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長く愛され、大切にされる家づくりを
株式会社あすなろ建築工房

長く愛され、大切にされる家づくりを

2021年9月11日

ー本日ご紹介するのは、神奈川県横浜市にて工務店「あすなろ建築工房」を経営される関尾さん。あすなろ建築工房では、設計事務所の設計力と、工務店の技術力を融合させた新しいスタイルの家づくりを行っている。「施主」×「設計者」×「施工者」でつくられる家には、果たしてどんな魅力があるのだろうか。

「三度の飯より設計が好き!」そう語る関尾さんに、家づくりにおいて大切にされていることや、現在の建築観に至ったきっかけ、そして関尾さん自身のストーリーについてお伺いした

「また美味しいビールが飲みたい!」家づくりの魅力に気づいた会社員時代。

関尾さんは、幼いころからモノづくりや家づくりに興味を持たれていたということもあり、大学・大学院ともに建築学を専攻、卒業後には設計事務所の最大手である日建設計に入社。日建設計では、東京ミッドタウン六本木やパシフィックセンチュリー丸の内など、建築業界では花形と呼ばれるような大きなプロジェクトにも携わられていたそうだ。プロジェクト内ではリッツカールトンやフォーシーズンズホテルなどの設計に携わるなど、輝かしいご経歴から、どんなきっかけで住宅建築に舵を切ることになったのだろうか。

関尾さん(以下関尾)日建設計では、大きな再開発計画から交番のような小さな建築物まで、さまざまなプロジェクトに携わることができ、それなりに楽しく仕事をしていました。

ですが、あるときふと「そもそも建築をやりたいと思ったきっかけは、住宅建築だったんだな」と思い返す機会があったんです。そう思い始めたときに、日建設計で仕事をするかたわら、知人の木造住宅の設計をさせていただく機会がありました。

実際やってみると、それがものすごく楽しかった…!休みの日に現場に行き、大工さんや職人さんから「ああじゃないこうじゃない」と色々教わったり、夜中に夢中で図面を書いたりするなかで、自分自身が大きく成長していることにも気づきました。

そんなある日、住宅現場での作業の終わりに現場監督さんがビールを買ってきてくださったのですが、そのビールがめちゃくちゃ美味しくて。その味が忘れられられませんでした。

設計事務所での仕事終わりにも、同僚とビールを飲む機会はあったのですが、その比ではないぐらい美味しく感じたんです。「もう一回、いや一回とは言わず、この美味しいビールを飲み続けたい」そう思いました。その後10年を節目に会社を退職し、イチから住宅建築の修業・勉強をスタート。それが私の家づくりの第一歩でした。

長く愛され住み継がれる家

関尾社長のご自宅のリビング

ー関尾さんは日建設計を退職後、横浜にある工務店で3年間家づくりの修業を行う。地域工務店として真面目に家づくりをしていたその工務店に勤めているときに、ある「気づき」があったそうだ。

関尾:もともと勤めた工務店は、家の施工を専門にしていた大工工務店でしたので、設計は他の設計事務所さんがやっていました。そんななかで、「家のこんなところが使いにくい」というような設計に関するお声が結構あったのです。設計士のエゴといいますか、かっこいいとかスタイリッシュとかで設計されたお家に対してですね。

そのようなお家を見ていて感じたのは、「住まう人にとって快適で愛される家でなければ、大切にしてもらえない」ということ。設計者のエゴでつくられた、かっこいいだけ・性能がいいだけの家は、住まう人に愛されないので、かまってもらえず、メンテナンスされなくなり朽ちてしまう。

10年20年で建て替えられてしまう場合だってあります。家は30年40年50年、私たちが生きている以上に残るもの。建てるからには、次の世代へと住み継いでもらえるぐらい、長く愛される家にしたいと思うようになりました。

日本は、建売住宅や量産住宅のようなコストを抑えた仕様の家を建てられる方が大半を占めますが、正直そのような家は30年持たないことも。維持できたとしてもメンテナンス費用がものすごくかかるんです。大修繕工事が発生するのは建ててから20年後ぐらいになります。つまり修繕時期と、お子さんの教育費が最もかかる時期がバッティングしてしまいます。そうすると暮らしにゆとりがなくなってしまったり、家の修繕を先延ばしにして修繕できないレベルにまで腐朽が進んでしまったりすることも。そんな状況での暮らしは「幸せ」とは言えませんよね。

