家百マガジン

こんばんは。 あすなろ建築工房の関尾です。 昨日は横浜市は開港記念祭で、小中学校はお休みでした。市内の各地で花火が上がる他、みなとみらいのイベント会場では、ドローンショーなどもあったようです。https://www.youtube.com/watch?v=iIBxbQSP6Aw残念ながら私は見ることが今年も出来ませんでした。(^^;横浜市民の方は、ご近所の花火をご覧になられた方も多かったことと思います。 さて本日は「外構工事で失敗しないために」というお話をしたいと思います。 先日「失敗した自宅の外構についてのアンケート」という記事を拝見しました。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000088951.html築５年の注文住宅に居住中の25歳～45歳の498人を対象に「失敗した自宅の外構」について調査されたものです。 まず６割の方が「失敗した」と答えられていることに驚きです。その失敗した事例の上位が・天然芝・玄関前の階段・狭い駐車スペース・オープン外構・シンボルツリー・シンプル過ぎるアプローチ・ウッドデッキ・滑る素材のアプローチなどでした。 アンケート内に解説がありますが、これらについて私なりに解説したいと思います。 まず「天然芝」についてですが、大きな敷地の際に採用することが多いグランドカバーとなります。小さな敷地の場合には、芝にするほどの余裕がない場合も多いのですが、大きな敷地で庭の面積が大きい場合に広い庭を土のままにしてしまうと雑草に悩むことになりますので、芝を提案しています。雑草でモサモサになってしまって雑草の手入れに悩むよりは、芝の手入れの方が楽と考えてのことになります。とはいっても芝はお手入れがそれなりに必要になります。夏場は水やり、雑草抜き、芝刈りのお手入れが必要となるものです。このお手入れを嫌がって、コンクリートで固めてしまっては、味気はないし、夏は外部が暑くなり、冬は冷たい床になります。「がんこマサ」のような、真砂土での土壌改良もありますが、費用はそれなりにかかりますし、それでも雑草は生えてきます。広い庭の対応策としては、天然芝は「芝刈り」さえすれば何とか維持が出来るので、選択肢としてはアリだと考えています。普通の芝と比べるとお高いですが、トヨタが開発した省管理の芝というものもあります。https://www.toyota.co.jp/tm9/ 「玄関前の階段」についてですが、これは敷地条件に大きく関わってきます。道路から玄関までの位置関係で考え方も変わります。距離があって、空間に余裕がある場合には、六ッ川の家のように、デッキで持ち上げた玄関にし、手前の土間に駐輪スペースを設けることをお勧めしています。https://www.asunaro-studio.com/wp-content/uploads/2022/01/a92f8be619929c28dfd5834af5697888-scaled.jpg当然ながら家の１階の床は地盤面から60cm程度は高い位置になります。どこかで階段を設けなくてはならないものです。家の中で段差を設けるか、外で設けるかは、住まい方にも寄ってきます。現時点で車いす生活をされている方は仕方のないことですが、車椅子を使用していないのに玄関前をスロープにしてしまうと逆に使いにくいことにもなるので注意が必要です。 「狭い駐車スペース」についてですが、建売住宅などでは「停められればいい」って感じで、極端に狭い駐車スペースのお家を見かけることがあります。このような方が、アンケートでご不満を持たれているのではないかと思います。とはいっても駐車スペースについては、首都圏ではなかなか難しい問題です。敷地が広ければ、広い駐車スペースにすればよいことですが、都内や横浜周辺は土地価格も高いこともあって、十分な広さの駐車スペースを確保できない場合も多くあります。とは言っても、何度も切り返しをしなければならなかったり、乗り降りにも苦労するような駐車スペースは問題です。プランニングをする際には、まず最初に駐車の仕方を考えることから始めます。駐車場を考えてから、建物配置を考えることが大事です。敷地条件的には、駐車の効率と建物配置の優先順位を考えて、敢えて駐車スペースを小さくすることもあります。とはいっても、使い勝手も大事なので、そこはいろいろと工夫もしなければならないところです。小さな敷地でなんとか駐車場を確保するために、１階部分を凹ませて計画した事例などもあります。https://www.asunaro-studio.com/wp-content/uploads/2022/06/07e7f4d9f8257b0885fc6e0d5825c1b8.jpg駐車スペース一つにしても、しっかり検討して、考えられる策を考えておく必要があります。 「オープン外構」についてですが、これは立地条件に拠ってきます。