新築の外構プランがほぼ固まったタイミングで、親からの援助や思わぬ余剰資金が生まれ「追加で100万円使えるとしたら何に充てればいいか」と悩む方は少なくありません。この講義では、全国から集まった工務店のつくり手たちが、その問いに対して正直な本音を語っています。
- 平面の緑を立体化すると室内からの見え方が劇的に変わる
- 外観側に70万・室内側の窓廻りに30万という配分の考え方
- 「もう満足している」なら無理に使わない選択肢も正解
- 100万円で庭の小屋を建てるという機能的かつ景観的な提案
- 何に使うかはライフスタイルと優先順位次第
目次
1. この講義のテーマ設定:「外構予算が100万円増えたら」

家百講座 戸建て編 #16 は、「外構プランが一度決まったあと、追加で100万円の予算が生まれたとしたら何に使うか」というテーマで行われました。親からの資金援助や予期せぬ余剰資金がきっかけで予算が膨らむケースは、実際の家づくりの現場でも珍しくありません。
この講義では、複数の工務店のつくり手が一人ひとり自分の考えを書き出し、順番に語っていくスタイルで進行しました。同じ「100万円」という条件でも、提案の方向性がまるで異なる点が非常に参考になります。
2. 大木さんの提案:平面の庭を「立体化」する

大木さんが提案したのは、庭の立体化です。すでに緑の配置計画が平面で決まっている状態に対して、100万円を使って「盛り土」や「築山(つきやま)」を作り、緑に高低差と動きを加えるという考え方です。
平らな地面に植物を並べるだけでは、家の中から眺めたときに単調に見えてしまうことがあります。土を盛り上げて島状の地形を作り、その上に植栽を配置することで、室内の窓からの景色が大きく変わると大木さんは語っています。
「平面的なだけの緑じゃなくて、それが立体になると動きも変わってくる。これをするとものすごい好きなんですよ、個人的に」
築山に使う石については、浜松近郊では川石を使うと苔が生えて青くなりやすいため、岐阜から運んでくる茶色みを帯びた石を選ぶことが多いとのこと。地域によって適した石材が異なる点も、現場ならではの視点です。また、石や土の配置次第で円形の島を作ったりと、庭のバリエーションが一気に広がることも強調されていました。
3. 竹内さんの提案:外観70万・室内窓廻り30万の配分

竹内さんは、100万円を「外から見えるゾーンに70万円、室内側の窓廻りに30万円」と分ける配分を提案しました。
竹内さんが語るポイントは、外構の外側ゾーン(駐車場周辺やアプローチを含む外回り)は面積が広いため、少額を散らしても遠くから見たときのインパクトが薄いという点です。見応えのある大きな木を一本植えようとすれば、それだけで二桁万円に達することもある。だからこそ「外から見てかっこいい」と感じさせるためには、ある程度まとまった金額を外観側に投下すべきだという考えです。
一方、庭の内側(各部屋の窓から見えるエリア)は「自己満足の世界」と竹内さんは言い切ります。トイレの窓脇など、小さな窓でも数万円の植栽グレードアップで眺めが整うため、コストパフォーマンスが高い。メインとなる外観側に70万円を集中させ、残り30万円で各窓廻りを補強するというのが竹内さんの現実的な提案です。
「外回りって意外に広くて、ちょろっとお金をかけてもあまりインパクトがない。外から見て『うわ、かっこいい』と思わせるためには、やっぱりある程度お金がいる」
4. 小縣さんの提案:「そのまま持っておく」という選択

小縣さんの回答は、ほかのつくり手とは異なる方向性でした。「もうすでに満足している状態なら、無理に使わなくていいのではないか」という提案です。
外構プランに満足してOKを出した後に100万円が増えたとしても、使うことを急かされる必要はない。むしろ一旦冷静になって、本当にやりたいことが明確になってから使う方がよいと大田さんは語っています。投資に回す、旅行に充てる、子育てに使う——どれも選択肢としてありえると。
「一旦自分たちがこれでいいと気に入った状態だったら、これ以上はいいじゃないですか。そのまま持っておいたら」
「金のなる木を買う」という冗談まじりの言い方も飛び出しましたが、本質的には「満足しているのに追加で使う必要があるのか」という問いかけです。この視点は、外構計画に限らず家づくり全体における資金計画の考え方に通じます。
5. 大澤さんの提案:庭に「小屋」を建てる

