「中古マンションを買ってリノベーションすれば、新築より安く理想の家が手に入る。」そう思って物件を探し始めた方も多いのではないでしょうか。SNSで見かける素敵なリノベーション事例、無垢の床に自然素材の壁、造作キッチンと間接照明。憧れる気持ちはよくわかります。
でも実際には、リノベーション後に「こんなはずじゃなかった」と後悔している方が少なくありません。
なぜ後悔が生まれるのか。原因のほとんどは、リノベーションの内容や素材選びではありません。「物件選びの段階ですでに失敗していた」というケースが圧倒的に多いのです。耐震性能が不十分な建物、修繕積立金が底をついた管理組合、間取り変更ができない壁式構造。
こういった問題は内見で部屋を眺めているだけでは絶対に気づけません。表面の美しさに安心して購入した結果、取り返しのつかない後悔を抱えることになってしまいます。
数多くの物件を設計者の目線で見てきた経験から、「この物件は選んではいけない」と判断できる明確な基準があります。その現場で培った知識を、この記事に余すことなく詰め込みました。
この記事では、マンションリノベーションで絶対に選んではいけない物件の3つの特徴を、業界の内側から率直にお伝えします。耐震基準の落とし穴、管理組合と修繕積立金の問題、そして壁式構造による制約。
さらに、素性の良い物件を見極めた上で、木の素材と断熱性能を両立した理想のリノベーションを実現するための具体的な考え方まで解説しています。
この記事を読むことで、物件選びの段階から正しい視点を持つことができます。不動産屋さんだけに頼らず、建築のプロと一緒に動くことの大切さが理解できます。
そして、後悔のないマンションリノベーションを実現するための順番と優先順位が、明確にわかるようになります。物件選びを間違えなければ、マンションリノベーションは本当に愉しいものです。
焦らず、慌てず、正しい順番で進める。それだけで、後悔のリスクは大きく下がります。
これからマンションリノベーションを検討しているすべての方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
- リノベーションの成否は物件選びで8割が決まる。内装より先に建物の骨格と管理状態を確認すること。
- 選んではいけない物件の3つの特徴は①旧耐震基準②修繕積立金の不足③壁式構造。いずれも見た目では判断できない。
- 物件探しの段階から設計者を巻き込む。不動産屋だけに頼ると建築的な問題を見落とす。
- 木のリノベーションは断熱改修とセットで計画する。見た目の美しさと暮らしの快適さは両立できる。
- 予算は「後から変えにくいものに先にかける」が鉄則。リノベーション後の生活にゆとりを残しておくこと。
目次
1. マンションリノベで後悔する人が続出する本当の理由

1-1. リノベは「物件選び」で8割が決まる
マンションリノベーションを検討している方に、最初にお伝えしたいことがあります。リノベーションの成否は、工事の内容や素材の選び方よりも前に、「どの物件を選ぶか」でほぼ決まってしまいます。どれだけ腕の良い設計者が関わっても、物件選びを間違えると、理想の暮らしには近づけません。これは現場を何度も経験してきた実感です。
リノベーションというと、どうしても「どんな床材にするか」「キッチンはどこのメーカーにするか」という話に目が向きがちです。もちろんそれも大事。でも、それは物件が決まってからの話です。
物件選びの段階で構造上の制約があったり、管理状態が悪かったりすると、後からいくらお金をかけても取り返しがつかない部分が出てきます。リノベーションは「余白のある物件」を選ぶことから始まります。
新築と違って、中古マンションのリノベーションには「物件そのものが持つ限界」があります。どんなに素晴らしいデザインを描いても、建物の構造や管理の状況がそれを許さないケースは珍しくありません。
だからこそ、リノベーションを考え始めた最初の段階から、物件選びに真剣に向き合ってほしいのです。内装を考えるのはその後で十分です。
1-2. 内装だけ見ていると必ず失敗する
中古マンションを内見するとき、多くの方が見ているのは壁紙の状態、床の傷、キッチンや浴室の古さといった「内装の見た目」です。確かに気になるのはわかります。でも正直に言うと、内装はリノベーションで全部変えられます。壁紙も床も、古くなっていても問題ない。むしろそこを気にしすぎて、本当に確認すべきことを見落とすのが一番怖いパターンです。
