「新築なのにゴキブリが出た」——そう聞いて驚く人は多いですが、実はこれ、珍しい話では全くありません。ピカピカの家でも、ゴキブリが侵入する条件さえ揃えば容赦なく現れます。逆に言えば、条件を潰しておけば出にくくできる、ということでもあります。
この記事では、入居前後にすべき対策を具体的にまとめました。駆除のプロが実際に現場で行っているやり方も交えながら、「道具いらずでできる隙間ふさぎ」から「ブラックキャップの正しい置き方」まで、実践的な情報をお届けします。
- 新築でもゴキブリは出る。侵入経路を塞ぐことが最も根本的な対策になる
- 主な侵入口はエアコン配管・排水管の隙間・換気口・玄関ドア周辺など。入居前に確認・処置するのがベスト
- 入居前の「空っぽの状態」のうちに燻煙剤と隙間ふさぎを済ませると効果が段違い
- ブラックキャップは置き場所が重要で、冷蔵庫下・シンク下・洗面台下など暗く湿った場所に重点配置する
- 設計段階から気密性・排水管の防臭キャップ・床下換気を意識すると長期的にゴキブリが出にくい家になる
目次
1. 新築なのにゴキブリが出る理由

新築物件に引っ越した直後から虫が出た、という話は決して少なくありません。「建てたばかりなのになぜ?」と感じるのは自然なことですが、ゴキブリは「きれいかどうか」をあまり気にしない生き物です。
1-1. 建材・資材がゴキブリを呼び込む
建築中の住宅では、木材・断熱材・コンクリートなど大量の資材が搬入されます。こうした資材に卵鞘(らんしょう)や幼虫が混入していることがあり、完成後に孵化するケースがあります。また建材に使われる接着剤の匂いがゴキブリを引き寄せることも報告されています。
1-2. 施工中の開口部から侵入している
新築工事の期間中、玄関・窓・床下開口部などが長時間開放された状態になります。この間にゴキブリが侵入し、壁内や床下に潜んだまま引き渡しを迎えるパターンが非常に多いです。特に近隣に飲食店や古い建物がある立地では、施工中の侵入リスクが格段に高まります。
1-3. 新築は「餌と水」の条件も揃いやすい
引越し後は段ボール箱が大量に持ち込まれます。段ボールはゴキブリにとって非常に居心地の良い素材で、卵を産みやすく、かつ餌(糊・紙)にもなります。さらに、配管工事直後の住宅は水回りに水滴が残りやすく、ゴキブリが好む「暖かく湿った環境」が整っています。
2. ゴキブリの主な侵入経路

ゴキブリは1〜2mmほどの隙間があれば通り抜けることができます。「新築だから隙間はないはず」と思っていると見落としがちな経路がいくつかあります。
2-1. エアコン配管の貫通穴
エアコンを設置する際、壁に70mm前後の穴を開けて配管を通します。この貫通穴はパテで埋められますが、経年や施工精度によって隙間が生じることがあります。駆除のプロによると、エアコン配管の隙間はゴキブリの侵入経路として特に多く指摘されるポイントのひとつです。
2-2. 排水管・配管まわりの隙間
キッチン・洗面所・浴室の排水管が床を貫通する部分にも、施工上の隙間が生じやすいです。また排水口に防臭キャップ(Pトラップ)が設置されていても、乾燥して封水が切れると下水からゴキブリが登ってくることがあります。
2-3. 換気口・通気口
24時間換気システムが義務化されている現代の住宅には、壁や天井に複数の換気口があります。フィルターや防虫網がないとゴキブリが直接入り込む経路になります。意外と見落とされるのが床下換気口で、特にクロゴキブリが侵入しやすい場所です。
2-4. 玄関・窓のわずかな隙間
玄関ドアや引き違い窓は、開閉の構造上どうしても数mm単位の隙間が生じます。また宅配の受け取り時や出入りのたびに外気とともにゴキブリが入ってくることもあります。特に夏場は数秒の開放でも侵入のチャンスを与えてしまいます。
2-5. 引越しの荷物・段ボール
前述の通り、引越し用段ボールは非常に危険です。旧居でゴキブリが発生していた場合、荷物の隙間や段ボールの内側に卵が付着したまま新居に持ち込まれます。引越し業者の倉庫経由の段ボールにも注意が必要です。
3. 入居前にやるべきゴキブリ対策

