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小上がり和室ってあり?小上がりにすると段差は気にならないのか?プロがお答えします。
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小上がり和室ってあり?小上がりにすると段差は気にならないのか?プロがお答えします。

「リビングの一角にくつろげる和の空間が欲しい」「収納も確保しながら、おしゃれな間取りにしたい」そんな願いを叶えるのが、小上がり和室です。

しかし、「段差が邪魔にならないか?」「実際に使い勝手はどうなのか?」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?確かに、小上がり和室にはメリットが多い反面、設計次第では後悔するポイントもあります。

そこで本記事では、住宅設計のプロが、小上がり和室のメリット・デメリットを徹底解説!さらに、後悔しないための設計ポイントや段差対策、活用アイデアまで詳しくご紹介します。

この記事を読めば、小上がり和室の魅力を最大限に活かしつつ、失敗しない設計のコツがわかります。自宅に取り入れるか迷っている方も、すでに導入を検討している方も、ぜひ参考にしてください!

  • 小上がり和室は収納力・空間デザインの向上に役立つが、段差や掃除の手間には注意が必要。
  • 段差の高さや配置を工夫すれば、安全性と使いやすさを両立できる。
  • バリアフリー対策としてスロープや手すりを設置することで、高齢者や子どもにも優しい空間にできる。
  • 設計前に収納・動線・家具配置をしっかり計画すれば、後悔せず快適に活用できる。
  • 小上がり和室はライフスタイルに合わせて活用方法を柔軟に変えられる、便利で魅力的な空間である。

1. 小上がり和室とは?基礎知識と特徴

引用元:姫路工務店クオホーム

1-1. 小上がり和室とは?基本の定義

小上がり和室とは、床面の一部を数十センチ高くした和室スペースのことを指します。一般的なリビングやダイニングと同じフロアレベルではなく、一段高い位置に設けられることで、空間にメリハリをつけながら、和の雰囲気を楽しむことができるのが特徴です。

小上がりの高さは、一般的に 15cm〜40cm程度 で設計されることが多く、使い勝手に応じてカスタマイズ可能です。例えば、20cm程度の高さにすれば腰をかけやすくなり、40cm程度の高さを確保すれば引き出し収納を設けることもできます。このように、小上がり和室はデザイン性と機能性を両立できる空間として、多くの住宅で採用されています。

また、小上がり和室は必ずしも「和室」としての用途に限定されるわけではありません。例えば、畳を敷かずにフローリングの小上がりを作り、読書スペースやワークスペースとして活用する ケースも増えています。そのため、小上がりのスタイルは住まい手のライフスタイルに合わせて柔軟にアレンジできる点も魅力の一つです。

さらに、小上がり和室は単なるデザイン要素としてだけでなく、収納スペースの確保という実用的な面でも大きなメリットがあります。特に、マンションやコンパクトな住宅では限られた収納スペースを有効活用するために、引き出し式の収納を取り入れる設計が人気です。小上がりの下部を有効活用することで、リビングやダイニング周りをすっきりと整理できるのも魅力でしょう。

このように、小上がり和室は単なる「和室の一部」ではなく、現代の住まいにフィットする多機能な空間として注目されています。設計次第でさまざまな活用方法があり、家族のライフスタイルに合わせたアレンジが可能です。

1-2. なぜ人気?現代の住宅事情との相性

近年、小上がり和室が人気を集めている背景には、現代の住宅事情との相性の良さが挙げられます。特に、マンションやコンパクトな戸建て住宅が主流となる中、限られたスペースを効率的に活用できる点が評価されています。リビングの一角に小上がりを設けることで、視覚的な広がりを演出しながら、和のくつろぎ空間を確保できるのが魅力です。

また、ライフスタイルの変化も小上がり和室の人気を後押ししています。例えば、共働き世帯の増加により、家族が同じ空間で異なる活動をするケースが増えています。小上がりを設けることで、子どもが宿題をしたり、大人がくつろいだりと、多目的に使えるスペースが確保できるのです。

