家百マガジン

こんばんは。 あすなろ建築工房の関尾です。 先日東北地方で震度６強の地震がありました。 このメルマガで被災された方もいらっしゃるかと思います。 お見舞い申し上げます。 今回の地震では、人命に直接影響するような大きな被害はなかったようで一安心です。 とはいっても、今回の地震はそれでも震度６強でした。 過去の地震、つまり東日本大震災とその余震で近年に大きな地震を経験していることもあり、「耐震的に弱い」家がその時点ですでに被害を受けていて、今回の地震では倒壊などの大きな被害にならなかったということも十分に考えられると思います。 近年に大きな地震を経験していない地域は、今一度ご自宅の耐震診断を行っておくことをお勧めします。 ところで、ロシアのウクライナ侵攻はまだまだ終わりが見えない状況です。 業界の新聞である「日刊木材新聞」も連日その影響についての記事が掲載されています。 ３月１４日の日刊木材新聞で1面トップ記事で報じられています。 「ロシア、原木、チップ、単板など禁輸発表 西側制裁対抗措置で 合板メーカー、カラ松単板入手に苦慮」https://asunaro-studio.jp/l/m/xCxXbV2at4tyXH ロシアウクライナ侵攻を非難する「非友好国」への制裁措置として原木、チップ、単板などの林産物の輸出禁止を発表しました。 業界でも話がされているのですが、住宅で床下地や屋根下地で使われているラーチ合板の表面材には、ロシアカラマツが使われており、強度的、乾燥の具合から代替品がすぐには見当たらず、今後混乱が予想されます。 ３月１６日には、その続報で「単板禁輸での生産への影響避けられず 国産材丸太の争奪戦激化に警戒感も 国産針葉樹合板」とあります。https://asunaro-studio.jp/l/m/7u7Lz4TgTZmWZt 以前のメルマガでもお伝えしていた通り、ただでさえ足りていない国産材丸太が取り合いになり、さらなる木材価格の値上がりが現実化してきました。 そして１７日には「ロシア材商況 再値上げ相次ぐ」が掲載されています。https://asunaro-studio.jp/l/m/WJ8w0O7yz8X1uX 現時点ではロシア産の製材品の供給に影響は出ていないようですが、間違いなく今後さらなる影響が出てくるものと思います。 昨年のウッドショックからの回復を期待していた時期だけに、ウクライナ・ロシア問題は悩ましいものです。 昨年の夏から秋にかけては、ウッドショックの影響で構造材が思うように手に入らず、全国の旧知の材木屋さんにお願いしてかき集めて着工していました。 そんなこともあって、１ヵ月遅れ、２ヵ月遅れなどで、着工自体が遅れてしまったこともあって、この２月から４月にかけて竣工物件が重なってしまっています。 そんなことから、このところ、完成時の「社内検査（竣工検査）」を頻繁におこなっています。 「社内検査」とはお引渡し前に社員全員で、不具合や傷がないかのチェックを行うものです。 私たち全員で細かいチェックをしたうえで、不具合や傷の補修を行い、しっかりと仕上がった状態にてお引渡しをしています。 ということで、本日は「失敗しない竣工検査のあり方」のお話をしてみたいと思います。 まず世間一般的に、住宅の完成時にどのような検査が行われているかをお話しておきたいと思います。 住宅会社にも寄りますが、完成時の検査としては、「建築確認完了検査」「竣工検査（社内検査）」「施主検査（内覧会）」の３つになると思います。 「建築確認完了検査」とは、建築基準法に基づいた「完了検査」のことで、検査機関の検査官が行うものです。 これは確認申請図面通りに建築がなされているかを確認するものです。 「建築確認図面通りであるかどうか」を検査することであり、逆に言えばその他のことは検査対象とはなりません。 建築確認図面には、法規に合致しているのかどうかの検査ですから仕上がりや不具合までは検査されません。 次に「竣工検査（社内検査）」ですが、これは施工会社や設計者などが行い、設計図書通りに完成しているか、傷や不具合が無いかを検査、確認するものです。 そして「施主検査（内覧会）」とは、名前の通り、「施主」が自ら傷や不具合が無いかを検査、確認するものです。 住宅会社によっては、この施主検査を「内覧会」と呼ぶ会社さんもあるようです。 ネットなどで「施主検査」とググってみると「引渡し前の施主検査・完成検査の立会いと注意点」というようなサイトがたくさん出てきます。 そこには、「完成後や引渡し後、そして入居後に後悔することのないようにしっかり施主検査を行いましょう」というような記述をみかけます。 そこには「引渡し前の施主検査チェックリスト」などがあり、こと細かにチェック項目が並んでいます。 チェックリストには「排水溝の勾配」「土台と床組みの接合部の浮き」「断熱材の有無・設置状況」「給排水管の固定状況・漏水」「金物の設置位状況」「配線の整理・固定・被覆状況」「建具・扉・サッシのがたつき及び開閉時の音」「ドアクローザーの動作」「キッチン・トイレ・洗面台等の排水テスト（配管からの漏水・排水音の異常）」「引き戸と開き戸が間違いはないか」「開く方向が内側・外側、右側・左側で間違っていないか」「窓は引き違い窓なのか、上げ下げ窓なのか、縦すべり窓なのか」「足元までの掃き出し窓が腰高窓に変更されていないか（またはその逆）」「ダウンライトの数に間違いがないか」「コンセントや照明などのスイッチの数や位置、形や色などの仕様に間違いがないか」「天井裏（屋根裏／小屋裏）のチェック」「点検口からライトで照らして見える範囲に雨染みのようなものはないか」「断熱材が剥がれ落ちている場所はないか」「換気扇などにダクト（配管）はつながっているか」と、施主が自らチェックするにはなかなか難しいものがたくさんあります。 