家具や荷物が何もない状態は、対策を施す絶好のタイミングです。入居後に同じことをしようとすると、家具を動かす手間が増えて隅々まで処置できません。
3-1. 燻煙剤(くんえん剤)を焚く
入居直前の空の状態で燻煙剤を使うと、壁の隅・床下・天井裏など家具があると届かない場所まで薬剤が行き渡ります。バルサンやアースレッドなど市販品で十分ですが、使用後はしっかり換気してから荷物を搬入しましょう。
3-2. 配管貫通部・隙間をふさぐ
エアコン配管まわりのパテが不完全な箇所、排水管が床を抜けている周辺などをチェックし、市販の防虫パテやシリコンシーラントで埋めます。「道具いらず」とまではいきませんが、コーキングガンがあればDIYで十分対応できます。特に施工直後の家は、職人が仕上げたパテが乾燥収縮して隙間ができることがあるため、引き渡し時に自分の目で確認することが大切です。
3-3. 換気口・排水口にフィルターを貼る
換気口には市販の防虫フィルターを貼り付けます。粘着タイプのものがホームセンターで数百円から購入できます。また洗面台・浴室・キッチンの排水口には防臭キャップが正しく設置されているかを確認しましょう。
3-4. 段ボールは翌日には捨てる
荷ほどきを終えた段ボールは、できるだけ早く家の外に出してください。「翌日のゴミ出しまで家に置いておく」程度であれば問題ありませんが、何日も積み上げておくのはリスクが高いです。
4. 入居後すぐにやるべきゴキブリ対策

入居後の生活が始まったら、今度は継続的な対策を整えます。「出てから考える」では遅い場合が多いので、まず予防の仕組みを作ることが重要です。
4-1. ベイト剤(毒餌)を設置する
駆除のプロが最も高く評価しているのが、ブラックキャップなどのベイト剤(毒餌)です。ゴキブリが好む匂いで誘引し、毒を巣に持ち帰らせて集団ごと駆除できます。市販の動画でも「置き場所を間違えている人が多い」と指摘されており、「棚の上」や「見えやすい場所」ではなく、冷蔵庫の裏・シンク下の排水管まわり・洗面台の下などに設置するのが正解です。
4-2. 水回りを乾燥した状態に保つ
ゴキブリは水を非常に好みます。キッチンのシンク周り・浴槽エプロン内・洗面台下の配管まわりなど、水が溜まりやすい場所は使用後に拭き取る習慣をつけましょう。特に夜間は「翌朝まで水がある状態」を作らないことが効果的です。
4-3. 生ゴミ・食品の管理を徹底する
三角コーナーに生ゴミを溜めない、食べかすをすぐに片付ける、といった基本的な衛生管理はゴキブリ対策の土台になります。ペットフードも食べ残しをそのまま置いておくと夜間にゴキブリが集まりやすいため、食事が終わったら片付けることを習慣にしてください。
5. ゴキブリが出やすい場所と重点対策ポイント

ゴキブリには好みの環境があります。「暗い・暖かい・湿っている・狭い」という条件が重なる場所を狙って生息します。
5-1. キッチン周辺
冷蔵庫の下・裏はモーターの熱で暖かく、食べかすも落ちやすいため最もゴキブリが集まりやすい場所の一つです。シンク下の収納内は排水管が通っており、湿気も高い。ここにはベイト剤を必ず設置しましょう。また、コンロ下のガス管まわりも隙間になりやすいです。
5-2. 浴室・洗面所
浴槽のエプロン(浴槽の側面パネル)の内側は、暖かく湿っていてゴキブリにとって天国のような環境です。定期的にエプロンを外して内部を乾燥させ、ベイト剤を仕込んでおくと効果的です。
5-3. 洗濯機まわり
洗濯機の下・後ろも湿気が溜まりやすく、排水ホースの接続部分に隙間が生じていることがあります。防臭キャップが正しく取り付けられているか、定期的に確認する習慣をつけましょう。
5-4. 玄関・下駄箱
靴に付着した泥や有機物が残りやすく、下駄箱の奥は暗くて湿気もあります。チャバネゴキブリはアパートや集合住宅の玄関まわりで急増することで知られており、新築マンションでも注意が必要です。
6. 設計・構造で防ぐゴキブリ対策