さらに、近年は「リビング学習」が注目されており、小上がり和室はそのスタイルにも適しています。リビングにいる親の目が届く範囲で子どもが勉強できるため、集中力を高めながら安心感も得られます。また、畳の上であれば、机や椅子を使わずとも床に座って学習できるため、子どもにとってリラックスしやすい環境を作ることができます。

さらに、小上がり和室はリモートワークの場としても活用できます。新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、自宅にワークスペースを設けるニーズが高まりました。その中で、小上がり和室を仕事用のスペースとして活用する人も増えています。床に座って作業できるため、長時間のデスクワークに疲れた際の気分転換にもなります。

このように、小上がり和室は現代の住宅事情やライフスタイルの変化に適応しやすい柔軟な空間として、多くの家庭で採用されています。収納スペースの確保や、家族のコミュニケーションの場としての活用など、さまざまな利便性を兼ね備えていることが人気の理由といえるでしょう。

1-3. 小上がり和室の一般的な高さとサイズ感

小上がり和室の高さは、一般的に 15cm~40cm程度 が主流です。設計の目的や使い方によって適切な高さは異なりますが、どのくらいの段差にするかは、家族構成やライフスタイルに応じて慎重に決めることが大切です。特に、高齢者や小さな子どもがいる家庭では、安全性を考慮した高さを選ぶことが重要になります。

15cm程度の低めの小上がりは、床との段差が少なく、つまずきにくいのが特徴です。小さな子どもや高齢者でも安心して使えるため、バリアフリーを意識したい家庭におすすめです。ただし、収納スペースを作る場合は、引き出しの容量が限られるため、収納力を重視する場合はもう少し高さを確保したほうが良いでしょう。

30cm前後の標準的な高さは、腰掛けとしてもちょうどよいバランスで、多くの家庭で採用されています。この高さであれば、引き出し収納を設けることも可能で、日常的に使う物を収納しながら、リビングやダイニングをすっきりと見せることができます。特に、リビングの延長として使う場合は、30cm程度の高さが利便性と快適性の両面で優れています。

40cm以上の高めの小上がりは、大容量の収納スペースを確保できるのがメリットです。引き出しだけでなく、跳ね上げ式の収納を組み合わせることで、布団や季節物の家電などの収納にも適しています。しかし、高すぎると段差が大きくなり、昇り降りが不便に感じることもあるため、設計時には慎重に検討する必要があります。

小上がり和室の広さは、一般的に 3畳~6畳程度 が多く見られます。コンパクトな3畳の小上がりでも、家族がくつろぐスペースとしては十分機能しますし、6畳程度の広さがあれば、寝転んだり複数人が同時に使うのにも適しています。間取りに合わせて適切なサイズを選ぶことが、快適な小上がり空間を作るポイントとなります。

1-4. 畳との組み合わせによる快適性

小上がり和室をより快適な空間にするためには、畳との組み合わせが重要なポイントになります。畳はクッション性があり、裸足で歩いたときの感触が心地よいため、小上がりの特性と相性が非常に良い素材です。リビングの一角に小上がり和室を設けることで、フローリングとは異なる柔らかさと温もりを感じられる空間を作ることができます。

畳の種類にはさまざまなものがあり、伝統的な「い草畳」や、耐久性やデザイン性に優れた「樹脂製畳」や「和紙畳」などがあります。特に、い草畳は吸湿性と消臭効果があり、室内環境を快適に保つ効果が期待できます。一方で、樹脂製や和紙畳は、ダニやカビの発生を抑えやすく、お手入れが簡単なため、小さな子どもやペットがいる家庭にも適しています。

また、畳のカラーやデザインを工夫することで、小上がり和室の印象を大きく変えることができます。最近では、モダンな住宅にも合う「縁なし畳」が人気です。琉球畳とも呼ばれるこのスタイルは、正方形の畳を市松模様に敷くことで、和の雰囲気を残しながらスタイリッシュな空間を演出できます。インテリアに合わせて、ベージュ系やグレー系の畳を選ぶのもおすすめです。

さらに、小上がり和室の床下収納と畳を組み合わせることで、より機能的なスペースになります。引き出し収納を採用すれば、リビング周りの細々としたものをすっきり収納でき、跳ね上げ式収納なら布団や季節物の収納にも便利です。畳の下に収納スペースを確保することで、限られた空間をより有効に活用できます。

このように、小上がり和室と畳の組み合わせは、デザイン性と快適性を両立させる上で非常に重要です。畳の種類や色、収納との組み合わせを工夫することで、リラックスできるだけでなく、機能的にも優れた和室空間を作ることができます。

1-5. 和室とリビングの一体感をどう作る?

