結論から言うと、総返済額で比べるなら元金均等返済のほうが少なくなります。ただし月々の返済額が高くなるため、資金余力がある人向けの選択肢です。多くの銀行で選べるのに利用者の約98%が元利均等返済を選んでいるという現状もあり、どちらが”自分に合っているか”の視点で判断することが大切です。
- 総返済額は元金均等返済のほうが少ないが、差額は条件によって数十万〜100万円超と幅がある
- 元利均等返済は毎月の返済額が一定で家計管理しやすく、利用者の大多数がこちらを選んでいる
- 元金均等返済は初期の返済額が高く、審査基準も厳しくなる銀行が多い点に注意が必要
- 変動金利で借りる場合、金利上昇リスクへの備えとして元金均等返済が有利になる局面がある
- 手元資金に余裕があり、初期費用を抑えたい人は元利均等+繰上返済の組み合わせも有効な選択肢
目次
1. 元利均等返済・元金均等返済とは?仕組みをわかりやすく解説

1-1. 元利均等返済の仕組み
元利均等返済とは、毎月の返済額(元金+利息)をローン期間全体で一定に保つ方式です。銀行側が「毎月同じ金額で払い終わるように」計算した上で返済スケジュールを組むため、借りる側は月々の金額を固定して家計計画を立てやすいのが特徴です。
ただし仕組みをよく見ると、返済初期は支払いの大部分が利息で占められています。たとえば返済1回目は「元金少・利息多」、返済100回目になると「元金多・利息少」という構成に変わります。つまり元本の減りが遅いという性質があり、これが総返済額が元金均等より多くなる理由です。
1-2. 元金均等返済の仕組み
元金均等返済は、毎月の元金の返済額を一定に固定する方式です。返済回数で元金を割り、そこに残高に応じた利息を加算して毎月の支払いを決めます。
借り入れ直後は残高が多いため利息も多く、結果として最初の返済額がいちばん高くなります。逆に月日が経つほど残高が減り、利息額も下がるので、後半になるほど支払いが楽になっていきます。早い段階で元本が減るため、長期的な利息の総額が少なくなるのがこの方式の大きな特徴です。
1-3. 二つの方式の根本的な違い
わかりやすく整理すると、「月々の支払いの安定」を優先するか、「トータルの利息負担の軽減」を優先するか、という考え方の違いです。
| 項目 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 一定(変動金利では変動) | 返済が進むにつれ減少 |
| 初期の返済額 | 比較的低い | 高い |
| 総返済額 | 多い | 少ない |
| 元本の減り方 | 遅い | 早い |
| 利用者の割合 | 約98% | 約2% |
2. 元利均等返済のメリット・デメリット

2-1. メリット
月々の返済額が変わらない安心感が、元利均等返済が選ばれる最大の理由です。固定金利を選んでいれば、35年間一度も月額が変わらないため、「来月の支払いがいくらか」を常に把握できます。育児・教育費・老後資金の積み立てなど、他の支出と並行して家計を管理する際に非常に便利です。
また、初期の返済額が元金均等より低いため、借入時に必要な資金的余裕が少なくて済みます。住宅購入直後は引越し費用や家具・家電の購入など出費がかさみがちなので、この点は実生活上かなりのメリットです。ローン審査においても、月々の返済額が低いほうが年収に対する返済比率(返済負担率)が下がりやすく、審査を通りやすい傾向があります。
2-2. デメリット
最大のデメリットは総返済額が元金均等より多くなることです。同じ金額・同じ金利でも、元本の減り方が遅いため、長い期間にわたって利息を払い続けることになります。
また、返済初期は元本がほとんど減らないため、ローン開始から数年以内にマンションを売却・住み替えしたいと考えている場合、「売却価格<残債」というリスクが生じやすい点も見落とせません。
3. 元金均等返済のメリット・デメリット

3-1. メリット
総返済額を抑えられるのが最大のメリットです。後述のシミュレーションでも示しますが、3,000万円を35年・金利1%で借りた場合、元利均等と比べて数十万円単位の差が生まれます。
さらに、返済初期から元本が大きく減っていくため、残債の減少スピードが速いというメリットもあります。住み替えや繰上返済を検討する際にも、残債が少ない状態を早期につくれるのは大きな強みです。変動金利環境では金利が上昇しても残高が少ないぶん利息の増加幅を抑えられるため、金利上昇リスクへのクッション効果も期待できます。
3-2. デメリット
最初の数年間は毎月の返済額が元利均等よりも高くなります。たとえば同じ借入条件なら、元金均等の初回返済額は元利均等より数千円〜1万円以上高くなることが一般的です。子育て真っ只中や、転職・独立など収入が不安定な時期に重なると家計を圧迫しかねません。
また、銀行によっては元金均等返済を選ぶ際に適用する返済比率の計算を初回返済額ベースで行うことがあり、元利均等より審査が厳しくなるケースがあります。選択できる金融機関や商品が限られる場合もあるため、事前に確認が必要です。
4. 総返済額の差はどのくらい?シミュレーションで比較

