古くから日本の建築や工芸に使われてきた柿渋塗料。近年はDIYブームとともに改めて注目を集めており、「自然素材で安心して使いたい」「古民家風の仕上がりにしたい」という方から人気を集めています。ただ、においが強い・乾燥に時間がかかるといったクセのある塗料でもあるため、使い方を誤ると仕上がりに後悔することも少なくありません。この記事では、柿渋塗料の基礎知識から選び方・塗り方・おすすめ商品まで、実際のDIY動画などの一次情報をもとに詳しく解説します。
- 柿渋塗料は防腐・防虫・耐水効果をもつ天然自然塗料で、古民家の柱から現代DIYまで幅広く活躍する
- 有臭タイプは浸透力が高く本格的な仕上がり、無臭柿渋は室内作業向きで初心者にも扱いやすい
- 塗料の選び方は「使用場所(屋内・屋外)」「においへの許容度」「仕上がりの色み」の3軸で絞り込むと失敗しにくい
- 塗装は薄塗り→乾燥→重ね塗りが基本で、一度に厚塗りするとムラや剥離の原因になる
- 柿渋は紫外線に当てることで色が深まる性質があり、塗装後は日光に当てると古色仕上げをより楽しめる
目次
1. 柿渋塗料とは?基本知識と歴史

1-1. 柿渋とはどんな成分か
柿渋とは、未熟な渋柿の果汁を発酵・熟成させた液体のことです。主成分はタンニン(シブオール)と呼ばれるポリフェノールの一種で、これが木材のタンパク質と結合することで防腐・防虫・耐水性をもたらします。化学的な防腐剤と違い、素材に有害な成分を残さないのが最大の特徴です。
乾燥後は酸化・重合反応が続き、時間をかけて飴色から深い茶褐色へと変化します。特に紫外線を受けることで色が劇的に深まる性質があり、「4年後こうなった」と題したDIY動画では塗装直後と数年後の柱を並べた比較が公開されており、時を経て生まれる風合いが視覚的によくわかります。
1-2. 柿渋の歴史と用途
柿渋は日本では平安時代ごろから使われてきたとされており、和傘・漁網・酒樽の防水コーティング、さらには土蔵の壁塗りにも利用されてきました。木造建築の柱や梁に柿渋を塗ることで腐食や虫食いを防ぎ、建物の耐久年数を延ばす役割を担ってきたわけです。
現代では古民家のリノベーションだけでなく、フローリングや家具、屋外ウッドデッキにも応用されています。「まるごと家一軒!無垢の床に柿渋を塗装した結果。」というタイトルのYouTube動画が話題になったように、広い面積への施工事例も増えており、プロの大工から週末DIYerまで幅広い層に使われています。
2. 柿渋塗料のメリット・デメリット

2-1. 柿渋塗料の主なメリット
柿渋塗料が支持される理由のひとつは、その多機能性にあります。防腐・防虫・耐水という3つの効果を一本でカバーできるため、下塗り剤と仕上げ剤を使い分ける手間が省けます。また天然成分由来のため、揮発性有機化合物(VOC)をほとんど含まず、赤ちゃんや小さな子どものいる家庭でも比較的安心して使える点も魅力です。
さらに、塗り重ねるほど色が深まり、経年変化とともに独特の風合いが生まれます。この「育てる塗料」としての性質は、化学塗料では得られない本物のDIYの醍醐味です。「柿渋塗装した室内の実例」として公開されている動画では、杉板の壁が年を追うごとに落ち着いた古色に変化していく過程が記録されており、その変化を楽しむ姿勢がよく伝わります。
2-2. 知っておくべきデメリット
正直に言えば、柿渋塗料には扱いにくい点もいくつかあります。
まずにおいの問題。天然柿渋(有臭タイプ)は発酵由来の独特の臭気があり、屋内での作業には換気が必要です。作業後も数日は匂いが残る場合があります。
次に乾燥時間の長さ。一般的な水性塗料が数時間で乾くのに対し、柿渋は表面乾燥に数時間かかり、完全硬化には数週間〜数ヶ月かかることも。さらに重ね塗りの間隔をしっかり空けないと、表面がベタついたり剥離したりするリスクがあります。
また、金属に触れると黒く変色するという性質があります。釘やビスの周囲が黒くなることがあるため、金属製品との接触には注意が必要です。DIY動画「塗装で失敗する例を再現してみました」でも、この点を含む失敗パターンが実演されており、事前に知っておくだけで多くのトラブルを回避できます。
3. 柿渋塗料の種類(有臭・無臭・顔料配合)

