエムナイン) はトヨタ自動車が開発した改良高麗芝です。通常の高麗芝と比べて草丈の伸びが遅く芝刈り頻度を大幅に抑えられるとされており、近年の家庭用天然芝として高い人気を誇ります。葉が細く柔らかいため見た目も美しく、手入れの負担を減らしながら天然芝の質感を楽しみたい方にとって有力な選択肢です。一方で、高麗芝より踏み圧への耐性がやや劣るという面もあり、人が頻繁に行き来する場所への使用は慎重に検討してください。
姫高麗芝(ヒメコウライシバ) は葉が極めて細く密度が高いため、ゴルフ場のグリーンを彷彿とさせる高級感のある仕上がりになります。美しさと引き換えに管理の難度は上がりますが、芝生の見た目にこだわりたい方には唯一無二の選択肢です。
野芝(ノシバ) は在来の芝草で、踏み圧・乾燥・病気への耐性が高く、法面緑化や公共施設での利用が多い品種です。庭に使う場合は葉が粗いため、仕上がりにはやや野趣のある雰囲気が出ます。
寒地型で代表的なのがペレニアルライグラスやケンタッキーブルーグラスです。北海道・東北などの寒冷地やサッカー場での利用が多く、夏の高温多湿に弱いため、一般的な本州の家庭庭園には向かないケースがほとんどです。
2-2. 人工芝を選ぶときに確認すべきポイント
人工芝は品質の幅が非常に大きく、安価なものと高価なものでは耐久性・見た目・足触りが別次元です。製品を選ぶ際には以下の項目を必ず確認してください。
- パイル長(毛足の長さ):20〜45mm程度が一般的。短いほどコート感、長いほど天然芝に近い見た目になる
- 密度(1㎡あたりのパイル本数):密度が高いほど高品質でへたりにくい
- 素材の種類:ポリエチレン製は柔らかく足触りがよく、ポリプロピレン製はやや硬めでコストが低い
- 排水性:水はけが悪いと苔や臭いの原因になる。穴の数や配置を確認する
- 耐久年数と保証:高耐久タイプは10〜15年の耐用年数が目安とされている
3. 失敗しない芝生の選び方:気候・日当たり・用途で絞り込む

3-1. まず地域の気候で種類を絞る
芝生選びの最初の絞り込みは、地域の気候です。
関東以西・九州など比較的温暖な地域には暖地型の日本芝(高麗芝・TM9など)がよく合います。夏の高温多湿にも強く、冬は休眠しますが春にはしっかり回復します。
東北・北海道などの寒冷地では、夏が短く暖地型芝が密度を出しにくいため、寒地型芝生か人工芝が現実的な選択肢です。沖縄などの高温多湿な環境には、野芝やバヒアグラスなど暑さと雨に特に強い品種が適しています。
3-2. 日当たりの条件で品種を決める
天然芝が健全に育つには、1日4〜6時間以上の直射日光が必要とされています。日当たりが十分な場所なら高麗芝・TM9・姫高麗芝など好みで選べますが、半日陰の場所では選択肢が一気に狭まります。
半日陰〜日陰環境では、天然芝よりも人工芝のほうが管理が格段に楽です。日当たりが悪い場所に天然芝を無理に植えると、徐々に密度が落ちてはげてくる「薄毛」の芝庭になってしまいます。
3-3. 用途によって最適な選択肢は変わる
子どもが裸足で遊ぶ庭:足触りの柔らかいTM9か、高品質の人工芝(パイル長30〜35mm)がおすすめです。高麗芝は葉の硬さで子どもが嫌がることがあります。
ペットが過ごす庭:犬が掘り返すリスクを考えると人工芝のほうが管理しやすい面がありますが、爪で傷みやすい点も考慮してください。天然芝は多少掘られても再生するという強みがあります。
バーベキューやアウトドアでの利用:火の粉が飛ぶ可能性があるなら人工芝は避けるのが無難です。天然芝なら多少焦げても生え替わります。
景観・見た目重視の前庭:一年中緑を保ちたいなら人工芝、季節の移ろいを楽しみたいなら天然芝という整理ができます。
4. メンテナンスの手間とコストで選ぶ

