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株式会社あすなろ建築工房

ロックウール断熱材が無くなる?

こんばんは。
あすなろ建築工房の関尾です。

本日は大晦日ですね。
あすなろ建築工房は一昨日が仕事納めで、社員全員で事務所や作業場の大掃除をして、夜に忘年会で締めとなりました。

今年一年は、いろいろと目まぐるしく変わる一年だったと思います。
新型コロナの感染防止が1年で終わらずに2年目に突入し、その余波もあって住宅業界も大きく変わりました。
都市居住の価値観が変わり、横浜近郊での一戸建てを希望される方が大変多くなりました。
そんなこともあって、大手建売業者が今まで目もくれなかった駅から遠いある意味利便の悪い土地も買いあさるようになり、土地の価格も2割位上がってしまいました。
そして皆さんご存じの通り、今年に入ってからは「石油高に伴う石油製品と送料のアップ」「ロシアウクライナ関係に伴うロシア材、ヨーロッパ材の高騰」そして「円安に伴うあらゆる建設資材の高騰」と続いてしまいました。
今年だけで建設費用が1割以上上がってしまっています。
昨年から考えると2割以上になってしまいました。

先の通り土地の価格も上がっていますので、横浜エリアで土地から家づくりをお考えの方にとっては、2000万円位総費用が増えてしまっている感じです。
そのために家づくりの計画を延期したり、あきらめざるを得ない方も出てきてしまいました。
我々としても心苦しい一年となりました。

そんな厳しい状況ではありましたが「あすなろ建築工房で家づくりをしたい」とご依頼を引き続き頂いており、本当に本当にありがたいことです。
改めて感謝申し上げます。

しかし来年もまだまだ厳しい状況が続くものと思います。
皆様もご存じの通り、大手銀行が揃って住宅ローンの固定金利を引き上げました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/Za7iBlxL76IGeE
https://asunaro-studio.jp/l/m/OJOnf8jSjf9AL9

今回の引き上げは固定金利のみとなり、変動金利はそのままで大きな動きはありませんが、記事にもあるように日銀が金融緩和策を転換して短期金利が上昇すれば、変動金利も上がってくることは十分に考えられます。
変動金利か固定金利が判断がますます厳しくなってくるものと思います。
これから家づくりが本格化するという方は、御家庭の状況に合わせて、目先にだけにとらわれずに、長期を見据えてご判断いただければと思います。

さて本日の本題に。
先日、業界関係者の方から情報頂きました。

ロックウールの製造メーカーの大手であるニチアスがロックウールの製造を中止するとのこと。
https://asunaro-studio.jp/l/m/CJNRtXeBMJsc6T

連結子会社ではありますが、ニチアスの住宅用ロックウールを製造している君津ロックウールが生産停止になるとのこと。

と言うことで本日は「ロックウール断熱材が無くなる?」の話をしたいと思います。

ロックウールはグラスウールと同じような性能を有していて、住宅の断熱材として広く使われています。
古くからある材料でもあるので、大手の老舗ハウスメーカーが標準仕様としているところが多いように感じます。

性能的にも物性的にもグラスウールと似たものです。
関東地方ではグラスウールより価格がちょっとだけ高いという位の感じで、性能や扱い方はグラスウールとほとんど同じと見てよい材料です。
ロックウールとグラスウールの違いを調べてみたら、クオホームの本田さんのブログが出てきました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/zAPINIVxy3XisS

さすが本田さん、しっかり分析して書かれてますね。
違いを知りたい場合は、上記本田さんのブログを是非ご覧ください。

そのロックウールですが、建築の断熱材としてのシェアがどのくらいか調べてみました。
こちらにありました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/Ch3UQzipVqxKmJ

2022年度で見てみると、全体の15%位のシェア率です。
1位がグラスウールで、2位が硬質ウレタンフォームで、3位がロックウールでした。
4位が押出法ポリスチレンフォーム、5位がセルローズファイバーとなるようです。

話題となっている、ニチアスの子会社の生産量が気になり、調べてみるとここの8ページ目にありました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/avNpl5OEnuarny

住宅全体で53,840トンの生産量のうち、3,000トン×12か月=36,000トンがニチアスの子会社の君津ロックウールとのこと。
全体の67%になります。
ロックウールは製造機械などの断熱材などにも使われているので、住宅用はそのうちの24%だけなので、住宅用断熱材を作っていた君津ロックウールが生産停止するとなると、業界で流通していたの7割のロックウールが無くなるということになります。

先のお話した通り、大手の老舗ハウスメーカーの多くが標準仕様としていたので、15%のシェア率の7割分なので、業界の断熱材の1割分の断熱材が入れ替わることになり、業界の混乱は避けられないものと思います。
おそらくですが、大手のメーカーさんにはすでに情報が入っていたと思うので、すでに手は打ってあるとは思いますが、その余波は必ず小さな工務店などにやってきます。
代替品となると思われるグラスウール断熱材の製品不足が起こるのではないかと思われます。
グラスウールメーカーが増産の体制で対応していただけるといいのですが、私どものようにグラスウールでの断熱材中心で家づくりしている住宅会社においては、しばらく製品の在庫状況を注意しておく必要がありそうです。

メーカーが採算不振で撤退していくことに不安も感じます。
断熱材って、昔から流通コストが悩みの種でした。
「空気を運んでいるようなもの」とも言われていました。
製品価格の割に嵩張るので、流通コストがどうしても高くなってしまいます。

そんなこともあって、現場発泡のウレタンフォーム断熱が近年勢力を伸ばしてきています。
現場発泡ウレタンフォームのメリットデメリットについては、前回メルマガでお伝えした通りです。

ロックウールは、鉄工所の高炉から出る高炉融解スラグを原料としています。
数年前にこの高炉でトラブルがあり、ロックウールやダイライトが生産できなくなるという事件がありました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/mqz5mjcjk7pC9g

今となっては懐かしい話ですが、当時は相当混乱しました。
もしかしたら、こんなこともあって、材料供給においての不安などもあっての製造中止判断なのかもしれません。

これから住宅業界は人口減も伴って、需要が衰退していく産業となります。
他のメーカーにおいても生産中止や撤退という判断がなされていく可能性も十分にあり、改めて今後注意が必要と思います。

本日は、「ロックウール断熱材が無くなる?」のお話でした。

さて、今回が今年最後のメルマガとなります。
私のこのメルマガは2000名以上の方にお読みいただいています。
業界関係者の方もご覧になっている方も多いようです。
家づくりをご検討中、リフォームをご検討中の方だけでなく、業界関係の皆様の情報源としてもお役に立てているとのこと。
私の思い付きの話だけでなく、しっかりとエビデンスの取れた正しい情報を皆様にこれからもお届けしていきたいと思います。

今年一年ありがとうございました。
来年も頑張りますので、引き続きお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。

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