リノベーションで変えられないもの、あるいは変えるのに莫大なコストがかかるものがあります。それは構造、配管の位置、換気経路、そして建物全体の管理状態です。天井を開けてみて初めてわかる配管の老朽化、壁を剥がして発覚する断熱材のなさ。
こういった問題は内見の段階では表面から見えません。見えないからこそ、知識を持って見に行く必要があります。
「内装がきれいだったので安心して購入した」という声を、リノベーション後に後悔されている方からよく聞きます。逆に言えば、内装が多少古くても構造がしっかりしていて管理が行き届いている物件の方が、リノベーションの素材としてはずっと優秀です。
物件を見るときは、表面の美しさではなく、骨格の健全さを見てください。そこが判断の基準になります。
1-3. 「安い=お得」という罠
中古マンションを探していると、「この価格でこのエリアは安い」と感じる物件に出会うことがあります。でも、そこで立ち止まって考えてほしいのです。安い物件には必ず理由があります。管理費や修繕積立金の滞納が積み重なっていたり、大規模修繕の計画が全く進んでいなかったり。
物件価格が安くても、その後に想定外の出費が重なれば、結果的に高い買い物になってしまいます。
リノベーション費用も含めたトータルで考えることが大切です。物件価格が500万円安くても、リノベーションの工事で想定外の補修が発生したり、購入後に大規模修繕の一時金が請求されたりすると、その差額はあっという間に埋まります。
「安く買えた」という満足感が、後から大きなストレスに変わるケースを何度も見てきました。
数字だけで判断するのは危険です。
本当にお得な物件とは、価格が安い物件ではなく、リノベーションの余地があって、管理状態が健全で、将来にわたって安心して住み続けられる物件です。価格はあくまでも判断材料の一つ。安さに飛びつく前に、なぜその価格なのかを必ず確認してください。
理由が分かった上で選ぶなら武器になりますが、理由が分からないまま飛びつくのは、かなりリスクが高いと思っています。
1-4. おしゃれな完成写真に踊らされない
SNSやリノベーション会社のホームページを見ていると、本当に素敵な完成写真が並んでいます。無垢の床に白い壁、造作キッチンと間接照明。見ているだけでワクワクしますし、「こんな家に住みたい」と思うのは自然なことです。
ただ、写真はあくまでも写真です。
どんな物件でも、撮り方と仕上げ方次第で素敵に見えます。問題は、その写真の裏側にある物件の素性です。
完成写真が美しいリノベーション事例でも、実際に住んでみると冬は寒くて夏は暑い、隣の生活音が筒抜けで聞こえてくる、廊下に出ると急に温度が下がる、といった問題を抱えているケースがあります。写真には断熱性能も気密性能も防音性能も写りません。
見た目の美しさと暮らしの快適さは、全く別の話です。ここを混同してしまうと、完成後に「思っていたのと違う」という後悔につながります。
リノベーションを検討するときは、完成写真の美しさではなく、その会社がどこまで性能面に向き合っているかを確認してください。断熱改修をセットで提案しているか、配管の更新まで踏み込んでいるか、構造の確認をした上で設計しているか。
こういった地味な部分こそが、長く快適に暮らせるリノベーションの本質です。おしゃれな写真はその後についてくるものだと思っています。
1-5. プロが物件を見るときに最初に確認すること
私が中古マンションの物件を見るとき、真っ先に確認するのは内装ではありません。まず見るのは、建物の竣工年と構造形式、そして管理組合の運営状況です。竣工年から耐震基準を判断し、構造形式からリノベーションの自由度を推測します。
管理組合がきちんと機能しているかどうかは、建物全体の将来性を左右します。この三点を確認するだけで、その物件がリノベーションに向いているかどうか、大まかな判断ができます。
次に確認するのは、配管の状態と給排水の経路です。マンションのリノベーションでは、給排水管の位置と状態が間取り変更の自由度に直結します。古い物件では配管の老朽化が進んでいることも多く、リノベーション工事に合わせて更新が必要になるケースも少なくありません。
この部分を事前に把握しておかないと、工事が始まってから想定外の費用が発生することになります。
そして最後に確認するのが、管理規約でどこまでのリノベーションが認められているかです。マンションによっては、床材の変更に制限があったり、間仕切り壁の撤去に制約があったりします。
