「エアコンで除湿しているのに寒い」「梅雨時期にいくら除湿しても湿度が下がらない」——そんな経験はないでしょうか。実はエアコンの除湿には大きく2種類あって、どちらが搭載されているかで快適さがまるで変わります。
この記事では「再熱除湿」に焦点を当てて、仕組みから電気代・メーカー比較まで解説します。結論から言えば、再熱除湿には明確なメリットがある一方、電気代は冷房より高く、効果を発揮する場面も限定的です。「なんとなく高機能そう」で終わらず、自分の生活に本当に必要かどうか判断できることをゴールにしています。
- 再熱除湿は、空気を一度深く冷やして水分を絞り取ったあと、暖め直して吹き出す方式
- 弱冷房除湿は設定温度を下げるだけなので梅雨の生ぬるい日には除湿力が不足しやすい
- 再熱除湿は室温を下げずに湿度だけ落とせるのが最大の強みだが、電気代は冷房より高くなる
- ダイキン・パナソニック・三菱など主要メーカーの上位機種に搭載されており、型番・リモコンで確認できる
- 梅雨の肌寒い日・就寝時・洗濯物の部屋干しなど「冷やしたくないけど湿気を取りたい」場面で特に効果を発揮する
目次
1. 再熱除湿とは?仕組みをわかりやすく解説

1-1. そもそもエアコンはどうやって水を取り出すのか
エアコンが除湿できるのは、「空気を冷やすと水蒸気が水滴に変わる」という自然の原理を使っているからです。室内機の熱交換器(フィン)を冷たくして、そこに空気を通すと、空気が露点(相対湿度100%)まで冷やされて余分な水蒸気を保てなくなり、水滴としてフィンに付着します。これがドレンホースを通って排出される水の正体です。
重要なのは、フィン温度を露点以下まで下げないと水は絞り出せないという点です。単に風を当てるだけでは除湿にならず、しっかり冷やすことが前提条件になります。
1-2. 再熱除湿の仕組みをステップで理解する
再熱除湿のプロセスは3段階です。
① 深冷却フェーズ:室内の空気を熱交換器で露点以下まで冷やします。冷房よりも低い温度まで冷却するため、水分が効率よく絞り出せます。
② 水分除去フェーズ:冷やされた空気から水分が分離し、ドレンホースへ排出されます。
③ 再加熱フェーズ:冷やしすぎた空気を暖め直してから室内に吹き出します。吹き出し温度がほぼ室温と同じになるため、体が冷えません。
暖め直す熱源は機種によって異なります。多くの機種はコンプレッサーが発生する排熱を回収して再利用しており、一部の高性能機種は電気ヒーターを補助的に使います。いずれにせよ、この再加熱工程が余分なエネルギーを消費するため、電気代は冷房モードより高くなります。
2. 弱冷房除湿との違いを比較

2-1. 弱冷房除湿の仕組み
弱冷房除湿は、弱めの冷房を動かして副産物として除湿する方式です。設定温度を現在の室温より少し低めにして、コンプレッサーを低出力で動かします。
問題になるのは、コンプレッサーの出力が低いとフィン温度が十分下がらない点です。外気温が25〜27℃程度しかない梅雨の肌寒い日は、「設定温度をそれ以上下げられない→フィンが冷えない→水が取れない」という状況に陥りやすくなります。風は出ているのにまったく除湿できていない、という事態の原因がここにあります。
2-2. 2つの方式を表で比較
| 比較項目 | 弱冷房除湿 | 再熱除湿 |
|---|---|---|
| 除湿の仕組み | 低出力冷房の副産物 | 深冷却→再加熱 |
| 室温への影響 | 下がる | ほぼ変化なし |
| 梅雨・涼しい日の除湿力 | 低め | 高い |
| 消費電力 | 低め | 冷房より高め |
| 搭載機種 | ほぼ全機種 | 中〜上位機種 |
2-3. どちらを選ぶかの判断軸
室温が高く単純に涼しくしたい真夏なら、弱冷房除湿で十分な場面も多くあります。一方、外気温が低い梅雨時期や涼しい秋口に「蒸し蒸しだけど寒くはなりたくない」という場合は、再熱除湿の出番です。用途と季節で使い分けることが、快適さと電気代のバランスを保つコツです。
3. 再熱除湿のメリット・デメリット