小上がり和室を設計する際に重要なのが、リビングとの一体感をどう演出するかという点です。小上がり部分が独立しすぎると、空間が分断された印象になり、使い勝手が悪くなることがあります。そのため、デザインや素材選びを工夫しながら、リビングと自然につながるようなレイアウトを考えることが大切です。

まず、床材の統一感を持たせることで、一体感を生み出すことができます。たとえば、リビングがフローリングの場合、小上がりの縁部分に同じフローリング材を使用することで、視覚的に馴染みやすくなります。また、畳の色をリビングのインテリアに合わせることで、より統一感のある空間を作ることができます。

段差のデザインを工夫するのも一体感を持たせるポイントです。たとえば、段差部分に間接照明を埋め込むことで、リビングと小上がりの境界をやわらかく演出し、おしゃれな空間を作ることができます。また、段差を緩やかにするために、1段ではなく2段構成にするのもおすすめです。

間仕切りの工夫も重要な要素です。リビングと小上がり和室の間に引き戸やロールスクリーンを設置すると、用途に応じて開閉できるため、開けているときは一体感が生まれ、閉めることで個室のような空間にもなります。完全に仕切るのではなく、視線の抜けを意識したデザインにすると、圧迫感を軽減できます。

このように、床材や段差の工夫、間仕切りの使い方を意識することで、リビングと一体感のある快適な小上がり和室を作ることが可能です。使い方に合わせたデザインを考え、バランスの取れた空間づくりを目指しましょう。

2. 小上がり和室のメリットとデメリット

2-1. 小上がり和室の魅力:収納力アップ

小上がり和室の大きなメリットの一つが、収納スペースを確保しやすいことです。一般的なフラットな和室では、押し入れを作らない限り収納スペースを確保しにくいですが、小上がりを設けることで床下を有効活用できます。

小上がりの収納方法には、主に 引き出し収納跳ね上げ式収納 の2種類があります。引き出し収納は、頻繁に出し入れする物を収納するのに便利で、例えば子どものおもちゃやリビングで使う日用品を整理するのに最適です。一方で、跳ね上げ式収納は、布団や季節物の家電など、大きなものを収納するのに適しています。

また、最近では 「掘りごたつ式の収納」 を取り入れるケースも増えています。座卓を設置するスペースの下を収納として活用し、必要な時に蓋を開けて使える仕様にすることで、より機能的な空間を作ることができます。

収納を設けることでリビング周りの物をすっきり整理できるため、生活感を抑えつつ、おしゃれで整った空間を保つことができます。特に、マンションやコンパクトな住宅では限られたスペースを有効に使うための工夫として、小上がり和室の収納力が大きなメリットとなるでしょう。

このように、小上がり和室は デザイン性と機能性を両立できる収納スペースとしても優秀です。間取りやライフスタイルに合わせた収納方法を選ぶことで、より快適で便利な空間を作ることができます。

2-2. 空間のアクセントとしての効果

小上がり和室は、単なる機能的な空間であるだけでなく、インテリアのアクセントとしても大きな効果を発揮します。リビングやダイニングの一角に設けることで、空間に立体感や奥行きを生み出し、メリハリのあるデザインを作り出すことができます。

フラットなリビングと比べると、小上がりによる段差が視覚的な変化をもたらし、印象的な空間を演出できます。特に、モダンなデザインの住宅では、小上がり部分に異なる素材を取り入れることで、よりスタイリッシュな雰囲気を作ることが可能です。

たとえば、小上がり部分の縁に間接照明を設置すると、床の段差が浮かび上がるような演出ができ、夜のリラックスタイムにも最適です。また、畳の色をモダンなグレーやダークブラウンにすることで、和の雰囲気を残しながら洗練された印象を与えることもできます。

