短パン半そでの楽しい暮らしを実現するぜ!
【たぶん日刊】
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うまくいかない相続
今週は、外に出ているのに、
ずっと胸の奥が重かった。
街は年末らしく賑やかで、
ショーウィンドウには温かな灯りが
並んでいるのに、私たちだけが
そこから少し取り残されているような
気がした。
来週――夫のおばあさんの家
を相続するための親族会議がある。
そのことが、
まるで靴底に入った小石みたいに、
歩くたびに思い出させる。
夫も、いつもより言葉が少なかった。
「元気ない?」と聞けば
「うん、ちょっとな」と返すのに、
理由を深く言わない。
それが余計に、空気を固くする。
気づけば、会話が止まる。
沈黙の隙間に、
私の想像が勝手に入り込んでくる。
――話は、難しい方向へ行く。
そんな予感が、ふたりの間を
静かに満たしていた。
そもそも、始まりは希望だった。
夫が本社勤務へ転勤になり、
賃貸を渡り歩く生活に区切りを
つけようとした。
「もう、そろそろ故郷に住もうか」
そう言って、私たちは家探しを
始めたばかりだった。
そんなとき、夫が誰よりも
可愛がられていた祖母が、
見晴らしの良い老健ホームを
いつの間にか契約していた。
そして、私たちが暮らしを
探していることを知ると、
さらりと、けれど確かに言ったのだ。
「ここ、あなたたちに譲ろうと思うの」
街の中で便利な場所。
子どもたちの通学にも不自由がない。
私の頭の中で、生活の輪郭が
一気に立ち上がった。
夫は嬉しすぎたのか、
祖母を抱きしめていた。
祖母は驚いたように笑って
けれど少し照れくさそうに目を細めた。
その瞬間、私たちはもう
“そこに住む未来”を
受け取ってしまった。
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