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温もり溢れる木を空間を中古マンションリノベで叶える
株式会社 N.style 建築工房

温もり溢れる木を空間を中古マンションリノベで叶える

2021年4月7日

ー本日ご紹介するのは、名古屋のマンションリノベーション専門店「N.style建築工房」の仲田さん。N.style建築工房は、無垢材や塗り壁などの自然素材を使ったリノベーションを提案している。

N.styleの”N”にはnature(自然)、next(次の)、new(新しい)、normal (標準の)、novelty(斬新な)の、5つの意味が込められており、「自然素材を活かした気持ちのいい住まい、これまで普通とされた住まいの在り方を変え、次世代の新しい標準となる住まいを、奇抜ではなく、斬新な考え方で」という想いが込められている。

今回は、そんなN.style建築工房の取締役·仲田さんに、マンションリノベーションの可能性や、リノベーションするにあたり大切にされていることなどについてお聞きした。

中古マンションリノベの可能性

仲田さんは、なぜ一軒家ではなく「中古マンションのリノベーション」という分野を手掛けられるようになったのだろうか。中古マンションをリノベーションすることのメリットについてお伺いしてみた。

仲田さん(以下仲田)家を手に入れるということに、すごくお金が掛かりすぎてしまうのが今の日本の家づくり。全国にも良い工務店さんや、良い設計事務所さんはたくさんありますし、今はネットが普及しましたので、良い会社さんと出会う機会も沢山あります。ですが、そのような会社さんがつくっている家はどれも本当に素晴らしいのですが、どうしても費用が掛かってしまいがち。いい家を建てるには、それなりのお金が必要なのです。

新築戸建てにしかない良さも沢山あるのですが、家を建てることだけにコストが掛かりすぎてしまうと、「豊かな生活」ができなくなってしまいます。毎月のローンを返すのにヒーヒー精いっぱいで、ギリギリの生活をするということにもなりかねません。いい家を建てても、それだと決して幸せとは言えないのではないでしょうか。

そこで新築一戸建てを買うのではなく、あえて中古マンションを購入し、リノベーションで断熱の補強をしてエアコンひとつで冷暖房が問題なく効くような室内をつくっていく。

そうすることでレベルの高い生活環境を、戸建て住宅を購入するよりも、お手ごろな価格で手に入れることができます。また、N.style建築工房は木のリノベーションを手掛けておりますので、性能面などの理屈面だけではなく、自然素材特有のぬくもりや住み心地といった感覚的な部分も大切にされたいという方は、気に入っていただけるんじゃないかなと思っています。

ー調べてみたところ、全国の平均的な注文住宅価格(土地付き)は約4,250万円、首都圏は約5000万円、近畿圏は約4,350万円であった。新築一軒家を購入した場合、その負担が家計に大きくのしかかるのは確かだ。

一方で中古マンションは首都圏の平均が約3,400万円、近畿圏が約2,600万円だ。約1,600万円以上も中古マンションのほうがリーズナブル。新築マンションとの比較も気になったので、ついでにお伺いしてみた。

仲田:新築マンションは、設備もしっかりとしていますし綺麗ですので良いとは思うのですが、やはり高いんですよね。しかも多くの新築マンションは、昔から間取りが変わっていないんです。10年~30年前と比べてもです。相変わらず収納が少なくて使いにくいとか、北側の部屋が寒いとか、まだまだそのようなレベルの場合もあります。

それが中古マンションリノベーションだと、間取りから自分たちの生活に合うように変えることができますので、使いにくさを解消できますし、かつお値打ちに手に入れることができるというメリットがあります。

自然素材を使うことで、むしろ普通の新築マンションよりも住み心地がよく、快適に過ごしていただけますし、適切な価格帯の中で、上質な住まいを手に入れられる選択肢が広がるのではないでしょうか。

ーN.style建築工房へリノベーションの相談に来られるお客さまは、そもそもマンションで木をはじめとする自然素材を使ったリノベーションができるということ自体を知らなかったという方もいらっしゃるそうだ。

仲田さんのおっしゃるように、新建材を多く使った新築マンションよりも、中古マンションをリノベーションして自然素材を取り入れたほうが、快適かつリーズナブルに理想の空間が手に入りそう。想像していたよりも、中古マンション活用にはたくさんの可能性が詰まっている。

「暮らしやすさ」を詰めていく

僕たちが大切にしているのは「暮らしやすさ」。

例えば、よくある普通のマンションは、北側に2つ部屋があって、真ん中に廊下、両サイドにお風呂場·トイレ、奥のほうに対面キッチンとLDKのスペースがあるという間取りが一般的。それだとすごく暮らしにくいんですよね。とくにリビング収納が極端に少ないんです。

