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第一種換気と第三種換気どっちがいい?費用・性能・地域で徹底比較
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第一種換気と第三種換気どっちがいい?費用・性能・地域で徹底比較

「換気システムって、正直どこまで重要なんだろう?」——注文住宅を検討していると、ハウスメーカーや工務店からさらっと説明されるけれど、いまいちピンとこない方が多いのではないでしょうか。

実は2003年の建築基準法改正以来、住宅の換気は法律で義務化されており、0.5回/hの換気量(2時間に1回、室内の空気を丸ごと入れ替えるペース)を確保しなければなりません。30坪の家であれば毎時約125m³の空気が出入りするわけで、冬は冷たい外気がそのまま入ってくることになります。だからこそ「どの換気システムを選ぶか」は、光熱費や快適性に直結する判断です。

この記事では、第一種換気と第三種換気のどちらを選ぶべきか、費用・性能・地域環境などの視点から具体的に比較します。

この記事の結論はこちら
  • 第一種換気(熱交換型)は初期費用が高いが、寒冷地・高気密高断熱住宅では省エネ効果を発揮しやすい
  • 第三種換気はシンプル構造で初期費用・メンテナンスコストが安く、温暖地や気密性能がやや低い住宅との相性が良い
  • 熱交換換気のカタログ熱交換効率90%はキッチン・浴室換気の影響で実質50〜67%まで落ちるケースがあり、費用対効果は冷静に検討する必要がある
  • 気密性能(C値)が1.0cm²/m²以下の高気密住宅でなければ、第一種換気の恩恵は限定的になりやすい
  • 同じ予算を断熱強化(UA値改善)に使う選択肢も有力で、地域・家族構成・予算に合わせて総合的に判断することが大切

目次

1. 第一種換気・第三種換気とは?仕組みと基本の違い

どっちの第一種換気・第三種換気とは?仕組みと基本の違いを表す図解イラスト

1-1. そもそも換気システムは3種類ある

住宅の換気システムは「給気(外から空気を取り入れる)」と「排気(室内の空気を外に出す)」をどちらの方法で行うかによって、第一種・第二種・第三種の3タイプに分類されます。住宅でよく使われるのは第一種と第三種の2つです。

種別 給気 排気
第一種 機械(ファン) 機械(ファン)
第二種 機械(ファン) 自然
第三種 自然(給気口) 機械(ファン)

第二種換気は室内を正圧に保つため、病院のクリーンルームや食品工場などで使われるのが一般的で、一般住宅ではほとんど採用されません。

1-2. 第一種換気(熱交換型)の仕組み

第一種換気は給気と排気を両方とも機械で行うシステムです。住宅向けではほぼ必ずと言っていいほど「熱交換素子」が組み込まれており、排気する暖かい(または冷たい)空気の熱エネルギーを、給気する外気に受け渡してから室内に取り込みます。

この熱交換の仕組みにより、冬は冷たい外気をある程度温めてから給気できるため、室温の低下を抑えることができます。夏は逆に、外の熱気を冷やしながら取り込む効果があります。

ダクト配管が家全体に張り巡らされるタイプ(ダクト式)と、各部屋に小型の熱交換ユニットを設置するタイプ(ダクトレス式)があります。

1-3. 第三種換気の仕組み

第三種換気は各部屋に設けた「給気口(通常は壁に開けた穴にキャップをはめたもの)」から自然に外気を取り入れ、トイレ・浴室・キッチンなどに設置した排気ファンで機械的に室内の空気を外に出します。

シンプルな構造ゆえに普及率が高く、日本の新築住宅では現在でも最もポピュラーな換気方式です。機械部品が少ないため壊れにくく、給気口さえ定期的に掃除すれば大きなメンテナンスは不要です。

ただし、給気口から冬の冷気がそのまま室内に入ってくる点は第一種換気との最大の違いです。給気口の近くで冷気を感じることがあり、これが不快に感じる方もいます。


2. 第一種換気と第三種換気のメリット・デメリット比較

どっちの第一種換気と第三種換気のメリット・デメリット比較を表す図解イラスト

2-1. 第一種換気のメリット

熱交換による省エネ効果が最大のメリットです。カタログスペックでは熱交換効率が90%前後の製品も多く、換気によって逃げていく熱エネルギーを大幅に削減できるとされています。

また、給気側にフィルターを設置しやすいため、花粉やPM2.5などの微粒子を室内に持ち込みにくい設計にしやすい点もあります。アレルギー体質の方や、空気の質にこだわる方にとっては魅力です。

