本日ご紹介するのは、大分県にて工務店を営まれている西村さん。西村さんの工務店「シーナリーハウス」では、“大分の風景をつくる”をコンセプトに、上質な住まいづくりを行っている。
「徹底的なプロ意識をもって、正々堂々と本物志向で家づくりに携わっています」。そう語る西村さんに、プロとしての“こだわり”について伺った。
大分から全国に誇れる工務店を。
―西村さんが工務店「シーナリーハウス」を起業されたのは、今から5年前の47歳のとき。少し遅めともいえる開業だが、どのような想いがあり、家づくりを手がけられるようになったのだろうか。
西村さん(以下西村):私がこの年齢で工務店を起こしたのは「全国に誇れる工務店を、大分から生み出したかったから」。私はもともと建築に興味があり、30歳までは建築家になるための勉強をしていたのですが、大きくキャリアチェンジをし、経営コンサルタントの道へ。
今から約15年前、経営コンサルタントとして仕事をする中で、全国の優良工務店をコンサルティングする会社に属している時期がありました。
その後、人生いろいろで縁あって縁も所縁もない大分県に来て、保険屋さんの仕事をすることになったのですが、保険のお客さまの家づくりに関する相談に乗るため、「家づくりコンシェルジュ」の名前で商標登録を取得。「家づくりコンシェルジュ」として「家づくりセミナー」を行っていたのですが、このことがきっかけになり、この大分の地で、工務店業界へ足を踏み入れることになったのです。
「家づくりコンシェルジュ」として家づくりの相談に乗るなかで気づいたのは、この土地に、魅力的な工務店が少ないということ。もちろん優良な工務店もありましたが、大半の工務店が価格重視のそれなりの家をつくっていて、設計力や技術力を生かし、魅力的なことに取り組んでいる工務店は少数派。
全国の優良工務店さんを数多く知っている自分としては「大分にも全国に誇れる魅力的な工務店をつくらなければ」と強く思い、47歳の時に工務店、株式会社おおいた家づくりコンシェルジュを設立、その2年後に住宅ブランド、「シーナリーハウス」を立ち上げました。
大分の風景をつくる。
西村:シーナリーハウスの“シーナリー”には、「風景」の意味があります。この名前には「大分の風景になるような家をつくっていきたい」という、私たちのビジョンが込められています。私たちのつくった家が風景になる。一棟ずつではありますが、風景になるような家を丁寧に建てていけば、大分の風景が少しずつ変わるんじゃないか。大きな展望かもしれませんが、そんな想いを巡らせながら家をつくっています。
実際、大分の街の一角にシーナリーハウスの家が建つと、そこ一帯の雰囲気や景色が少し変わるんですよ。本当なんです(笑)。その変化が、家づくりをやっていて最高に面白く、やりがいを感じるところです。そこから大分の人たちの家づくりに対する考え方が、少しでも変わってくれたらなぁとも思っているんです。
私たちの家を見た人々が感化され、自己満足だけの家を建てないよう意識変革が起こると嬉しいですね。
シーナリーハウスでは、お客さまに上質で魅力的な住まいを提供するために、「IFOO」の幸野成一さんから設計支援を受けています。「IFOO」は、多くの工務店経営者が憧れる全国的にも有名な鹿児島の工務店「ベガハウス」の関連会社。
幸野さんはそんな素晴らしい工務店で長年設計を担当されていた方です。
一流の方から徹底的にご指導いただき、一緒に設計をし、家づくりをしていく。そして「本物」をお客さまに届ける。ベガハウスさんの素晴らしい家づくり事例を教科書に、大分での家づくりをよりよいものにしていきたいと思っています。
優秀な工務店さんから徹底的に学ぶというスタイルを実現できているのは、15年前に工務店のコンサルタントをしていた経験が活きているからだと感じます。私が工務店を起こしたのは47歳と遅めでしたが、外のビジネスの世界を経験し、全国の工務店さんを客観的に見る機会がたくさんあったからこそ、スピード感を持って「本物」を取り入れる姿勢に繋がっているのかもしれません。
上質な住まいを届ける。
―シーナリーハウスのHPを覗いてみると、高級感あふれる佇まいの家々が目に入る。まさに「上質」「本物」という言葉がピッタリだ。
西村:シーナリーハウスには、「家づくり」「家具づくり」「庭づくり」の3つのこだわりポイントがあります。すべてをバランスよく取り入れ、一切手を抜かない。「家」だけでなく、家具づくりも庭づくりも、すべて含めて家を建てることを必須とさせていただいています。家具は一つひとつこだわりを持って作成された造作家具。その建物に合ったものをコーディネートしていきます。
外壁には焼杉を使うことが多いですね。焼杉の外壁は、実際に見ていただくと一発で分かるのですが、非常によく建物の上質さを醸し出してくれるんです。見た人は本物の迫力に圧倒されます。一般に流通していない、なかなか手に入れることができない素材なので、この外壁を取り入れている工務店さんは滅多にありません。
この焼杉に惚れ込んで、シーナリーハウスを求めてくださるお客さまも多い印象ですね。実際に、大分県別府市にあるモデルハウス「シーナリーの家」を偶然、通りがかりに見て、そこから興味を持っていただき、家を建てられたお客さまが2年間で4組もいらっしゃいます。
決して交通量の多いところではないんですが、それほどパっと目を引く、上質な佇まいなんです。
私たちには、自助努力で大分においてトップクラスの家づくりをしている自負があります。お客さまもそのことを認めてくださっていて、大分の家づくりにおける一つの選択肢にシーナリーハウスが挙がってきている実感もあり、とても嬉しい限りです。
全国の優良工務店に比べると、まだまだなので少数精鋭のスタッフをより強化し、「大分で最高の家づくり」を実現すべき、更なる上を目指していきます!