4-1. 条件設定
以下のシミュレーションでは、住宅ローンの利用者に多い以下の条件を想定します。
- 借入金額:3,000万円
- 返済期間:35年(420回)
- 金利:年1.0%(固定・全期間同一)
4-2. シミュレーション結果
| 返済方式 | 毎月の返済額(初回) | 総返済額 | 利息総額 |
|---|---|---|---|
| 元利均等返済 | 約84,686円 | 約35,568,000円 | 約5,568,000円 |
| 元金均等返済 | 約96,429円(初回) | 約35,263,000円 | 約5,263,000円 |
差額は利息だけで約30万円。金利が高いほど、あるいは借入額が大きいほどこの差は広がります。たとえば金利が2%になると差額は60〜70万円超になることもあります。
4-3. 繰上返済との組み合わせも考慮する
「元利均等返済を選んで、差額分を繰上返済に回す」という方法もあります。元利均等の月返済額(約84,686円)と元金均等の初回返済額(約96,429円)の差は約11,743円。この金額を毎月繰上返済に充てれば、理論上は元金均等と同等かそれ以上の利息削減効果を得られる場合もあります。ただし繰上返済には手数料が発生するケースや、実際に継続できるかという行動面の問題もあるため、あくまで「計画的に実行できる人向け」の選択肢です。
5. 金利上昇時にどうなる?それぞれへの影響と対処法

5-1. 元利均等返済への影響
変動金利で元利均等返済を選んでいる場合、金利が上がっても即座に月々の返済額が跳ね上がるわけではないのが特徴です。日本の変動金利ローンの多くは「5年ルール」と「125%ルール」が適用されており、金利が変動しても5年間は返済額を変えず、変更する際も直前の125%を超えないように上限が設けられています。
ただし、これはあくまで「支払い額を据え置く」だけで、利息分はしっかり発生しています。金利上昇が長引くと「払っているのに元本が全然減らない」という状況になりかねず、最悪の場合は未払い利息が発生するリスクもあります。
5-2. 元金均等返済への影響
元金均等返済の場合、金利が上昇すると即座に月々の返済額に反映されます。元本の減少ペースは変わらず、利息部分だけが増加するイメージです。返済初期であれば残高が多いため利息増加の金額は大きくなりますが、返済が進んでいれば残高が少ないぶん影響を吸収しやすくなります。
変動金利で借りるなら元金均等のほうが金利上昇への耐性が高いという考え方は、元モルガン系の金融アドバイザーなども動画で言及しており、「金利リスクを考えると元金均等の優位性が上がる」という見解は専門家の間でも共有されています。
5-3. 対処法と心構え
- 固定金利を選ぶことで金利上昇リスクそのものをなくす
- 変動金利を選ぶ場合は繰上返済用の資金を一定額確保しておく
- 金利が上昇した段階で固定金利への借り換えを検討する
金利が今後どう動くかは誰にも確実にはわかりません。「金利が上がっても生活が破綻しないか」をシミュレーションした上で返済方式を選ぶことが、最もリスクの少ない判断になります。
6. 元利均等・元金均等どちらを選ぶべき?タイプ別の選び方

6-1. 元利均等返済が向いている人
- 借入直後から数年間、教育費や他のローンなど支出が多い時期が続く人
- 収入の変動が大きく、毎月の支出を固定したい人
- 初期の返済額を抑えて、手元資金に余裕を持っておきたい人
- 「毎月いくら払うか」を明確にして家計を管理したい人
実際、住宅ローン利用者の大多数は元利均等を選んでいます。「安定して払い続けられること」を最優先するなら、元利均等返済+余裕資金での繰上返済という組み合わせが現実的で堅実な選択といえます。
6-2. 元金均等返済が向いている人
- 共働きで収入が安定しており、初期の高い返済額でも問題ない人
- 定年退職前にローンを完済したい、または繰上返済を積極的に考えている人
- 借入額が大きく、総返済額の差が無視できないレベルになる人
- 変動金利を選ぶ予定で、金利上昇リスクを少しでも軽減したい人
FPの中には「誰も勧めてくれないが、コスパでいえば元金均等のほうが優れている」と明言する人もいます。ただしこれはあくまで家計に余力がある前提の話。初期の負担増を許容できるかどうかが分岐点です。
6-3. どちらにも当てはまらないときは?
「どちらが有利かより、自分が無理なく払い続けられるか」という視点を忘れないでください。住宅ローンは35年という超長期の契約です。ライフステージの変化(出産・転職・親の介護など)で家計が変わることを前提に、「最初の5〜10年を無事に乗り越えられる返済額かどうか」を基準に選ぶと後悔が少なくなります。
7. よくある質問