ダクト式であれば全室に計画的な気流を作れるため、部屋ごとの空気の偏りが起きにくく、一酸化炭素や揮発性有機化合物(VOC)を均一に排出しやすいとも言われます。

2-2. 第一種換気のデメリット

初期費用の高さは避けられません。本体価格+ダクト工事費を含めると、後述するように第三種換気と比べて数十万〜100万円以上高くなるケースがあります。

加えて、ダクト内部は目視できないためメンテナンスが難しく、カビや汚れが蓄積しやすいリスクがあります。熱交換素子の定期清掃・交換も必要で、部品が各メーカー独自規格のことが多いため、将来の部品調達コストが読みにくい点も気になります。

熱交換換気の電力消費も見落とせません。24時間365日モーターが動き続けるため、運転電力として1日あたり40〜50円程度かかる試算もあります。

2-3. 第三種換気のメリット

シンプルさが最大の強みです。機械部品が排気ファンのみのため、故障リスクが低く、10〜15年後に交換が必要になった際も汎用品で対応しやすいです。

初期費用が抑えられるため、同じ建築予算をほかの性能(断熱材・窓・床暖房など)に充てられるという選択肢が広がります。

2-4. 第三種換気のデメリット

外気をそのまま給気するため、冬の冷たい空気や夏の湿気が直接入ってきます。気密性能が低い住宅では、給気口以外からも隙間風が入り込み、計画換気が機能しにくくなるリスクがあります。

また、花粉・黄砂のシーズンには給気口フィルターの目詰まりが起きやすく、換気量が不足することもあります。フィルターの定期交換・清掃は第三種でも必要です。


3. コスト比較:初期費用・電気代・メンテナンス費

第一種換気 第三種換気 どっちのコスト比較:初期費用・電気代・メンテナンス費を表す図解イラスト

3-1. 初期費用の差

第一種換気(ダクト式)の初期費用は、本体・ダクト工事・取り付けを合わせると一般的な住宅で80万〜150万円程度かかることが多いです。ダクトレス式は比較的安く、30万〜60万円程度の製品もありますが、部屋数が多いと台数が増えてコストが上がります。

第三種換気は本体・工事費込みで20万〜40万円程度が相場で、第一種との差額は50万〜100万円以上になることも珍しくありません。

3-2. 日常の電気代

先に触れた計算をもう少し具体的に見てみましょう。ある試算では、30坪の住宅の冬の1日あたりの暖房コストを次のように見積もっています。

  • 外皮(壁・窓・屋根)からの熱損失:約450円
  • 換気による熱損失:約150円
  • 換気扇自体の電力:数十円

熱交換換気を入れると「換気による熱損失150円」を15円程度まで圧縮できますが、代わりに熱交換ユニットの常時運転電力として1日40〜50円が加算されます。差し引きの節約は1日あたり100円前後という計算になります。

仮に初期費用の差額が100万円だとすると、単純回収期間は約27年。150万円差なら40年以上になります。光熱費の節約だけで初期費用を回収するのは現実的に難しいことが多いです。

3-3. 実質的な熱交換効率の落とし穴

カタログに記載されている熱交換効率90%という数値は「換気システム単体」の性能です。実際の住宅では、キッチンのレンジフード(強運転時500m³/h前後の風量)や浴室・トイレの換気が熱交換の経路外になることが多く、これらが動くと給気・排気のバランスが崩れます。

その結果、実効の熱交換効率は50〜67%程度に下がるケースも報告されています。節約額の試算もカタログ値ベースより相当小さくなるため、費用対効果は冷静に評価する必要があります。

3-4. メンテナンスコストの現実

第一種換気のフィルター・熱交換素子は各社独自規格のものが多く、10〜15年後に部品交換が必要になった際、製品が廃番になっていたり高額になったりするリスクがあります。エアコンは規格化が進んで買い替えが容易なのと対照的です。

フィルター交換費用の目安は年間5,000〜2万円程度ですが、熱交換素子本体の交換が必要になると数万〜十数万円になることもあります。

第三種換気の場合、給気口フィルターは数百〜数千円で市販品が手に入り、排気ファンも汎用モーターが使いやすいため、ランニングコストは一般的に低く抑えられます。

3-5. 同じ予算を断熱に使うという視点

断熱性能(UA値)の改善は、冬も夏も中間期も、24時間365日効き続けます。壁の断熱材を厚くしたり、窓をトリプルガラスにグレードアップしたりすることで、暖房コストのうち最大の割合を占める「外皮からの熱損失(先の試算で約450円)」を直接削れます。

