中古マンションを購入してリノベーションする、あるいは今住んでいるマンションを一新したい——そんな計画を立てるとき、まず頭を悩ませるのが「実際いくらかかるのか」という問題です。ネットで調べると「300万円〜」「1,000万円以上」と幅が広すぎて、自分のケースにどれが当てはまるのかわからない、という声をよく聞きます。
この記事では、3LDKマンションリノベーション費用の相場を、工事内容・築年数・広さ別に整理しました。総費用を公開している施工事例も多数盛り込んでいますので、資金計画の参考にしてください。
- 3LDK(65〜85㎡)のフルリノベーション費用の相場は500万〜1,200万円が目安で、工事範囲と仕様によって大きく変わる
- 部分リノベなら100〜400万円台、スケルトンリノベなら800万円以上が目安
- 築年数が古いほど配管・電気系統の交換が必要になり、費用が上振れしやすい
- 補助金(こどもエコすまい支援事業の後継施策・省エネ改修など)を活用すれば数十万円単位のコスト削減も可能
- 複数社の相見積もり・素材のグレード調整・工期のまとめ発注が費用を抑える最大のポイント
目次
1. 3LDKマンションリノベーション費用の相場早見表

まず全体感をつかむために、工事規模ごとの費用帯を整理します。広さは3LDKで一般的な65〜85㎡を前提としています。
| 工事規模 | 費用の目安 | 主な工事内容 |
|---|---|---|
| 部分リノベ(1〜2箇所) | 50万〜300万円 | キッチンのみ・浴室のみなど水回り単体 |
| 中規模リノベ(複数箇所) | 300万〜600万円 | 水回り全般+内装(床・壁・天井) |
| フルリノベ(全体) | 600万〜1,200万円 | 内装・水回り・建具・電気配線まとめて |
| スケルトンリノベ | 900万〜1,500万円以上 | 躯体まで解体し間取りから全面やり直し |
実際の事例を見ると、「築30年・72.8㎡・3LDK」のフルリノベが950万円前後、「築25年・75㎡・3LDK」が950万円台という数字が複数確認できます。一方、「築34年・60㎡・3LDK」のプチリノベを250万円で実施した事例もあります。予算と優先順位の設定次第で費用は大きく変わります。
1-1. ㎡単価で見た目安
リノベ業界では「㎡単価×面積」で概算を出すことが多く、一般的な目安は次のとおりです。
- 部分リノベ:㎡あたり2〜5万円程度
- フルリノベ(標準仕様):㎡あたり8〜12万円程度
- スケルトンリノベ(ハイグレード):㎡あたり12〜20万円以上
75㎡の物件にフルリノベ(㎡単価10万円)を行うと、単純計算で750万円。間取り変更や設備のグレードアップが加わると1,000万円超もめずらしくありません。
1-2. 相場に幅がある3つの理由
「300万円〜1,500万円」という幅には、はっきりした理由があります。
ひとつ目は設備グレードの差です。キッチンだけでもメーカーの普及品と最上位グレードでは100万円以上の開きが出ます。ふたつ目は解体の深さ。クロスを貼り替えるだけのプチリノベと、床・壁・天井をすべて撤去するスケルトンリノベでは施工コストが根本から異なります。みっつ目は地域差と業者差で、都市部と地方では人件費・材料費が違い、同じ仕様でも見積もりに20〜30%の差が出ることがあります。
2. 工事内容・パターン別の費用内訳

