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外観設計で窓・屋根・軒高をプロに任せるべき理由とは?【家百講座 戸建て編 #23】
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外観設計で窓・屋根・軒高をプロに任せるべき理由とは?【家百講座 戸建て編 #23】

注文住宅の外観づくりで、「窓の位置やサイズを施主が細かく指定してもいいの?」「屋根の形は好みで選べばいい?」と迷う方は多い。今回の家百講座では、全国の工務店から集まったつくり手たちが「外観設計のここだけは任せてほしい」というテーマで本音を語り合った。窓・屋根・軒高のそれぞれに設計者ならではの根拠があり、外壁素材の選び方や施主との対話まで、対談は思いのほか深いところまで踏み込んだ。

この記事の結論はこちら
  • 窓の位置・サイズは外観プロポーションに直結するため設計者に委ねるべき
  • 屋根のプロポーションは雨仕舞・長寿命・街並みの三拍子に関わる
  • 建物高さ(軒高)は浸水対策のGL調整と街並みへの配慮を両にらみして設計者が決める要素
  • 外壁素材は地域の街並みとの調和を守るために設計者主導で選ぶべき
  • 施主の「思い込みの好み」は、理由を示しながら対話する設計者の提案でより良い形に変わる

1. 「外観のここだけは任せてほしい」——つくり手たちが書いた答え

外観設計 窓 屋根の「外観のここだけは任せてほしい」——つくり手たちが書いた答えを表す図解イラスト

今回の対談では、各つくり手に「外観設計でここだけは任せてほしい部分」をそれぞれ書き出してもらうところからスタートした。出てきたキーワードは、窓のサイズ・位置屋根のプロポーション建物の高さ(軒高)外壁素材といった要素だ。

つくり手の一人は「全部になっちゃう」と笑いながら語っていたが、それだけ外観の各要素は互いに連動していて、どれか一つを施主の希望で動かすと全体のバランスが崩れやすいということでもある。以下では、窓・屋根・軒高・外壁素材・対話のあり方という順序で、それぞれの理由を掘り下げていく。


2. 外観プロポーションを決定する窓の位置・サイズ

外観設計 屋根の外観プロポーションを決定する窓の位置・サイズを表す図解イラスト

2-1. 窓のサイズは施主と細かく相談しない

飯田さん(COMODO建築工房/栃木県宇都宮市)は「窓の位置とサイズはあまり細かくお客さんと相談しない」と明かしている。これは施主を軽視しているのではなく、外観のプロポーションを成立させるための設計上の判断だ。

飯田さんの設計プロセスは、まず「このくらいがいいと思います」という提案を最初に出し、そこから施主の要望(たとえば「子どもの落下が心配だから窓を高くしたい」など)に対して調整していくという順序になっている。

「外観のプロポーションや間取りとの関係を見ながら、外観を美しく・綺麗に見せるためにサイズを微妙に調整していく感じですね」(飯田さん)

2-2. 窓は「外から見る美しさ」と「中から見る景色」を同時に設計する

窓の設計には「外観の美しさ」と「室内からの眺め」を同時に成立させる必要がある、というのが飯田さんたちの共通認識だ。

たとえば、屋根の起点を視線の延長線上に捉え、その先に空が見えるようにするための高さと位置を計算して窓を決めているという。対称性(シンメトリー)も同時に考慮されており、窓を10cm動かすだけで「見えるべき景色が見えなくなる」「構造の組み方に影響が出る」といったことも起こりうる。

「建物の美しさは窓に宿る——そこは口出すなと」

と笑いを交えながらも、真剣なトーンで語られていた。

2-3. 施主の「窓の要望」は思い込みである場合がある

対談の中で印象的なエピソードが紹介された。打ち合わせ中に旦那さんが「この窓をもっとこちらにしたい」と主張したため、飯田さんがその場で立面図をスケッチし、「どちらがいいですか?」と2案を並べて見せた。結果、夫婦ともに「最初の案の方がいい」と答えたという。

変更案を望んでいたのは、サイズ感の実感がなかったためだった。窓の設計に理由があることを視覚的に示すことが、施主との信頼関係づくりに直結するという好例でもある。


3. 屋根のプロポーションはなぜ設計者が主導すべきか

外観設計 窓の屋根のプロポーションはなぜ設計者が主導すべきかを表す図解イラスト

3-1. 屋根の形・素材・シルエットは連動している

大木さん(樹々匠建設/静岡県浜松市)は「ここは屋根、という1つに絞った」と語り、プロポーション・素材感・水平ラインの美しさをセットで考えることの重要性を強調した。屋根の形は雨仕舞・耐久性にも直結しており、デザインと機能を分けて考えることができない要素だ。