せっかく物件を購入してリノベーションを計画しても、管理規約の壁に阻まれて理想の間取りが実現できないケースもあります。
不動産屋さんに任せきりにせず、設計者と一緒に物件を見ることをお勧めしています。
2. 選んではいけないマンションの3つの特徴

2-1. 特徴①:築年数と耐震基準の落とし穴
マンションリノベーションで最初に必ず確認してほしいのが、建物の築年数と耐震基準です。日本の建築基準法は1981年に大きく改正され、それ以前に建てられた建物は「旧耐震基準」、以降は「新耐震基準」に基づいて設計されています。この違いは非常に大きい。
旧耐震基準の建物は、現在の基準と比べると耐震性能が大幅に低い可能性があります。
築年数だけで判断するのではなく、耐震基準のどちらに該当するかを必ず確認してください。
「耐震診断を受けていれば安心」という声もありますが、診断を受けているかどうかと、実際に耐震補強工事が完了しているかどうかは別の話です。診断結果が出ていても、補強工事が先送りになっている物件は少なくありません。また、耐震診断自体を実施していないマンションも存在します。
愛知、東海地方は南海トラフ巨大地震の影響が懸念されるエリアです。地震のリスクを軽く見た物件選びは、命に関わる問題になりかねません。
旧耐震基準の物件が全てダメというわけではありません。耐震補強工事がしっかり完了していて、その記録が残っている物件であれば、検討の余地はあります。
ただし、その確認を怠ったまま購入してしまうのは非常に危険です。どれだけ内装が美しく仕上がっても、建物の耐震性能が不十分では、安心して暮らすことができません。
リノベーションに投じる予算の前に、まずここを確認する。これは絶対に外せない順番です。
2-2. 特徴②:管理組合・修繕積立金が機能していない物件
マンションは建物全体を区分所有者全員で管理していく共同住宅です。その管理を担うのが管理組合であり、将来の大規模修繕に備えて積み立てるのが修繕積立金です。この二つが機能していない物件は、どれだけリノベーションで室内を美しく仕上げても、建物全体が老朽化していく一方になります。
個人の部屋だけを整えても、共用部分が傷んでいけば住まいとしての価値は下がります。
修繕積立金が極端に少ない物件や、長期修繕計画が策定されていない物件には注意が必要です。積立金が不足すると、大規模修繕の時期に一時金として数十万円から百万円単位の追加負担が区分所有者に求められることがあります。購入時には想定していなかった出費が、後から突然やってくる。
これはかなり辛い状況です。物件購入前に、修繕積立金の現在の残高と長期修繕計画を必ず確認してください。
管理組合の運営状況は、マンションの将来性そのものを示しています。総会が定期的に開催されているか、議事録がきちんと残っているか、管理費の滞納状況はどうか。こういった情報は、重要事項説明書や管理組合の資料を確認することで把握できます。
不動産屋さんから入手できる書類をしっかり読み込むこと、そして疑問点は必ず質問すること。面倒に感じるかもしれませんが、ここを怠ると後から取り返しのつかない後悔につながります。
2-3. 特徴③:間取り変更に制限がかかる「壁式構造」
マンションの構造には大きく分けて「ラーメン構造」と「壁式構造」の二種類があります。リノベーションの自由度という観点から見ると、この違いは非常に重要です。ラーメン構造は柱と梁で建物を支えるため、壁を撤去して間取りを大きく変更することが比較的容易です。
一方、壁式構造は壁そのものが建物を支えているため、壁を撤去することができません。
間取り変更の自由度が根本的に異なります。
壁式構造のマンションでリノベーションを計画すると、「ここの壁を取り払ってリビングを広くしたい」という要望が叶えられないケースが多く出てきます。構造壁は絶対に撤去できないため、どうしても間取りの変更に限界が生じます。
木のリノベーションで空間を大きく開放したい、自然素材を活かした伸びやかな空間をつくりたいと考えている方にとって、壁式構造の物件は大きな制約になります。
物件の構造形式は、図面や登記情報などで確認することができます。ただし、一般の方には判断が難しい部分でもあります。内見の段階で設計者や施工者に同行してもらい、この物件でどこまでの間取り変更が可能かを事前に確認しておくことが重要です。