3LDKのリノベーションを構成する主要な工事ごとに費用を見ていきます。
2-1. キッチン
キッチンは設備本体の価格が総費用を大きく左右します。
- システムキッチン本体:50万〜150万円(グレードによる)
- 取り付け・解体工事:15万〜30万円
- 内装仕上げ(タイル・クロス等):5万〜20万円
合計すると70万〜200万円が目安です。PanasonicのLクラスやタカラスタンダードのレミューなどハイグレード品を選ぶと、本体だけで100万円を超えます。
2-2. 浴室・洗面・トイレ(水回り3点)
水回り3点をまとめてリノベすると割安になるケースが多く、費用の目安は以下のとおりです。
- ユニットバス交換:60万〜150万円
- 洗面台交換:15万〜40万円
- トイレ交換(タンクレス等):15万〜40万円
3点合計で90万〜230万円程度が一般的です。TOTOのネオレストやSクラスキッチンを採用した「築30年・72.8㎡」の施工事例が参考になります。
2-3. 内装(床・壁・天井)
内装は面積に比例してコストが増えるため、3LDKの広さが費用に直接響きます。
- フローリング張り替え(75㎡):50万〜120万円
- クロス張り替え:20万〜60万円
- 天井・照明工事:10万〜40万円
フローリングの素材(突き板・無垢・複合材など)だけで30万〜50万円は変わってきます。
2-4. 間取り変更(壁撤去・移動)
3LDKを2LDKにする、LDKを広げるといった間取り変更工事は追加費用が大きくなります。
- 非構造壁1枚の撤去・新設:10万〜30万円
- 開口部の設置・建具変更:15万〜50万円
- 間取り全体の変更(スケルトン前提):100万〜250万円以上
「82.85㎡・3LDK」を間取り変更込みでリノベした事例では、間取り工事だけで総費用の2割程度を占めたケースもあります。
2-5. 電気・配管
築年数が古い物件では見落としがちですが、電気配線や給排水管の更新が必要になることがあります。
- 電気配線の全面更新:30万〜80万円
- 給排水管交換(部分):20万〜60万円
- 換気設備の更新:10万〜30万円
壁を開けてみないとわからない「隠れコスト」になりやすい項目です。予算の10〜15%は予備費として確保しておくのが賢明です。
3. 築年数・広さ(㎡)が費用に与える影響

3-1. 築年数による具体的な影響
築20年未満と築30年以上では、同じ工事範囲でも設備・配管の劣化状況が違うため見積もりが変わります。
- 築20年未満:給排水管・電気設備の状態が比較的良好。内装中心のリノベで収まることが多い
- 築25〜30年:水回り設備の老朽化が進み、配管交換が必要になることがある。追加費用50万〜100万円を見込む
- 築30年以上:アスベスト含有建材が使われている可能性がある。調査・除去費用(10万〜30万円)が発生するケースも
「築43年・65㎡」を300万円でリフォームした30代女性の事例がある一方、「築40年・80㎡」のフルリノベでは950万円かかっています。同じ築年数でも工事範囲の選び方が費用を大きく左右します。
3-2. 広さ(㎡)による費用の変化
60㎡台と80㎡台では内装面積・工期・廃材量がすべて変わります。
| 広さ | フルリノベ概算 | スケルトンリノベ概算 |
|---|---|---|
| 60〜65㎡ | 500万〜800万円 | 750万〜1,100万円 |
| 70〜75㎡ | 600万〜950万円 | 900万〜1,300万円 |
| 80〜85㎡ | 700万〜1,100万円 | 1,000万〜1,500万円 |
80㎡を超えると「材料費の増加+工期延長による人件費増」が重なり、60㎡台より100万〜200万円ほど高くなるのが一般的です。
3-3. 1981年以前の物件は旧耐震に要注意
1981年(昭和56年)以前に建てられたマンションは旧耐震基準の可能性があります。リノベーション自体は可能ですが、住宅ローン減税や補助金の対象外になる制度もあるため、事前確認が欠かせません。耐震診断・補強工事が加わると、数十万〜数百万円の追加コストが生じることもあります。
4. 予算別でわかるリノベーションでできること

4-1. 予算250万〜300万円:プチリノベの現実
「築34年・3LDK・60㎡」を250万円でプチリノベした事例では、クロスの全面張り替え・フローリングの上張り・照明の交換・アクセントクロスの使いを実施しています。水回り設備はそのままでも、内装を一新するだけで「部屋の雰囲気が変わった」という声は多いです。
この予算帯で現実的な選択は、水回りのどれか1〜2箇所+内装刷新という組み合わせになります。
4-2. 予算500万円:水回り全般+内装が射程に
「築26年・3LDK」を500万円以内でリノベした事例では、キッチン・浴室・洗面台の水回り3点交換+LDKの床・クロス張り替えをギリギリ実現できたといいます。ただし500万円は「選択と集中」が求められる予算帯です。トイレ交換や建具変更は見送る判断が必要になることも多く、何を優先するかを業者に相談する前に自分で整理しておくと打ち合わせがスムーズに進みます。
4-3. 予算800万〜1,000万円:フルリノベの王道
950万円前後はフルリノベの”事例頻出価格帯”です。「築40年・80㎡」と「築30年・72.8㎡」の両方でこの価格帯が登場しており、水回り4点+内装全体+一部間取り変更までカバーできます。設備のグレードを標準〜中上位に抑えれば、十分なクオリティのリノベが実現できる予算といえます。
4-4. 予算1,200万円以上:間取り自由・高仕様リノベ
「30代子育て家族・81㎡・3LDK」を「23帖ホテルライクLDK」に変えた事例のように、間取りを大胆に変更しながら高仕様の設備を入れると1,000万円を超えるのは自然な流れです。スケルトンリノベで理想の間取りを実現したいなら、1,200万〜1,500万円の予算を想定しておきましょう。
5. 費用を抑える具体的なコツ5選