3-1. 天然(有臭)柿渋
渋柿を搾って発酵・熟成させた、最もオリジナルに近い柿渋です。タンニン成分の純度が高く、木材への浸透力が強いため、防腐・防虫効果を最大限に引き出したい方に適しています。
「上柿渋を塗ってみよう!」と題したシマモトチャンネルの動画では、天然の上柿渋を薄め液で希釈しながら杉板に塗る工程が詳しく説明されており、職人の使い方をリアルに見ることができます。ただしにおいは強く、特に夏場は発酵臭が気になることがあるため、作業は屋外か十分な換気下での実施が前提です。
3-2. 無臭柿渋
においの問題を解決するために開発されたのが無臭柿渋です。タンニン成分を精製・処理することで独特の臭気を抑えており、室内作業でも使いやすいのが特徴です。
「2×4材に無臭柿渋を簡単に塗る方法」という動画では、初心者でも扱いやすい点が強調されており、刷毛で薄く伸ばすだけの手軽さが紹介されています。ターナーカラーの「無臭柿渋2L」は2025年時点のレビューでも高評価が多く、DIYユーザーから人気の高い商品です。ただし天然タイプに比べると浸透力がやや落ちるという声もあります。
3-3. 顔料配合・古色仕上げタイプ
柿渋に顔料を加えた製品は、より短時間で古色感を出したい場合に役立ちます。「上柿渋色人の塗り方簡単に古色仕上げにできる自然塗料!」という動画でも取り上げられているように、顔料配合タイプは一回塗りで濃いめの色を出せるため、経年変化を待てない場合の選択肢として有効です。ただし顔料の分量によっては木材の呼吸を妨げる場合もあるため、通気性重視の素地塗りには天然タイプや無臭タイプの方が向いています。
4. 柿渋塗料の選び方

4-1. 使用場所(屋内か屋外か)で選ぶ
まず大前提として、屋外(ウッドデッキ・外壁・フェンスなど)に使うなら天然柿渋かそれに準ずる浸透性の高いタイプ、屋内(フローリング・柱・家具)には無臭タイプを選ぶのが基本です。屋外は雨風にさらされるため浸透力が肝心で、一方屋内は換気の制限からにおいへの配慮が必要になります。
4-2. 仕上がりの色みと目的で選ぶ
柿渋は無色〜薄い琥珀色のものから、顔料を加えた濃い茶色まで製品によって色の幅が異なります。「古民家リノベーション#18」の動画で行われていた柱の古色塗装のように、深みのある仕上がりを目指すなら複数回塗り重ねる前提で薄めの製品を選び、重ね塗りで好みの色を作っていく方法がおすすめです。一方でスピードを優先したいなら顔料入りタイプを選ぶとよいでしょう。
4-3. コスパと使いやすさで選ぶ
価格帯はメーカーや容量によって異なりますが、一般的に1Lあたり1,000〜2,500円程度が相場です。塗り面積の目安は1Lあたり約5〜10㎡(1回塗り)とされており、広い面積を塗る場合は2L以上の業務用サイズを選ぶとコスパがよくなります。固まってしまった柿渋は水で薄めるか、「固まった柿渋を復活させる方法」という動画で紹介されている方法(ぬるま湯で溶解させる)で再生できる場合もあります。
5. 柿渋塗料のおすすめ人気商品

5-1. ターナーカラー|無臭柿渋
DIYユーザーからの評価が高い定番商品。においがなく室内で扱いやすく、2Lと4Lの容量展開がある。2025年のレビュー動画でも「色ムラが出にくく初心者向き」と高評価。刷毛塗りだけでなくスプレーボトルに移して吹き付けるDIYerもいる。
5-2. シマモト|上柿渋(天然タイプ)
職人・DIY上級者に長年支持されてきた老舗ブランドの天然柿渋。「上柿渋を塗ってみよう!」「上柿渋色人」などのYouTube動画にも登場する実力派。浸透力が高く、屋外の耐久性を重視する場面に強い。においはしっかりあるため屋外・十分な換気下での使用が前提。
5-3. 柿渋専門工房 喜助|精製柿渋
国産渋柿のみを使用した高品質タイプ。精製度が高く濁りが少ないため、塗りやすく仕上がりがきれい。家具や建具など見える部分の塗装に特に向いている。ケヤキの古材に柿渋を塗るDIY事例でも同様の精製タイプが使われており、木目を生かした仕上がりが際立つ。
5-4. 大阪塗料工業|柿渋液
工業用途にも対応した安定品質の製品。大容量の18Lペール缶での販売もあり、大工や職人が広い面積を塗る現場での使用実績も豊富。「柿渋塗料で杉板を塗る大工たち」という映像でも同種のプロ向け製品が使われている様子が確認できる。
5-5. サンウッド|柿渋ウッドプロテクター
柿渋に植物性のオイルを組み合わせた複合型製品。単体の柿渋より撥水性が高く、仕上げに蜜蝋ワックスを重ねる手間を省ける。塗り上がりが艶っぽく、フローリングやテーブルトップなど触れる機会が多い場所に適している。
6. 木材への塗り方・塗装手順

