デンマーク生まれの照明ブランド、ルイスポールセン。「PH5を1台置くだけで部屋が変わった」という声をSNSでよく見かけるようになりましたが、実際に国内の正規店で実物を見て選んでいる人はまだ多くありません。価格が高めなだけに、「失敗したくない」という気持ちから購入を踏みとどまっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ブランドの哲学から人気モデルの特徴、部屋別の設置例、そして購入時の注意点まで、ルイスポールセン照明をはじめて選ぶ方でも迷わないように整理してお伝えします。
- ルイスポールセンはグレア(まぶしさ)を排除した光の質を最大の設計思想とするデンマーク発の照明ブランド
- 代表作PH5をはじめ、アーティチョーク・PH80など空間を選ばない名作が揃う
- ペンダント・テーブル・フロアの3タイプそれぞれに「部屋のシーン」に合わせた選び方のポイントがある
- 価格は3万円台〜数十万円と幅広く、正規販売店での実物確認が後悔しない購入の鍵
- 1台置くだけで北欧インテリアの雰囲気が大きく変わるため、まず「ダイニング」への導入がおすすめ
目次
1. ルイスポールセンとは?ブランドの歴史と哲学

1-1. 1874年創業、デンマークから生まれた光の哲学
ルイスポールセン(Louis Poulsen)は、1874年にデンマーク・コペンハーゲンで創業した照明ブランドです。もともとは電気・建材の卸売業からスタートしましたが、1924年に建築家・デザイナーのポール・ヘニングセンと出会ったことで、照明メーカーとしての方向性が大きく定まります。
ポール・ヘニングセン(通称PH)が掲げた設計思想は、今でもブランドの根幹にあります。それは「光源を直接見えないようにしながら、空間を均一ではなく柔らかく照らす」というものです。当時の電球は非常に眩しく、裸電球を部屋に吊るすと不快なまぶしさが伴いました。PHはシェードの角度と枚数を精密に計算し、光が目に直接届かないように設計しました。この考え方が、グレアレス(無眩光)設計の原点です。
1-2. 機能美と北欧デザインの関係
「形は機能に従う」という考え方は、北欧デザイン全体に共通するものですが、ルイスポールセンはその中でも特に照明の「光の質」に執着しています。美しさはデザインの表面ではなく、光が空間に落ちる角度や色温度、影の出方にある、という哲学です。
2026年現在も、YAMAGIWAとの協業展示会など国内でのイベントが定期的に開催されており、「北欧、ルイスポールセン流のあかりの楽しみ方」というテーマで実際の空間に照明を設置したデモンストレーションが人気を集めています。デジタルカタログや写真だけでは伝わりにくい「光の雰囲気」を、こうした機会を通じて体験できるのも、同ブランドならではの特徴です。
2. ルイスポールセン照明の主なシリーズ・種類

2-1. PHシリーズ:ブランドの屋台骨
PHシリーズは、ポール・ヘニングセンが設計した照明の総称で、PH5・PH4/3・PH2/1など、数字がシェードの直径(または比率)を表しています。複数枚の傘状シェードが層になっており、光源がどの角度からも直接見えない構造になっているのが特徴。色は白・赤・黒など複数展開されており、インテリアのトーンに合わせて選べます。
2-2. アーティチョーク(PH Artichoke):建築的な存在感
1958年にデザインされたアーティチョークは、野菜のアーティチョークをモチーフにした72枚のシェードで構成された照明です。どの角度からも光源が見えない設計は当然のことながら、光を受けて生まれる複雑な影のパターンが、天井や壁に独特の表情をつくります。大型の商業空間やホテルロビーで見かけることも多いですが、広いリビングに設置する個人ユーザーも増えています。
2-3. 2026年の注目:ペール・ローズコレクションとポータブルランプ
近年、ルイスポールセンは固定照明だけでなく充電式のポータブルランプへの展開を加速させています。2025年にはPH 80 Portable Lampが話題になり、名作のデザインを継承しながら場所を選ばず使える点が支持を集めました。また「ペール・ローズ コレクション」はPH5などの既存モデルをくすんだピンク系カラーで仕上げた限定シリーズで、SNSでの反響も大きく、特に30代女性を中心に人気を集めています。
3. 代表作PH5をはじめとした人気モデル紹介

