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株式会社あすなろ建築工房

窓の選び方

こんばんは。

あすなろ建築工房の関尾です。

昨日、広島にある
ユダ木工株式会社さんの
本社と工場にお邪魔してきました。

見学会の時などに
「玄関扉は家族が
毎日見るもの
触るものであり、
家の顔となるものなので、
ケチらずにいいものを
使って欲しい。
いいものを見たり
触ったりすることで
日々の幸せを
感じるようになるから。」
といつもお話させて
頂いています。

ということもあって
「玄関ドア」をとても
大事に考えて設計しています。

そんな大事な大事な
玄関扉なので、
設計の際には吟味して
採用するようにしています。

そこで欠かせないのが
長く使い続けることが
出来る高性能な
玄関扉となります。

高性能な手作りの玄関扉を
多く生産している
ユダ木工さんなのですが、
これまでユダ木工さんの工場を
拝見する機会がありませんでした。

「住まう人と作り手を
つなぐことが設計者や
工務店の仕事」と
考えていますので、
採用する建材や設備の工場は
極力自分の目で見て
確認するようにしています。

今回、「家づくり百貨」の取材で
ユダ木工さんに行かれると聞いたので、
そこに同行させて頂いてきました。

「家づくり百貨」のHPはこちら。
https://asunaro-studio.jp/l/m/d11aMj4MlWpzRf

「ユダ木工」さんのHPはこちら。
https://asunaro-studio.jp/l/m/HivApmQkqt2uVy

ユダ木工さんのものつくりの
こだわりをしっかりと
学んできましたので、
見学会などではユダ木工さんの
想いや工夫などを
お伝えしていきたいと思います。

後日改めてメルマガやyoutubeでも
お伝えしたいと思います。

近況報告はこのくらいにして本題に。

このところ朝晩がめっきり
冷え込むようになりましたね。

もう季節は冬なのですね。

モデルハウス兼自宅の
「六ッ川の家」の窓も
朝起きると窓ガラスが
結露するようになって、
結露した窓の窓拭きという
朝の仕事が増える
季節がやってきました。

今朝の結露の様子はこちら。
https://asunaro-studio.jp/l/m/DBC1j6DvcsBUgx

ダイニングの1間半の
掃き出し窓はびっしりと
結露してしまっています。

このままだと、結露水が
木枠を濡らし、
枠や床にカビが生えたり、
腐朽菌で劣化してしまう
可能性がありますので、
結露水がこぼれる前に
拭き取る必要があります。

メルマガをお読みの方の中には
「高性能な住宅なのに
結露するの?」と
思われる方も
いらっしゃると思います。

以前にもメルマガで
お伝えしているのですが、
六ッ川の家は「実験住宅」
の位置づけもあって、
窓に取りつけているサッシは、
いろいろな種類のものを
設置しています。

冬期の結露の状況については、
以前にコラムでまとめていますので、
こちらをご覧ください。
https://asunaro-studio.jp/l/m/Ire5gF4fKoqAnl

六ッ川の家のダイニングの
掃き出し窓は、
「今どきにアルミサッシ?!」
と言われてしまうまさにその
アルミサッシですので、
先の写真のように
しっかりと結露してしまっています。

さて、そこで本日は
その「窓」について
「窓の選び方」についての
お話してみたいと思います。

窓サッシといっても、
メーカーもたくさんあり、
各社いろいろとグレードと
種類があることは、
皆さんご存知の通りです。

では、どのメーカーの
どんな窓がよいのか?

