
「平屋だから耐震等級1でも大丈夫ですよ。」
そう言われて、安心してしまっていませんか?
近年、大地震の被害が相次ぎ、家の耐震性についての関心が高まっています。しかし、「平屋は揺れに強いから耐震等級1でも問題ない」という言葉を鵜呑みにしてしまうと、想定外のリスクに直面する可能性があります。
実際に、2016年の熊本地震では、耐震等級1の住宅が1回目の地震には耐えたものの、2回目の揺れで倒壊するケースが多発しました。また、平屋であっても液状化や不同沈下のリスクがあることが判明しており、「地震に強い」とは一概に言えません。
本記事では、耐震等級1の平屋が本当に安全なのかを徹底検証し、過去の震災データや専門的な視点から、後悔しないための住宅選びのポイントを詳しく解説します。さらに、コストを抑えながら耐震性能を向上させる実践的な方法や、信頼できる工務店の選び方、工務店に必ず確認すべき質問リストも紹介。
この記事を読むことで、「本当に安全な家を建てるための知識」が身につき、家族の命を守るための最適な選択ができるようになります。
あなたの大切な家を、ただの「基準を満たした家」ではなく、「本当に安心できる住まい」にするために、ぜひ最後までご覧ください!
- 耐震等級1の平屋は「1回の大地震には耐えられる」が、繰り返しの揺れや余震には弱く、安全とは言い切れない。
- 平屋でも液状化や不同沈下のリスクがあり、地盤調査や基礎補強が必要不可欠。
- 耐震等級2・3を選ぶことで、地震後も住み続けられる可能性が高まり、資産価値の維持にもつながる。
- コストを抑えながら耐震性能を向上させるには、耐震補強金具・制振ダンパー・ベタ基礎・地盤改良が効果的。
- 「工務店の言葉を鵜呑みにせず」、耐震等級・施工品質・地盤の強度・アフターサポートを自分でしっかり確認することが重要。
1. 耐震等級1の平屋は本当に安全なのか?

1-1. 耐震等級とは何か?
耐震等級とは、建物の耐震性能を示す指標であり、日本の住宅性能表示制度に基づいて定められています。耐震等級には1から3までのランクがあり、数値が大きいほど耐震性能が高いことを意味します。
以下が耐震等級の概要です。
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- 耐震等級1: 建築基準法の最低基準を満たしたレベル。「震度6強~7の地震で倒壊しない」が基準。しかし、「住み続けられる保証」はない。
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- 耐震等級2: 等級1の1.25倍の耐震性能。学校や病院などの避難所にも採用される基準。
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- 耐震等級3: 等級1の1.5倍の耐震性能。消防署や警察署などの防災拠点に求められるレベル。
耐震等級は単なる数値ではなく、家族の安全や財産の保護に関わる重要な指標です。特に、大きな地震が頻発する日本においては、どの等級を選択するかが住宅の将来を左右すると言っても過言ではありません。
しかし、工務店の中には「平屋だから耐震等級1で十分」と説明するケースが少なくありません。次のセクションでは、その理由と問題点について詳しく見ていきます。
1-2. 耐震等級1の基準と問題点
耐震等級1は、最低限の耐震基準を満たした建物であり、「震度6強~7の地震で倒壊しない」とされています。しかし、これは「建物の安全を完全に保証するもの」ではなく、「大きな損傷を受ける可能性がある」という点を理解しておく必要があります。
例えば、耐震等級1の住宅は、大地震の際に柱や壁がひび割れたり、屋根が損傷したりするリスクが高いです。つまり、一度大きな地震が発生すると、修復に多額の費用がかかる可能性があります。
また、耐震等級1は「1回の大地震に耐えられる設計」であり、余震や連続する地震への耐久性は考慮されていません。熊本地震のように、震度7クラスの地震が連続して発生した場合、1度目の地震では倒壊しなくても、2度目、3度目の揺れで倒壊してしまうケースも考えられます。
さらに、建築基準法の耐震基準は過去の地震を基に改定されるため、将来発生する新たなタイプの地震には対応しきれない可能性もあります。そのため、基準ギリギリの耐震等級1では、長期的な安全性に不安が残ります。
これらの点を考慮すると、「耐震等級1だから大丈夫」と安心するのは非常に危険です。特に、家族の安全を最優先するなら、より高い耐震等級を検討することが望ましいでしょう。
1-3. 平屋は本当に地震に強いのか?