3-1. PH5:1958年から変わらない完成形
PH5は、1958年にアネ・ヤコブセンの妻でもあった建築家グループとポール・ヘニングセンが協力してデザインした照明です(一般にはヘニングセンのデザインとして紹介されています)。直径50cmのシェードが3層に重なり、電球から出る光がすべてシェード内で反射・拡散される構造になっています。
特筆すべきは、その光の色温度です。内側のシェードに赤・青の仕上げが施されており、これが白色光に含まれる青みを補正する役割を果たします。結果として、ダイニングテーブルの上に吊るすと食材や肌の色が自然に美しく見える、温かみのある光になります。
国内の正規店で複数モデルを実際に比較した動画でも、「PH5だけが別格に柔らかい」という声がよく聞かれます。価格はホワイト仕上げで税込85,000円前後(正規店参考価格)。決して安くはないですが、「1台買ったら追加で2台、3台と増やしてしまった」というファンが多いのも事実です。
3-2. PH Artichoke(PH アーティチョーク):空間の主役になる照明
直径480mm〜600mmのサイズ展開があり、素材もコッパー・ステンレス・真鍮など多岐にわたります。価格帯は50万円〜100万円超と高額ですが、その存在感はほかに代えがたいものがあります。レストランや商業施設での採用も多く、空間設計において「アーティチョーク1台で完成する」と評されるほどです。
3-3. PH 2/1 ポータブル:持ち運べる名作
2024〜2025年にかけて国内外で注目を集めたのが、PH 2/1 ポータブルです。PHシリーズのデザイン哲学を踏襲しながら充電式バッテリーを内蔵しており、テーブルの上やベランダ、アウトドアシーンでも使えます。最大8時間の点灯が可能で、調光機能付き。価格は税込60,000円前後。
3-4. PH 80 Portable Lamp:2025年の話題作
2025年に登場したPH 80 Portable Lampは、1969年にデザインされたPH 80(旧称:PH 5/5)をベースにしたポータブル版です。半球型のシルエットとメタリックな仕上げが特徴で、コンパクトながら存在感があります。充電式で場所を選ばない点に加え、デスクライトとしても機能するサイズ感が評価されています。
4. 照明の種類(ペンダント・テーブル・フロア)別の選び方

4-1. ペンダントライト:空間の「顔」になる吊り下げ型
ルイスポールセンの代表格であるペンダントライトは、天井からコードやロッドで吊り下げるタイプです。ダイニングテーブルの真上に設置するケースが最も多く、「テーブルから70〜80cm上」が食事をするときに最も見栄えが良く機能的な高さとされています。
選ぶ際のポイントは「シェードの直径」と「天井高」のバランスです。天井高2.4mの一般的な日本の住宅では、PH5(直径50cm)がちょうどよいサイズ感です。天井高が2.7m以上ある場合はPH4/3(直径40cm)か、思い切ってアーティチョーク(直径48cm)を検討する価値があります。
4-2. テーブルランプ:手元に光を引き寄せる
テーブルランプは光源が視線の高さに近くなるため、シェードの角度設計がより重要になります。ルイスポールセンのテーブルランプで代表的なのがPH 3/2 Table Lampで、複数のシェードがグレアを遮りながら手元を照らします。書斎やベッドサイドに置くと、長時間の読書でも目が疲れにくいと感じるユーザーが多いです。
4-3. フロアランプ:空間のムード設計に使う
フロアランプは、メインの照明を補うムードライトとして活用されることが多いです。Enigma(エニグマ)シリーズのフロアランプは、上方向と下方向それぞれに異なる広がりの光を放ち、壁面に陰影をつくります。角に置くだけでリビングの雰囲気がガラリと変わります。
5. 部屋・シーン別おすすめ設置例(ダイニング・リビング・寝室)

5-1. ダイニング:まず最初に取り入れるならここ
ダイニングへの照明導入は、ルイスポールセンをはじめて取り入れる場合に最もおすすめのシーンです。理由は単純で、食卓の上に吊るすペンダントライトは「設置場所が決まっている」ため選択に迷いにくく、かつ毎日の食事のたびに光の恩恵を感じられるからです。
PH5ホワイトをダイニングテーブルの中心に1灯、または横長テーブルに2灯並べると、食材の色が鮮やかに見え、会話も自然と弾む空間になります。「置いたらすぐにわかる、その魅力」という表現が北欧照明ファンの間でよく使われますが、まさにダイニングで実感しやすい言葉です。
5-2. リビング:主役と補助の組み合わせで奥行きを出す
リビングは複数の照明を組み合わせることで、より豊かな表情が生まれます。天井のシーリングライトをルイスポールセンのペンダントに変え、さらにソファ脇にテーブルランプを置くと、光の層が生まれて空間に奥行きが出ます。
特に天井高が低い日本の住宅では、シーリングライト1灯で部屋全体を照らすより、複数の光源を低い位置に分散させる「北欧式のあかりの使い方」が、部屋を広く感じさせる効果があります。
5-3. 寝室:調光できるポータブルランプが活躍
寝室は就寝前に強い光を浴びると睡眠の質が下がるため、調光機能付きのポータブルランプが特に重宝します。PH 2/1 ポータブルをベッドサイドテーブルに置き、夜は最低輝度に落として使うスタイルが増えています。コードを壁まで引き回す必要がなく、充電して置くだけというシンプルさも、寝室との相性がよい理由です。
6. 取り付け方と設置時の注意点