昔はアルミサッシが主流でしたが、
昨今の高断熱住宅のニーズの
高まりに合わせて
現在は樹脂サッシ、
アルミ樹脂複合サッシが
主流となっています。

大手では、LIXILと
YYKapが有名どころで、
他には、三協立山や
エクセルシャノンや
クレトイシなどの
メーカーがあります。

その他「木製サッシ」については、
国内外に多くのメーカーがあります。

マーヴィン、
アンダーセン、
オスモ、
アイランドプロファイル、
ノルド、
アルス、
キムラ、
キマド、
タミヤ、
森の窓、
日本の窓
ウッドテック秋富、
佐藤の窓(レインボーオーシャンビュー)、
などなど、
ホントにたくさんあります。

サッシの材料別には、
大きくは、アルミサッシ、
アルミ樹脂複合サッシ、
樹脂サッシ、
木製サッシと
分けることが出来ます。

アルミ→木製と、
後者になるほど性能も
価格も高くなります。

建築系youtberの皆様が
樹脂サッシの必要性などを
いろいろな動画で
お伝えされているので、
皆様もご覧に
なられていることと思います。

私が建築業界で
働き始めた頃の25年前は、
流通している窓の
ほとんどがアルミサッシで、
トステム(現在のLIXIL)、
YKKap、三協アルミ、立山アルミ、
不二サッシ、新日軽など
多くのメーカーがありました。

昨今の経営統合の流れで、
現在は統合が進んで、
サッシメーカー自体が
少なくなってきています。

5~6年くらい前から、
住宅の高性能化が進み、
性能に大きく関わる窓に
注目が行くようになり、
アルミサッシから
樹脂サッシへと
変わって来ました。

ホントにこの高性能化は
つい最近のことなのです。

5年前に六ッ川の家を
建設した頃は
他の住宅会社さんでは、
まだまだアルミサッシも普通に
使われていました。

そしてこのところの
高性能化ニーズの高まりもあって、
以前のメルマガでも
お伝えしたように
現在はYKKapのAPW330の
サッシの納期に
時間がかかってしまっています。

通常は発注してから
納品までには早くて2週間、
遅くても3週間で
納品されていたのですが、
このところは2ヵ月半も
納期に要しています。

YKKapの担当者によると、
「想定以上の受注を受けたため」
とのことで、
繰り返しになりますが、
昨今の高性能住宅のニーズの
高まりが急激に進んだことの
結果のようです。

まだまだ西日本などでは
アルミサッシも
流通しているようですが、
関東以北では樹脂サッシ、
またはアルミ樹脂複合サッシが
主流となりつつあります。

YYKapやエクセルシャノンは
樹脂サッシを主軸に置き、
LIXILや三協立山は
アルミ樹脂複合サッシを
主軸に置いています。

「樹脂サッシと
アルミ樹脂複合サッシは
どちらがいいのか?」
という議論もよく見聞きしますが、
どちらにも一長一短があるので、
その性能と機能と使い勝手を
見極めて選ぶ必要があります。

熱的性能的には圧倒的に
樹脂サッシが優れています。

家全体の性能アップを
目指すのであれば、
選択肢は樹脂サッシとなります。

一方で樹脂サッシにも、
デメリットがあります。

材料が「樹脂」ですので、
アルミに比べると
剛性が小さくなるので、
どうしても枠がごつくなります。

アルミサッシのような
軽快な枠とはならず、
どうしても野暮ったい
感じになります。

枠の見付が大きくなるので、
小さな窓になると、
枠ばっかりになり
ガラス面がとっても
小さくなってしまって、
解放感が著しく無くなってきます。

窓ガラスの面積が小さくなるので、
外の景色を楽しみたい窓には
不向きだったりもします。

そして、大きな窓になると
中に鉄芯などを用いるために
重量がとても重くなります。

大きな掃き出し窓などでは、
開閉に苦労することになります。

単純に窓枠の熱還流率の性能を
比較すると、樹脂サッシの方が
断然性能が良いのですが、
最近は窓ガラスの性能が
進歩してきていて、
LIXILのサーモスXシリーズなどは、
ガラス以外の障子と呼ばれる部分を
壁の中に取り込んでしまうので、
窓自体の熱還流率を
低く出来ています。

