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株式会社あすなろ建築工房

「雨のみち」を考える

こんばんは。

あすなろ建築工房の関尾です。

先日、設計事務所・工務店仲間の
COMODO建築工房さんが
設計施工された小さな平屋の家が
完成したとのことで、
拝見させてもらってきました。

拝見したお家はこちら。
https://asunaro-studio.jp/l/m/k8Qj5sYOv6tUAA

お一人住まいを予定されている
オーナーさんから
「とにかく小さくて構わないので、
上質な空間が欲しい」
というご要望があって、
小さな16坪の平屋で
ご提案したとのこと。

なるほど、小さくても
上質な空間が広がっていました。

居心地が良くて、
長居をしてしまい、
窓から見える夕暮れの様子も
堪能してきました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/uTnS8gpOYoIk7M

敷地に対して余裕がある
建物の大きさなので、
軒をしっかりと深く出し、
雨どいを付けずに、
そのまま下に雨の雫を落とす
計画になっています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/PFyUqDI7LqhCU7

敷地が広い場合には
このように雨樋を設置しない
計画とすることも出来ます。

ということで、
本日は「雨樋」繋がりで
「雨のみち」について
お話したいと思います。

家づくりにおいては
「雨のみち」を考えることも
とても大事です。

「雨のみち」を考えるとは、
屋根に降った雨を適切に
屋根から地上へ、
そして敷地外へと排水する
雨水排水計画のことです。

家にとっての「雨のみち」とは、
まずは「雨樋」が思い浮かびます。

屋根の面積を測り、最大雨量を調べ、
横樋と竪樋の大きさを計算します。

必要に応じて横樋の大きさを選定し、
竪樋の大きさと本数を決めます。

地域によって雨水の処理方法は違い、
汚水と合流して流す地域、
汚水とは分けて流す地域、
敷地内に浸透させる地域など様々です。

これが雨水排水計画の基本となります。

雨樋は家の外部に
設置されるものなので、
外観のイメージをとても左右します。

意匠設計に携わる身にとっては、
雨樋は避けては通れない部分であり、
しっかり考えて設計しないと
家のイメージを台無しに
してしまうものなので
とても気を使います。

ハウスメーカーさんや
大手ビルダーさんなどは
「雨樋をどう落とすか」などは
現場(下請け)任せとなっていて、
設計段階では
「雨樋がどう見えるか」については
なにも考えていないということが
よくあります。

雨樋を語る上で
まず最初に材料の話を
したいと思います。

雨樋に使われる材料としては、
塩化ビニル(塩ビ)、ガルバリウム、銅
などが主流となります。

他にもアルミやステンレスなども
ありますが、ほとんどがビルや
施設建設用のものなので、
本日は詳しい説明は割愛します。

ちなみにアルミやステンレス製の
雨樋は値段もめちゃくちゃ高いです。

日本の家に使われる雨樋の
9割以上が塩ビ製の雨樋が
使われています。

それはなぜか?

安いからです。

塩ビの雨樋で有名なメーカーがここ。
https://asunaro-studio.jp/l/m/onDon4tqAGvWOd

ほとんどの家の雨樋は塩ビ製ですが、
これが家の耐久性を低下させている
第一原因とも言えます。

新築後5年位の間は、
塩ビ製の雨樋でも問題は無いのですが、
塩ビは10年もすると
紫外線劣化し、色があせるだけでなく、
固くなってきます。

固くなってしまうと、
台風時など強風であおられた場合に、
曲がったり、外れてしまったり、
割れたりしてしまいます。

事例の写真はこちら。
https://asunaro-studio.jp/l/m/TSCU22faVhNJ40

こんな家をよく見かけますね。

しかし、これを放置しておくと、
家には大きなダメージを与えます。

軒先から雨樋に雨がきれいに
流れ込まないと、軒裏に跳ねが生じ、
軒先を腐らせます。

雨樋に葉っぱなどが詰まって
しまっている場合も同様です。

軒先から壁に水分が徐々に伝わっていき、
2階の壁の内部が腐朽菌や
シロアリの標的となってしまいます。

竪樋が外れていると、
大量の雨水が家の出隅部分の
表面を流れることになります。

出隅って実は家にとっては、
弱点部分だったりします。

出隅外壁の内部に雨水が
浸透してしまうようなことになると、
構造的にも大事な隅の柱が
腐朽菌やシロアリの
標的となってしまいます。

繰り返しとなりますが、
雨樋は屋根に降った雨を
確実に地上に流すという
大事な役目があります。

曲がったり、割れたり、
外れたりしたら、
すぐに直してあげないといけません。

そんな大事な部分なので、
対候性の高いものを
使う方が望ましいです。

対候性の高い素材は、
前述のガルバリウムや銅となります。

ガルバリウム雨樋は
この数年の間に設計事務所や
真面目な設計者のいる工務店などで
使わるようになった素材です。

タニタハウジングウェアという
会社で造っています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/L0XxrqoVmzfgTn

あの体重計で有名な
タニタの兄弟会社です。

この会社は、まさに「雨のみち」を
真剣に考えて製品化されている
会社さんで、社長さん、社員さんともに
親しくさせて頂いております。

銅の雨樋は昔から使われています。

お寺やお屋敷で見かけるあの
緑色の樋です。

最初は銅のキラキラした色ですが、
すぐに緑青がふいてきて
渋い仕上がりになります。

残念ながらお値段は高いです。

先ほどご紹介していた雨樋の材料に
入れていなかったけど、
歴史的に大事なものがこれ。
https://asunaro-studio.jp/l/m/eHGW2iPVd8IOCz