5-1. 相見積もりは最低3社に依頼する
同じ仕様でも業者によって見積もりは20〜40%変わることがあります。1社だけに頼むと相場感がつかめず、割高な提案をそのまま受け入れてしまいかねません。最低でも3社から見積もりを取り、内訳を並べて比較しましょう。
5-2. 工事はまとめて同時に発注する
キッチン・浴室・洗面を別々のタイミングで発注するより、1回の工事にまとめると養生・解体・廃材処理の費用を1回分に圧縮できます。「どうせやるなら一度に」は、リノベの費用対効果を高める基本の考え方です。
5-3. 設備グレードを”見える場所だけ”上げる
毎日目に触れるキッチンのレンジフードや浴室の水栓はグレードを上げ、壁の中に隠れる配管や電気部材は標準品を選ぶ。このメリハリが、費用を抑えながら満足度を維持するうえで効果的です。内装も「LDKだけ無垢床、洋室はクッションフロア」という使い分けはよく見られます。
5-4. 解体後の追加工事に備えて予備費を用意する
築25年以上の物件では、壁を開けてから「配管が予想以上に腐食していた」「断熱材がまったく入っていない」といった想定外の事態が起きることがあります。予備費として総予算の10〜15%をあらかじめ確保しておけば、追加費用が発生しても慌てずに対処できます。
5-5. DIYで担える部分を業者と相談する
クロスの一部貼り替えや塗装、照明の取り付けなど、DIYで対応できる作業を事前に業者と相談して分担する方法もあります。ただし電気工事・ガス工事は資格が必要なため、DIYとプロの境界を明確にしておくことが安全上も法令上も必要です。
6. 補助金・減税制度の活用方法

6-1. 国の補助金制度(2024〜2025年)
リノベーションに使える主な補助金・支援制度は以下のとおりです(詳細・受付状況は各省庁の公式サイトで最新情報を確認してください)。
- 子育てエコホーム支援事業:省エネ性能の高い改修を行う子育て世帯・若者夫婦世帯が対象。補助額は工事内容によって異なる
- 給湯省エネ2024事業:高効率給湯器(エコキュート等)への交換が対象。1台あたり5万〜13万円程度
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業:断熱材・窓の交換など省エネ改修に最大120万円(一般戸建て)または15万円(集合住宅)
マンションリノベでは集合住宅向けの補助上限が設定されていることが多いため、戸建て向けの制度と混同しないよう注意が必要です。
6-2. 住宅ローン減税(リフォームローン控除)
住宅ローン減税はリノベーションにも適用できます。条件は「耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修等の特定の工事」を含むこと、登記上の床面積が50㎡以上あることなどです。借入額の0.7%が最大13年間(一定条件)にわたって所得税から控除されます。
6-3. 自治体の補助金も必ずチェック
国の制度に加え、都道府県・市区町村が独自の補助金を設けているケースがあります。耐震補強・省エネリノベ・若者定住促進などを対象としたものが多く、国の補助と併用できる場合もあります。リノベを検討しているエリアの役所窓口やウェブサイトで確認してみてください。
6-4. 固定資産税の減額措置
省エネ改修や耐震改修を行った場合、一定期間(1〜2年程度)の固定資産税の減額が受けられる制度があります。金額としては大きくないものの、補助金・ローン減税と組み合わせると積み重ねで数十万円規模の節約になることもあります。
7. 3LDKリノベーション施工事例