アルミ樹脂複合サッシは、
熱的性能的には樹脂サッシに
劣りますが、外側にアルミ部材を
使っているので、
サッシ自体の剛性が高く、
結果的に障子と呼ばれる部分の
見付面積を小さく出来る
(スッキリ見せることが出来る)、
軽く出来るなどのメリットがあります。

意匠設計にこだわる設計者が
サーモスXを使う理由は
この理由が大きいと思います。

そして木製サッシについてですが、
やはりメリットデメリットがあります。

メリットとしては、なんといっても
意匠性の高さです。

木を使った家づくりなので、
窓枠が木であることは、
とても自然なことであり、
違和感なく家に溶け込んでくれます。

木は樹脂と同様の熱抵抗値と
なりますので、窓枠としての
断熱性能もとても優れたものです。

出来ることなら
全部木製サッシに
したいくらいです。

それが出来ない理由が
デメリットの部分です。

まず、金物の種類が少ない
というデメリットがあります。

アルミサッシや
樹脂サッシの場合には、
引き違い窓、
上げ下げ窓、
横辷(すべ)り窓、
縦辷(すべ)り窓、
ツーアクション窓
などなど選択肢があるのですが、
木製窓は基本的には、
ドイツやイタリアなどの
ヨーロッパから来た金物を
使用しているので、
窓の開き方が限定されてきます。

日本では外に開く窓が一般的ですが、
海外製は内側に開く窓が一般的です。

そして後ほど詳しくお話しますが、
私が多用するオペレーターハンドル
での開閉は出来なくなります。

そして一番のデメリットは
「価格が高い」と言うことです。

木製サッシは、
作業工程的に量産は出来ず、
どうしても手作業での
組み立てとなるので、
仕方のないことです。

これまでいくつも木製サッシの
メーカーさんの工場を見てきましたが、
どこも手作業で丁寧なものつくりを
されているところです。

量産できないということは、
どうしても価格も下がりにくい
ものです。

日々のメンテナンスの
必要になります。

定期的に塗装が必要となります。

手作業での製造なので、
壊れた時には直せるという
メリットもあります。

逆に住まい手の方自身で
メンテナンスが出来るということは
愛着も深まるものです。

昨日のユダ木工さんでも
お話を頂いたのですが、
「使い込むほどに美しい、
年を経るほどに
豊かな表情を持つ。
手入れしながら
愛着を深めてゆけるもの」
とは、大量生産された製品
では無しえないものです。

「ここぞ」という窓には
是非、木製サッシを
検討いただければと思います。

一方で、窓には
他の制約があります。

「防火窓」という制約です。

横浜市内とその周辺地域は、
「準防火地域」に指定されている
地域が多く、窓サッシは
防火性能が確保された
「防火窓」と呼ばれるものに
しなければなりません。

防火窓は、種類や大きさに
制限があるので、
自由に窓を選ぶことが
出来なくなります。

またリビングや
ダイニングの窓は
ウッドデッキに面して
大きな開口の掃き出し窓を
設置したくなるのですが、
大きな掃き出し窓は
防火窓のバリエーションがなく、
防火シャッターを設けるか、
敷地境界から離して
設置するなどの
設計上の工夫が必要となります。

(準防火地域での計画の場合も
1階の窓であれば、
敷地境界から3m以上
離れて設置すれば、
防火窓にしなくても大丈夫です)

そして防火窓の場合には、
ガラスが網入りになってしまいます。

網入りガラスを
耐熱強化ガラスにすることで
網を無くすことは可能ですが、
価格は高価です。

そして防火性能を有した
ガラスの場合には、
ガラスとガラスの間の隙間を
埋めているスペーサーと
呼ばれる部材がアルミ製に
なってしまいます。

先の「熱的性能から見た
住宅にふさわしい窓は?」
のブログでもアルミスペーサーと
樹脂スペーサーの違いについて
記しています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/Ire5gF4fKoqAnl