6-1. 引掛けシーリングへの対応
日本の住宅の天井には「引掛けシーリング」と呼ばれる規格の電源口が設置されていることがほとんどです。ルイスポールセンのペンダントライトは欧州規格のキャノピー(天井取付部品)が付属しているため、引掛けシーリングに対応したアダプターが別途必要になる場合があります。
国内正規販売店(YAMAGIWAやACTUS、インテリアショップ等)で購入する場合は、日本仕様に対応した形で販売されているケースが多いですが、必ず購入前に確認してください。並行輸入品の場合はアダプターの調達が別途必要になることがあります。
6-2. コードの長さ調整と吊り下げ高さ
ペンダントライトのコードは購入時に長めに設定されていることが多く、設置後に余ったコードをキャノピー内に収納するか、コードを途中でまとめて調整します。ダイニングテーブルの上ではシェードの下端がテーブル面から70〜80cmが目安ですが、座ったときに正面にシェードが来ると圧迫感が出るため、設置前に仮吊りして確認するのがおすすめです。
6-3. 電球の選択と光色
電球色(2700K前後)の電球が、ルイスポールセンの照明デザインに最も適しています。PHシリーズはシェード内部の赤みがかった塗装と組み合わせて、暖かみのある光を演出するよう設計されているためです。LED対応モデルが増えましたが、専用LED電球が指定されているモデルもあるので、取扱説明書を必ず確認してください。
7. 価格帯と購入先・正規販売店について

7-1. ルイスポールセン照明の価格帯
モデルによって価格差が大きく、ポータブルランプは3万円台から、PH5は8万〜10万円台、アーティチョークは50万円以上と幅広いです。まず北欧照明の雰囲気を試したい場合は、ポータブルランプや小型テーブルランプからはじめるのが現実的です。
| モデル | 参考価格(税込) |
|---|---|
| PH 2/1 ポータブル | 60,000円前後 |
| PH5(ホワイト) | 85,000円前後 |
| PH Artichoke(48cm) | 550,000円〜 |
| PH 80 Portable | 65,000円前後 |
※価格は2026年8月時点の正規店参考価格です。為替や在庫状況により変動します。
7-2. 正規販売店で購入すべき理由
ルイスポールセンは並行輸入品も流通していますが、品質保証・アフターサービス・正規の電気安全規格への対応という観点から、国内正規販売店での購入が強くおすすめされています。
国内主な正規取扱店としては、YAMAGIWA(ヤマギワ)、ACTUS(アクタス)、arflex(アルフレックス)などのインテリアショップのほか、ルイスポールセンの公式オンラインショップがあります。「正規店で実物を比較してから購入した」というユーザーの声が多く、光の見え方は写真では伝わりにくいため、できれば一度ショールームで確かめることをおすすめします。
7-3. 中古・セール品を探す場合の注意点
フリマアプリやリサイクルショップでも流通していますが、電球の対応規格・コードの状態・アダプターの有無など確認すべき点が多いです。また、経年劣化でシェードの内側塗装がはがれると光の色味に影響が出ることもあるため、中古購入の際は現物を確認するのが鉄則です。
8. まとめ:ルイスポールセン照明で叶える北欧インテリア

ルイスポールセンの照明が世界中で長く評価され続けている理由は、トレンドに左右されないデザインの普遍性と、「光の質」への徹底したこだわりにあります。PH5が誕生してから70年近く経った今も、ダイニングの定番として選ばれ続けているのがその証明です。
1台置いただけで「部屋の雰囲気が変わった」と感じる理由は、照明が空間のトーンそのものを決定するからです。明るさの均一さよりも、光と影のグラデーションを大切にする北欧的なあかりの使い方は、日本の住宅にも自然となじみます。
はじめてルイスポールセンを取り入れるなら、まずはダイニングへのPH5設置から試してみてください。そこで光の質の違いを実感できれば、次にどのモデルを選ぶかも自然と見えてくるはずです。購入前には必ず正規店のショールームで実際の光の色と影の広がりを確認し、自分の空間との相性を確かめてから決断することが、後悔しない選び方の最短ルートです。
家づくり百貨には、プロのつくり手同士が「本当に信用できる」と数珠つなぎで紹介し合った全国68社の工務店・設計事務所が参加しています。記事で学んだことを、信頼できるつくり手との出会いにつなげてください。
最近公開した記事
続きを読むには会員登録が必要です。