これらが出来るような一般の人はなかなか居ないのではないでしょうか。 ちなみにですが、あすなろ建築工房では、「竣工検査」として、徹底した「社内検査」を行っていますので、お客様による「施主検査」は行っていません。 社内で作成したチェックリストに基づいて、半日を使って、全社員で班ごとに分かれて、不具合や傷の有無をチェックしています。 もちろんお客様が気になる部分などがあれば、ご指摘いただくことは一向にかまわないのですが、あえてお客様にお引渡し前のお時間を頂戴しての「施主検査」は行ってはいません。 というのも、チェック漏れのない検査を行うには、前述のようなある一定程度以上の知識が必要となったり、検査するには特別な道具を要するものなどもあり、お客様自ら検査することはハードルが高いと考えているからです。 また、お客様にとってはおそらく初めての家づくりと思いますので、検査自体も初めてとなり、その判断基準もまちまちとなると思います。 棚板の小さな傷が気になる方もいらっしゃれば、床の大きな傷も気にならない方もいらっしゃいます。 お気になされる程度の差も個人差があって、お客様のご指摘内容によって、仕上がりに差が生じてしまうのも公平でないとの判断により、私たちによる少々厳しめとも思えるチェックを行うようにしています。 一方、自然素材を扱う限りは、ある程度の傷などの許容も必要であり、そのことはセミナーや見学会では随時繰り返しお伝えするようにしています。 小さな傷が気になるような方は、「自然素材での家づくりはやめたほうがよい」ともお話しています。 そのような方は、ハウスメーカーなどが使っている素材自体が呼吸をしない新建材で作られた家が向いていると思います。 新建材で出来た家は、リペア屋さんという補修専門職人が補修を行うことが可能です。 樹脂や塗料を使って、傷がまったくわからない感じで補修してくれます。 車の板金補修みたいな感じです。 一方自然素材を用いて建てた家は、小傷がたくさんつくことで全体的に馴染んできて傷自体が気にならなくなるものです。 住み始めてからは、生活によってどうしても小傷が付くものです。 その小傷にいちいち気にしていたら、心休まる場にはならないと思います。 自然素材で出来た家において、新建材と同じように樹脂や塗料で補修してしまうと、経年変化で木の色が変わったりした場合に、補修跡があとからしっかりと目立ってしまいます。 自然の木材は経年によってゆっくりと飴色に代わっていきます。 新築時の色合いで補修すると、補修部分だけが色が変わらないので、後になってから悪目立ちしてきます。 自然の木材は、小さな傷であれば、濡れ雑巾とアイロンを使って、ふやかすことで、傷を目立たなくさせることが出来ます。 また素材自体に厚みもありますので、表面を削ることで傷を消すことも可能です。 しかし、補修するには限度もあります。 自然素材の場合は、ある程度の傷を許容し、傷がたくさんつくことで目立たなくなることを期待するおおらかさが必要となります。 もちろん、お客様のおおらかさを期待して、いい加減な養生で「完成時点ですでに傷だらけ」ではいけません。(^^; しっかりと養生を行って、傷が付かないように出来うる限りの注意を払って施工しています。 社内検査では、社内のスタッフからいろいろと指摘を受けてしまうものですから、現場の担当者にとっては社内検査の前日などは大変です。 指摘が少しでも少なくなるように、現場の担当者や設計者は、担当大工と一緒にセルフチェックを重ねることになります。 結局のところ、社内検査でチェックが一番厳しいのは私のようです。^_^; こうして、社内検査を経て、しっかりと不具合や傷を確認して、お引渡しをしております。 また、もしも竣工検査でチェックしきれなかたったことがあったとしても、アフターメンテナンスがしっかりされるのであれば、後からでも不具合を確認することは出来ます。 「引き渡したから後のことは知りません」って住宅会社さんだとしたら、そこは辞めておいた方がよいと思います。 建売業者さんの場合にはそのような姿勢の住宅会社さんであることも多いので、先のような多くのチェックリストに基づいて、引き渡し時にしっかりチェックする必要が出てきてしまいます。 ちなみにですが、あすなろ建築工房では竣工後、1年・3年・6年・9年（9年以降はご希望に合わせて）に定期的に検査にお伺いしています。 もちろん上記以外にも、なにか不具合があればすぐに駆け付けています。 そして、ホームページにも記載していますが、設計や施工のミスから生じた不具合については、何年経とうが、責任をもって無償で補修させていただいております。 あっ、なんかポジショントーク的な終わり方になってしまいました。(^^; けど、プロとして仕事している限りは、何年経っても責任を感じ、そして「自分のケツは自分で拭く」ことが大事であると考えます。 結局は「信頼できる相手を選ぶこと」に尽きます。 信頼できる相手を選ぶことが出来たら、後は任せてしまうのがよいと思います。 これから家づくりを行おうと考えている方は、是非、信頼できる任せられる相手を見つけていただければと思います。 以上、「失敗しない竣工検査のあり方」についてのお話でした。

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