「平屋は地震に強い」と言われることがありますが、これは本当に正しいのでしょうか?確かに、平屋は2階建てや3階建ての住宅に比べて重心が低く、構造的に安定しやすいというメリットがあります。しかし、それだけで「地震に強い」と断言するのは早計です。
平屋が地震に強いかどうかは、「設計」「施工の品質」「地盤の強度」など、多くの要素に左右されます。例えば、耐震性の低い設計であれば、たとえ平屋であっても地震時に損傷を受ける可能性があります。
また、平屋の特徴として「屋根が大きくなりがち」という点があります。特に、瓦屋根などの重量のある屋根を採用すると、建物の重心が高くなり、揺れの影響を受けやすくなることがあります。
さらに、接合部の強度も重要なポイントです。地震の際、建物の接合部が弱いと構造全体に大きな影響を与えます。耐震等級1の平屋では、接合部の補強が十分でないことが多く、大きな地震の際に「揺れには耐えたが、建物の歪みがひどく住めなくなった」という事例もあります。
このように、平屋が地震に強いかどうかは、単に「2階建てよりも安定している」というだけでは判断できません。設計や建材、施工の質、地盤など、総合的な視点で判断することが重要です。
1-4. 過去の地震で耐震等級1の住宅はどうだった?
実際に、耐震等級1の住宅が過去の地震でどのような影響を受けたのかを知ることは、今後の住宅選びの参考になります。特に、2016年の熊本地震では、耐震等級の違いによる被害の差がはっきりと現れました。
熊本地震では、耐震等級1の住宅の多くが倒壊または大きな損傷を受けたのに対し、耐震等級2以上の住宅は比較的被害が少なかったという報告があります。
この地震では、震度7の揺れが2回発生するという異例の事態となり、1回目の揺れでダメージを受けた建物が、2回目の揺れで倒壊するケースが多く見られました。
耐震等級1の住宅は「1回の大地震には耐えられる設計」であるため、連続する地震には弱い可能性があります。つまり、「最初の揺れでは倒壊しない」という基準は満たしているものの、「その後も安全に住み続けられるかどうか」は保証されていないのです。
実際、熊本地震後には、多くの耐震等級1の住宅が全壊または大規模修繕を余儀なくされました。一方で、耐震等級3の住宅は軽微な損傷で済んだ例が多く、等級の違いが被害の差となって表れています。
このように、過去の地震の事例を見ても「耐震等級1で十分」とは言い切れません。特に、大地震が頻発する日本では、住宅の耐震性を過信するのは危険です。
1-5. 工務店が「大丈夫」と言う理由とは?
それでは、なぜ工務店の中には「耐震等級1で十分」と説明するところがあるのでしょうか?その理由はいくつか考えられます。
1. コストの問題
耐震等級を上げるためには、建材の強化や耐震補強が必要になり、その分建築コストが上昇します。特に価格を抑えた住宅を売りたい工務店にとっては、最低限の基準である耐震等級1で建てる方が利益が出しやすいのです。
2. 平屋の耐震性に対する過信
前述のとおり、確かに平屋は重心が低く揺れに強い構造ですが、それが「どんな地震にも耐えられる」というわけではありません。しかし、「平屋だから大丈夫」といった単純な説明をされることが多く、それを信じてしまう人も少なくありません。
3. 工務店ごとの設計思想や経営方針の違い
耐震等級を上げることに積極的な会社もあれば、コストを優先する会社もあります。工務店によって「安全」とする基準が異なるため、複数の会社の意見を聞くことが大切です。
4. 耐震に関する知識不足
すべての工務店が最新の耐震技術や研究データを把握しているとは限りません。中には、昔の耐震基準を基に説明しているケースもあり、本当に最新の耐震技術を考慮しているかどうかを見極める必要があります。
これらの理由から、「工務店が大丈夫と言ったから安心」という考え方は非常に危険です。住宅の耐震性は、建てる側の都合ではなく、住む人の安全を第一に考えて判断するべきものです。
2. 耐震等級1のリスクと実際の被害
2-1. 耐震等級1の家が倒壊するケース
耐震等級1の住宅は「震度6強~7の地震で倒壊しない」ことを基準としています。しかし、これは「1回の大地震に耐えられる」という意味であり、繰り返しの揺れや余震への耐性が保証されているわけではありません。
例えば、2016年の熊本地震では、震度7の地震が短期間に2回発生しました。この地震では、1回目の揺れには耐えたが、2回目の揺れで倒壊した住宅が多かったことが報告されています。耐震等級1の基準は「1度の大地震には耐える」ことを想定しているため、このような繰り返しの揺れには非常に弱いのです。
耐震等級1の家が倒壊しやすい主な原因
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- 柱や接合部の強度不足 → 耐震等級1の住宅では、接合部の補強が最低限しか施されていないため、大きな揺れで破損しやすい。