さらに、小上がりを取り入れることで、ゾーニング(空間の使い分け)がしやすくなります。例えば、リビングの一角に小上がりを作ることで、視覚的に「ここはくつろぎスペース」「ここは家族団らんの場」といった区別が自然にでき、空間にまとまりを持たせることができます。

このように、小上がり和室は 空間のアクセントとしての役割も担う重要なデザイン要素です。床材や照明、畳の色などを工夫することで、家全体の雰囲気をさらに引き立てることができます。おしゃれで個性的な住まいを目指すなら、小上がり和室のデザインにもこだわってみるとよいでしょう。

2-3. 多目的に使える便利なスペース

小上がり和室の魅力の一つは、ライフスタイルに応じて多目的に活用できることです。リビングの一角に設置することで、家族の用途に合わせた柔軟な使い方が可能になり、暮らしの快適さが向上します。

例えば、小上がり和室は子どもの遊び場として最適です。畳のクッション性があるため転倒しても怪我をしにくく、床に直接座って遊べるため、おもちゃを広げて自由に遊ぶことができます。さらに、散らかっても小上がり部分に限定されるため、リビング全体が散らかりにくいというメリットもあります。

また、小上がり和室は昼間はリビングの一部、夜は寝室として活用することも可能です。特に、ワンルームやコンパクトな間取りの住宅では、布団を敷けばすぐに寝られるスペースになるため、来客用の寝室としても役立ちます。

さらに、ワークスペースや読書スペースとしても活用できます。リモートワークが普及する中、自宅での作業スペースが必要になることが増えています。小上がり部分を仕切りで区切ることで、集中できる環境を整えることができ、仕事や勉強に最適な場所を確保できます。

このように、小上がり和室は 一つの空間を多目的に活用できる柔軟性の高いスペースです。家族の成長やライフスタイルの変化に応じて使い方を変えられるため、長く快適に過ごせる住まいづくりに役立ちます。

2-4. 和の雰囲気を気軽に楽しめる

小上がり和室の魅力の一つは、手軽に和の雰囲気を取り入れられることです。現代の住宅はフローリングが主流ですが、小上がり和室を設けることで、畳のある空間を手軽に楽しむことができます。

伝統的な和室を設けるには、広いスペースや本格的な内装が必要ですが、小上がり和室ならリビングの一角にコンパクトに和の要素を取り入れることが可能です。畳の種類や色を工夫すれば、モダンなインテリアとも調和しやすく、和洋折衷のデザインも楽しめます。

また、畳の香りや質感は、リラックス効果を高めるとも言われています。い草の畳は消臭効果や湿度調整機能もあり、快適な空間づくりに貢献します。そのため、仕事や家事の合間にちょっと横になってくつろぐスペースとしても最適です。

さらに、和室ならではの 「床に座る暮らし」 を楽しめるのもポイントです。ソファではなく畳の上に座ることで、姿勢が変わり、より落ち着いた雰囲気になります。小上がり部分を腰掛けとして使うこともでき、家族や来客と気軽に過ごせる場にもなります。

このように、小上がり和室は 伝統的な和の要素を気軽に取り入れつつ、現代のライフスタイルにも適応できる空間です。畳の種類やデザインを工夫すれば、和モダンな雰囲気を演出しながら、家全体のインテリアに馴染ませることも可能です。

2-5. デメリット① 段差によるつまずきリスク

小上がり和室の最大のデメリットとして挙げられるのが、段差によるつまずきのリスクです。小上がりは通常15cm~40cm程度の高さがあるため、特に高齢者や小さな子どもがいる家庭では注意が必要です。

家の中では、普段意識しない段差ほど危険になりやすいものです。特に夜間や薄暗い環境では、小上がりの段差が見えにくくなり、足を引っかけて転倒する可能性があります。

つまずきリスクを軽減するためには、段差の角を丸く加工する、クッション性のある素材を使用する、視認性を高めるといった工夫が効果的です。例えば、小上がりの縁に滑り止め付きのカーペットやマットを敷くことで、安全性を向上させることができます。

