注文住宅を検討していると、必ず耳にする「C値」という言葉。「0.5以下なら高気密」「1.0以下で十分」など、インターネット上には様々な情報が飛び交っています。しかし、実際に高気密住宅を手がけているつくり手たちは、現場でどんな数字を出し、何を基準に考えているのでしょうか。
今回は、でんホームの竹内さん、COMODO建築工房の飯田さんら複数のつくり手が、C値の目安と気密施工の実態について本音で語った動画をもとに解説します。
- C値0.5がコストパフォーマンスと快適性のひとつの分岐点
- 現場の平均値は0.1〜0.3前後まで自然に到達するケースが多い
- 数値より「どこが漏れているか把握できているか」が重要
- 気密測定の実施自体が工務店選びの最低条件
- 気密性能は劣化する。施工の標準化と気密層の保護が長期品質を左右する
目次
1. C値とは?注文住宅の気密性能を示す基礎知識

1-1. C値の定義
C値(相当隙間面積)とは、建物全体にある隙間の合計面積を延床面積で割った数値で、単位はcm²/m²です。数値が小さいほど隙間が少なく、気密性が高いことを意味します。
なお、一般的には、C値1.0以下が「高気密住宅」の目安として語られることが多く、国が定める省エネ基準には現在C値の明示的な数値基準は存在しません。
1-2. なぜ気密性能が重要なのか
動画では、C値が高い(=隙間が多い)状態では換気計画が成り立たないという点が強調されています。つくり手の一人は「風量測定するとすぐわかる。計画通りに空気が動かなくなる。機械からは出ていくが、入ってくる場所が分からない状態になってしまう」と説明しています。換気システムが設計通りに機能するかどうかは、気密性能に大きく左右されるわけです。
2. C値の目安と基準|どれくらいなら高気密住宅?

2-1. つくり手4人が示した数字
動画の冒頭、「C値〇〇以下であれば十分に快適である」というテーマで、つくり手たちが一斉に数字を掲げる場面があります。結果は次の通りでした。
- 夏見さん:0.1
- 大木さん:0.3
- 飯田さん:0.5(書面上の保証値)
- 竹内さん:0.6
数字はバラバラながら、議論を通じて「0.5は絶対的に必要な水準」という点では全員が一致しました。
2-2. 0.5という数字の根拠
飯田さんは0.5という基準について、次のように説明しています。
新住協の松尾先生等々が研究されて、やっぱり0.5から先は手間がかかってしまうのでコストパフォーマンスが悪い。新住協のめざすところはコスト合理的な高性能住宅を安価に提供することなので、0.5がひとつの目安になっている。
研究に基づくコストパフォーマンスの観点から、0.5がひとつの合理的な区切りとして位置づけられています。
一方で竹内さんは、「0.5や0.1ではなく1.0でも基本的には大丈夫という考え方もある」と前置きしつつも、「0.5という数字は絶対的に必要。これなしにコストだの快適だのということは語れない」と断言しています。
3. C値が低いと何が変わる?気密性能アップのメリット

3-1. 空調・換気計画の精度が上がる
動画で特に強調されていたのが、C値と空調・換気計画の連動です。つくり手の一人は「どこから漏れているかが分かっている0.6と、なんとなく0.6になったものは全然対象が違う」と指摘します。漏れ箇所を把握した上で、そこに補助的な空調を集中させるなど、計画に組み込める点が大きなメリットです。
3-2. 数値の追求がルーティン化する
竹内さんは、気密施工の改善を積み重ねていくうちに、現場の標準が自然と上がっていく過程を次のように語っています。
最初はコストのことも考えながらどんどん進めていくと、途中で止まらなくなる。0.5だ、0.3だと言っているうちに0.2だ、0.1だとなってきて、「やばい」と言い始める。そういうことをしているうちに標準みたいなのが固まってきて、0.1や0.15という数字ばかりが出るようになった。自慢じゃなくて、逆に困っている。
これが示すのは、気密施工を標準化することで、狙って数値を上げなくても自然に高いレベルに到達できるという実態です。
4. 高気密住宅の注意点とデメリット・対策

4-1. 気密性能は必ず劣化する
動画では、気密性能が経年劣化するという点が重要なポイントとして挙げられています。大木さんは「気密は絶対に劣化する。住んだ時の数値だけがすべてではない」と述べ、劣化した箇所が結露の弱点になる可能性を指摘しています。
変なところに穴があって弱点になってきたら、そこが結露している可能性がある。それが一番怖いこと。
4-2. 気密層の保護が長期品質を左右する
大木さんの会社では、気密層を1層だけ取るのではなく、2〜3層の断熱層と組み合わせて気密層を断熱材で保護する構成を採用しているといいます。「外部に露出した気密層は当然劣化する。断熱でちゃんと保護することで長持ちする」という考え方です。
4-3. 薪ストーブなど開口部がある場合の考え方
動画では、薪ストーブを設置した場合のC値についても触れられています。つくり手の一人は「薪ストーブの煙突のジョイント部分などから気密が漏れるため、C値は悪化する。何を取るかを先に選んでもらってから、それがないなら数値を上げましょうという話になる」と説明しています。
5. C値を下げるための施工・設計のポイント