「屋根をとにかくすっきりシンプルに整えたい。屋根の水平ラインが直線で美しく出てくると、すごくかっこいいと思う」(大木さん)

3-2. 片流れ屋根の「太陽を乗せたい」要望が近隣問題につながる

太陽光パネルをたくさん載せたいという施主の要望に対し、そのまま「片流れ屋根・ドン」という提案になりがちな問題がある。片流れ屋根は傾斜面が一方向に長くなるため、北側の隣家への日影影響や圧迫感が生じやすい。施主は「近所と喧嘩したい」と思って家を建てているわけではないが、要望どおりに設計すると結果的にそうなりかねない。

施主の要望と結果の間にあるギャップを埋めるのがつくり手の役割であり、「いっぱい載せたいけれど、最後は屋根を少し下げましょう」という提案をすることで近隣への印象が大きく変わるという。

3-3. 施主の好みは聞く。ただし参考程度に

屋根の形について施主に「どれが好きですか?」と聞くかどうかは、つくり手によってスタンスが異なる。「好みを聞いても統一感のない回答が返ってくることが多い」「最終的には敷地・暮らし・街並みとの関係で形を決める」という声がある一方、「好みを聞いた上で理由ある提案をすることで施主の気持ちが動く」という対話的なアプローチを採るつくり手もいる。

吉田さん(フルマークハウス/長崎県島原市)が紹介したのは、敷地の向きを45〜30度振って既存の木が見えるよう配置した上で、その敷地との関係から「方形(ほうぎょう)屋根——四方向に同じ勾配で流れる屋根——が一番美しかった」と判断し、施主に対してその理由を丁寧にプレゼンしたエピソードだ。施主はもともと「寄棟屋根が苦手だった」のだが、理由とともに見せられた提案に「これ、かっこいいですね」とキュンとなったという。


4. 建物の高さ(軒高)と街並みへの配慮

外観設計 窓 屋根の建物の高さ(軒高)と街並みへの配慮を表す図解イラスト

4-1. 軒高は浸水対策と街並みを同時に考えて決める

夏見さん(夏見工務店/滋賀県栗東市)が「高さと外壁素材」を任せてほしい要素として挙げた。その理由として語ったのが「自分の家ではなく、街の景色として考えている」という視点だ。

建物の高さはGL(地盤レベル、建物を建てる地面の基準高さ)の設定と連動している。浸水対策でGLを周辺より高く設定すると、建物全体が隣家より高くなりがちになる。その分、軒高を下げて街並みのプロポーションを整えるという技術的な調整が必要になるのだ。こうした判断は施主が意識していなくても、設計者が主体的に行うべき部分だと夏見さんは語る。

4-2. 「ぽこんと飛び出た家」にしないための高さ管理

3棟が並んだ現場の実例として、「コンパクトで軒高の低い家」「2階建てで高くそびえ立つ家」「軒の高い平屋(集会場のよう)」が横に並んでいる状況が語られた。同じ高さに見える2階建てと平屋の軒高差が1.5m程度にもなることへの驚きも共有されており、軒高の管理がいかに外観の印象を左右するかが伝わってくる。

4-3. 「見ぼらしい」と感じる施主への向き合い方

軒高を抑えた家に対して「うちは低くて見ぼらしい」と感じる施主もいる。しかし、外から見てコンパクトに見える建物でも、中に入ると十分な開放感が得られるよう設計することで、外観の高さとインテリアの豊かさは両立できるというのがつくり手たちの共通した考え方だ。


5. 外壁素材と街並みの色・質感への配慮

外観設計 窓 屋根の外壁素材と街並みの色・質感への配慮を表す図解イラスト

夏見さんが「外壁素材」を任せてほしい要素に挙げた背景には、地域の街並みへの配慮がある。滋賀県では黒い板張りやベンガラ塗りといった地域固有の素材感が根付いており、それを引き継ぐことで建物が周辺の景色の中に自然に馴染む。逆に言えば、素材を誤ると「なぜか浮いている家」になる。

「街並みを崩したいと思って家を建てる施主はいない。でもいざ建ててみたら浮いてしまうケースが多い。それは施主ではなく、設計者側の提案の問題だ」という指摘が対談の中で出た。選択肢に問題のある素材が入っていれば、施主はそれを選んでしまう。だからこそ、変な選択肢をそもそも排除した上で提案することが設計者の責任だと語られている。