3-1. 再熱除湿のメリット
室温を下げずに湿度をコントロールできる
再熱除湿の最大の強みは、除湿しながら室温をほぼ維持できる点です。梅雨の肌寒い日でも「寒い!」とならずに、べたつく空気を快適にできます。湿度を40〜60%程度に保てると体感温度は大幅に改善され、同じ室温でも過ごしやすさがまるで違います。
カビ・ダニの抑制
湿度を下げることはカビやダニの繁殖抑制に直結します。梅雨シーズンは湿度が常時70〜80%を超えることもあり、カビの発生リスクが一気に高まります。再熱除湿で湿度を60%以下にキープするだけでリスクは大きく低減します。
洗濯物の部屋干しに効果的
洗濯物が乾くかどうかは温度より湿度の影響が大きいため、室温を下げずに湿度だけ落とせる再熱除湿との相性は抜群です。
3-2. 再熱除湿のデメリット
電気代が冷房より高い
再加熱のためにエネルギーを余分に消費するため、消費電力は冷房より高くなります。目安については次章で詳しく説明しますが、「除湿は節電になる」という思い込みは再熱除湿には当てはまりません。
搭載機種が限られる
再熱除湿は中〜上位グレードのエアコンにしか搭載されていません。購入時に確認しないと、安価な機種には弱冷房除湿しか付いていない場合があります。
夏場は涼しさを感じにくい
室温が下がらないため、真夏の暑い日に使っても涼しさを感じにくいのが難点です。暑さ対策が目的なら冷房が適切です。
4. 再熱除湿が向いているシーン・向かないシーン

4-1. 再熱除湿が活躍するシーン
梅雨の生ぬるい日:外気温が20〜26℃程度で、冷房をかけるほどでもないけれど蒸し蒸しする日がまさに適した場面です。弱冷房除湿では太刀打ちできない状況でも力を発揮します。
就寝時:眠っているときは体温調節機能が低下するため、冷たい風は体に堪えます。室温を保ちつつ湿度だけ下げられる再熱除湿は、睡眠環境の最適化に向いています。
赤ちゃん・高齢者がいる部屋:体温調節が苦手な方がいる空間では、過度な冷却を避けながら湿度管理をしたいニーズがあります。
部屋干し・洗濯物乾燥:部屋干し乾燥との相性は非常によく、洗濯物が乾くスピードを大幅に改善できます。
4-2. 再熱除湿が向かないシーン
真夏の猛暑日:室温を下げる必要があるなら冷房が正解です。再熱除湿は「涼しくしたい」ニーズには応えられません。
電気代を抑えたいとき:ランニングコストを最小化したい場合は、弱冷房除湿か冷房の方が有利です。
短時間の利用:利用時間が短い場合は、かかるコストに見合わないこともあります。
5. 電気代はどのくらい?節約する方法

5-1. 再熱除湿の電気代の目安
消費電力は機種・部屋の広さ・外気条件によって大きく異なります。各方式の相対的な電力消費イメージを冷房を基準に示すと、次のとおりです。
| 運転モード | 消費電力の目安(冷房=100) |
|---|---|
| 弱冷房除湿 | 60〜80 |
| 冷房 | 100 |
| 再熱除湿 | 110〜150 |
再熱除湿は冷房より1〜5割ほど電気代が高くなることが多い計算です。
1時間あたりの電気代を具体的にイメージするなら、6畳用エアコン(定格冷房能力2.2kW、消費電力500W前後の機種)を例にすると、冷房時の消費電力がおよそ400〜500Wのところ、再熱除湿では500〜700W程度になります。電力単価31円/kWhで換算すると1時間あたり約15〜22円です。取扱説明書に記載されている「除湿時消費電力」の値を確認すれば、お使いの機種の実態に近い数字が得られます。
なお、上記の比較比率(60〜150)はメーカー各社のカタログ数値や業界団体の資料をもとにした目安であり、機種・室外気温・設定湿度によって変動します。
5-2. 電気代を節約するための工夫
フィルターを定期的に掃除する:フィルターが詰まると熱交換効率が落ち、同じ除湿量でも余計に電力を消費します。2週間に1回程度が目安です。
サーキュレーターと併用する:空気を循環させると室内の湿度ムラが減り、エアコンの稼働時間を短縮できます。
湿気の侵入を減らす:窓の隙間テープや換気のタイミングを工夫するだけで、外からの湿気流入を抑えられます。エアコンへの負荷が下がれば、電気代も下がります。
設定湿度を下げすぎない:湿度を低くするほどエネルギーが必要になります。湿度50〜60%を目標値にするのが快適さと省エネのバランス点です。
6. 主要メーカーの再熱除湿機能一覧