実際に総費用を公開している事例を紹介します。
7-1. 築30年・72.8㎡・3LDK:50代夫婦のフルリノベ(総費用約950万円)
子どもが独立した後の”二人暮らし仕様”に全面リノベ。LDKを広げる間取り変更を行いつつ、水回り4点(キッチンはSクラス、浴室はオクターブ+ネオレスト)を一新しています。築30年分の配管老朽化への対応も含めて約950万円に着地しました。
7-2. 築25年・75㎡・3LDK:60代夫婦の”終の住まい”リノベ(総費用約950万円)
「もうここで最期まで暮らす」という覚悟のもと、バリアフリー対応・収納の最適化・省エネ窓への交換を重点的に実施しました。間取り変更は最小限に抑え、設備グレードをLDK中心に集中させた結果、約950万円に収まっています。
7-3. 築27年・76㎡・3LDK:内装+水回り全面リフォーム(中価格帯)
特別な間取り変更は行わず、内装と水回り4点を一新したスタンダードなパターンです。設備のグレードを中位に設定して費用を抑えつつ、ダイニングスペースの壁材だけ素材感のある仕上げを採用して個性を出しています。
7-4. 築21年・75㎡・3LDK:セカンドライフ仕様(兵庫県西宮市)
50代夫婦がタカラスタンダードのレミューを採用して水回りを一新。LDKの天井を上げて開放感を演出しながら、洋室の床材はコストを抑えた選択にすることで全体予算のバランスをとっています。担当したRENO PLUSによると、費用を抑えられた要因のひとつとして「施主が優先項目を事前に整理してきたこと」が挙げられています。
7-5. 築25年・67㎡・3LDK:アール壁×ランドリースペース(総費用公開済)
間取りの一部を変更してランドリースペースを確保した事例です。アール壁の主寝室は造作費用が追加でかかりますが、「どこか一か所だけ個性を出す」という方針で全体予算を抑えています。キッチンにはPanasonicのLクラスとSクラスを組み合わせて採用しました。
8. 失敗・後悔しないための注意点

8-1. 管理組合への事前確認を忘れずに
マンションリノベで見落としがちなのが管理規約との整合性です。フローリングの遮音等級・工事可能時間帯・共用部分の養生ルール・業者の搬入経路など、管理組合が細かく規定しているケースがあります。着工前に管理規約を確認し、必要であれば管理組合への申請・承認を得ておきましょう。
8-2. 「躯体壁(コンクリート壁)」は動かせない
RC造マンションには絶対に動かせない躯体壁(構造壁)があります。間取り変更を計画する際は、動かせる壁と動かせない壁をあらかじめ把握しておく必要があります。設計士または施工会社に図面を見せてもらい、どこまで変更可能かを確認しておくのが失敗防止の第一歩です。
8-3. 見積もりの「込み込み」か「別途」かを確認する
見積書に「設備別途」「仮設工事別途」と書かれていると、見た目の金額より最終的な請求額がかなり高くなります。各社の見積もりを正確に比較するには、諸費用・廃材処理費・消費税をすべて含んだ総額で揃えることが重要です。
8-4. 工期の遅延リスクを考慮する
リノベーション中は仮住まいが必要になります。工期が予定より延びた場合の家賃やホテル代も含めた仮住まいコストを事前に計算しておきましょう。大規模工事では工期が1〜2ヶ月になることも珍しくなく、仮住まい費用が数十万円になるケースがあります。
8-5. ショールームで実物を体感してから決める
カタログや写真だけで設備を選ぶと、実物を見たときにイメージが違ったという後悔につながります。キッチン・浴室などはメーカーのショールームで実際に使い勝手を確かめてから決めると、仕様変更による追加費用や後悔を減らせます。
9. よくある質問(FAQ)

9-1. 3LDKのリノベーション工期はどれくらいかかりますか?
工事規模によって大きく異なります。部分リノベ(水回り1〜2箇所)なら2〜4週間、フルリノベなら2〜3ヶ月、スケルトンリノベなら3〜5ヶ月程度が目安です。設計・打ち合わせ期間(1〜3ヶ月)を加えると、計画開始から入居まで半年〜1年かかるケースもあります。
9-2. リノベーションとリフォームは何が違うのですか?
厳密な定義はありませんが、一般的にリフォームは「傷んだ箇所を元の状態に修繕する」こと、リノベーションは「間取りや設備を変えて住宅の価値を高める」ことを指します。本記事では両者をほぼ同義として扱っています。
9-3. 中古マンション購入+リノベと新築購入、どちらがお得ですか?
一概にどちらが得とは言えません。立地・広さ・物件価格によって結論は変わります。都市部の好立地では中古+リノベが割安になるケースが多く、新築同価格帯でより広い物件を手に入れられることもあります。ただし物件の状態・管理状況・築年数によってはリノベ費用が大きく膨らむため、物件価格とリノベ費用の合算で比較することが重要です。
9-4. ローンはどの種類を使えばいいですか?
物件購入と同時にリノベを行う場合は「住宅ローン」にリノベ費用を含めて借りるのが一般的で、金利が低くメリットが大きいです。すでに所有している物件のリノベには「リフォームローン(住宅ローン)
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