壁式構造だからといって全てのリノベーションが不可能なわけではありませんが、理想の空間づくりに制約が生まれることは覚悟しておく必要があります。購入前に必ず確認してください。
2-4. 見た目では判断できないから怖い
ここまで3つの特徴をお伝えしてきましたが、これらに共通しているのは「見た目では判断できない」という点です。耐震基準の問題も、修繕積立金の不足も、壁式構造による制約も、内見で部屋を眺めているだけでは全く気づけません。
きれいにクリーニングされた室内、陽当たりの良いリビング、整った共用部分。こういった第一印象の良さに安心してしまうと、本当に確認すべきことを見落とします。
マンションという建物は、個人が所有できるのはあくまでも専有部分だけです。建物の骨格や共用部分は、全ての区分所有者が共同で管理していくものです。つまり、自分の部屋をどれだけ丁寧にリノベーションしても、建物全体の状態が悪ければその価値は守られません。
外壁や屋上の防水、エレベーターや給排水管といった共用部分の状態は、個人ではコントロールできない部分です。だからこそ、購入前の確認が命綱になります。
「買ってから気づいた」では遅いのがマンション購入の怖いところです。土地と違って、マンションは建物全体の問題を個人の力で解決することができません。
後からやり直しがきかない部分が多いからこそ、購入前の段階でしっかりと調べる必要があります。表面的な美しさや価格の安さだけで判断せず、建物の素性を丁寧に確認する。この一手間が、長く安心して暮らせるリノベーションの出発点になります。
2-5. 不動産屋だけに頼ると見落とす理由
中古マンションを探すとき、多くの方が不動産屋さんに物件を紹介してもらいます。もちろん不動産のプロとして信頼できる部分はたくさんあります。
ただ、不動産屋さんの専門領域はあくまでも「売買の仲介」です。建物の構造がリノベーションに向いているかどうか、配管の状態が工事に影響するかどうか、といった建築的な視点での判断は、不動産屋さんに求めるのが難しい部分でもあります。
不動産屋さんは物件を売ることが仕事です。悪意があるわけではありませんが、建築的な問題点を深く掘り下げてアドバイスする立場にはありません。「皆さん普通に購入されていますよ」という言葉が返ってくることも多いですが、普通に買えることと、リノベーションに適した物件であることは全く別の話です。
不動産屋さんを否定するつもりはありませんが、建築の目線で物件を評価できる人間が必要だということは、はっきり伝えておきたいと思います。
だからこそ、物件探しの段階から設計者やリノベーション会社を巻き込んでほしいのです。建築のプロが一緒に物件を見ることで、内見だけでは気づけない問題点を事前に把握できます。
リノベーションを前提とした物件選びは、不動産と建築の両方の視点が揃って初めて安全に進められます。物件が決まってからリノベーション会社に相談するのではなく、物件を探す段階から一緒に動いてもらう。 この順番が非常に大切です。
3. 「良い物件」を見極めて、理想のリノベを実現するために

3-1. 物件探しから設計者を巻き込む
リノベーションで失敗しない最大のポイントは、物件探しの段階から設計者を巻き込むことです。多くの方が「物件を買ってからリノベーション会社を探す」という順番で動いています。でも本来は逆です。どんな暮らしを実現したいかを設計者と共有した上で、その理想を叶えられる物件を一緒に探していく。
この順番で動くことで、購入後に「この物件ではできなかった」という後悔を防ぐことができます。
設計者が物件選びに関わると、建築的な視点から物件の可能性と限界を事前に評価できます。この物件なら希望の間取りが実現できるか、配管の更新が必要になるか、断熱改修にどれくらいの費用がかかるか。
こういった判断が購入前にできれば、予算計画も格段に精度が上がります。物件価格だけでなく、リノベーション費用も含めたトータルコストを把握した上で購入判断ができるのは、大きな安心感につながります。
「設計者に物件探しから関わってもらえるのか」と思われる方もいるかもしれません。
リノベーションに真剣に向き合っている会社であれば、物件選びの相談から一緒に動くことを厭わないはずです。むしろ、物件が決まってから初めて相談を受けるよりも、最初から関わることができる方が設計者としてもやりがいがある。
良いリノベーションは、良い物件選びから始まります。まずは相談してみてください。