6. 施主と設計者の対話のあり方

外観設計 窓 屋根の施主と設計者の対話のあり方を表す図解イラスト

6-1. 「口出すな」ではなく「理由を聞いてほしい」

対談のまとめとして出てきたのが、「口出すな」という言い方は少し乱暴で、本当に伝えたいのは「1つ1つの判断に理由があるから、まず理由を聞いてほしい」ということだ。

理由を聞いて納得できれば進める。納得できなければ話し合う。そのプロセスが、施主と設計者の双方にとって良い家づくりにつながるという。機能と美観を両立させるには、どちらか一方だけが主導するのではなく、理由のある対話が土台になるのだ。

6-2. 「ノー」と言える設計者を選ぶ

「イエスマンではなく、ちゃんと断れる設計者を選んでほしい」という言葉も対談の中で出た。「屋根の形を変えてください。はい、わかりました」と即答するだけの設計者では、外観の美しさを守ることができないからだ。ただ、設計者側も「ノー」と言うのには勇気が要る、という率直な声も語られており、双方が誠実に向き合うことの大切さが伝わってくる。


7. よくある質問

外観設計 窓 屋根のよくある質問を表す図解イラスト

Q. 窓の位置やサイズは施主が自由に決めていいの?

飯田さんは「あまり細かくお客さんと相談しない」と語っています。窓の位置・サイズは外観のプロポーション、室内からの眺め、対称性、さらには構造とも連動しているため、10cm単位の変更でも見え方が大きく変わります。まず設計者の提案を受け取り、変更したい場合はその理由を設計者に伝えた上で対話するのが望ましいとされています。

Q. 屋根の形は施主の好みで選んでいいの?

好みを伝えること自体は問題ありません。ただ、「好みを聞いても統一感のない回答になることが多い」「最終的には敷地・暮らし・街並みとの関係で形を決める」という声が複数のつくり手から出ています。吉田さんのように、施主が「苦手」と言っていた屋根の形でも、理由とともに丁寧に提案することで「かっこいい」と感じてもらえたケースもあります。

Q. 軒高(建物の高さ)はなぜ設計者が調整すべきなの?

夏見さんが語ったように、軒高は個別の建物だけの問題ではなく、周辺の街並みのバランスに直結します。また、浸水対策でGL(地盤レベル)を上げると建物が周辺より高くなりがちなため、その分を軒高で調整するという技術的な判断も必要になります。こうした配慮は施主が意識していなくても設計者が主体的に行うべき部分です。

Q. 設計者の提案に納得できない場合はどうすればいい?

「無理に押し付けるのではなく、理由を聞いて納得できるなら進める。納得できなければ話し合う」というスタンスがつくり手たちの共通認識です。設計者がなぜその寸法・形・素材を選んだのかを聞くことで、多くの場合「なるほど」と感じられるはずです。逆に、理由を説明できない設計者には注意が必要かもしれません。

Q. 「イエスマン設計者」と「しっかり断れる設計者」、どう見分ければいい?

打ち合わせの場で施主の要望に対して理由を示しながら代替案を提案してくれるか、あるいは過去の施工事例を見て外観に一貫した美意識が感じられるかが判断の一つの指標になります。「ノーと言える設計者を選んでほしい」というつくり手たちの言葉は、機能と美観の両立を守るために必要な誠実さの現れでもあります。


より詳しく知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。つくり手たちの現場ならではのエピソードや、スケッチを使ったその場での説明など、テキストでは伝えきれない対話の温度感も体験できます。

この講義の出演者

大木 剛(株式会社 樹々匠建設 静岡県浜松市)

木造新築住宅を手がける。家づくり百貨 加盟工務店。

公式ホームページ

飯田 亮(株式会社COMODO建築工房/COMODO建築設計室 栃木県宇都宮市)

木造新築住宅/戸建てリノベーション/マンションリノベーションを手がける。家づくり百貨 加盟工務店。

公式ホームページ

夏見 諭(株式会社 夏見工務店 滋賀県栗東市)

新築木造戸建て/戸建・マンションリノベーション/外構を手がける。家づくり百貨 加盟工務店。

公式ホームページ

吉田 安範(フルマークハウス(株式会社 吉田建設工業) 長崎県島原市)

木造新築住宅/戸建てリノベーションを手がける。家づくり百貨 加盟工務店。

公式ホームページ

この講義を動画で見る(YouTube)

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