人通りが多かったり、前面道路が狭い場合には、オープン外構とはせずに、目隠しフェンスなどで、目線と防犯をしっかり確保する必要があります。一方、閑静な住宅地で、前面道路も十分な幅がある場合には、柔らかな樹木での目線の遮りだけで、境界を確保することも抜けの良い空間を確保することが出来ます。もちろん近隣や歩行者からの目線をしっかりと切って、プライベートな空間を確保した上での話となります。立地条件に応じて、使い分ける必要があります。建売住宅の場合に、コスト削減のためにオープン外構にしている例が多いので、「失敗した」と思われている方は、人通りが多かったり、前面道路が狭いにも関わらず、オープン外構にしてしまっているお家をご購入された方なのではないかと思われます。 「シンボルツリー」についてですが、シンボルツリーの選定に問題があったためと思います。これも建売住宅によくあるものですが、安価な成長の早い樹木を植えている例ではないかと思います。成長のやはり樹木はもともとの苗木の価格も安いものです。成長が早いので安いのです。成長が早いということは、常に手入れが必要になります。葉っぱもよく落ちます。花や実が落ちて床のコンクリートを汚してしまうものもあります。シンボルツリーを植える際には、常緑と落葉の違い、成長のスピード、樹形の形、実の付き方、花の咲き方、イメージする高さなどをしっかりと考えて、選定する必要があります。安易な樹木選定をしてしまったために「失敗した」と思われているのではないかと思います。 「シンプル過ぎるアプローチ」についてですが、これも建売住宅の弊害なのかと思ってしまいます。コストダウンのために殺風景なアプローチとなっているお家がたくさんありますね。道路から玄関までのアプローチ空間は、ある意味で「家の顔」となる部分です。玄関を開けるまでの間に「ワクワク」を感じることで、「家に帰る喜び」なども得られます。どんなに狭い敷地でも、このアプローチ空間については、少しでも樹木を植えて、「家の顔」として設えていただきたいと思います。 「ウッドデッキ」についてですが、これは二つの観点での「失敗」ではないかと思います。一つ目は「居心地の悪さ」ではないかと思います。ウッドデッキを作ってみたものの、「実際にはそれほど使う機会がない」、周辺からの目線が気になって「目線が気になって使えない」、ということではないかと思います。周辺からの目線をしっかりと切って、ダイニング空間の延長として落ち着ける場所に出来ていないためのものです。目隠し壁や樹木を用いて、しっかりと外構計画が出来ていなかったためのものと思います。そして二つ目は、使用する材料についてだと思います。ウッドデッキに使用する材は様々です。ランニングしていると、デッキには不向きなホワイトウッドやレッドウッドなどの安い材で作られているものを時折見かけます。これらの材は塗装をしていたとしても3年持たずに朽ちてしまいます。または、人工木などの樹脂材を用いている場合、夏は熱くてデッキに載れないなどもあると思います。ウッドデッキはメンテナンスも必要であり、居心地の良さも必要となるものなので、安易に設置するものではないものです。しっかりと設計段階で計画できていなかったために「失敗」してしまったのではないかと思います。 「滑る素材のアプローチ」ですが、これは床面にタイルを採用されたのではないかと思います。イメージ先行でタイルを選ぶとこのようなことが起こります。タイルには内部専用、外部用、内外兼用のモノがあります。外部で使用するタイルには、防滑加工がされています。雨がかかる部分には、この外部用のものを使用することになります。防滑加工は表面に骨材が塗布されているのでザラザラした仕上げです。怪我してからでは遅いので、アプローチは滑りにくい素材にしなければならないです。ちなみにあすなろ建築工房では、コンクリート洗い出し仕上げにすることが多いです。滑りにくく、雰囲気もいいので、アプローチポーチの床仕上げにはお勧めです。https://www.asunaro-studio.com/wp-content/uploads/2022/04/CMD_3192-scaled.jpg 以上、いろいろと解説させて頂きましたが、「失敗した」と思われている方の多くは、建売住宅やローコスト住宅にお住まいされている方であったり、建物と外構を切り離して計画してしまった結果ではないかと思います。設計者が建物と外構をセットで計画していれば、すべて防ぐことが出来るものと思います。以前のメルマガでもお伝えしていますが、住まいやすい家にするためには、外構や植栽とセットで計画する必要があります。目隠しフェンスや目隠し用の植栽、日射遮蔽のための植栽など、これらは設計に不可欠な要素となります。しっかりと設計段階で、一緒に検討しておくことをお勧めします。 本日は「外構工事で失敗しないために」のお話でした。

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