3-2. 木のリノベで本当に大切にすべきこと
木のマンションリノベーションの魅力は、無垢材や自然素材が持つ温かみと質感にあります。コンクリートと鉄に囲まれたマンションの空間に、木の床や木の造作家具を取り入れると、空間の印象は大きく変わります。冷たかった空間が柔らかくなり、素足で歩いたときの感触も全く違う。
この変化を体感したオーナー様は、口を揃えて「もっと早くやれば良かった」とおっしゃいます。
ただ、木を使えば良いというわけではありません。大切なのは、空間全体の素材の方向性を揃えることです。床に無垢材を使っても、壁がビニールクロスのまま、建具が既製品の安価なものでは、木の良さが半減してしまいます。床、壁、天井、建具、造作家具まで含めて素材の統一感を意識する。
この全体感こそが、木のリノベーションが持つ本来の豊かさを引き出します。細部まで丁寧に考え抜かれた空間は、写真ではなく実際に立ったときに初めてわかります。
木は生きている素材です。季節によって伸縮し、時間とともに色や表情が変わっていきます。傷もつきますし、メンテナンスも必要です。でもその経年変化こそが、木の素材としての本当の魅力です。住み始めてから時間が経つほど味わいが増していく。
そういう家を持てることは、マンションリノベーションならではの醍醐味だと思っています。完成時が100点ではなく、住み続けるほどに育っていく家。それが木のリノベーションの本質です。
3-3. 断熱リノベとセットで考える
マンションリノベーションで見落とされがちなのが、断熱性能の改善です。内装をきれいに仕上げることに意識が向きすぎて、断熱改修が後回しになるケースが非常に多い。
でも、断熱性能が低いままでは、どれだけ木の素材で空間を整えても、冬は寒くて夏は暑い家になってしまいます。快適な暮らしは、見た目の美しさと性能の両立があって初めて実現します。
マンションの場合、最上階や最下階、角部屋は特に断熱性能が低くなりやすい傾向があります。外気に接する面が多いため、冬の冷え込みや夏の暑さが室内に影響しやすいのです。こういった条件の物件をリノベーションするときは、断熱改修をセットで計画することが必須です。
壁や天井に断熱材を追加し、窓を高性能なものに交換する。この工事を内装リノベーションと同時に行うことで、費用を抑えながら快適性を大きく向上させることができます。
断熱性能が上がると、光熱費の削減にもつながります。毎月の電気代やガス代が下がれば、長い目で見ればリノベーション費用の元が取れる計算になります。性能の低い家は、住み始めてから毎月の光熱費でじわじわと削られていく。これは新築でも中古でも同じ話です。
せっかくリノベーションするなら、見た目だけでなく性能面も同時に底上げする。断熱改修をセットで考えることは、長く快適に暮らすための最も賢い投資だと思っています。
3-4. 予算の使い方に優先順位をつける
リノベーションの予算は有限です。だからこそ、何にお金をかけて何を抑えるか、優先順位を明確にすることが大切です。よくあるのが、目に見える部分、つまりキッチンや浴室などの設備に予算を集中させてしまうパターンです。設備は確かに使い勝手に直結しますし、毎日使うものだから重要です。
ただし、設備は将来交換できます。一方で、断熱性能や構造補強、配管の更新といった工事は、後から単独でやろうとすると費用が大きくかかります。
私がリノベーションの予算配分で大切にしているのは、「後から変えにくいものに先にお金をかける」という考え方です。断熱材、窓、配管、床の無垢材。これらは一度施工してしまえば長期間にわたって暮らしの質を支えてくれます。
逆に照明器具や壁紙、造作家具の一部などは、後から手を加えることも比較的容易です。限られた予算の中で最大の満足度を得るには、この優先順位の整理が欠かせません。
もう一つ大切なのは、リノベーション後の生活にゆとりを残しておくことです。予算の全てをリノベーション工事に使い切ってしまうと、入居後に家具を揃えられなかったり、予想外の出費に対応できなくなったりします。家は完成してからが本当のスタートです。
住み始めてから少しずつ家具を足したり、照明を変えたりしながら育てていく楽しみも大切にしてほしい。リノベーションに全力投球して、暮らしに余白がなくなるのはもったいないと思っています。
3-5. 物件選びを間違えなければリノベは愉しい