第一種換気の初期費用差額50万〜100万円を断熱強化に回した場合、総合的な省エネ効果が上回るケースも十分ありえます。どちらか一方が絶対正解ではなく、トータルで判断することが重要です。


4. 気密性能・断熱性能との関係

第一種換気 第三種換気 どっちの気密性能・断熱性能との関係を表す図解イラスト

4-1. 換気システムと気密性能は切り離せない

換気システムの性能を語るうえで、気密性能(C値)との関係は非常に重要です。C値は1m²あたりの隙間面積(cm²)で表され、数値が小さいほど気密性が高い建物です。

気密性が低い(C値が高い)住宅では、換気ファンが動いていても計画した経路以外の隙間から空気が出入りしてしまいます。これは第一種・第三種どちらにも言えますが、特に第一種換気は給排気を両方機械でコントロールすることを前提にしているため、隙間が多い住宅では設計通りの気流が作れず性能が発揮されません。

一般的に、C値1.0cm²/m²以下を確保することが、計画換気が機能するための目安とされています。

4-2. 高気密住宅と第一種換気の組み合わせ

C値0.5以下のような高気密住宅では、隙間からの無計画な空気の流入がほぼゼロになり、第一種換気の熱交換効果が最大限発揮されます。また、高気密住宅は外皮の熱損失が小さいため、換気からの熱損失の比率が相対的に大きくなり、熱交換換気の省エネ効果が実感しやすくなります。

逆に、C値が2〜3程度の住宅に第一種換気を入れても、隙間からの漏気が多くて熱交換の恩恵が薄れてしまいます。

4-3. 第三種換気と気密性能のバランス

第三種換気はシンプルな仕組みのため、C値が多少高くても(気密性がやや低くても)換気の基本機能は維持しやすいです。ただし気密性が低すぎると、給気口からではなく壁の隙間から冷気が入り込み、冬の居住性が悪化します。

第三種換気でもC値1.0以下程度を目指すことで、計画換気の精度が上がり快適性も向上します。「第三種だから気密は関係ない」は誤解で、どちらの換気システムを選ぶにしても気密の確保は前提条件です。


5. 寒冷地・温暖地など地域環境での選び方

第一種換気 第三種換気 どっちの寒冷地・温暖地など地域環境での選び方を表す図解イラスト

5-1. 寒冷地(北海道・東北・信越など)

外気温が低い寒冷地ほど、換気によって逃げる熱量が大きくなります。外気温が−10℃以下になる地域では、給気口から入ってくる冷気の量と温度差が激しく、熱交換換気の省エネ効果が最も発揮されやすい条件が揃います。

北海道などでは以前から第一種換気(熱交換型)の普及率が高く、高断熱・高気密住宅との組み合わせで長年の実績があります。年間暖房費が高額になる地域では、1日100円前後の節約が積み重なって年間3〜4万円規模になるため、長期的な費用回収も現実味を帯びてきます。

5-2. 温暖地(関東以南・太平洋側など)

東京以南の温暖地では、冬の外気温がそれほど下がらないため換気からの熱損失が相対的に少なく、熱交換換気の省エネ効果が限定的になりがちです。夏の冷房時も熱交換は機能しますが、高温多湿の日本の夏では外気の潜熱(湿気の熱)処理が難しく、全熱交換型でなければ十分な効果が出ない場合もあります。

温暖地では第三種換気でコストを抑え、差額を窓の高性能化や日射遮蔽に使う選択肢が有効なケースも多いです。

5-3. 全熱交換型と顕熱交換型の使い分け

第一種換気の熱交換には「顕熱交換型」と「全熱交換型」があります。顕熱交換型は温度の熱だけを交換し、全熱交換型は温度に加えて湿度(潜熱)も交換します。

高温多湿な日本の夏を重視するなら全熱交換型が向いていますが、高湿度の外気から湿気まで取り込んでしまうケースもあり、設計・施工の精度が求められます。寒冷地の冬を重視するなら顕熱交換型でも十分なことが多いです。地域の気候特性と照らし合わせて選ぶことが大切です。