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- 地盤の影響 → 軟弱地盤の上に建てられた住宅は、地震の揺れで不同沈下(建物が傾く現象)や液状化が発生し、損傷しやすい。
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- 繰り返しの揺れに弱い → 熊本地震のように2回目の強い揺れで倒壊するケースが多い。
これらのことから、「耐震等級1の住宅が絶対に倒壊しない」という保証はなく、地震の状況によっては大きな損傷や倒壊のリスクがあることが分かります。
家を建てる際は、「基準を満たしているから安心」ではなく、「本当に安全な構造になっているか」をしっかり確認することが重要です。
2-2. 熊本地震から学ぶ耐震の重要性
2016年に発生した熊本地震は、日本の住宅耐震基準の重要性を再認識させる出来事となりました。この地震では、震度7の揺れがわずか28時間以内に2回発生し、多くの住宅が倒壊・損傷しました。
特に、耐震等級1の住宅は深刻な被害を受けたことが報告されています。
熊本地震で明らかになった耐震等級の違い
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- 耐震等級1の住宅 → 1回目の地震では持ちこたえたが、2回目の揺れで倒壊したケースが多発。
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- 耐震等級2の住宅 → 大きな損傷はあったものの、倒壊を免れた例が多数。
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- 耐震等級3の住宅 → 居住継続が可能なレベルの損傷で済んだケースが大半。
この結果からも、耐震等級1の住宅は「1回の地震には耐えるが、繰り返しの地震には対応しきれない」という弱点があることが分かります。
また、熊本地震では「築年数が古い耐震基準の家ほど被害が大きかった」という点も注目されました。
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- 1981年以前の旧耐震基準の住宅 → 倒壊率が非常に高かった。
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- 2000年以降の新耐震基準の住宅 → 倒壊率が大幅に低下し、多くが耐えた。
このことからも、最新の耐震基準に適合した住宅ほど、安全性が高いことが証明されています。
熊本地震から学ぶべきこと
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- 耐震等級1では不十分 → 繰り返しの地震に対応できる耐震等級2以上を選ぶべき。
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- 築年数の古い住宅は耐震改修が必須 → 旧耐震基準の住宅は特に要注意。
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- 新築時に耐震性を最優先 → コストよりも家族の安全を考えた選択を。
熊本地震の被害を通じて、「耐震等級1では不十分であり、より高い耐震性能を持つ住宅を選ぶことが重要」であることが改めて確認されました。
今後、家を建てる際には、耐震等級2や3を基準にし、繰り返しの地震にも耐えられる住宅を選ぶことが、長期的な安心につながると言えるでしょう。
2-3. 平屋でも液状化や地盤の影響を受ける
平屋は「地震に強い」と言われがちですが、これは建物の構造上の話であり、地盤の状態によっては大きな被害を受けることがあります。
特に、液状化現象や不同沈下(建物が傾く現象)は、平屋であっても避けられない問題です。
1. 液状化現象とは?
液状化現象とは、地震の揺れによって地下水を含む砂質の地盤が泥状になり、建物の基礎が沈下したり傾いたりする現象です。
特に以下のような地域では、液状化のリスクが高まります。
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- 埋立地や海岸沿い
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- 河川や湖の近く
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- 地下水位の高いエリア
液状化が発生すると、家がそのまま傾いてしまい、修復が困難になるケースもあります。耐震等級1の住宅では、基礎の補強が不十分なことが多く、液状化の影響を受けやすいのが問題です。
2. 不同沈下とは?
