こんばんは
先日、築16年を過ぎた住まい手さんの
お宅に全体点検に伺いました。
大型車二台が裕に並んで入るRC地下車庫
の築造から関わったお宅で、4M程の
高低差がある東西に長い敷地のため、
南側に開いたり庭を造るのが難儀な立地。
そこでダイニングキッチンを抜け感の
ある一番良い場所の東面に計画し、
リビングには北面の吹き抜けまで続く
大きな窓を配した個性的な間取り。
回遊導線を始め、日々快適に暮らして
いますと住まい手様。とにかく家自体
とても綺麗で、日々大事にして頂いて
いるのが分かる、我々にとってこの瞬間
が嬉しく苦労が報われるご褒美タイムです。
実はこのお宅は今日のテーマに
ピッタリな敷地条件でもありました。
まず、土地選びでマストな要望のフレーズが
「陽当たりの良い、南向きの家にしたい」
もちろん南に開けた土地は魅力です。
冬の日射を取り込みやすく、植栽や菜園も
旺盛で、庭も明るく計画しやすいです。
ただ、南向きだけを「正解」にすると、
目の前にある、その候補の土地の魅力を
見落としてしまうことがあります。
場所はとても良いのだけれど、南にはお隣さん
が競り建っていて、西には道路や隣宅からの
視線が気になる環境。
でも北側にはとっても素敵な見晴らしの抜け感が・・
そんな条件ならどこを主役にするか・・
その主役となる土地の魅力が、求めているもので
あれば方位は二の次となるかもしれません。
つまりは、単に「方位」だけで物件の
善し悪しは決まるわけではない。
土地の目利きは「光、景色、視線、庭、余白」
で捉えて、一番気持ちよい場所を探します。
例えたように北側に林や借景があれば、
大きな窓を北へ向けることもありました。
実はあまり知られていませんが、
「曇りの日などは北空の方が明い」
その理由は雲で乱反射により、南よりも
明るく柔らかい安定した光となって北窓
から入るため、夏でも南のような直射日光
に悩まされずに景色を楽しめたりとメリット
も沢山あります。
それに陽が当たる鮮やかな緑や山々を
見れるのも、北窓の大きな魅力です。
なので、北にLDKなどの抜けを作る
のも暮らしやすく、実は結構お勧めです。
また、東の方に抜けがあれば、朝の食卓が
気持ちよくなります。
西に遠く稜線や夕景があれば、西日対策は
要ですが、日々の楽しみにしてみたり。
ちょうどSNSにUPしている投稿記事のお宅も
東側に抜けを求めて設計したお宅です。
インスタ:https://ki-kobo.net/l/m/q72ERZkIsiCxuN
FB:https://ki-kobo.net/l/m/JGfsNszC5WIuxM
設計施工事例:https://ki-kobo.net/l/m/PkLsFMjESSoxKb
ひと昔前は、寒さや暑さを考えると、
南の日射に頼る意味が大きくありました。
でも今は、断熱や気密、窓の性能が
向上したことで、セオリーも変わり、
選択肢が多くなりました。
だからこそ、南だけに頼らない設計が
現実的になってきました。
これは流行ではなく、性能や対応策が
暮らしの選択肢を広げてくれた結果です。
庭も同じで、雑木の庭も南だけが良いもの
とは限りません。
北の庭にはしっとりした落ち着きがあり、
東の庭には朝露のきらめきがあります。
西の庭も植栽と日よけを工夫すれば、
夕方にほっとする居場所になります。
庭で大事なのは、植栽を家の添景のよう
にしないことです。
緑の恩恵はなにか?
どんな距離で緑を感じたいか?
窓の先には何が見えるか?
このように多くの要素を読み込むと、
土地の見え方随分と変わります。
南向きであるかどうかより、
求める暮らしにあるテーマに合うかどうか。
ここが土地選びの肝です。
同じ土地でも、人生の時間を情景で積み
重ねて考えると、見方が随分と変わってきます。
現地に佇み、風、音、視線、隣家や窓、高低差、
そして風景や暮らしている情景を妄想する。
優先順次第ですが、土地探しにおいては
無い物ねだりや高望みといった焦りから
少し楽になるはずです。
「南向き信仰」から一歩離れると、実は
ふさわしい土地に変わることもあります。
土地を見るときに、単に方位で善し悪しの
判断はしない。
現地に佇み、風、音、視線、隣家や窓、高低差、
そして風景や暮らしている情景を妄想する。
そして性能が高い家ほど、設計の自由度が広がり
方位の課題もカバーできる可能性が広がります。
「方位より、暮らし向きに合うか」
そんな見方で土地や環境も考えてみてください。
ではでは
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