注文住宅や建売住宅を選ぶ・建てる段階であれば、設計レベルでゴキブリを入りにくくすることも可能です。これは後から変えることが難しいため、特に注意して確認してほしいポイントです。
6-1. 高気密・高断熱の家を選ぶ
気密性の高い家は構造的に隙間が少なく、ゴキブリの侵入経路が限られます。C値(相当隙間面積)が低い住宅は、防虫の観点からも有利です。工務店や設計士に「気密測定を実施しているか」を確認するとよいでしょう。
6-2. 床下の換気・防湿処理
床下の湿気はゴキブリだけでなくシロアリ・カビの温床にもなります。基礎断熱工法か床下換気工法かによって対策が異なりますが、いずれにしても防湿シートの施工や定期的な点検口の確認が重要です。
6-3. 排水配管の防臭キャップ確認
建設時に全排水口に防臭キャップが正しく取り付けられているかを、引き渡し前の内覧時に自分の目で確認してください。キャップ1個の設置漏れが、長期間にわたる害虫侵入の原因になることがあります。
6-4. 外構・植栽の配置
家の周囲に植栽が多いとゴキブリの隠れ場所が増えます。特に腐葉土・落ち葉が溜まりやすい場所は要注意です。外壁に直接接触するような植栽の配置は避け、ある程度の空間を確保するのがベターです。
7. ゴキブリを見つけたときの駆除方法

それでも出てしまったときのために、正しい対処法を知っておきましょう。「とりあえず殺虫スプレー」は実は最善策ではないケースがあります。
7-1. まず「1匹」は氷山の一角と考える
ゴキブリは夜行性で、昼間に1匹見た場合、その背後に数十匹以上潜んでいる可能性があります。1匹を退治して終わりにするのではなく、すぐにベイト剤を補充・増設して巣ごと駆除する方向に切り替えましょう。
7-2. 殺虫スプレーの使い方
瞬時に動きを止めたいときは殺虫スプレーが有効ですが、スプレーに含まれる成分を嫌ったゴキブリが他の場所に逃げ込み、隠れてしまうリスクがあります。「バルサンを焚けばいい」と思う方も多いですが、すでに家具が置かれた状態では効果が限定的です。駆除のプロも「意味がない対策」としてスプレーの多用を挙げることがあります。
7-3. ゴキブリホイホイは補足的に使う
ゴキブリホイホイは生息場所の特定には役立ちますが、根本的な駆除には不十分です。「捕まえた場所の近く」にベイト剤を集中設置する、という使い方が効果的です。駆除のプロによると、置き方を間違えているケースが多く、「壁際・隅・暗い場所」に沿って設置するのが基本です。
7-4. 大量発生している場合はプロに依頼する
チャバネゴキブリが大量発生しているケースは、市販品での駆除が難しいことがあります。「すぐに数十匹増える」と言われるほど繁殖力が高く、一度定着すると自力での根絶は困難です。このような状況では、専門の害虫駆除業者への依頼を検討してください。費用の目安は戸建て1棟で2〜5万円程度が一般的です。
8. 新築ゴキブリ対策に関するよくある質問

8-1. ハーブはゴキブリに効きますか?
「ミントやハッカ油が効く」という情報は広く出回っていますが、ハーブによるゴキブリ対策は科学的な根拠が乏しいとされています。駆除のプロの間でも「デマ」と指摘されることが多く、あくまでも補助的な気休め程度と考えるのが現実的です。
8-2. 新築マンションと一戸建てではどちらが出やすいですか?
マンションは共用部・隣戸からの侵入経路があるため、配管や廊下を通じたゴキブリの移動が起きやすいです。一戸建ては床下・外構からの侵入リスクが高め。どちらが出やすいかは立地や管理状況によっても変わりますが、入居前の対策の重要性はどちらも同じです。
8-3. 引越し前の旧居でゴキブリが出ていた場合、荷物を全部洗うべきですか?
全部洗う必要はありませんが、段ボールは必ず新品または未使用のものを使う、布製品は洗濯してから梱包する、食品は密閉容器に移す、という対応が有効です。また引越し当日にすぐ段ボールを解体・処分するルールを決めておきましょう。
8-4. ブラックキャップはどのくらいの間隔で交換すべきですか?
製品によって異なりますが、多くの場合1年を目安に交換するよう設計されています。ただし、効果が続いていても季節の変わり目(特に春・秋)に新しいものと入れ替えると、ゴキブリが活動しやすい夏に向けて万全の状態を保てます。
8-5. 新築時のシロアリ防除薬はゴキブリにも効きますか?
シロアリ防除のために床下に散布する薬剤はゴキブリにも一定の効果があるとされていますが、壁内や室内には使われないため過信は禁物です。床下に薬剤処理がされていることは確認事項として有効ですが、それだけで室内のゴキブリ対策が完結するわけではありません。
家づくり百貨には、プロのつくり手同士が「本当に信用できる」と数珠つなぎで紹介し合った全国68社の工務店・設計事務所が参加しています。記事で学んだことを、信頼できるつくり手との出会いにつなげてください。
最近公開した記事
続きを読むには会員登録が必要です。