なんせ、教科書があのベガハウスさんなので学びや修練に決して終わりはないです(笑)。
安易な家づくり情報に惑わされないでください。
―最後に、これから家づくりを行う方へ、西村さんからメッセージをいただいた。
西村:家づくりは、限られた予算の中で土地と建物の価格バランスがとても大事。このバランスを間違ってしまうと、家は建てれますが、本来自分たちの求めていた家づくりに失敗してしまう可能性もあります。
「家を建てよう!」と決意すると、お金のことが心配!?とFP(ファイナンシャルプランナー)さんのもとへ相談に行かれる方が多いのですが、そういうところへ行くと「建てられる家」だけの話になる場合がほとんど。
当然お金の話メインなので、土地と建物のバランスの話とか本当に家づくりの話ができるFPさんはほとんどいないのが実情です。
お金の話だけにこだわってしまうと「自分たちはこの程度の家しか建てられないんだ」と最初に思い、そこで良質な家づくりや自分たちのこだわる家づくりを諦めたり、土地に多くのお金を使いそこに建つ家はチープなものとなってしまったりしてしまうんです。
とにかく、家は手に入るけど、それが自分たちが何十年も住む、本当に求める家づくりかと問われると、疑問が残ってしまいませんか?ですから、家づくりをされる際にはFPさんの話だけでなく、実際に家づくりをしていていろいろなことに精通している私たち工務店の意見も聞き、土地と建物のバランス、お金のかけ方を再考してほしいなと思っています。
是非、いろいろな人の意見を聞き、ベスト解を導きだしてください。
ちなみに、私はかつて保険屋さんもしていましたので、資金計画、家づくりのお金のことは大の得意ですので、安心してお気軽にご相談ください(笑)
また最近の若い方は、安易な家づくり情報に流されてしまう方が多い印象です。住宅会社紹介会社さんや低価格メーカーさんの上手なコマーシャルなどの影響もあり「家にお金をかけたら人生楽しめない!」という価値観が広まっている感じがします。
ただ、冷静に考えて、本当にそうなんでしょうか?
本来、人生で一番長い時間を過ごす家にこそ、それなりの投資をすべきなんじゃないか!?私はそう思うのですが···どこか、一生で最大の買い物である住宅購入がとても軽いものと思われている気がしてならないのです。
一方で、この「家づくり百貨」に参加されている工務店さんは、家づくりにこだわりを持っている会社さんや、本質的な家づくりをしている会社さんばかり。安易な家づくりをされている方は一人もいません。
私たちのような家づくりに思いのある工務店が、各地方で意義ある家づくり、価値ある家づくりを広めていかなければならないと思っています。私たちシーナリーハウスは、少数精鋭で徹底的なプロ意識を持ち、正々堂々と本物志向でお客さまと家づくりに携わって参ります。
そこに迷いはありません。ただ、信念を貫いて実行するのみです。結果は出ていますし、それはこれからもっともっと大きなうねりになっていくと確信しています。大分の家づくりは確実に変わります。
「よい家」は「よい場所」を創ります。「よい場所」で感じる濃厚で至福の時間はプライスレスの価値があります。そこには、建ててから10年、20年、30年と長く暮らせば暮らすほど愛着のわく価値のある住空間や建物の存在があります。
そして、「よい場所」は、「よい人」を育て、「よい人」を創ります。
~大分の風景をつくる~が、~大分のよい人をつくる~になれば嬉しいなぁ・・・
そう真剣に思っています。
(2021/09/30 取材:平井玲奈 写真:家づくり百貨)