不同沈下とは、地盤の揺れによって建物の一部分が沈み込み、家全体が傾いてしまう現象です。
これが発生すると、以下のような問題が生じます。
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- ドアが開かなくなる
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- 窓ガラスが割れる
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- 壁や床に亀裂が入る
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- 長期的に建物の強度が低下し、倒壊のリスクが高まる
3. 地盤によるリスクを避けるために
平屋が地震に強いかどうかは、設計や建材、地盤の強度によって大きく変わります。
安全な住宅を建てるためには、以下の対策が有効です。
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- 事前に地盤調査を実施し、地盤の強度を確認する。
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- 必要に応じて地盤改良を行い、液状化や不同沈下を防ぐ。
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- 耐震等級を2以上にすることで、基礎の強度を高める。
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- ベタ基礎を採用し、建物の沈下を防ぐ。
これらの点を踏まえると、「平屋だから地震に強い」と安心するのではなく、地盤の状態をしっかりと確認し、必要な対策を取ることが重要です。
2-4. コストを抑えて耐震性を向上させる方法
耐震等級を上げることは重要ですが、「コストがかかるから難しい」と感じる方も多いでしょう。しかし、工夫次第でコストを抑えつつ、耐震性を向上させることは可能です。
ここでは、比較的低コストでできる耐震強化の方法を紹介します。
1. 耐震補強金具を活用する
建築時に柱や梁の接合部を強化する耐震補強金具を使用することで、建物の強度を高められます。
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- 施工費用が比較的安く、1カ所1〜3万円程度。
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- 後付け補強も可能で、リフォーム時にも対応できる。
2. 耐力壁を増やす
耐力壁(地震の揺れに対抗する壁)の量を増やすことで、建物の耐震性を向上させることができます。
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- 設計段階で壁の配置を工夫し、バランスよく耐力壁を設けることが重要。
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- 費用は壁1枚あたり5〜10万円程度。
3. 基礎を強化する
耐震等級1の住宅では、基礎の補強が不十分なケースがあります。地盤改良や布基礎より強固なベタ基礎を採用することで、地震の揺れに対する耐久性を向上させることができます。
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- 特に、液状化のリスクがある地域では、基礎の強化が不可欠。
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- ベタ基礎の施工費用は50万円〜100万円程度。
4. 制振装置を導入する
最近では、低コストで設置できる制振ダンパーが登場しています。これを柱や壁に取り付けることで、地震の揺れを吸収し、建物へのダメージを軽減できます。
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- 制振ダンパーの設置費用は、1カ所5〜10万円。
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- リフォーム時にも後付けが可能。
5. 地盤を確認し、最適な対策を取る
どんなに耐震性の高い家を建てても、地盤が弱ければ意味がありません。事前に地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良を施すことで、地震による不同沈下や液状化のリスクを低減できます。
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- 地盤調査の費用は5万〜10万円程度。
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- 地盤改良工事は50万〜200万円程度(地盤の状態による)。
これらの対策を組み合わせることで、耐震等級を上げるよりも低コストで耐震性を向上させることが可能です。
「耐震等級1でも大丈夫」と言われた場合でも、こうした追加の対策を検討することで、より安全な住宅を実現できるでしょう。
2-5. 本当に必要な耐震等級とは?
「耐震等級1で十分なのか?」という疑問を解決するためには、「本当に必要な耐震等級とは何か?」を考える必要があります。
耐震等級1・2・3にはそれぞれ特徴があり、どのレベルを選ぶかが家の安全性を左右します。
耐震等級1の特徴
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- 建築基準法を満たしている最低限の基準。
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- 「1回の大地震には耐えられるが、余震や繰り返しの揺れには弱い」。
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- 震災後に住み続けられる保証はない。
耐震等級2の特徴
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- 耐震等級1の1.25倍の耐震性。
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- 避難所や学校などの公共建築物に求められる基準。
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- 大地震の際の安全性が向上し、住み続けられる可能性が高くなる。
耐震等級3の特徴
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- 耐震等級1の1.5倍の耐震性。
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- 消防署や警察署など、防災拠点に求められる強度。
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- 熊本地震では、耐震等級3の住宅はほとんど倒壊しなかったというデータがある。
結局、どの耐震等級が適切なのか?