上記の写真は、横浜市中区にある
三渓園の金毛窟という茶室です。

樋が竹で出来ています。

その昔、塩ビや銅などの
樋製品がない時代は、
樋と言えは竹でした。

半円形の形をしていますから、
樋としてはうってつけの材料でしたね。

その竹を使った樋です。

しかも竪樋も竹で出来ていて、
おしゃれです。
https://asunaro-studio.jp/l/m/obqzBS6rFAVnkw

横樋をそのままにせずに、
横に伸ばして、つっかえ棒のような
竹の竪樋で落としています。

見ているだけで
キュンキュンしてしまいます。

建築好きな人なら
分かってくれるものと思います。(^^)

竹は耐久性としては
あまり長くはありません。

数年で劣化してしまうので、
こまめに交換する必要があります。

素材自体はとっても安い
(タダでも手に入れられる)ので、
簡単に取り換えられる部分には
竹を使うこともいいですね。

そして、雨樋には
「横樋」と「竪樋」があります。

「横樋」は屋根の先端についている
水平の部材で屋根に降った雨を
集める役目があります。

「竪樋」は「横樋」から地上に
雨水を移動させる役目があります。

屋根に降った雨を確実に
敷地外に排水しなければならず、
家にとってはとても大事な設備となります。

「横樋」には、実はいろいろな形があります。

半丸、角、ミックスなどがあります。

半丸は、よく見るタイプですね。

角は意匠的に格好をつけたい時に使います。

例えばこれ。
https://asunaro-studio.jp/l/m/vUXulMNBPjDPDe

半丸に比べると、お値段高くなります。

ハウスメーカーでは、
オリジナルの形の雨樋を持っている
ところもあります。

将来造られなくなったら、
部品が交換できないので困りそうです。

形は意匠的なものなので、
ちゃんと排水されれば、
どの形が良いとか言うものはありません。

板金屋さんに造ってもらうこともあります。
https://asunaro-studio.jp/l/m/7hxkzXVLtsvXU1

また葉っぱの詰まり対策をしたものや
雪の重みに耐える特殊な雨樋もあります。
https://asunaro-studio.jp/l/m/3XKhTE16uHtcTY

裏に大きな山があったりして、
雨樋の詰まりが予想される場合などに
提案しています。

「竪樋」の形は基本は「丸」ですが、
「角」や「変形」もあります。
https://asunaro-studio.jp/l/m/Nj2KI9D17oAYQ5

先にご紹介した茶室のように
「竹」をそのまま使うのもいいですね。

最初にご紹介した
COMOCO建築工房の平屋のお家は、
雨樋を設置せずに
屋根に降った雨を
そのまま垂らす計画となっています。

雨の日に「雨をそのまま眺める」
ということを考えてのことです。

広い敷地に深い軒を出し、
敷地内に雨を落とすことが
出来れば、この方法も
よい解決策と思います。

雨もわざわざ雨水排水として
側溝などに流すのではなく、
地面に浸透させる方が
そもそも自然なことですね。

有名な建築家の堀部安嗣さんも
雨樋を設置しない実例が
たくさんあります。

例えばこれ。
https://asunaro-studio.jp/l/m/UxLbPIDvnbO6ww

以前に拝見した浜松にある
診療所なのですが、
南側の屋根は敢えて
雨樋が付けられていません。

屋根の材を小波板にして、
屋根に降った雨が
縦格子のように直線状に
滴り落ちるようにしています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/J1mcIoxPhpkyQm

雨が落ちる先は、
雫で地面が掘られないように、
砂利が敷かれています。

そのまま雨が地中に
浸透していきます。  

雨粒が滴る様子を
内部の待合室から
眺められるように
設計されています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/NajALwMtpZc65S

雨が降る様子自体を
楽しむことが出来る
お家って素敵ですね。

そして「竪樋」には「鎖樋」
という種類のものもあります。
https://asunaro-studio.jp/l/m/lJJnblj7Iqwryi

いろいろな形がありますね。

鉄工所に依頼して、
ステンレスパイプを加工して
作ってもらったこともあります。
https://asunaro-studio.jp/l/m/1yieAfrezrGFsG

「鎖樋」は玄関前のポーチ屋根の
竪樋に使われることが多いです。

鎖樋にすることで、ポーチが
無骨にならずに、軽快に
仕上げることが出来ます。

六ッ川の家でも
玄関ポーチの屋根は
鎖樋にしています。

先にご紹介した
タニタハウジングウェアさんの
ensuiという鎖樋です。
https://asunaro-studio.jp/l/m/MFb4Uk2V0HwnXy

六ッ川の家でのensuiに
雨水が流れる様子の動画はこちら。
https://asunaro-studio.jp/l/m/W6FxHq8fyMuJ9o

シュルシュルと雨が流れ落ちる様子は、
見ていて楽しいものです。

「雨樋」と一言で済ますことも
出来ますが、実はとても奥が深い
世界なのです。

是非、皆さんもこれからの
家づくりの際には「雨のみち」にも
こだわって見て下さい。

本日は「雨のみち」
についてのお話でした。

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