新築の外構工事が終わり、植栽を整えたばかりの庭でも、気づけば見知らぬ草が何本も顔を出している——そんな経験をする方は少なくありません。「これは植えた草?それとも雑草?」という判断に迷い、抜いていいのかどうか手が止まってしまうことも多いはずです。この講義では、注文住宅の植栽現場でつくり手が実際に雑草を見ながら語った、見分け方と対処の考え方を紹介します。
- 「植えた草か否か」を見分けるためのネームタグ管理が有効
- ハコベ・カタバミなど一年草の雑草はすぐ枯れるが種を飛ばして増殖
- 竹・ヤブガラシなど放置厳禁の雑草は植えた植物に勝ってしまう
- 抜いた草を土に返すと土壌が肥える「資源循環」の発想
- 前の土地の使われ方によって、生えてくる雑草の強さが大きく変わる
目次
1. 庭の雑草を見分ける最初のポイント——「植えたか、植えていないか」

1-1. プロが現場で感じる難しさ
植栽の現場で本田さんが率直に語っているのは、「どれが雑草かというのが結構難しくて、生えるものが土地によって違う」という事実です。植えた下草と雑草は、一見するとよく似た姿をしていることが多く、植物に詳しくない人には判断がほぼできません。
動画の現場では、自生種(自士)を中心に下草を構成しています。山や荒野に自然に生える植物を意図的に植えているため、隣に生えている雑草と見た目が混在しやすく、「これは抜いていいの?」という疑問が生まれやすい状態になっています。
1-2. ネームタグで「植えたもの」を見える化する
本田さんが現場で実践しているのが、植えた植物1種類に1本のネームタグを刺すという管理方法です。
「昔はデータで名前をつけて管理していたんですが、草はどれがどれかが分からなくなるんですよ。冬に植えると『あれ、どこに植えたっけ』ということもあるので、最近はこうしてタグを刺すようにしています」
タグが刺さっているものは植えた植物、周囲にある草がタグのないものは「植えていないやつ」と判別できる。この仕組みがあれば、引き継いだ施主でも判断がぐっとしやすくなります。
2. 一年草と多年草——雑草の「危険度」を左右する分類

2-1. 一年草の雑草は種で広がる
動画の中で本田さんは、ハコベやカタバミのような草を「一年生の雑草」と呼んでいます。これらは1シーズンで枯れる草ですが、ほうっておくと種を飛ばして周囲に広がります。
「ほっとくとこいつらがまた発芽しやすくなる」という表現どおり、枯れること自体は問題ではなくても、種の拡散が次世代の雑草を呼ぶ点に注意が必要です。ただし、本田さんは「ほっといたからといって、植えた木が枯れるということは絶対にない」とも明言しています。
2-2. 木本性の雑草は桁違いに強い
一年草と対照的に警戒が必要なのが、木化する雑草です。本田さんは「放置しすぎると、どんな庭でも何か木が生えてくる。あれになってきたとき、生えてくる木はヤバい。ハコベとかの比じゃないくらい成長が強い」と述べています。一年草の段階で手を打っておくことが、長い目でみた管理コストを下げる近道です。
3. 現場で実際に見つかった代表的な雑草

3-1. ハコベ
動画の現場で最初に名前が挙がったのがハコベです。本田さんいわく「1株あたりはこんな小さい草」であり、他の植物に実害を与えることはないものの、種が広がって増えていく性質があります。
3-2. カタバミ
クローバーに似た葉を持つカタバミ(片喰)は、見た目は可愛らしいものの、種の飛ばし方が旺盛な草です。
「カタバミはすごく種を飛ばしまくるので、できれば早めに取ってほしいですね。気にしない人ならいいのかもしれませんが、ほうっておくとカタバミだらけになります」
庭の木が茂って暗くなると自然と生えにくくなるため、ある程度は庭の成長とともに落ち着いてくるとも語っています。
3-3. クローバー
現場にはクローバーも混在していました。本田さんも「なぜここにあるか分からない」と言いつつ、根元から抜かないと再び生えてくる点を指摘しています。上だけちぎっても意味がない——これはカタバミにも共通する原則です。
3-4. イヌタデ・野生の芝
現場では、赤い小花をつけるイヌタデや、野生の芝も確認されました。イヌタデは植えた植物と見た目が似ているために判断が難しく、「植えてないから雑草」という整理になります。野生の芝については、「どれが雑草かというのが難しい代表例」として本田さんが触れています。
3-5. もみじの実生(みしょう)
動画の終盤では、植えた覚えのないもみじの幼木が庭に生えていることが判明しました。種が飛んできたか、土の中に眠っていたかのどちらかで、「植えていないという意味では雑草」と本田さんは言います。ただし、もみじは知っている植物なので「置いておくかどうかは自分で判断できる」と柔軟に考えています。
4. 早急に対処すべき雑草——放置してはいけない種類

動画で本田さんが明確に「放置厳禁」と位置づけているのは以下の2種類です。
竹・細い竹(タケノコ含む) 現在進行中の別現場でも竹が生えており、「竹はそのまま放置すると大変なことになる」と警告しています。地下茎で広がる性質上、気づいたときには広範囲に侵食している場合があります。
ヤブガラシ(ヤシ) 本田さんが「ほっとくとすごいことになる」と名指しした植物です。つる性で他の植物に絡みついて成長を阻害し、「植えたものに勝ってしまう可能性がある」と断言しています。
「手入れのいらない植物を植えているということは、言い換えると弱い植物を植えているということ。体系の中で最強の植物を植えれば手入れはいらないですが、20メートルになって大変なことになる。だから雑草に負けないよう、ある程度はケアしてあげないといけない」
5. 雑草の名前がわからないときの判断基準

