家百マガジン

こんばんは菊池組・キクチです。 前回のメルマガから時間があいてしまいましたが、、 家づくり計画中の方にも、家づくりが終わった人にとっても、かなりためになる内容になりました。お知らせもあるので、ぜひ最後まで読んでください。 おととい、パッシブハウスジャパン東北支部勉強会を仙台で開催しました。この勉強会が非常に面白い内容だったので、記憶が新しいうちに一部をご紹介したいと思います。 勉強会のテーマは「東北でパッシブハウスをつくろう」 多くのパッシブハウスプロジェクトを設計やコンサルティングし、成功に導いて来た愛知県の鎌倉寿建築設計室・鎌倉さんをお招きし、PHJ東北支部リーダーである秋田の西方設計・西方さんとダブル講師。 西方さんの実物件と、セミナー参加者から募集した実物件、これをPHPP（計算ソフト）を操作しながら断熱を増やしたり窓や換気の計画を変更して、パッシブハウスレベルにしてみようという勉強会。 セミナー参加者から募集した建売住宅は…正方形平面でほぼ総２階、南には影になる建物無しという、熱的には最高の条件。 外皮性能も付加断熱＋トリプル樹脂サッシで、UA=0.27W/㎡Kと高性能。 スペックは以下のような感じ。 ・外壁／高性能GW16Kを105mm充填＋ネオマを50mm付加断熱。（一部、高性能GW16Kを105mm充填＋高性能GW16Kを105mm付加断熱）・天井／セルローズファイバーブローイング 450mm。・床／押出ポリスチレンフォーム３種 95mm・浴室等の基礎断熱／押出ポリスチレンフォーム３種 50mm・窓／樹脂トリプルサッシ APW430・玄関ドア／高断熱木製ドア ユーロトレンドG（窓なし）・換気／３種換気 これでも、かなり高性能だと思いませんか？秋田県とはいえ、建売でコレはなかなかないですよね？菊池組が設計・施工させていただき、昨年完成した賃貸住宅と同じ位のスペックです。 パッシブハウスにするためにクリアしなければならない基準のうち、暖房に関しては… ■年間暖房需要が15kW/㎡a 以下■最も厳しいピークの暖房負荷が10W/㎡ 以下※いずれかをクリア 冬季日射が少ない秋田における、この住宅のPHPPでの計算結果は、【秋田】68.5 ／ 25.0年間暖房需要（kW/㎡）／ ピーク負荷（W/㎡）こんな結果に。 これをこのまま各都市の他の気象地点に変えると、、 【札幌】80.6 ／ 31.6【青森】74.7 ／ 27.7【盛岡】73.3 ／ 25.9【秋田】68.5 ／ 25.0【山形】65.0 ／ 24.1【仙台】51.9 ／ 19.5【福島】49.2 ／ 19.7【東京】26.8 ／ 15.9※年間暖房需要（kW/㎡）／ ピーク負荷（W/㎡） これを読んでいる東北の皆さん、これが現実です。仕様が高いだけでなく、平面計画も凸凹がない総二階なので、温熱的には合理的な良いプランだったのに。 ちょっと話はそれますが、昨日、仙台からの帰り途中に、別なセミナーに参加して来ました。八戸市で開かれたので、参加者は基本的に３地域のビルダーばかり１００人位。 「等級６（＝G2）UA=0.28以下をやる事もあるよ！又はいつもやってるよ！という人は手をあげてください！」という声に手を挙げたのはパラパラ。会場を見渡すとおそらく１０人も居ないくらい。 「等級７（=G3）UA=0.20以下」を一度でもやった事あるよ、という人は手を挙げてください！」この声に手を挙げたのは私を含めて２人でした。（もうひとりは私の知人です） それが北東北の「普通」の感覚なので、UA=0.27のこの住宅は建売住宅としてはかなり高性能といえます。 外気温が低く日射が少ない地域では、ここまでやってもパッシブハウスの背中が全く見えないほど遠いというのは、今までパッシブハウスを本気でやろうと思って、PHPPで計算した事がある人でないと感じる事ができません。 この状態から、施工やコストの合理性を考えながら断熱材を増やしたり、換気の計画を変更したりして、その都度、年間暖房需要やピーク負荷の動きを確認。それを聴講者が見てる前でPHPPをライブで操作し、最終的にはこの住宅をパッシブハウスレベルまで到達させる事に成功した、という所までが勉強会の前半です。 その結果がこちら。年間暖房需要（kW/㎡）／ ピーク負荷（W/㎡）【秋田】17.5 ／ 10.1 そう、年間暖房需要でクリアするのではなく、今回は最終的にピーク負荷基準の方でクリアしたんですね。 この住宅の気象地点を東北各都市に変更すると【札幌】17.9 ／ 11.8【青森】19.0 ／ 11.4【盛岡】16.0 ／ 8.9【秋田】17.5 ／ 10.1【山形】14.6 ／ 9.1【仙台】 7.9 ／ 6.3【福島】 7.7 ／ 6.8【東京】 2.3 ／ 4.1※年間暖房需要（kW/㎡）／ ピーク負荷（W/㎡） こんな感じです。（札幌、青森ではパッシブハウスレベルには届いていません）面白いのは、仕様変更する前は【札幌】が最も年間暖房需要が大きかったのに、さらにパッシブ性能を上げて超高性能にしていくと、【青森】の方が年間暖房需要がキツくなり、逆転していること。同じ東北でも青森と仙台では倍以上の差があること。もっと性能を上げていくと、これらの差はさらに広がっていきます。 簡単に「パッシブハウスレベルの」とか「パッシブハウスクラスの」「パッシブハウス相当の」なんて言えない事がわかりますよね。そして、暖房を少なくしたり、快適性を高めるのに断熱はとても大事ですが、そのための一要素でしかない。色々な勘所があり、それは本気で学ばないとわからない、私はそう感じます。 さて、ここでお知らせですが、今回のメルマガのお話の中でチラッと出てきた、菊池組が設計・施工した平屋の賃貸住宅が、明日発売の建築知識ビルダーズの高性能賃貸特集で事例紹介されています！（今回のビルダーズは平屋特集です）他にももう１件、菊池組設計・施工で平屋の事例が掲載されています。建築知識ビルダーズはプロ向けの専門誌ですが、今回、平屋を計画されている方には役立つ内容が盛り沢山ですので、是非ご覧ください！ また、重大な告知事項が何個かありまして、近いうちにお知らせしようかな、、とは思っています。Facebook、Instagram、ブログ、メルマガ等、どの媒体でどの話を最初に、とか。そもそもいつ告知するべきかを含めて考え中です。いきなり発表するかもしれませんし、いくつかはすぐに発表しないかもしれないし。興味がある方は引き続き私のマークをお願いします。

「見学会告知（明日受付開始！）「風燕の家」完成見学会へお越しください」

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