ここまで選んではいけないマンションの特徴や、物件選びで確認すべきことをお伝えしてきました。少し怖くなった方もいるかもしれません。でも、伝えたかったのは「マンションリノベーションはリスクが高い」ということではありません。
物件選びさえ間違えなければ、マンションリノベーションは本当に愉しいものです。自分たちの暮らしに合わせて空間を自由に組み替えていく作業は、新築にはない魅力があります。
素性の良い物件と出会えたとき、設計者との打ち合わせはとても豊かな時間になります。この壁を取り払ってリビングを広げましょう、この窓の前に造作のカウンターを設けましょう、床は栗の無垢材にしましょう。そういった会話が一つひとつ積み重なって、世界にひとつだけの空間が出来上がっていきます。
既製品の組み合わせではなく、自分たちの暮らしのために設計された家。その愉しさは、物件選びを丁寧に進めた先にある報酬だと思っています。
マンションリノベーションは、正しい順番で進めれば必ず良い結果につながります。まず暮らしのイメージを固める。次に設計者と一緒に物件を探す。素性の良い物件が見つかったら、性能と意匠を両立したリノベーションを丁寧に設計していく。この順番を守るだけで、後悔のリスクは大きく下がります。
焦らず、慌てず、一つひとつ丁寧に進めてください。そうして完成した空間で過ごす毎日は、きっと豊かなものになるはずです。
まとめ
マンションリノベーションを検討している方に、この記事で最もお伝えしたかったことは一つです。リノベーションの成否は、工事の内容や素材選びよりも前に、「どの物件を選ぶか」でほぼ決まってしまうということです。どれだけ腕の良い設計者が関わっても、どれだけ良質な素材を使っても、物件そのものに問題があれば理想の暮らしには近づけません。
内装は変えられます。でも建物の骨格、耐震性能、管理状態は、個人の力では簡単に変えることができません。だからこそ、物件選びに真剣に向き合ってほしいのです。
選んではいけないマンションの特徴として、この記事では3つをお伝えしました。
一つ目は旧耐震基準の物件です。
1981年以前に建てられた建物は耐震性能が現在の基準を大きく下回る可能性があります。
二つ目は管理組合・修繕積立金が機能していない物件です。
修繕積立金の残高が少ない物件や長期修繕計画が策定されていない物件は、将来に大きな一時金負担が発生するリスクがあります。
三つ目は壁式構造による間取り変更の制約です。
木のリノベーションで空間を大きく開放したいと考えている方にとって、壁式構造の物件は根本的な制約になります。この3つは購入前に必ず確認してください。
これら3つの特徴に共通しているのは、「見た目では判断できない」という点です。きれいにクリーニングされた室内、陽当たりの良いリビング、整った共用部分。こういった第一印象の良さに安心してしまうと、本当に確認すべきことを見落とします。
だからこそ、物件探しの段階から建築のプロを巻き込んでほしいのです。不動産屋さんだけに頼るのではなく、設計者と一緒に物件を見ることで、表面からは見えない問題を事前に把握することができます。物件が決まってからリノベーション会社に相談するのではなく、物件を探す段階から一緒に動いてもらう。この順番がとても大切です。
素性の良い物件と出会えたとき、木のマンションリノベーションは本当に愉しいものになります。無垢材や自然素材を取り入れることで空間の印象は大きく変わり、断熱改修をセットで計画することで見た目の美しさと暮らしの快適さを同時に手に入れることができます。
予算の使い方にも優先順位が必要です。目に見える設備や仕上げだけに予算を集中させるのではなく、断熱材や配管など後から変えにくいものに先にお金をかける。この考え方が、長く快適に暮らせるリノベーションの土台になります。
物件選びさえ間違えなければ、マンションリノベーションは新築にはない豊かな可能性を秘めています。まず暮らしのイメージを固める。次に設計者と一緒に物件を探す。素性の良い物件が見つかったら、性能と意匠を両立したリノベーションを丁寧に設計していく。
この順番を守るだけで、後悔のリスクは大きく下がります。焦らず、慌てず、一つひとつ丁寧に進めてください。そうして完成した空間で過ごす毎日は、住み続けるほどに味わいが増し、きっと豊かなものになるはずです。
家づくり百貨のマンションリノベーション動画
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