またガラスで防火性能を
持たせるのではなく、
外側に防火シャッターを
設けることで防火窓対応と
することも可能です。

しかしその場合には、
窓外にシャッターボックスが
出てきてしまうので、
外観がどうしても
野暮ったくなります。

そして価格もそれなりに
高いものになってしまいます。

準防火地域内での家づくりは
悩ましいですね。

そして私個人が悩ましく
思っていることがあります。

それは「オペレーターハンドルを
使える窓種が少ない」
ということです。

「オペレーターハンドル」とは、
クルクルとハンドルを回して窓を
開閉する機構のことです。

こちらです。↓
https://asunaro-studio.jp/l/m/4ZfiIc5kMfDk3w

設計計画上、私はこの
「オペレーターハンドル」を
好んで使っています。

その理由は、
・開閉がワンアクションで行える
・開閉時に虫が入らない
・開閉しやすい
の利点があるからです。

「オペレーターハンドル」にて
開閉する窓は、「たてすべり窓」と
「すべり出し窓」があります。

窓の開閉方法の種類の下記が
分かりやすいです。
https://asunaro-studio.jp/l/m/QKhoiIs7Mir0RQ

「たてすべり窓」は、
東面や西面に面する部屋に設置し、
風を取り入れたい場所に
設置しています。

「すべり出し窓」は、
北面に面する部屋に設置し、
風下となる場所に設置しています。

南面に面する窓は、
日射取得と風を
多く取り入れたいので、
引き違いの掃き出し窓に
することが多いです。

これらの窓を効率よく
配置することで、
春や秋の中間期に
風通しのよい家になります。

風を取り入れて頂くには、
住まい手の方に
適宜窓の開閉を行って頂く
必要があり、
開閉がしやすくないと
開閉するのがおっくうになってしまい、
結果的に開閉されなくなってしまいます。

そこで開閉のしやすい
「オペレーターハンドル」の
出番となります。

「オペレーターハンドル」でない場合は
「グレモンハンドル」と呼ばれる
レバーを用いることになるのですが、
この窓の開閉の場合には、
①「グレモンハンドルで窓を開ける」、
②「網戸を閉める」
という2アクションが必要となり、
こまめな開け閉めがしにくいものです。

「オペレーターハンドル」であれば、
ハンドルをクルクルと
回すだけなので開閉はとても簡単です。

また「オペレーターハンドル」は、
ハンドルをクルクルと回すだけなので、
手前に棚などがあっても
開け閉めがしやすい利点があります。

「グレモンハンドル」の場合は、
閉める際に、身体を外側に乗り出して
ハンドルをつかむ必要があるので、
身体が窓に近づく必要があり、
開閉におっくうさが伴う場合があります。

そして「オペレーターハンドル」の
窓の場合は、窓ガラスの内側に網戸が
あるので、窓の開閉の際に
「一時的に網戸が無い」という状態
が起こらず、室内に虫が入りにくい
という利点があります。

「虫が嫌い」という方も
多いので、網戸の開け閉めが
不要なオペレーターハンドルは
評判がとてもよいです。

以上から、東、西、北の窓には
「オペレーターハンドル」を用いた
「たてすべり窓」と「すべり出し窓」を
設ける計画を基本としています。

とても残念なのですが、
この「オペレーターハンドル」の
バリエーションがあるサッシは少なくて、
樹脂サッシの場合は、
YKKapの「APW330シリーズ」のみ
となります。

あすなろ建築工房で
「APW330シリーズ」を採用することが
多いのは、この理由からです。

最近は「APW330シリーズ」の
上位グレードでトリプルガラスが
標準の「APW430シリーズ」
にも防火窓対応の製品が
ラインナップされましたが、
残念ながら「オペレーターハンドル」の
採用はありませんでした。

以上のように「窓サッシ」一つにしても、
設計者はいろいろと悩みながら
選定しています。

家づくりにおいては
「窓」はとても大事です。

性能と機能と居心地に
大きく関わってきます。

是非、しっかりと適切な窓を
選んであげてください。

本日は「窓の選び方」のお話でした。

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