6-1. 塗装前の下準備
木材の表面に汚れや油分が残っていると、柿渋の浸透が妨げられます。まずは#180〜#240程度のサンドペーパーで木地を整え、粉塵をきれいに拭き取ってから塗装に臨んでください。古材や中古材を使う場合は、油汚れが染みついていることが多いため、シリコンオフやアセトンで脱脂するとより効果的です。
「杉(無垢材)への柿渋の塗り方を説明です。」という職人の動画では、塗装前に木材の含水率を確認していました。含水率が高い木材(20%以上)は塗料の吸い込みが不均一になりやすく、ムラの原因になるため、十分に乾燥させてから塗るのが鉄則です。
6-2. 塗装手順(薄塗り→乾燥→重ね塗り)
柿渋は水で2〜3倍に希釈してから使うのが基本です(製品の指示に従ってください)。刷毛またはウエスを使い、木目に沿って薄く塗り伸ばします。塗り量が多すぎると乾燥が遅くなり、表面がべたついたり剥離したりする原因になります。
乾燥時間は気温・湿度によって変わりますが、夏場で2〜4時間、冬場は半日以上見ておくと安心です。乾いたら軽く#400のサンドペーパーで毛羽を取り除き、再び薄塗り→乾燥を繰り返します。仕上がりの色みに応じて2〜4回重ねることで深みと耐久性が増していきます。
「ケヤキの古材に柿渋塗料を塗る」という動画では、最初の1回塗りと3回塗りの後の比較が映されており、塗り重ねるだけで全く別物のような色になる過程がよくわかります。
6-3. 仕上げ・アフターケア
仕上げに蜜蝋ワックスを塗ると撥水性がさらに高まり、表面がなめらかになります。「古民家リノベーション#18」では柿渋塗装の後に蜜蝋ワックスがけを行っている様子が紹介されており、この二工程の組み合わせは実際の施工でも定番のやり方です。また「注文住宅・熊谷」の動画では柿渋塗装後のメンテナンスとして、数年に一度の再塗装でピカピカを保っている事例が紹介されていました。
7. 柿渋塗装の注意点

7-1. 金属との接触に注意
前述のとおり、柿渋のタンニン成分は鉄と反応して黒く変色します。釘・ビス・金具の周囲が黒ずんでしまうと、仕上がりの見た目を損ねます。この問題を避けるには、ステンレス製やメッキ処理された金具を使う、あるいは柿渋を塗布した後に金具を打つという順番にするとよいでしょう。
7-2. 保存・管理の注意点
柿渋は開封後、空気に触れるとタンニンが酸化して固まってしまいます。使用後はキャップをしっかり閉め、直射日光を避けた冷暗所で保管してください。固まってしまった場合は「固まった柿渋を復活させる方法」という動画で紹介されているようにぬるま湯で溶かして使えることもありますが、変質している場合は使用を避けてください。
7-3. 素地によって吸い込みが異なる
杉・松・ヒノキなど針葉樹は吸い込みが多く、ケヤキ・オークなどの広葉樹は吸い込みが少ない傾向があります。吸い込みが多い材は希釈率を高めに設定するとムラが出にくくなります。また、吸い込みの少ない広葉樹は下地処理を念入りに行うことで塗料の定着を促せます。
8. よくある質問

Q. 柿渋塗料は食品安全性がありますか? 天然柿渋は食品由来の素材ですが、食品衛生法上の安全確認がされている製品かどうかは個別に確認が必要です。食器・カッティングボードなど口に触れるものへの使用は、製品の用途表記を必ず確認してください。
Q. 柿渋塗装後に色が変わってしまいました。なぜですか? 柿渋は紫外線(日光)の影響で徐々に酸化し、飴色から茶褐色へと変色します。これは柿渋の正常な反応で、品質トラブルではありません。逆に日光に当てることを意図的に活用することで、より深みのある古色仕上げを早めることができます。
Q. 柿渋は重ね塗りが必要ですか? 1回塗りでも防腐・防虫効果は得られますが、耐久性と色の深さを高めたい場合は2〜4回の重ね塗りをおすすめします。ただし乾燥時間を必ずしっかりとってください。
Q. 柿渋を塗った木材にニスや他の塗料を重ねられますか? 柿渋が完全に乾燥・硬化してから(最低でも1〜2週間)であれば、他の塗料を重ねることは可能ですが、相性や密着性はテスト塗りで確認することをおすすめします。特にウレタン系の塗料は弾いてしまうケースがあります。
Q. 柿渋の臭いはいつまで続きますか? 天然タイプは塗装後1週間前後で臭いが落ち着いてくることが多いですが、環境や換気状況によって異なります。臭いが気になる場合は無臭柿渋を選ぶのが最も確実な対策です。
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