大澤さんが提案したのは、庭への小屋の設置です。100万円あれば小屋は十分に建てられると大澤さんは述べており、この予算帯における有力な選択肢として挙げています。
庭の小屋に対するニーズは多様で、自転車ポートとして使いたい人、工具を収納したい人、ゴミの一時保管場所にしたい人など、家族のライフスタイルによってさまざまです。とくに大澤さんが面白いと感じているのは、小屋が庭の景観に奥行きをもたらす点です。
道路→アプローチ→小屋→植栽→家本体という配置にすることで、視線が段階的に奥へと誘導され、複雑な奥行き感が生まれます。大澤さんはこれを「親子の関係」と表現しており、本体の家の1/5程度のサイズで意匠を揃えた小屋を配置することで、庭全体のストーリーが豊かになると語っています。子どもが小さいうちは遊び場として使い、大きくなれば一時的な宿泊や趣味のスペースに転用できる実用性の高さも魅力です。
6. 4つの提案から見えてくる「外構100万円の使い方」の考え方

4人のつくり手の提案を整理すると、100万円の使い道は大きく3つの方向性に分類できます。
景観・デザインに投資する方向(大木さん・竹内さん)では、庭の立体化や外観へのまとまった投資によって、見た目のインパクトと室内からの眺めを同時に高めることを優先します。
機能・使い勝手に投資する方向(大澤さん)では、小屋のような実用的かつ景観的な構造物を加えることで、日常生活の利便性と庭の豊かさを両立させます。
使わないという選択肢(大田さん)は、一見極端に見えて実は本質的です。外構の追加投資は「やりたいことが明確になってから」行うのが後悔しないコツであり、漠然と使うくらいなら手元に残す方が賢明という判断です。
なお、一般的には外構工事の総予算は建物本体の10〜15%程度が目安とされており、100万円という金額は新築外構としては最低ラインに近い水準です。そのため「追加の100万円」をどこに集中させるかの優先順位付けが、仕上がりの満足度を大きく左右します。
7. よくある質問

Q. 庭の立体化(築山)に100万円を使うと、具体的に何が変わりますか?
大木さんが語っているように、平面の植栽計画に土の盛り上げや石組みを加えることで、室内の窓から見たときの景色に奥行きと動きが生まれます。植物の葉が風で揺れる様子も、高低差があることでより豊かに見えます。また、島状の地形を作ることで円形の植栽スペースなど、バリエーションのあるデザインが実現しやすくなります。
Q. 竹内さんが「外観側に70万・室内側に30万」と言っていましたが、なぜ外観側に多く配分するのですか?
竹内さんは、外回りのゾーンは面積が広いため少額を散らしても遠くから見たときのインパクトが薄いと指摘しています。大きな木一本でも二桁万円かかることがあり、「外から見てかっこいい」という印象をつくるにはある程度まとまった金額を集中させる必要があるためです。一方、各窓廻りは小さな植栽でも効果が出やすくコストパフォーマンスが高いため、30万円でも十分グレードアップできるとのことです。
Q. 100万円で庭に小屋は本当に建てられますか?
大澤さんは「100万円あれば小屋は立てられる」と述べています。ただし仕様や大きさによって費用は変わるため、工具収納・自転車置き場・ゴミの一時保管など用途を明確にした上で工務店に相談することが重要です。また、小屋は建築確認申請が必要になる場合もあるため、設置前に確認が必要です(これは動画外の一般的な注意点です)。
Q. 満足しているなら使わなくていいという大田さんの意見は、本音ですか?
大田さんは「無理にどうしても何かをしたいというわけでないなら、一旦落ち着いて冷静になるのがいい」と真剣に語っています。追加予算が生まれると「使わなければ」という心理になりがちですが、やりたいことが明確でない状態でお金を動かすと後悔しやすい。投資や旅行など、暮らし全体の豊かさに使うことも立派な選択肢だという考えです。
より詳しく知りたい方はぜひ動画をご覧ください。4人のつくり手がそれぞれの経験から語る言葉は、テキストでは伝えきれない熱量があります。
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