元利均等返済と元金均等返済、どっちが得?
純粋に総返済額で比べると元金均等返済のほうが得です。元本の減りが早いぶん利息が少なく済むためで、借入条件によっては数十万〜100万円以上の差が出ることもあります。ただし初期の返済額が高くなるため、「余裕を持って払い続けられるか」という観点も同時に考える必要があります。
元金均等返済と元利均等返済、どっちが多い(選ばれている)?
利用者の大多数は元利均等返済を選んでいます。「約98%が元利均等」という数字を示す情報も複数あり、元金均等を選ぶ人はごく少数派です。月々の返済額が安定していること、審査時の返済負担率を低く抑えやすいことが主な理由とみられます。
元金均等返済と元利均等返済、どっちがいい?
一概にどちらが良いとは言い切れません。家計に十分な余裕があり、総コストを抑えたいなら元金均等。月々の支払いの安定を優先したいなら元利均等が向いています。繰上返済を積極的に行える人なら、元利均等を選んでも総返済額の差を縮めることが可能です。
変動金利で借りるなら元利均等・元金均等どちらがいい?
変動金利の場合、金利上昇リスクを考えると元金均等返済のほうが有利な面があります。元金が早く減るぶん残高が少なくなり、金利が上がっても利息の増加幅を抑えやすいためです。ただし元利均等でも「5年ルール・125%ルール」が適用される商品が多く、すぐに返済額が急増するわけではないため、余剰資金を確保しておく対策と合わせて判断するとよいでしょう。
元金均等返済は審査が厳しいって本当?
本当のケースが多いです。元金均等返済は初回の返済額が元利均等より高くなるため、銀行がその初回額をベースに返済比率を計算すると、審査上の負担率が上がります。結果として「元利均等なら通ったのに、元金均等では通らない」という事態が起こりえます。選択を検討する際は、事前にシミュレーションで初回返済額を確認しておきましょう。
元利均等返済で繰上返済をすれば元金均等と同じ効果がある?
理論的にはほぼ同等の効果を得ることができます。元利均等と元金均等の月々の差額を毎月繰上返済に回せば、元本の減り方を元金均等に近づけられます。ただし繰上返済の手数料・手続きの手間・実際に継続できるかどうかという現実的な問題もあるため、「計画通り実行できる人」に限定された選択肢です。
住宅ローン選びで返済方式以外に注目すべき点は?
返済方式と同じくらい重要なのが金利タイプ(固定・変動)の選択と、総借入額の設定です。どれだけ返済方式で節約しても、借りすぎれば家計を圧迫します。返済負担率は手取り収入の20〜25%以内を目安に設定し、万が一の収入減や金利上昇に備えた緊急資金(生活費3〜6ヶ月分)を確保した状態でローンを組むのが理想です。
まとめ

元利均等返済と元金均等返済のどちらが良いかは、最終的には「自分の家計状況とリスク許容度」によって決まります。
総コストを最小化したいなら元金均等返済が有利ですが、初期の返済額の高さや審査の厳しさというハードルがあります。安定した返済計画を重視するなら元利均等返済が現実的で、余裕資金を繰上返済に充てることで利息を抑える工夫も可能です。
大切なのは「どちらが得か」の結論を先に決めるのではなく、自分の収入・支出・ライフプランを具体的に数字で確認した上で選択することです。住宅ローンは人生最大の借り入れになることが多いため、銀行の窓口やFPへの相談も積極的に活用してみてください。
家づくり百貨には、プロのつくり手同士が「本当に信用できる」と数珠つなぎで紹介し合った全国68社の工務店・設計事務所が参加しています。記事で学んだことを、信頼できるつくり手との出会いにつなげてください。
続きを読むには会員登録が必要です。