また、間接照明を設置するのも有効な対策の一つです。段差の部分にLEDライトを埋め込むことで、夜間でも視認しやすくなり、安全性が向上します。特に、小上がり和室とリビングの床材が似ている場合、視覚的に段差が分かりにくくなるため、照明によるアクセントは有効な手段となります。

このように、小上がり和室の段差は 工夫次第で安全に配慮しながら設計することが可能です。家族の構成やライフスタイルに合わせた対策を取り入れることで、安心して快適に過ごせる空間を作ることができます。

2-6. デメリット② 掃除やメンテナンスの手間

小上がり和室はデザイン性や機能性に優れていますが、掃除やメンテナンスに手間がかかるというデメリットもあります。フラットな床と違い、段差があることでホコリやゴミが溜まりやすく、日々の掃除に工夫が必要になります。

特に、小上がりの角や段差部分にはホコリが溜まりやすいため、定期的な掃除が欠かせません。また、小上がり下の収納スペースを活用している場合、引き出しの奥や隙間にホコリが入り込むこともあり、こまめなメンテナンスが求められます。

掃除の手間を軽減するためには、ロボット掃除機が使える設計にするのも一つの方法です。例えば、小上がりの高さを10cm以上確保することで、ロボット掃除機がスムーズに入り込み、自動で掃除ができるようになります。また、畳部分は掃除機や粘着ローラーを使って手軽に掃除できるよう、畳の素材選びも重要になります。

さらに、畳の種類によってもメンテナンスのしやすさが異なります。伝統的ない草畳は吸湿性が高い反面、水拭きができず、ダニやカビの発生に注意が必要です。一方で、和紙畳や樹脂製畳を選べば、水拭きが可能でメンテナンスがしやすくなります。小上がり和室を長く快適に使うためには、掃除のしやすさを考慮した素材選びも大切です。

このように、小上がり和室は掃除やメンテナンスの手間が増える可能性がありますが、設計や素材選びを工夫することで負担を軽減することが可能です。事前に掃除のしやすさを考慮した設計をすることで、日常の手入れがしやすく、快適な和室空間を維持できます。

2-7. デメリット③ コストや設計の制約

小上がり和室を取り入れる際のデメリットとして、コストが高くなることや設計の自由度が制限されることが挙げられます。通常のフラットな床に比べて、施工費や材料費が追加でかかるため、予算を考慮しながら慎重に計画する必要があります。

小上がりを設置するためには、床を一段高くするための工事が必要です。特に、収納を組み込む場合は、引き出しや跳ね上げ式の収納スペースを作るための追加費用が発生します。一般的に、小上がり和室の施工費用は数十万円程度かかることが多く、設計の内容によってはそれ以上のコストがかかることもあります。

また、小上がり和室を設計することで、他の間取りに影響を及ぼす可能性もあります。例えば、リビングの一部を小上がりにする場合、ダイニングやソファの配置に制約が出ることがあります。そのため、全体のレイアウトを考えながら設計することが重要です。

さらに、将来的なリフォームや模様替えの自由度が低くなる点もデメリットの一つです。一度小上がりを作ってしまうと、フラットな床に戻すためには解体工事が必要になり、その分の費用も発生します。家族構成やライフスタイルの変化に応じて、長期間使い続けられるかどうかを事前に考えておくことが大切です。

このように、小上がり和室を導入する際には、コストや設計の制約を十分に考慮する必要があります。しかし、事前に予算を決め、間取り全体のバランスを考えた設計を行うことで、後悔のない快適な住空間を実現することができます。

2-8. デメリット④ 家具の配置や使い勝手の難しさ

小上がり和室を設置する際に意外と気になるのが、家具の配置の難しさや使い勝手の問題です。特に、リビングと併設する場合は、ソファやテーブルなどの配置バランスを考える必要があります。

小上がり部分には段差があるため、通常の椅子やテーブルを置くと高さが合わないことがあります。特に、小上がり和室をリビングの一角に設ける場合、ダイニングセットやソファとの高さの違いが気になり、使い勝手が悪くなることもあります。