4-1. 天然芝の年間メンテナンスカレンダー
天然芝の手入れで知っておくべき重要な事実があります。「品種によって手間の量がかなり違う」という点です。品種選びがそのまま日常の管理負担に直結しますので、導入前に現実的なイメージを持っておくことが大切です。
高麗芝の場合、芝刈りは5〜9月の繁茂期に月2〜4回必要です。TM9は伸びが遅いため月1〜2回で済むことが多く、同じ「高麗芝系」でも手間はかなり異なります。
年間を通じた主な作業は次のとおりです。
- 春(3〜4月):エアレーション(穴あけ)、施肥、目土入れ
- 夏(5〜9月):芝刈り、水やり、追肥、除草
- 秋(10〜11月):施肥、エアレーション
- 冬(12〜2月):休眠期のため作業は少ないが、翌春に向けた除草剤散布など
エアレーションは土が固く締まって根に酸素と水分が届かなくなるのを防ぐための作業で、専用の道具(エアレーター)が必要です。費用としても計画に組み込んでおく必要があります。
4-2. 人工芝のメンテナンス実態
「メンテナンスフリー」と思われがちな人工芝ですが、まったくの手放しというわけにはいきません。
落ち葉や砂ぼこりは定期的に取り除かないと排水穴が詰まります。寝てしまったパイルのへたりは、定期的にブラッシングすることである程度防げます。ペットがいる家庭では臭い対策も必要です。
ただし、これらの作業頻度は天然芝と比べると圧倒的に少なく、週末の庭仕事に時間を取られたくない方には、人工芝のほうが明らかに向いています。
4-3. 道具・資材のランニングコスト比較
天然芝にかかる年間ランニングコストの目安(30㎡程度の庭の場合):
| 項目 | 年間概算 |
|---|---|
| 芝刈り機(電動)減価償却分 | 3,000〜5,000円 |
| 肥料・薬剤 | 5,000〜10,000円 |
| 水道代(夏場増加分) | 5,000〜8,000円 |
| 目土・砂 | 2,000〜4,000円 |
| 合計目安 | 15,000〜27,000円/年 |
人工芝のランニングコストは清掃用ブラシや洗浄剤程度で、年間2,000〜3,000円ほどです。10年スパンで考えると、この差は無視できません。
5. プロがおすすめする芝生の種類:天然芝・人工芝それぞれの評価

5-1. 外構のプロが推薦する天然芝トップ3
外構専門店や造園業者の評価を総合すると、一般家庭の庭で使いやすい天然芝の傾向は以下のようになります。
第1位:TM9
芝刈り頻度の低さと美しい葉色のバランスが抜群で、「できるだけ手入れを楽にしたいが天然芝の質感にこだわりたい」という方に最も評価が高い品種です。苗の単価は高麗芝より高めですが、管理に費やす時間コストを含めると納得感のある選択肢です。
第2位:高麗芝
流通量・価格・入手しやすさのトータルバランスで依然として高評価です。DIYで張る場合も情報や資材が豊富にそろっており、「とにかくコストを抑えたい」という方の第一選択です。
第3位:姫高麗芝
見た目の美しさと繊細な芝面を求めるなら、他に選択肢がないほどの品種です。高麗芝より乾燥に弱く、芝刈り頻度も増えるため、芝生の管理に慣れた方向けの選択肢といえます。
5-2. 人工芝のプロ推薦ポイント
人工芝は品質の格差が大きいため、「安いから」で選ぶと後悔しやすいカテゴリーです。経験のある施工業者が共通して言うのは「パイル密度の高い高耐久タイプを選べ」という点です。
耐久年数が8〜10年程度の低価格帯製品と、15年クラスの高耐久タイプでは、施工費用を含めた10年間のトータルコストがほぼ逆転することもあります。カタログ価格だけでなく「10年総コスト」で比較することが、失敗しない人工芝選びの基本です。
6. 芝生にかかる費用の目安

6-1. 天然芝の費用内訳
天然芝の導入費用は、芝生の種類・施工方法(DIYか業者依頼か)・下地処理の有無で大きく変わります。
| 費用項目 | 目安単価 |
|---|---|
| 高麗芝(芝苗) | 800〜1,500円/㎡ |
| TM9(芝苗) | 1,200〜2,500円/㎡ |
| 姫高麗芝 | 1,000〜2,000円/㎡ |
| 業者施工費(下地含む) | 2,000〜5,000円/㎡追加 |
| 目土・砂 | 1,000〜2,000円/㎡ |
DIYで高麗芝を張る場合、30㎡の庭なら材料費だけで3〜5万円程度が目安です。業者に依頼すると施工費込みで10〜20万円前後になります。費用に幅があるのは整地の難易度や既存の地盤状況によるもので、現地見積もりを取ることが重要です。
6-2. 人工芝の費用内訳
人工芝は製品のグレードによって価格差が大きく、DIYと業者施工でも総費用が変わります。
| 費用項目 | 目安単価 |
|---|---|
| 低価格帯人工芝(製品) | 1,500〜3,000円/㎡ |
| 中価格帯人工芝 | 3,000〜6,000円/㎡ |
| 高耐久プレミアム人工芝 | 6,000〜12,000円/㎡ |
| 防草シート | 500〜1,500円/㎡ |
| 業者施工費(整地込み) | 3,000〜7,000円/㎡追加 |
30㎡を業者に依頼した場合、中価格帯の人工芝では総額25〜40万円程度が実際の相場感です。10〜15年のランニングコストを合算すれば天然芝との差は縮まりますが、まずは施工費込みの初期投資を複数社で比較することをおすすめします。
6-3. 費用で見る「どちらがお得か」の考え方
初期費用だけで比較すると天然芝が安く、10〜15年トータルでは拮抗するというのがおおよその結論です。ただし、これに「芝刈りにかかる自分の時間」を加味すると話は変わります。毎月の芝刈り作業を趣味として楽しめる方と、その時間を他のことに使いたい方では、「お得さ」の答えが自然と変わってくるのです。
7. 芝生選びでよくある失敗と後悔ポイント

