無垢フローリングを検討していると、「傷がつく」「水に弱い」「コーヒーをこぼしたら終わり」という不安を耳にしたことがあるはずです。しかし実際には、傷も染みも「無垢だからこそ補修できる」という側面があります。この講義では、複数の工務店のつくり手たちが、無垢フローリングの傷・染みに関する本音を語っています。
- 傷は無垢でも合板でも必ずつく——問題は「つくこと」ではなく「ついた後」
- 無垢フローリングは傷ついても下まで木なので補修が可能
- 「水に弱い」はイメージ——こぼしっぱなしにしなければどの床材も同じ
- コーヒーなどの色染みは染み抜きや研磨で対処できる
- 不安は工務店に相談する——信頼関係があれば解決策は必ずある
目次
1. 無垢フローリングに傷・染みができる原因

1-1. 「傷がつくのは無垢だから」は半分しか正しくない
小縣さんは動画のなかで、こう指摘しています。「傷がつくのは無垢でも合板製品でも同じ。日常生活の中では必ず起こること」。つまり傷がつくこと自体は床材の種類を問わず避けられない現象であり、「無垢だから傷つく」という前提そのものが誇張されているケースが多いのです。
北川さんも同様の見解を示しています。「完成した時はどちらの床も綺麗。10年経てばどちらにも傷はついている」。問題は傷がつくかどうかではなく、傷がついた後にどう見えるか、どう対処できるかという話なのです。
1-2. 染みができる主な場面
動画では、お客様が特に不安視する場面として以下が挙げられていました。
- コーヒーや紅茶などの色の濃い飲み物をこぼした
- カレーなどの色素が強い食品が落ちた
- 水回り(洗面・トイレ・キッチン)での継続的な水濡れ
本田さんは「色の濃いものを落とした時が心配、という話はよく出る」と語っています。しかしすぐに拭き取れる状況であれば、染みが深く残るケースは限られると言います。
2. 「水に弱い」という誤解を解く

2-1. こぼしっぱなしにしてよい床材は存在しない
「無垢は水に弱い」という言葉は根強いイメージとして定着していますが、本田さんはこれをはっきりと否定しています。
「こぼしっぱなしでいい床って多分なくて。昔懐かしいクッションフロアだってビニールだって、洗剤を落として放置したらそれなりのシミになる。水に弱いってことはないと。濡らしっぱなしにしたら何でもダメですよ、というのが本当は正解なんじゃないかな」
これは一次情報として非常に重要な視点です。「即座に拭き取る」という基本習慣さえ守れば、無垢フローリングを水回りに使うことへのハードルは大幅に下がります。
2-2. カーペットとの比較
本田さんは「カーペットは醤油を垂らしてもしばらくは水玉でいてくれるけど、ずっと放置すると染み込む」とも語っています。つまり無垢フローリングに限らず、あらゆる素材において「放置しないこと」が染み対策の基本であることが分かります。
3. 無垢フローリングの染みは「補修できる」という本質

3-1. 合板にはできない補修が無垢には可能
北川さんは動画のなかで、無垢フローリングの最大の強みをこう語っています。
「傷がついてもえぐれても、その下はずっと木。だから、おかしくない状態という意味で味が出てきますよ、と説明しています」
合板フローリング(新建材)は表面に薄いシートが貼られているだけのため、傷や染みがつくと下地との境界が剥がれたり、補修しても色合わせが困難だったりします。一方、無垢材は断面も木そのものなので、研磨や染み抜きによってリセットに近い状態まで戻せるのです。
3-2. コーヒーの染みも「染み抜き」で対処できる
本田さんは「木材であれば染み抜きというか、白木の染みを抜くような感じのこともできる。合板フローリングではできないけど、無垢であればそれが可能」と説明しています。具体的な染み抜きの方法は塗装の種類や染みの深さによって異なりますが、自然オイル塗装仕上げの無垢材であれば、オイルを一度落として研磨・再塗装することで表面をリフレッシュできます。
4. 研磨(再研磨)で染みを補修する考え方

4-1. 無垢材だから研磨が意味を持つ
無垢フローリングは、塗装を剥がして表面を研磨(サンディング)することで、染みや傷を物理的に削り取ることができます。これは合板では構造上不可能な処置です。小縣さんが「満遍なく傷がついたらそれがスタートライン」と表現したのも、研磨によって再び「新しい面」を出すことができるという前提があるからこそ言える言葉です。
4-2. 自分でできる範囲とプロの判断
軽い表面の染みであれば、市販のオイルフィニッシュ用やすり(240番程度)と再塗装用オイルを使ったDIY対応も可能です。ただし広範囲にわたる染みや深く浸透したカビ由来の黒染みは、専用のベルトサンダーや薬剤処理が必要になるため、施工した工務店への相談が確実です。本田さんが動画で「傷も汚れもシミもとりあえず相談してほしい」と語っているのは、まさにこの判断基準を持っている点に理由があります。
5. 傷も染みも「経年変化」として捉えるという視点