5-1. 標準化こそが最大の武器
つくり手が口を揃えて語るのは、「特別なことは何もしていない」という点です。飯田さんは「同じ設計士の設計、同じ断熱構成で、同じ職人が同じ作業をする。こうすることで間違いが起きようがない。その結果が数値に出る」と説明しています。
施工の標準化により、気密確保の手順がルーティンになると、現場ごとにゼロから考えなくても再現性の高い数値が出るようになります。
5-2. 外断熱(外張り断熱)の有利な点
大木さんの会社では外張り断熱を採用しており、平均C値は0.2程度とのことです。動画では「外張りは気密を取りやすい」という点が言及されています。なお、一般的には外張り断熱は断熱材が外側に連続するため、内側の気密層を保護しやすく、施工上の隙間が生じにくいとされています。
5-3. 気密処理の累積効果
竹内さんは「最後の一か所だけを気にするのではなく、この段階でこうしておこう、この段階でこうしておこう、と累積させていく」というアプローチを説明しています。各工程でこまめに処理を積み重ねることが、高い気密性能につながります。
6. 気密測定の方法とタイミング

6-1. 気密測定は工務店選びの前提条件
動画の最後、司会者は次のように総括しています。「全国的に見ると、気密測定がオプションだったり、そもそもやりませんという会社もある中で、このトークが繰り広げられている。気密測定をまず実施しているかどうか、それ自体が工務店選びの基準になる」。
つまり、C値の数値を議論する以前に、気密測定を実施しているかどうかが最初の選別基準です。
6-2. 測定値の安定性をどう見るか
つくり手の一人は「毎回の気密検査で大体同じ数字が出ることが大事」と述べています。数値が安定していることは、施工が標準化されている証拠であり、再現性の高さを示します。逆に毎回バラつきがある場合は、施工に不安定な要素が残っている可能性があります。
なお、一般的に気密測定は気密工事完了後・内装工事前のタイミングで行うことが多く、問題箇所をその後の工程で補修するために早期に実施することが推奨されています。
7. C値とUA値の違い|断熱性能との関係

なお、一般的にC値が「気密性能(隙間の量)」を示す指標であるのに対し、UA値は「断熱性能(熱の逃げやすさ)」を示す指標です。両者は別の性能を測るものですが、実際の居住快適性には気密と断熱の両方が必要で、どちらか一方だけを高めても十分な効果は得られません。
動画では、気密性能と空調計画・換気計画との連動が繰り返し強調されています。UA値(断熱性能)と合わせて、換気・空調をセットで計画することが快適な住環境の前提となります。
8. 注文住宅でC値を確認するための工務店選び

8-1. まず「気密測定をしているか」を確認する
前述の通り、気密測定を実施していること自体が最初のスクリーニングです。測定を行っていない会社では、そもそも自社のC値を把握していないため、数値の議論ができません。
8-2. 数値の根拠と漏れ箇所の把握を聞く
動画では「0.6という数値の何が0.6なのかを分かっている0.6と、何となく0.6になったものは全然違う」という発言がありました。工務店に確認すべきなのは数値そのものだけでなく、「なぜその数値になるのか」「どこが弱点か把握しているか」という点です。
8-3. その数値になった理由を聞く
動画の締めくくりとして、つくり手の一人は「なぜその数字になっているのかを聞いてみるといい」とアドバイスしています。根拠のある目標値と施工方針を説明できる会社かどうかが、信頼性の判断材料になります。
よくある質問

Q. C値はどれくらいあれば十分ですか?
動画では、出演したつくり手全員が「0.5以下は絶対的に必要な水準」という点で一致しています。飯田さんは新住協の研究に基づき0.5がコストパフォーマンスの分岐点と説明し、竹内さんも「0.5という数字なしにコストや快適性を語ってはいけない」と断言しています。ただし、施工を標準化した工務店では現場平均が0.1〜0.2程度まで自然に到達するケースも多く、0.5はあくまで最低限の目安です。
Q. 0.1と0.6ではそんなに差がありますか?
動画では、単純な数値の差よりも「どこから漏れているかを把握しているかどうか」のほうが重要だという議論がなされています。漏れ箇所を特定できている0.6は、空調や換気計画に組み込むことができる。一方、把握できていない0.6は換気計画が機能しなくなるリスクがあります。
Q. 薪ストーブを入れるとC値は悪化しますか?
動画内でつくり手の一人が自社のモデルハウスの例を挙げ、薪ストーブを設置後に気密測定を行ったところ「1を超えてしまった」と語っています。煙突のジョイント部分などから気密が漏れるためです。薪ストーブなどの開口を設ける場合は、気密性能との兼ね合いをあらかじめ検討する必要があります。
Q. 気密測定はしていない工務店も多いのですか?
動画では「全国的に見ると、測定がオプション扱い、あるいはそもそも実施しない会社もある」と言及されています。今回出演しているつくり手はいずれも気密測定を前提として施工していますが、業界全体でそれが当たり前になっているわけではありません。工務店選びの際には、まず測定を実施しているかどうかを確認することが出発点です。
Q. C値の数値は年数が経つと変わりますか?
動画では「気密は絶対に劣化する。住んだ時の数値だけがすべてではない」という発言があります。劣化した箇所が結露の弱点になる可能性もあるため、気密層をどのように保護しているかという施工上の工夫が長期的な性能維持につながります。大木さんは気密層を断熱材で保護する多層構成を採用していると説明しています。
C値の目安は「0.5以下」がひとつの基準ですが、数値だけを見るのではなく、測定を実施しているか・漏れ箇所を把握しているか・施工が標準化されているかをあわせて確認することが、後悔しない家づくりにつながります。より詳しく知りたい方はぜひ動画をご覧ください。
この講義の出演者
家づくり百貨には、プロのつくり手同士が「本当に信用できる」と数珠つなぎで紹介し合った全国68社の工務店・設計事務所が参加しています。記事で学んだことを、信頼できるつくり手との出会いにつなげてください。
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