日常的に使う雑貨や常備薬、掃除機、書類、衣類、遊び道具などなど、ほとんどがリビングで使うモノ。なのにリビング収納って一切ない場合も多い。モノがあふれてごちゃごちゃする生活しかできないような造りになっています。

ー分譲マンションは、ほぼすべてが似たような間取り。購入層すべてに、当たり障りなく受け入れられやすい間取りでつくられているから、その家族に合った「暮らしやすい家」にはなりにくいのだろう。

キッチンもそう。今の主流は対面キッチンですが、実は対面キッチンって「凄く使いやすい」というわけではありません。

思い浮かべてみてください。

対面キッチンの後ろは、スペースが限られていて、冷蔵庫·食器棚·電子レンジなどでいっぱい。ゴミ箱や食品庫のスペースはありません。導線やスペースのことを考えると、もっとベストなキッチンはあるはずなんです。

対面は対面でも、違うやり方の対面キッチンもあるので、形にとらわれすぎず開放的で機能的なキッチンをリノベーションで取り入れることもできます。とにかく、そのご家族にとっての「暮らしやすさ」に焦点を当て、細かいところまできっちりと詰めていくことを大切にしています。

私が今住んでいるマンションも、キッチンの後ろは冷蔵庫と食器棚、レンジ棚を置いてピッタリのサイズ。ちなみにゴミ箱は置くスペースがなく、はみ出ている(笑)「もう少しここのスペースが広ければなあ」「この仕切りがなければいいのに…」マンションでの生活経験がある人は、そのように感じたことが誰しもあるのではないだろうか。

人がなかなか帰らない、落ち着く家

仲田:僕たちは、新建材と呼ばれるものをほとんど使いません。ビニールクロスでつくられた壁や、合板のフローリングは、20年後30年後の劣化した姿があまりよくないんです。そうなると張り替えが必要になってきますし、結果的に後々お金が掛かってきます。

一方で、自然素材でできた無垢のフローリングや塗り壁は、歳の取り方が綺麗。自分たちでもメンテナンスできる場合もあるので、初期費用が少し高くなったとしても、あとから掛かるお金が軽く済む場合が多い。

そして自然素材のデザインや風合いは流行り廃りがないので飽きもきません。長い目で見たときに、落ち着く空間にずっと気持ちよく住んでいただける、という良さもあります。

ー実際にN.style建築工房でリノベーションされたお客さまは、共通して「暮らしやすさ」という点に満足されている方が多いそうだ。

仲田:リノベーションをした後の1年後ぐらいに「ちゃんと暮らせていますか?」とみなさんのマンションにお伺いするのですが、「暮らしやすい」「居心地がいい」というキーワードを共通でおっしゃってくれます。もともと住んでいたお部屋をリノベーションされる方もいらっしゃいますが、前の部屋との比較で「前住んでいたときは寒くて結露もしていたのが、今では年間通して快適に暮らせています」という話も聞きますね。

「前のお部屋よりも居心地がいいので、友達がなかなか帰りません(笑)」っていう人もいて。やはりそういうお声を聞けるのはとてもうれしいですし、喜びの声をいただけるのは僕自身のやりがいでもあります。

ー最後に仲田さんから、家づくりを検討されている方へ向けてメッセージをいただいた。

仲田:家を建てる際には、焦らずじっくり時間をかけて考えてほしいと思っています。色んな家づくりの選択肢がありますし、どれが正解かは本当に人それぞれ。ある人にとっては戸建てがベストかもしれませんし、ある人には新築マンションのほうが向いている場合もあります。

自分たちが選択した家づくりには、どんな良さがあるのか、またどんな困る点があるのかを両方の面からしっかり考えてみてください。家は衝動的に買うものではないと僕は考えています。

「家が欲しいな」と思ったら、来年には住む計画で建てるのも一つの方法かもしれませんが、そのような進め方よりも、2~3年ぐらいじっくり時間をかけて、夫婦やご家族とご相談して、よく考えて建ててほしいと思っています。

もう一つは「長い目線で考える」ということ。

「今」自分たちが住みたい家を考えるのももちろん大切ですが、30年後40年後にどんな暮らしをしていきたいのか、というポイントも大切。

工務店さんからのアドバイスなども参考になるかと思いますので、ぜひ信頼できる工務店さんの意見に耳を傾け、「今」と長い目で見た「未来」の二つの視点から家づくりを考えてみてください。そうすることで将来「あぁ、こうしておけばよかった…」となることもなくなるはずです。

(2021/06/04 取材:平井玲奈 写真:家づくり百貨)