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好きなもの同士で築いていく、理想の住まいのカタチ
飯尾建設 株式会社

好きなもの同士で築いていく、理想の住まいのカタチ

2021年7月8日

ー本日ご紹介するのは、福岡県福岡市にて工務店を営む大沼さん。大沼さんの経営される飯尾建設では、自然素材を使った作り手の「跡」の残る家づくり、木の心地よさを感じられる家づくりを行っている。また大沼さんは、家づくりにおいて「人」との関わり合いをとても大切にされている。

今回はそんな大沼さんに、ご自身の住宅観や、家づくりにおいて大切にされていること、「人」との関わり合いの中で大切にされていることなどについてお伺いした。

好きなもの同士で、楽しく家づくりを。

大沼さんは14年ほど前、奥さまのお父様が経営されていた飯尾建設へ入社。大沼さんが入社したころの飯尾建設は公民館などの公共物件を手掛けられていたそうだ。どのような経緯で住宅を手掛けられるようになったのだろうか。そのきっかけについてお伺いした。

大沼さん(以下大沼)一番の理由は、お客さんとの距離感が近い仕事をしたいと思ったからです。公民館などの公共物件を使うのは地域の人たちですが、実際に発注を出すのは市町村です。

建物を実際に使う人たちとの距離感が遠いと感じていました。一般住宅であれば、お客さんと実際に住む人が同じですので、公共の仕事よりも人との関わり合いが持てると感じたのです。

飯尾建設は昭和45年に創業された歴史ある会社です。そんな会社を私たち新しい代が引き継ぎ、私たちらしい会社にしていくため、飯尾建設の新ブランド「a i i r o」をつくりました。

「a i i r o」には「i i o(飯尾)」の文字が含まれており、飯尾建設の歴史を大切にしつつ、新しい会社にしていきたいという想いが込められています。

そして私たちには、新建材ばかりを使った家は建てないというこだわりがあります。

それは自然素材でつくられた家のほうが圧倒的な気持ちよさ、手触りのよさ、そして職人さんの仕事の跡が残っているから。本物の木は年数がたつごとに味わいも出てきます。

この想いは、10年前に初めて家を建てたときからまったく変わっていません。今はその感覚的な自然素材のよさに、性能や数値もプラスした家づくりを行っています。

飯尾建設では、家づくりの中に積極的にDIYも取り入れている。DIYと言えば、「コスト削減」というイメージだが、それ以外にも良いところがたくさんあると大沼さんは語る。

大沼:DIYは、やるからには最初から最後まで、テープを張って養生するところから仕上げまで、すべてお客さんにやっていただいています。お膳立てではありませんが、準備を私たちでやって「さあ塗るだけですよ」という風にはしていません(笑)。

かなり大変で気合のいる作業でもありますが、そちらの方がお客さんの記憶にも残りまし、ちょっとぐらいムラがあったとしても、味として愛せるのではないでしょうか。

そしてDIYのやり方を覚えるということは、小さなメンテナンスを自分たちでも行えるようになるということ。もちろんDIYにはコスト削減ができるという面もありますが、コストメインで入ってしまうと、あまり楽しく感じないんです。

どうしても「仕事」と感じてしまいます。なので、大変さも全部ひっくるめて「楽しい」と思えるようなお客さんにこそDIYはおすすめですね。ビアサーバーを用意して、ペイント大会をしながら、みんなでワイワイDIYをやったことなんかもありますよ。

ー「お客さまとの距離感の近い仕事がしたい」という言葉や、DIYのエピソードからも伝わってくるように、実際の大沼さんもとても気さくな方。家づくりへのこだわりについてお伺いした際にも、「人との関わり合い」をとても大切にされていることが伝わる答えが返ってきた。