7-1. 日当たりを甘く見て天然芝を植えた
「南向きの庭だから大丈夫だろう」と植えてみたら、隣家の壁の影で昼過ぎには日が当たらなくなっていた――実際にこのパターンで相談に来る方は少なくありません。季節や時間帯によって影の向きは大きく変わるため、芝生を植える前に数日かけて実際の日照時間を計測することが重要です。「大丈夫だろう」という思い込みが、数年後の薄毛の芝庭につながります。
7-2. 安い人工芝を選んでへたりや変色が早かった
人工芝は価格が品質に直結しやすい製品です。「とにかく安く」と低価格品を選ぶと、3〜4年でパイルがへたったり、紫外線による変色が目立ったりします。結果的に張り替え費用がかさんで高くつくという失敗は、外構店でもよく聞かれる話です。
7-3. 人工芝の下に防草シートを敷かなかった
人工芝を敷いても下地処理が不十分だと、雑草は普通に生えてきます。防草シートの施工は必須ですが、品質の粗いシートを使うと5年以内に雑草が貫通してくることも珍しくありません。防草シートはケチらないことが鉄則です。
7-4. TM9の特性を知らずに使う場所を間違えた
TM9は芝刈り頻度を抑えられる優れた品種ですが、踏み圧に対してやや弱いという面があります。人が頻繁に行き来する通路や、犬が激しく走り回るスペースに植えると、高麗芝と比べて傷みやすく感じることがあります。庭の中でも場所によって品種を使い分けることも、選択肢として検討してみてください。
7-5. 「お手入れ不要」を信じすぎた
「新品種でほぼ手入れ不要」という触れ込みの芝生も、完全放置でいいわけではありません。「少なくて済む」と「ゼロ」は別物です。どんな品種も最低限の施肥と水やりは必要で、導入前に現実的なメンテナンス計画を立てておくことが後悔を減らす一番の対策です。
8. よくある質問(FAQ)

Q. 芝生のDIY張りは初心者でもできますか?
A. 高麗芝の「べた張り」や「市松張り」であれば、初心者でも十分挑戦できます。特に重要なのが「下地の整地」と「目土の押さえ」です。ここを丁寧に行うかどうかが、その後何年もの管理のしやすさに直結します。
Q. 人工芝の熱問題はどう対処すれば良いですか?
A. 夏の直射日光下では人工芝の表面温度が60〜70℃近くになることがあります。遮熱機能を持つ製品を選ぶか、使用前に水をまいて温度を下げる方法が有効です。子どもやペットが使う場合は特に注意が必要です。
Q. 芝生に虫はどのくらい来ますか?
A. 天然芝は生態系の一部になるため、コガネムシの幼虫やミミズが発生しやすく、それを捕食する鳥が来ることもあります。人工芝は天然芝よりも虫の発生は少ないですが、湿気がこもりやすい場所ではゴキブリなどが集まるケースもゼロではありません。
Q. 天然芝の見積もりで確認すべきことは?
A. 「芝生の種類・施工面積・下地処理の内容・保証の有無」を必ず明細で確認してください。特に下地処理(整地・砂の厚さ)の内容によって品質と費用が大きく変わります。
Q. 北側の日陰に芝生を敷くのはあきらめるべきですか?
A. 天然芝は難しいですが、人工芝なら北側の日陰でも問題なく使えます。景観重視の目的なら、日当たりが悪い場所こそ人工芝が力を発揮します。ただし湿気対策と排水設計は特に念入りに行ってください。
芝生選びは「どの品種が最高か」ではなく、「自分のライフスタイルに何が合っているか」という問いへの答えです。手入れを楽しむ余裕があるなら天然芝の生命力に魅力を感じるはずですし、忙しい毎日の中でも緑を楽しみたいなら高耐久人工芝は本当に優秀な選択肢です。この記事の情報を参考に、10年後も「選んでよかった」と思える芝生を見つけてください。
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