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温故知新の技術で快適に暮らせる住まいづくり
輝建設 株式会社

温故知新の技術で快適に暮らせる住まいづくり

2021年8月31日

―今回ご紹介するのは、東大阪・奈良にて家づくりをされている小原さん。小原さんの工務店「輝(テル)建設」は、日本の伝統的な建築手法を取り入れつつ、新しい技術や建材を融合させた家づくりを行っている。「昔ながらの家づくり」×「新しい技術」で生み出される家とは、一体どんな家なのだろうか。小原さんにお話を伺った。

石切ヴィレッジ

小原さん(以下小原)輝建設は30年前に父が創業した会社です。創業当時、私は大学生で東京に進学していました。就職時も父の工務店を継ぐ・継がないの話はなく、初めて就いた仕事は建築とは関係ない小さな頃から憧れていたマスコミ業界でした。しかし、東京から帰省したときに、輝建設の見学会を手伝う機会が何度かあったのですが、父の建てた木の家を見るたびに「いい仕事をしているなぁ」と感じていました。

転機となったのは、ちょうど30歳で前職で大きなプロジェクトを終えて、当時住んでいた東京に一生このまま住み続けるのか、それとも大阪に帰るのかをものすごく考えました。

弟や妹が外国住まいとなっていき、結局、大阪に帰ることを決意。どうせ大阪で働くなら「家業である輝建設で何か手伝えることはないか」と、まったくの未経験から建築業界へ飛び込んだのです。

輝建設で働きはじめた頃は、現場で大工さんにいろいろと教えてもらいながら知識を習得しました。当時は覚えることに必死のパッチ(笑)そこから自分で勉強を重ねる中で、建築という仕事は、問題解決のため、主体的に物事を考えて実際にカタチにできるところにすごくお客さんのお役に立てるんだと感じるようになりました。今でもこの存在意義が、仕事をする最大の原動力になっています。

「温故知新」の技術で、気持ちよく暮らせる住まいを

―輝建設の特徴は、築何十年、何百年経った古民家を暮らしやすくつくりかえる「古民家再生」を手がけている点だ。先人の伝統的な技術力と新しい技術力を活かし、現代の生活にマッチした家づくりをしている。

小原:輝建設の古民家再生は、父がスタートさせました。古民家の仕事だと、普段見ることのできない100年や200年前の職人さんの仕事を見られるので、ものすごく好奇心がそそられます。古民家の仕事をすることで、現代の木の家に通ずる技術や、デザイン的な要素が自分の中で繋がっていく感覚があり、そこがすごく面白いですね。

当社は古民家再生のイメージが強いので「古民家専門の工務店さん」と思われることが多いのですが、実際はお客様の半分以上が新築をご希望の方です。私どもの家づくりでは、昔からある建材やデザインを積極的に取り入れていますが、決して新しいモノを否定している訳ではありません。

単に「古い」「新しい」といった考え方ではなく、トータルデザインや雰囲気、性能で見たときに「良いモノを取り入れる」という視点から、新築、古民家再生を問わず、家づくりで使うものを選んでいます。

例えば、新築を建てたり、リフォームをする際でも、古民家で使われていた柱や梁に使い、古民家の雰囲気を部分的に取り入れることも可能です。しかし、昔の建築物から生け捕った材料を新築の家につかうことなんかは、まだまだ特殊に感じられる方がほとんどですよね。

そういったことは、著名な建築家さんのちょっと変わった建物や、全国チェーンの飲食店さんや、美術館のようとこでしかできないと思われがちです。古民家のように、たくさん見せる家の作り方がもっと人気が出て、こういう古材の再利用がもっと一般的になってくれれば、解体するだけの古民家もまた新しい資源としても見てもらえるのではと夢想しています。

実際、時を経ていい色味になった木材や、大きな柱や梁を新築の一部に取り入れることで、新しい木材では出せないような雰囲気を醸し出すことができるのは、もすごく魅力があるんですよ。

そのようなことをぼちぼちお話していると、当社では少し前に比べると、古材を使った新築のご相談やリノベーションのご相談が増えてきました。「全部ピカピカの新しい素材だけじゃなくても良い」と考える人が、それをできるところがわからなくて、どうしたらいいのかなと悩んでいるところに当社があったと。

単に、金銭的な問題で新築を建てられないといった理由だけではなく、「使えるモノ、良いモノは使っていこう」といった考え方が、少しずつ社会のなかに醸成されてきているんですよ、きっと。実際に、古材を取り入れて家づくりをされたお客さまからは「やってよかった」と。施工者としても嬉しい限りですね。

確かな技術で末永く暮らせる家を

どこか懐かしい雰囲気の石切ヴィレッジ

小原:私たちが考える“いい家”とは、建てた世代で終わらない家。日本には、戦後、高度成長期以降、なんとなく「30年で建て替える」という考えが漂っています。1世代で終わる家。それって本当にもったいないですよね。新築で家を建てると、相当な金額のローンを組まなければなりません。

世代を超えて住み継げれば、家を建てた次の世代では大きな金銭負担がかからなくて済みます。長く快適に住まえる家づくりを目指して、何百年もかけて培われた木の家づくりの技術と、新しい技術の良い部分を活かして住み継ぐことのお手伝いをしたいと思っています。

古民家の改修工事のご相談いただいた方だけでなく、新築ご希望の方にも住み継ぐ話の流れで、いま私どもに相談されている工事だけでなく、今後何十年と家を維持していくなかで発生する工事のお話や、費用についてもできるだけお伝えしています。

費用だけでなく、いまいま行う工事は、できるだけ汎用的な工法を用いることで、たとえ私たちが無くなったとしても、30年後・50年後・100年後に修繕される工務店さんが、直感的に分かるような造りにしなければならないと考えています。

よい人が、よい家をつくる

―最後に小原さんから、これから家づくりを行う人へメッセージをいただいた。

小原:これから家づくりをされるみなさんには、しっかりと“人”を見抜く力をもって、工務店を選んでいただきたいです。「価格が安いですよ」「こんな建て方がありますよ」「この建材がいいですよ」など、表面的な情報は調べればいくらで出てきます。けれども、結局のところ家をつくるのは「人」です。家づくりをお願いする相手が、自分と相性がいいのかどうかをよく見極めてください。

いくら自分たちの好みの建物をつくる人であっても、人と相性が良くなければ、どこかで「あれ?」と思ってしまうタイミングがあると思うんです。ということで、私自身も日ごろからお客さんとお話をするときは格好をつけずにお話をして、お施主さんに私がどんな人物なのかを見てもらうようにしているつもりです。

また家づくりにおいて、「やりたい!」と思うことがあるのであれば、躊躇せず何でも工務店さんに相談してみることをおすすめします。たとえば、いま人気のシンプルな木の家のデザインに逆行するような昔ながらの和室を取り入れた家にしたいとか、全面土間の家にしたいとか、あなたの家の夢の部分を照れずに隠さずに話してみてください。せっかくの注文住宅を、注文住宅を得意とする工務店さんに頼むんですから。

そういう特殊条件なんかでも、とりわけこの「家づくり百貨」に参加されている工務店さんは私も含めて、そういう難解な条件をいろんな知識と経験からうまくまとめてきて、家をつくってきたという経験豊富な工務店さんが多いです。同じ業界にいて、素敵な家づくりをされていてジェラシーを感じるぐらいモノづくりが大好きなメンバーばかりですので、どんどん希望を伝えてほしいなと思っています。

(2021/08/25 取材:平井玲奈 写真:家づくり百貨)