凰建設の森です。
昨日、本年度のPTAの
引継ぎが終わり、いよいよ
お役御免が近づいてきました。
と言ってもコロナのせいで
この2年間、何も行事が出来ず
事業仕分けみたいな事を
やって終わった感じです。
建築物の省エネに関する議論でも
同じ事を感じますが、
自分の身の回りに、10人程度の
賛成者がいると、それでもう、
世の中のみんながそう思っている
という風に思ってしまいがちなのが
人間という生き物です。
PTAの役員をやる人は、
やる気のある人が多いです。
みんなを巻き込み、
子ども達の為に頑張ろう。
その思いは素晴らしいです。
しかし、本来大多数の人は、
そういう事はやりたくない。
自分の負担が増える事は嫌。
手間がかかることは嫌。
巻き込まれたくない。
その気持ちを理解できずに、
やる気のある人たちだけで
突っ走ってしまいますと、
必ず軋轢が生じます。
PTAであれ、家の省エネであれ
どちらの立場の人にも、
それぞれの思いと正義がある。
誰もが納得する着地点なんて
あり得ませんが、それを理想とし
あらゆる可能性を模索し続ける。
粘り強く交渉するなんていう
言葉がありますが、まさにそれ。
取り残される人が最も少なく
なるような仕組みを作る。
それが大事なのかなと思います。
しかし現実は上手く行かない。
例えば200人中190人が納得。
10人が取り残されたとします。
人間は10人の同意見がいたら
「みんなそう思っている」
になってしまいますので、
納得できない訳ですね。
民主主義とは、、、
という事をよく考えさせて
いただける貴重な機会でした。
PTAは終わった事ですが、
これから始まるのが、
とある自治体の住宅リノベ用
テキスト作成になります。
全国に先駆けて独自の新築の
断熱基準を作られた自治体さん。
今度はそのリノベ版を作る。
いつもリノベリノベと
言っていたからか、
お声がけを頂き私も
テキスト作成メンバーの
末席に加えていただいてます。
これがまた大変。
一から作ることができる
新築と違い、リノベでの
性能向上は難易度が
比にならないほど高いです。
どうしても処理しきれない
部分も出てくるため、
100点を諦めて70点を
目指す箇所も出てきます。
どこまでしっかりやって
どこまであきらめるかの
さじ加減を間違えると
結露などの事故につながる。
そもそもリノベで100点の
施工をするのが大変すぎる。
容易に想像できるのが、
「そこまでやるなら
建て替えたほうが早い」
という実務者さんの意見が
噴出すること。
恥ずかしながら
私も以前はそう思ってました。
勿論救いようのない家もある。
しかし、多くの家は、
直そうと思えば直せる。
新築が日に日に高くなる今
日本も遅ればせながら、
海外のようなリフォームが
主流の時代がやってきます。
その時に性能向上リノベの
技術が無い会社さんは
時代についていけない。
地域の中小工務店が、
地域の建物の維持管理を
担わなくてはならない時代は
もう視界に入ってきています。
救いようのある建物
という前提であるならば、
建て替えるより高くつく
リノベなんて無いです。
建築会社が楽をしたいから
建て替えを勧めるだけ。
既存の建物をそもそも
生かそうと思っているか
という価値観の有無は重要。
そもそものマインドセットが
新築思考なのであれば、
使える建物をどんどん壊す。
社会にとっても、家の持ち主に
とっても、損失が大きい。
そうじゃないよ。
使えるかどうかを慎重に判断し
使えそうな建物を使うことで
地域が豊かになるんだよ。
というのが改修版テキストの
メッセージになるかと。
良質な新築の普及。
良質なリノベの普及。
これは社会が良くなる両輪です。
今後はテキストの校正作業、
印刷製本、そして講習の開始と
プロジェクトが進んでいきます。
その自治体で成功事例を作り、
岐阜に輸入するというのが
私の目論見です。
だから、この取り組みは
何としてでも成功させたい。
今年頑張りたい事の一つです。
社会全体で救える建物が
多くなればなるほど、
多くの人が住宅に余計なお金を
掛けずに済んでいきます。
土地を買って家を建てるより
実家の離れなどの空き家を
直して住めるなら、人生で
数千万円の余裕ができます。
それだけあれば、老後も安心。
家を建てるばかりが、
住まいを手に入れる方法では
ありません。
是非、そちらも
考えてみてくださいませ。
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