大沼:私のポリシーは、「気の合う人としか仕事をしない」ということです。お客さんも気の合う人、例えば価値観が似ていたり、趣味が一緒だったりという人と一緒に家づくりをする。もちろん仕事を頼む職人さん、業者さんもです。極論を言うと、楽しく仕事ができる人たちと、楽しい仕事をやっていきたいと思っているんです。お互いが好きなもの同士だと、現場も楽しくなりますし、良いものもできる。建てた後のメンテナンスでも、ずっと気持ちのいい関係でいられるんです。お互いが好きなもの同士だと、好循環が周っていくイメージですね。

お客さまは友達のようでもあり、戦友のようでもある。

私は本当に「人が好き」。モノやサービスを単純に売る仕事だと売って終わりじゃないですか。でも私たちは一回家を建てると、そこから何十年とずっとお付き合いが続くんです。砕けすぎた言い方かもしれませんが、友達が増えていくという感覚に近いかもしれません。

私はここ数年で、家の「数値化」にも着手し始めました。数値化を初めて取り入れたお家はもう出来上がっているのですが、その家を建てられてたお施主さんがとっても協力的な方でして、家づくりを検討中の方にも、ご自身お家の中を見せてくださるんです。片付けなんかも進んでしてくださって。

お客さんとそのような関係になれる仕事って、家づくり以外はありませんよね。お客さまでもあるし、戦友でもあるような、面白い感覚です。

家づくりにおいて工務店とお客さんの関係は、いかにも家を売る営業マンとお客様のような上下関係ではないと思っています。私たちのような地域の工務店は、お客さんとも対等だし、関わる業者さんとも対等という感覚です。一緒に家をつくっていく仲間・戦友なんです。

だから人好きじゃないと、家づくりはやっていけないと私は思っています。モノを売るような感覚だと、たくさんの情熱を傾けることはできないですよ。

自分たちの価値観や、いいと思ったものを信じてほしい。

ーお互い好きなもの同士、価値観が似ているもの同士で家を建てる。楽しく家づくりをするために、私たち家を建ててもらう側にも、気をつけておいた方がいいポイントがあるそうだ。

大沼:意外に思われるかもしれませんが、一番危ないのが紹介。例えば友達や親族からの紹介です。紹介がきっかけで、その工務店を最終的に好きになり、家を建てるというのであれば、全く問題はないのですが、「付き合いで…」というのは危険ですね。「紹介だから頼んだ」という理由がいつまでも残りますし、価値観が合わない→楽しく家づくりができない→価値観のズレが生じた家ができる→紹介者の友人・親族との関係も悪くなる、ということにも最悪なりかねません。お互い気の合う者同士で気持ちよく家づくりをするためにも、他人のススメではなく、自分たちが「ここだ!」と感じた工務店さんに、家づくりをお願いした方がいいと私は思っています。

工務店探しは、生涯寄り添うパートナーを見つけるような気持ちで。

大沼:最近は、ネットが便利なおかげで、ネットで得た知識をどんどん自分のものにし、ネットの知識中心で家づくりを決めてしまう人が多い印象。

ですが肝心の、家を建てる人の人柄は、ネットだけでは分からないと思うんです。ちゃんと自分の足で動いて、自分の耳で聞いて、自分の目で見て、感じてほしい。そして、最終的に「この人になら任せられる」と納得した人に頼んでください。家は建てて終わりではなく、建ててからもずっとお付き合いが続きます。

長く一緒に寄り添えるパートナーを見つけるような感覚で、探していくことをおすすめします。

探す際の大切なポイントは「価値観」。

その工務店がどんな価値観のもと家づくりをしているのか、自分たちの価値観と似ているのかをよく見て、聞いてください。駅チカだとか、資産価値が高いとか、そういう家がいいとか、私は全然それでもいいと思いますし、全く否定しません。

ただ、そのような考え方のお客さんと私たちの家づくりの価値観が違うだけの話。そのような考え方のお客さんは、そのような価値観を持って家づくりをされている工務店さんや、ハウスメーカーさんにお願いしたほうが、結果としてうまくいきます。自分たちと「合う」という感覚を一番大切にしてくださいね。

(2021/05/18 取材:平井玲奈 写真:家づくり百貨)