家族の安全を最優先に考えるなら、耐震等級3が理想です。
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- 特に、地震が頻発する地域や地盤の弱い場所に家を建てる場合は、等級3を選ぶことで安心感が大きく向上。
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- コスト面で耐震等級3が厳しい場合は、耐震等級2を選びつつ、制振ダンパーや補強工事を追加する方法も考えられる。
耐震等級1を選ぶリスク
「工務店が大丈夫と言ったから」と耐震等級1を選んでしまうと、実際の地震発生時に後悔する可能性が高くなります。
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- 繰り返しの地震に弱い。
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- 大地震後に住み続けられる保証がない。
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- 震災後の補修費用がかかる可能性が高い。
長期的な視点で考え、少しでも耐震性を向上させる選択をすることが、安心・安全な住まいづくりにつながるのです。
3. 後悔しないための住宅選びのポイント
3-1. 耐震等級2・3のメリット
耐震等級1では「大地震に耐えるだけ」であり、その後も住み続けられる保証はありません。そこで、より高い耐震性能を持つ耐震等級2・3の住宅を選ぶことが重要になります。
1. 耐震等級2のメリット
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- 耐震等級1の1.25倍の耐震性能。
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- 学校や病院などの避難所にも採用される基準。
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- 震度7クラスの地震でも倒壊しにくい。
2. 耐震等級3のメリット
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- 耐震等級1の1.5倍の耐震性能。
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- 消防署や警察署などの防災拠点レベルの強度。
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- 熊本地震では、耐震等級3の住宅のほとんどが倒壊せず、被害が軽微だった。
3. 住宅の資産価値にも影響
耐震等級が高い住宅は、将来的に売却する際も有利になります。地震が多発する日本では、「耐震性の高い家」は高く評価される傾向があり、長期的に見ても価値が維持されやすいのです。
4. 選ぶなら耐震等級2以上がおすすめ
コスト面で耐震等級3が厳しい場合でも、最低でも耐震等級2を選び、さらに制振ダンパーなどを導入することで、安全性を確保することができます。
3-2. 追加の耐震補強で安心を手に入れる
たとえ耐震等級1の住宅であっても、追加の耐震補強を行うことで安全性を向上させることが可能です。以下の方法を検討しましょう。
1. 耐震補強金具の使用
柱や梁の接合部を補強する耐震補強金具を使用することで、建物全体の強度を高めることができます。
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- 施工費用は1カ所1〜3万円程度。
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- 施工が比較的簡単で、リフォーム時にも対応可能。
2. 制振ダンパーの導入
制振ダンパーは、地震エネルギーを吸収し、建物への負担を軽減する装置です。
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- 揺れを抑えることで、地震後の損傷を最小限に抑えられる。
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- 設置費用は1カ所5〜10万円程度。
3. 基礎の補強
耐震等級1の住宅では、基礎の補強が不十分なケースがあるため、ベタ基礎を採用することで不同沈下を防ぐことができます。
-
- 特に、液状化のリスクがある地域では基礎の強化が不可欠。
-
- 施工費用は50万円〜100万円程度。
4. 地盤改良の実施
建物の耐震性だけでなく、地盤の強度を確保することが重要です。
-
- 地盤調査の費用は5万〜10万円程度。
-
- 必要に応じて地盤改良(50万〜200万円程度)を実施。
これらの補強を行うことで、コストを抑えつつ、耐震性能を大幅に向上させることができます。
3-3. 工務店選びで確認すべきポイント
「耐震等級1でも大丈夫」と説明する工務店が本当に信頼できるのか、慎重に見極めることが重要です。
1. 実際の施工実績を確認する
工務店を選ぶ際には、過去に建てた住宅の耐震性能や施工実績を確認しましょう。
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- 施工事例や実際に建てた住宅の耐震等級を公開しているか。
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- 過去の顧客の評判や口コミを調べる。
2. 耐震性の説明が明確かどうか
「平屋だから大丈夫」といった曖昧な説明をする工務店には注意が必要です。
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- 「なぜ耐震等級1で十分なのか?」の根拠を具体的に説明できるか。
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- 耐震等級2・3の提案が可能かどうかを確認。
3. アフターサポートの充実度
地震が発生した際に、どのような保証やアフターサポートが受けられるかも重要なポイントです。
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- 耐震診断や補強工事の対応が可能か。
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- 地震後の修繕費用をカバーする保証があるか。
4. 工務店の選定で避けるべきポイント
以下のような工務店には注意しましょう。
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- 「平屋だから倒壊しない」と根拠のない説明をする。
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- 耐震等級の話を避け、コスト削減を最優先にする。
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- 施工の質よりも「早く・安く建てる」ことを強調する。
工務店の言葉を鵜呑みにせず、複数の会社を比較し、納得できるまで情報を収集することが大切です。
3-4. 住宅購入時に気をつけるべき耐震のチェック項目
住宅を購入・建築する際、耐震性能を確認するために押さえておきたいチェックポイントがあります。
1. 耐震等級の確認
建築予定の住宅がどの耐震等級に該当するのか、事前に確認しましょう。
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- 耐震等級1の場合、補強対策が必要か検討。
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- 耐震等級2・3の選択肢があるかを確認。
2. 地盤の強度
耐震性能は建物の構造だけでなく、地盤の強さにも大きく左右されるため、地盤調査が行われているかチェックが必要です。