6. 後悔しない換気システムの選び方

第一種換気 第三種換気 どっちの後悔しない換気システムの選び方を表す図解イラスト

6-1. 住宅の断熱・気密性能を先に決める

換気システムを選ぶ前に、まず住宅の断熱等級と気密性能(C値の実績値)を確認することをおすすめします。断熱等級6・7相当の高性能住宅で、C値を0.5以下に抑えられる施工力を持つ会社であれば、第一種換気との相性が高くなります。

一方、気密性能の実測保証をしていないハウスメーカーや工務店の場合、第一種換気を入れても思ったような効果が出ないリスクがあります。

6-2. トータルコストで比較する

カタログの熱交換効率ではなく、実際の生活パターンを想定した実効コストで比較しましょう。キッチンのレンジフードを頻繁に使う家庭では、熱交換効率が大きく下がることを念頭に置く必要があります。

初期費用の差額÷年間節約額=回収期間という計算をしてみると、自分の家での費用対効果が見えてきます。回収期間が20年を超えるようなら、差額を別の性能向上に充てることも検討価値があります。

6-3. メンテナンス性を軽視しない

換気システムは24時間365日動き続けるため、フィルター清掃や部品交換のしやすさは重要です。第一種換気を選ぶ際は、フィルターへのアクセスのしやすさ、部品の入手可否、メーカーのサポート体制を事前に確認してください。

築10年・15年後に製品が廃番になっていた場合の対処法も、施工会社に確認しておくと安心です。

6-4. ダクトレス式第一種換気という選択肢

近年注目されているのがダクトレス式(壁付け型)の第一種換気です。各部屋の壁に小型の熱交換ユニットを取り付ける方式で、ダクト工事が不要なため初期費用を抑えられ、ユニット単体の交換もしやすいです。

ただし、部屋数が多い住宅では台数が増えてコストが上がること、各ユニットが独立しているため計画気流の管理が難しくなることも覚えておく必要があります。

6-5. 「絶対の正解」はないと理解する

プロの間でも「第一種か第三種か」の議論は今でも続いています。寒冷地×高気密高断熱×花粉アレルギーがある家庭なら第一種換気を強くおすすめできる一方、温暖地×コスト重視×メンテナンスをシンプルにしたい家庭なら第三種換気が合理的です。

大切なのは、自分の住む地域・家族の体質・建物の性能・ライフサイクルコストを総合的に照らし合わせること。流行や営業トークに流されず、数字と生活実態に基づいて選ぶことが後悔しない家づくりにつながります。


7. よくある質問

第一種換気 第三種換気 どっちのよくある質問を表す図解イラスト

7-1. 第一種換気にすれば空気がきれいになりますか?

フィルターの性能次第ですが、適切なフィルターを設置すれば花粉・PM2.5などの微粒子を除去しやすくなります。ただし、フィルターの定期清掃・交換を怠るとフィルター自体がカビや細菌の温床になりかねません。「入れたら終わり」ではなく、継続的なメンテナンスが前提です。第三種換気でも給気口フィルターを高性能タイプに変えることで、ある程度の花粉除去は可能です。

7-2. 賃貸マンションによくある24時間換気は何種ですか?

マンションでは第三種換気が採用されているケースが大多数です。浴室や洗面所にある換気扇が排気を担い、各居室のドア下や壁の給気口から外気が入ってくる仕組みです。

7-3. 後から換気システムを変更できますか?

新築時と比べると改修コストは大幅に上がります。第三種→第一種への変更は、ダクト配管を新たに壁内や天井裏に通す必要があり、大規模なリフォーム工事になります。ダクトレス式であれば比較的対応しやすいですが、それでも各部屋の壁に穴を開ける工事が必要です。換気システムは新築時に慎重に選ぶことを強くおすすめします。

7-4. 第一種換気は結露しやすいですか?

ダクト内部の温度差によって結露が発生するリスクはあります。特に寒冷地でダクトの断熱が不十分だと、ダクト内に水分がたまりカビが発生することがあります。施工の品質管理が重要で、ダクトの断熱処理や排水経路の確保が適切に行われているか確認が必要です。

7-5. C値が高い(気密が低い)家でも第一種換気は意味がありますか?

気密性能が低い住宅では、計画された換気経路以外からも空気が漏れるため、第一種換気の性能が十分に発揮されません。C値2〜3以上の住宅に第一種換気を入れても、熱交換効率・計画気流ともに期待を下回ることが多いです。まず気密性能を上げる施工を行ってから換気システムを選ぶ、という順番が理想的です。

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