また、小上がり部分にソファを置きたい場合段差によってソファの安定感が悪くなることがあり、レイアウトの自由度が制限されることがあります。ソファを置くなら、背もたれ付きの座椅子やクッションを活用するなどの工夫が必要です。

さらに、小上がり和室の広さによっては、テーブルの種類やレイアウトに制限が出ることもあります。例えば、座卓を置く場合、収納の引き出しと干渉しないようにする必要がありますし、掘りごたつを設置する場合は、電源の確保など事前に考慮すべき点が多くなります。

このように、小上がり和室を導入すると、家具の配置やレイアウトに制約が生じる可能性があります。事前に使い方を想定し、適切な家具を選ぶことで、快適な空間づくりが可能になります。

3. 小上がり和室の段差対策と活用アイデア

引用元:姫路工務店クオホーム

3-1. 段差を気にしない設計の工夫

小上がり和室を設置する際に気になるのが、段差による使い勝手や安全性です。特に高齢者や小さな子どもがいる家庭では、つまずきや転倒のリスクを考慮した設計が求められます。

まず、小上がりの高さを工夫することが重要です。例えば、一般的な小上がりの高さは20cm~30cm程度ですが、安全性を重視する場合は15cm程度の低めの設計にすることで、昇り降りの負担を軽減できます。

また、ステップを設けることで段差を緩和するのも有効な対策です。段差を一気に昇るのではなく、2段階に分けることで、特に高齢者や子どもが使いやすくなります。

角を丸くする設計も安全対策の一つです。小上がりの縁にクッション材を貼る、または角を丸く加工することで、万が一ぶつかったときの衝撃を和らげることができます。

さらに、床材の色を変えて段差を視認しやすくするのも効果的です。リビングのフローリングと小上がりの畳の色にコントラストをつけることで、視覚的に段差を認識しやすくなり、安全性が向上します。

3-2. バリアフリーと小上がりは両立できる?

小上がり和室は段差があるため、バリアフリーとは相反するものと思われがちです。しかし、工夫次第で高齢者や身体が不自由な方でも使いやすい設計にすることは可能です。

まず、小上がりの高さを低めに設定することで、負担を減らすことができます。一般的に20cm~30cmの高さが多いですが、バリアフリーを意識する場合は10cm~15cm程度の高さにすることで、より昇り降りしやすくなります。

さらに、スロープを設けることで車椅子や歩行補助器を使用する方でも利用しやすくなります。特に、頻繁に使用する空間であれば、スロープの設置を検討するのもよいでしょう。

手すりを設置するのも、バリアフリー対策として有効です。小上がりの昇り降りの際に支えとなる手すりを設けることで、安全に移動できるようになります。特に高齢者がいる家庭では、手すりを設置することで転倒リスクを減らせます

このように、小上がり和室とバリアフリーは工夫次第で十分に両立可能です。高さの調整やスロープ・手すりの設置など、安全対策を施すことで、家族全員が安心して使える空間を作ることができます。

3-3. 子どもや高齢者向けの安全対策

小上がり和室は快適な空間ですが、段差があることで子どもや高齢者にとって安全性の配慮が必要になります。特に、転倒リスクを減らすための工夫を施すことが大切です。

まず、段差を緩やかにすることが基本的な安全対策です。高さを15cm以下に抑えるか、1段ではなく2段に分けることで、昇り降りがしやすくなります。特に高齢者がいる家庭では、足腰への負担を軽減するため、ステップを追加するのがおすすめです。

また、クッション性のある素材を取り入れることで、転倒時の衝撃を軽減できます。畳自体にクッション性がありますが、さらに安心感を高めるために、角部分にクッション材を設置したり、滑りにくい素材の畳を選んだりするのも有効です。

夜間の視認性を高めるための照明も安全対策の一つです。小上がりの段差部分にLEDライトを埋め込むことで、暗い中でも段差がはっきり見えるようになり、つまずきのリスクを減らせます。特に、寝室の近くに小上がりがある場合は、足元灯を設置すると安心です。