質の良い家は決して安くはありません。

ですが、のちにかかる修繕費を含めて考えると、ライフサイクルコストは確実に小さくなります。

私たちが目指す家は、ライフサイクルコストで考えたときに、一番費用対効果が高い家。お客さまは30代のファミリー世代の方がメインですので、100歳まで生きると想定すると60年70年は確実に住み続けられる家でなければなりません。長く住んでもらうためには、先ほども述べたように「愛される家」であるということが前提です。

そのためにも、たしかな設計力と施工力をもって、長持ちする素材を使い、快適で居心地の良い家、豊かに暮らせる家をつくっていきたいと思っています。

設計事務所×工務店でフィードバックを積み重ねる。

ーあすなろ建築工房は、設計事務所の設計力と工務店の技術力が融合したスタイルの家づくりを行っている。設計事務所と施工する工務店が分離している業態が多いなか、融合したスタイルの工務店には、強みやメリットがあると関尾さんは語る。

関尾:どんなに素晴らしい設計をしたとしても、完全無欠の完璧な家はありません。人がつくるものなので、不具合が出てくることも、もちろんあります。

不具合が見つかった際には、お客さまから「ここが使いにくいです」「ここを直してほしいです」とフィードバックをいただき、住みやすくなるように改修工事などを行うのですが、設計と施工が分離している場合、設計士にそのフィードバックが伝わらないことも。

その家を設計したのは設計士なのだけど、施工者が不具合を直すことになります。そういうのが住宅業界には結構あるんです。そうすると、設計士はフィードバックを知らないままなので、同じ過ちを何度も繰り返すことになってしまい、いつまでたっても改善・改良されません。

ですが、設計と施工が一緒になっている場合は、自分たちが直接フィードバックを受けることができます。自分たちが失敗したら、自分たちで間違いを正し、改善できるのです。

私たちは10年以上このスタイルで家づくりをしていますから、間違いのないディテール・間違いのない施工というのが日々蓄積され、常に進化をしています。

家づくりへの探求心を持ち、陳腐化しないよう新しいことにもチャレンジしているので、予期せぬ問題が起こることもありますが、そこで得たフィードバックも次に活かしていく。そうしながら、常によりよい家づくりを目指し続けています。

敷地の条件を読み解き、最適解を導き出す。

設計士の力量は、その家に住まう人たちの住まい方や、住み心地にも確実に影響してきます。

量産メーカーの家はパッケージ商品のようなものなので、手持ちの商品から合うモノをセレクトしていくことしかできません。

私たちの家づくりは、そもそもの手持ちというモノがゼロからのスタート。その敷地条件の中で、どこが一番居心地がよいか、どこが一番風が通るか、どこが一番目線がよいか、そのようなことをすべて考慮し、「最適解」を導き出します。例えば家事をするにしても、風通しの悪い蒸し暑い場所だと不快ですよね。

それが居心地のよい場所だったら楽しくできますし、子どもたちが見える場所であれば家事も苦にもならないのではないでしょうか。このように敷地の条件を読み解き、敷地のもつ能力を活かし、ご家族が求めている暮らし方を合致させていく。

いろんな連立方程式を解いていき、さまざまな条件がある中で「最適解」を導き出すことが、設計士の仕事だと私は考えています。もちろんこれは簡単なことではありません。

設計を専門としている人でも、できていない人が沢山います。最適解を導き出し、かつ施工もバランスよく行うというのは非常に難しいことなので、その分やりがいを常に感じていますね。

ー最後に、これから家づくりを行う方へ、関尾さんからメッセージをいただいた。

関尾:家づくりをするにあたり、一番重視していただきたいのは「どんな暮らしをしたいか」ということ。まず自分たちの理想の暮らし方があって、それに合う土地、合う設計者、合う家を求めてほしいと思っています。そして「今」のことだけなく、「将来」のことも見据え、長い目で、広い視野で見て、建ててほしいですね。

家族とどう暮らしていきたいか、子どもたちにはどう育ってほしいか、夫婦2人になったときどう過ごしていきたいか。そして自分たちが亡くなったあとは家をどうしたいか。そこまでイメージしてみてください。

また、家を建てることは環境にも大きなインパクトを与えることです。

自分たちだけよければいいという考え方ではなく、環境にも地域にも配慮してほしいと思っています。「今だけ・お金だけ・自分だけ」の典型は、大量に建てられた建売の家や量産された家。それとは真逆を行く。そんな家づくりを皆さんにはしてほしいなと思っています。

(2021/07/19 取材:平井玲奈 写真:家づくり百貨)