水戸工務店代表の小林弘典です。
前回お送りした「基礎断熱の計算方法の変更」について、
読者の方から感想のメールをいただきました。ありがとうございます。
医療関係のお仕事をされている方からで、要約するとこんな内容です。
本当に良い仕事をする職人に頼むなら、
素人であるお客さんが数値や性能を細かく気にする必要はないのではないか。
信用できる人に依頼して、あとは任せておけば大丈夫、、、
以前はそういう価値観でやってこられたのに、
いつの間にか疑ってかかるのが当たり前になってしまったのは残念だ。
数字でしか信頼関係を築けないようでは先細りではないか。
そして最後に「水戸工務店さんは信用できると考えています」と添えてくださっていました。
本当にうれしい言葉です。
■「任せておけば大丈夫」は、本来いちばん幸せな形
正直に言うと、私もこのご意見には日本人としてうなずくところが多いです。
お客様が細かい数字を気にせず、安心して任せていただける。
職人はその信頼に応えて、黙っていい仕事をする。
それが本来いちばん幸せな関係だと思います。
ただ、残念ながら今は「性善説」だけでは成り立ちにくい時代になってしまった、
というのも現実です。
■4号特例の見直しが物語ること
建築の世界で象徴的なのが、2025年4月の建築基準法改正で行われた
「4号特例」の見直しです。
これまで木造2階建てなどの一般的な住宅は、建築士が設計・監理していれば、
確認申請の際に構造などの審査の一部を省略できる仕組みになっていました。
「建築士がきちんと確認しているはず」という信頼を前提にした制度です。
ところが実際には、その確認が十分にされていない建物や、
ずさんな設計も少なくありませんでした。
省エネ化で建物が重くなることへの対応も重なり、
今では一般的な2階建て住宅も構造や省エネの図書を提出して
審査を受ける形に変わっています。
言い換えれば、「信頼に任せる」仕組みが、
守られなかったことで見直されたとも言えます。
■「親戚に任せると失敗する」の本当の意味
家づくりの世界では、今でも「親戚の大工さんや建築屋さんに頼むと失敗する」
という話を耳にします。
親戚だから遠慮して言いたいことが言えない。
気づけば相手の都合のいいように進められてしまった、、、そんな例です。
これも、「任せておけば大丈夫」が裏目に出てしまった形かもしれません。
でも、お施主様だって本当は任せたいと思っている方が多いはずです。
家づくりは分からないことだらけですし、
プロに安心して任せられるなら、それに越したことはありません。
それでも任せきれないのは、「心配だから」。これが本音ではないでしょうか。
■数字は、信頼の"代わり"ではなく"土台"
だから私は、数字を「信頼の代わり」ではなく「信頼の土台」だと考えています。
断熱性能や耐震等級の計算結果は、私たちがお約束したことを、
お客様が確かめられる共通の言葉です。
「ちゃんとやっています」を口だけでなく形で示せるからこそ、
「この人たちなら任せても大丈夫」と思っていただける。
数字を細かく追いかけてほしいのではなく、
安心して任せていただくための材料として、きちんとお見せしたいのです。
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