さらに、手すりを設置することで安全性を向上させることもできます。特に高齢者が頻繁に利用する場合は、手すりを設置することで昇り降りのサポートになり、転倒のリスクを減らせます。このように、工夫次第で小上がり和室は子どもから高齢者まで安心して使える空間になります。

3-4. 段差の高さを調整するアイデア

小上がり和室の段差は、高さによって使い勝手や安全性が大きく変わるため、事前に適切な高さを考えることが重要です。設計時に家族のライフスタイルや将来の変化を考慮することで、より快適な空間を作ることができます。

例えば、小上がりの高さを15cm以下に抑えると、つまずきにくく安全性が高まります。特に、小さな子どもや高齢者がいる家庭では、段差を低めにすることで昇り降りが楽になり、転倒のリスクを軽減できます。

一方で、収納スペースを確保したい場合は、30cm~40cmの高さが適しています。この高さなら、引き出し収納を設けたり、跳ね上げ式収納を組み込んだりすることができ、機能性を高められます。ただし、段差が高くなる分、ステップを設けたり、手すりを取り付けたりする工夫が必要です。

また、可変式のステップを取り入れるという方法もあります。折りたたみ式の踏み台を設置することで、必要に応じて段差を緩和でき、使いやすさを向上させることができます。

このように、小上がりの段差の高さは利用目的や家族構成に合わせて柔軟に調整することが可能です。安全性や収納スペース、デザイン性のバランスを考えながら、最適な高さを選ぶことがポイントになります。

3-5. 実際の事例から学ぶ!後悔しないためのポイント

小上がり和室は魅力的な空間ですが、実際に導入した後に「思っていたより使いにくい…」と後悔するケースもあります。事前に実際の事例を参考にして、後悔しないためのポイントを押さえておくことが重要です。

収納をもっと作ればよかった… という声はよく聞かれます。小上がりの床下収納を設ける場合、引き出しタイプか跳ね上げ式かを事前に検討し、収納する物のサイズに合った設計をすることが大切です。また、収納を多く作りすぎると、内部の構造が複雑になり、床の強度が落ちることもあるため、バランスを考える必要があります。

高さを間違えて使いにくい… というケースもあります。リビングのソファやダイニングテーブルとの高さを事前にシミュレーションしないと、座ったときに違和感が生じることがあります。リビングと一体感を持たせたいなら低め(15cm前後)、収納を確保したいなら30cm以上といった基準を参考にしましょう。

段差が思ったより邪魔だった… という意見も少なくありません。特に、小上がりをリビングの中心に設けた場合、動線の邪魔にならないか事前に確認しておくことが重要です。頻繁に通る場所に段差があると、毎日の生活の中でストレスを感じる原因になります。

このように、小上がり和室を後悔しないためには、収納・高さ・動線の3つのポイントを事前にしっかり検討することが大切です。実際に導入した人の体験談を参考にしながら、家族構成やライフスタイルに合った設計を心がけましょう。

まとめ

小上がり和室は、デザイン性と機能性を兼ね備えた魅力的な空間です。収納スペースを確保できたり、空間のアクセントになったりと、多くのメリットがあります。一方で、段差によるつまずきのリスクや掃除の手間、コスト面での課題もあるため、慎重に設計を進めることが大切です。

小上がりの高さを適切に設定し、収納と安全性を両立させることで、より快適な空間を実現できます。また、バリアフリーを考慮した設計や、使い勝手を考えた家具の配置を意識することで、長く愛用できるスペースになります。

さらに、実際の事例を参考にしながら、段差の高さや収納の種類、生活動線をしっかり検討することが、後悔しないポイントとなります。家族のライフスタイルに合った設計を心がけることで、小上がり和室はより使いやすく、心地よい空間となるでしょう。

小上がり和室を取り入れるかどうか迷っている方は、自分の住まいに本当に必要か、どのように活用するかを具体的にイメージすることが重要です。モデルルームを見学したり、施工事例をチェックしたりすることで、理想の形が見えてくるはずです。

今回の記事を参考にしながら、家族全員が快適に過ごせる理想の小上がり和室を設計してみてください。適切な設計と工夫を凝らせば、長く愛される素敵な空間になることでしょう。

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