6-1. 各メーカーの名称と特徴
メーカーによって再熱除湿機能の名称が異なります。購入・確認時の参考にしてください。
| メーカー | 機能名称 | 搭載グレード |
|---|---|---|
| ダイキン | さらら除湿(再熱除湿) | うるさらX・Rシリーズなど |
| パナソニック | 快適除湿 ※注記あり | エオリアXシリーズなど |
| 三菱電機 | 再熱除湿 | 霧ヶ峰Zシリーズなど |
| 日立 | 再熱除湿 | 白くまくんXシリーズなど |
| 富士通ゼネラル | 再熱除湿 | nocriaXシリーズなど |
| シャープ | 再熱除湿 | AYシリーズ上位機種 |
※パナソニック「快適除湿」について:「快適除湿」は機種によって再熱除湿方式と弱冷房除湿方式のどちらかが採用されており、名称だけでは区別できません。購入前にパナソニック公式サイトのスペック表、または同社サポートで「再熱除湿かどうか」を必ず確認してください。
6-2. メーカー選びのポイント
ダイキンの「さらら除湿」は湿度センサーによる自動調整精度が高いと評価されることが多く、除湿制御のきめ細かさに定評があります。パナソニックは「nanoe X」などの空気清浄機能と組み合わせて空気質をトータルで管理したい人向けです。三菱は静音性が高く、就寝時の使用に向いています。
どのメーカーでも、再熱除湿は上位グレードにしか搭載されていないため、型番の末尾記号や公式サイトのスペック表で「再熱除湿」の記載があるか確認することが重要です。
7. 自分のエアコンに再熱除湿があるか確認する方法

7-1. リモコンで確認する
最も手軽な確認方法はリモコンを見ることです。「除湿」ボタンを押したときに「衣類乾燥」「快適除湿」「さらら除湿」など複数の除湿モードが選べる場合、再熱除湿が搭載されている可能性が高いです。「ドライ」ボタン1つしかなく切り替えができない場合は弱冷房除湿のみの機種です。
7-2. 型番から調べる
室内機の前面パネルを開けると型番シールが貼られています。その型番をメーカーの公式サイトや説明書PDFで検索し、スペック表に「再熱除湿:あり」の記載があるかを確認します。
7-3. メーカーサポートに問い合わせる
型番での検索に慣れていない場合は、型番をメモしてメーカーのサポートに電話・チャットで問い合わせるのが確実です。「〇〇という型番に再熱除湿はありますか?」と聞くだけで教えてもらえます。
8. よくある質問

Q. 再熱除湿と冷房、どちらが電気代が安い?
ほとんどの場合、冷房の方が安くなります。再熱除湿は再加熱のための余分なエネルギーが必要なため消費電力が上がります。ただし「寒くなりたくない」場面では冷房では目的を達成できないため、単純な比較はあまり意味がありません。用途が違う、と考えるのが正確です。
Q. 除湿しているのに湿度計の数値が下がらないのはなぜ?
弱冷房除湿の場合は、外気温が低すぎてフィンが十分冷えていない可能性があります。また、窓や扉の隙間から外の湿気が入り続けていると効果が出にくくなります。フィルターの汚れも効率低下の原因になるため、あわせて確認してみてください。
Q. 再熱除湿中にドレンホースから水が出ないのはおかしい?
除湿量が少ない条件(外気温が低い・湿度がすでに下がっているなど)では排水も少なくなるため、短時間であれば問題ないことがあります。ただし、稼働しているのに長時間まったく排水がない状態が続く場合は、フィルターの詰まりや冷媒不足(ガス漏れ)が疑われます。メーカーのサービスセンターに確認することをおすすめします。
Q. 再熱除湿は冬にも使える?
機種の動作温度範囲によります。多くの機種は外気温が低い冬には除湿モード自体が動作しないか、効果が著しく低下します。冬の結露・湿気対策には暖房と換気の組み合わせ、または除湿機の別途購入が現実的です。
Q. 賃貸でエアコンを選べない場合はどうすれば?
備え付けのエアコンに再熱除湿が搭載されていないことは珍しくありません。その場合はコンプレッサー式の除湿機を別途購入するのが効果的です。コンプレッサー式除湿機は再熱除湿と同様の原理で動作し、室温への影響が少なく除湿力も高いため、有力な代替手段になります。
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