植物の名前が分からないとき、どうすればいいのか。動画での本田さんの考え方は「分かる範囲で抜いていく、という加減で十分」というものです。
- ネームタグが刺さっていないものは基本的に抜いてよい
- 明らかに知っている植物(もみじなど)は残すかどうかを自分で判断してよい
- 判断がつかないときは「とりあえず残す」よりも「早めに取る」を推奨
なお、一般的にはスマートフォンのカメラで植物を撮影すると名前を調べられるアプリ(Google レンズ等)が普及しており、名前の特定には活用できます。ただし動画では、「名前を知っているかどうかよりも、植えたか植えていないかで判断する」という現場的な割り切り方が重視されています。
6. 雑草の種類別・効果的な対処法

6-1. 根元から引き抜くことが基本
カタバミもクローバーも、上をちぎるだけでは再び生えてきます。根元から丁寧に引き抜くことが再発防止の基本です。本田さんは「根元から抜いてください」と繰り返し強調しています。
6-2. 種がついていない段階で処理する
草を抜いたあと、どう処分するかも重要です。本田さんの考え方は明確です。「種がついていない段階であれば、刻んで土に返してもいい。有機物を土に返すことで土が肥えていく——資源循環という考え方」です。
ただし、種がついた状態で土に返すと次の雑草を生み出すことになるため、種がある場合は土には戻さず廃棄します。見た目が気になる場合は取り除けばよく、土に返すかどうかは「見た目と機能のどちらを優先するか」で決めればよいと本田さんは話しています。
6-3. 竹・ヤブガラシは根まで徹底的に除去
竹やヤブガラシは、地下茎や根が残ると再生します。地上部を刈るだけでは意味がなく、根を掘り起こす作業が必要です。広範囲に広がっている場合は、なお一般的には除草剤の使用が現実的な選択肢となりますが、動画ではそこまで踏み込んだ説明はされていません。
7. 再び生えさせない——庭を長く美しく保つ視点

7-1. 前の土地の状態が雑草の強さを決める
本田さんが強調しているのが、「その土地が元々どう使われていたかで、生えてくる雑草が全然違う」という点です。
「放置されて荒れた状態の土地を解体して新しく庭を作る場合、その土に眠っている雑草はこんな可愛いものじゃないので、大変なことになります。逆に前に建物が建っていて土が新しく入れ替えられているとか、前に家が建っていなかった土地だと、強い雑草はあまり生えてこない」
土地の歴史を知っておくことが、雑草管理の難易度を予測する上で重要なのです。
7-2. 庭が成熟すると雑草は自然に減る
庭の木が育ち、地面に日が当たりにくくなると、一年草の雑草は生えにくくなります。本田さんはカタバミを例に「暗くなるとあまり生えなくなる」と語っており、庭が成熟するにつれて雑草との戦いは楽になっていくという見通しを持っています。
7-3. 「分かる範囲で抜く」で十分
完璧に雑草をゼロにしようとするのではなく、「分かる範囲でこまめに抜く」という姿勢が長続きのコツです。本田さんも「1箇所だけならあっという間に終わる。分かっていたらすぐ終わる」と語っており、知識が増えるほど作業は軽くなっていきます。
8. よくある質問

Q. 雑草をほうっておくと、植えた木が枯れることはありますか?
ハコベやカタバミのような一年草であれば、植えた木が枯れることは「絶対にない」と本田さんは断言しています。ただし種が広がって増殖したり、放置が続いて木本性の雑草が生えてきたりすると、話が変わってきます。早めの対処が安心です。
Q. クローバーやカタバミは上をちぎるだけでは駄目ですか?
駄目です。本田さんは「根元から抜かないと、上をちぎっただけではまた生えてきます」と明言しています。根ごと丁寧に引き抜くことが必要です。
Q. 抜いた草は捨てないといけませんか?土に返してもいいですか?
種がついていない段階であれば、刻んで土に返すことは問題ないと本田さんは話しています。有機物が土に戻ることで土壌が肥えるメリットがあります。ただし、見た目が気になる場合は取り除いて構いません。種がついている草を土に返すのは避けてください。
Q. 竹が生えているのですが、放置しても大丈夫ですか?
大丈夫ではないと本田さんは語っています。竹は放置するとどんどん広がり、庭全体を侵食する可能性があります。同様にヤブガラシも「ほうっておくとすごいことになる」ため、早期の対処が必要です。
Q. 植えた草と雑草を見分ける良い方法はありますか?
本田さんの現場では、植えた植物にネームタグを1本ずつ刺して管理しています。タグがあれば植えたもの、タグがなければ植えていないもの——という明快な仕組みです。新築時に施工者に頼んでタグを立ててもらうか、自分で植えたものを記録しておくことが見分けの近道になります。
より詳しく知りたい方はぜひ動画をご覧ください。実際の植栽現場で雑草を手に取りながら語る場面を見ると、文章だけでは伝わりにくい草の見た目や判断の感覚がより身近に感じられます。
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