5-1. お寺や古い木造校舎が証明していること
大澤さんは動画のなかで、傷や染みに対する考え方をこう表現しています。
「お寺に行くと100年200年があたり前で、皆さんが歩くことによって踏みしめられた状態になってる。それが気持ちいいですよね。傷がちょっとついた、まだそれは何も始まってない。居心地が良くなるまで目いっぱい傷がつくと、その状態が一番心地いいので、何も気にせずに暮らしてくださいという言い方をしています」
この言葉は、無垢フローリングの傷や染みを「失敗」ではなく「暮らしの記録」として捉え直す視点を示しています。
5-2. 杉という最も柔らかい木材を推奨する理由
大澤さんの工務店(富士ソーラーハウス)では、杉という最も柔らかい樹種をフローリングとして推奨していると動画で語られています。柔らかいがゆえに傷はつきやすい半面、足裏への負担が少なく温かみがある。そして傷がついた後も「木の質感が失われない」という一貫した素材感が保たれます。
6. 補修後の再発を防ぐ日常メンテナンス

6-1. 基本は「すぐ拭く」と「定期的なオイル塗布」
動画では日常メンテナンスの細かい手順は取り上げられていませんが、つくり手たちの発言から共通して導き出せる原則は「こぼしたらすぐ拭き取る」「放置しない」という点です。
なお、一般的には自然オイル仕上げの無垢フローリングに対しては、年1〜2回のオイルメンテナンス(亜麻仁油ベースのオイルを薄く塗り込む)が推奨されています。オイルが床に浸透していることで、染みが木の繊維に入り込むのをある程度防ぐ効果が期待できます。
6-2. 工務店との信頼関係がメンテナンスの質を左右する
本田さんは動画の後半でこう語っています。「信頼関係になっていれば、これが不安なんだということをちゃんとぶつけて、解決策を聞いてそれでも嫌なのか、それを聞いたら安心するのか。そんな観点で住宅会社とのパートナーシップをきちんと結んだ上で相談してもらうと不安を解消して木材に向き合いやすくなる」。
染みや傷が生じたとき、まず「相談できる工務店がいるか」がメンテナンスの出発点になります。
7. よくある質問

Q. 無垢フローリングは合板より傷がつきやすいのですか?
小縣さんは「傷がつくのは無垢でも合板でも同じ」と語っています。10年後を比較すると、どちらの床にも傷はついています。違いは「傷がついた後の見え方」と「補修できるかどうか」です。無垢は傷がついても下まで木なので補修が可能ですが、合板は表面シートが剥がれると補修が難しくなります。
Q. コーヒーをこぼしたら染みは取れますか?
本田さんは「木材であれば染み抜き(白木の染みを抜く処理)が可能で、合板フローリングではできないが無垢であれば対処できる」と説明しています。こぼしてすぐ拭き取れる状況であれば染みが深く残るケースは少なく、残った場合も研磨・再塗装で対応できます。
Q. 水回りに無垢フローリングを使っても大丈夫ですか?
本田さんは「こぼしっぱなしでいい床というのは存在しない。濡らしっぱなしにしたら何でもダメ」と断言しています。こぼしたらすぐ拭き取るという基本習慣を守れば、無垢フローリングを水回りに使うことは十分に可能と語られています。
Q. 傷がつきやすい柔らかい木材(杉など)はなぜ推奨されるのですか?
大澤さんは「杉という一番柔らかい木でフローリングを貼って傷だらけになることも含めて推奨している」と語っています。柔らかい木は足裏への負担が少なく温かみがある点がメリットで、傷がつくことは「デメリット」ではなく「暮らしの経年変化」として捉えるべきだというのがつくり手たちの共通した姿勢です。
Q. 傷や染みの不安はどこに相談すればよいですか?
本田さんは「傷も汚れもシミもとりあえず相談してほしい。建築会社に対して信頼関係を持っているかどうかが大切」と語っています。施工を依頼した工務店がどう対処するかを事前に把握しておくことで、万が一の際にも適切な補修につなげられます。
より詳しく知りたい方はぜひ動画をご覧ください。つくり手たちの言葉と現場のリアルな声が、無垢フローリングへの不安を解消するきっかけになるはずです。
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