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- 地盤調査の報告書を確認し、液状化や不同沈下のリスクがないかを確認。
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- 必要に応じて地盤改良が行われているかも重要。
3. 壁の配置とバランス
耐力壁(建物の強度を支える壁)の配置が適切であるかどうかを確認しましょう。
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- 耐力壁が十分に配置されているか。
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- バランスよく配置されていない場合、揺れに弱い可能性がある。
4. 施工の質
耐震性能は設計だけでなく、実際の施工の精度にも左右されます。
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- 耐震補強金具が適切に使用されているか。
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- 安価な建材が使われていないか。
5. アフターサポートの有無
地震後に住宅の点検や補修を受けられるかどうかも、事前に確認しておきましょう。
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- 耐震診断を受けることができるか。
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- 修繕費用をカバーする保証制度があるか。
これらのポイントをチェックすることで、より安全な住宅を選ぶことができます。
3-5. 「大丈夫」の言葉を鵜呑みにしないために
工務店が「耐震等級1で大丈夫」と言ったとしても、それをそのまま信じるのは危険です。
1. 耐震等級1のリスクを理解する
耐震等級1は、「震度6強~7の地震で倒壊しない」ことを基準としていますが、その後も住み続けられるとは限りません。
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- 繰り返しの地震に弱い。
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- 建物が損傷すると、多額の修繕費がかかる可能性がある。
2. 住宅購入時に確認すべき重要な質問
工務店との打ち合わせ時に、以下の質問を必ず確認しましょう。
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- 「この家の耐震等級はいくつですか?」
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- 「耐震等級2・3にすることは可能ですか?」
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- 「地盤調査の結果を見せてもらえますか?」
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- 「制振ダンパーや耐震補強金具は使用されていますか?」
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- 「地震後の修繕保証はありますか?」
3. 「大丈夫」の言葉を信じる前に
工務店の説明が以下のようなものだった場合、慎重に判断する必要があります。
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- 「平屋だから耐震等級1で十分ですよ」 → 地盤の影響や接合部の強度を考慮しているか確認。
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- 「この地域は地震が少ないから問題ありません」 → 地震はどこでも起こる可能性があるため、過去の地震データを確認。
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- 「建築基準法に適合しているので安心です」 → 建築基準法は最低限の基準であり、耐震等級3とは異なる。
4. 自分で情報を集めることが重要
耐震性の高い家を選ぶためには、工務店の説明だけでなく、自分自身で調査し、納得できるまで情報を集めることが大切です。
「大丈夫」と言われても、その言葉の裏にあるリスクを見抜き、家族の安全を守るための最適な選択をすることが何よりも重要です。
まとめ
この記事では、「耐震等級1の平屋は本当に安全なのか?」という疑問について詳しく解説しました。
耐震等級1は、最低限の耐震基準を満たしているだけであり、繰り返しの地震や余震には対応しきれない可能性が高いことが分かりました。
1. 過去の地震被害から学ぶ
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- 熊本地震では、耐震等級1の住宅が1回目の地震には耐えたが、2回目の揺れで倒壊したケースが多発。
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- 耐震等級2・3の住宅は被害が少なく、住み続けられる可能性が高い。
2. 「平屋だから大丈夫」は危険
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- 平屋は重心が低く地震に有利だが、液状化や不同沈下、接合部の強度不足などのリスクがある。
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- 地盤調査や耐震補強を行わなければ、安全とは言い切れない。
3. コストを抑えつつ耐震性を向上させる方法
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- 耐震補強金具や制振ダンパーの導入で、比較的低コストで耐震性を強化できる。
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- ベタ基礎を採用し、不同沈下を防ぐ。
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- 地盤改良を行い、家そのものの安定性を高める。
4. 信頼できる工務店を選ぶ
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- 「平屋だから大丈夫」など根拠のない説明をする工務店は避ける。
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- 耐震等級2・3の提案が可能かどうかを確認する。
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- 地震後の修繕保証やアフターサポートがあるかをチェック。
5. 「大丈夫」の言葉を鵜呑みにしない
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- 「この家の耐震等級はいくつですか?」と必ず確認する。
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- 地盤調査の結果を見せてもらい、リスクがないかチェック。
-
- 耐震等級1しか選択肢がない場合は、追加の耐震補強を検討する。
住宅を購入・建築する際には、「基準を満たしているから安心」ではなく、「本当に安全な構造になっているか」をしっかりと確認することが大切です。
耐震等級2以上の住宅や追加の耐震補強を検討し、家族の命を守るために最適な選択をすることが、安心・安全な住まいづくりにつながります。
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