家百マガジン

こんばんは。 あすなろ建築工房の関尾です。 ゴールデンウィークも終わりましたね。皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。私はメルマガで紹介した通り、家のメンテナンスを行うＧＷでした。日射遮蔽タープや簾を設置し、グリーンカーテンを設置しました。庭木のお手入れも行いました。そして夜はウッドデッキで何か焼いたりして、まったりと過ごしました。毎年同じようなＧＷです。(^^; ゴールデンウィーク中に、ご依頼いただいたお客様から「設計開始までに待っている間に読んでおいた方が良い本などがあれば教えて欲しい」とお話を頂きました。そこでご紹介した本について、メルマガでもご紹介したいと思います。 ということで、本日は「正しい家づくりのために読んでもらいたい本」の話です。これは以前にもメルマガで一度書いたことがあるのですが、加筆して再掲します。 ４つの本＋αをご紹介したいと思います。 まず一冊目は、基本中の基本で、すでに書籍をお持ちの方も多いと思います。 ●「住まいの解剖図鑑」増田奏（エクスナレッジ社）https://asunaro-studio.jp/l/m/cpwraUpwBFplFD これは業界でもベストセラーとなっている本で、キッチンの配置や収納の在り方などは、私もここから学びました。建築実務者が読んでもためになる本ですが、家づくりを行う方も読んでおいて間違いのない本だと思います。 家づくりセミナー動画の中でも紹介していますが、特に収納の考え方は、この増田さんの本を基本として考えています。「ジョージ（常時）」と「ズイジ（随時）」と「イチジ（一時）」の３つの性格に応じて収納場所と収納の仕方を考えます。この考え方は収納の考え方においてはとっても大事です。この基本が出来ていないと、「片付かない家」になってしまうと思います。 そしてキッチン設備の配置についても増田さんの本を基本にして考えています。増田さんは、裏の顔としてお料理研究家でもあります。毎日のお料理をインスタグラムに上げていらっしゃいます。そんなお料理好きな増田さんなので、キッチンレイアウトも理にかなった考えをお持ちでいらっしゃいます。冷蔵庫の位置ひとつにしても奥が深いものです。 他にも車の配置方法など、家づくりの基本がまとめられていますので、是非読んでおいていただきたいと思う一冊です。 二冊目は、家そのものをどう考えるかについてを知ってもらうための本としてお勧めしている本です。 ●「住まいの基本を考える」堀部安嗣（新潮社）https://asunaro-studio.jp/l/m/mJXytuXdYbdNfS 本の中で「住宅は、どんな心身の状況にある人でも寛容に受け入れる場所でなくてはならない」とされています。心の底からリラックスできる場所でなくてはならないのです。「食べても飽きないような料理のようでなくてはならない」ともおっしゃっています。 本当にその通りだと思います。以前に「エコハウスの本当の意味」のメルマガの際にも、紹介しましたが、堀部さんのエコハウスの概念は、家づくりを行う上で知っておくべきことと思います。「人が孤独や絶望といった負の状態にあるときこそ人を温かく包み込み、真価を発揮するものが建築でありたい」とも書かれています。実に深いですね。健康で体調が良い時ばかりとは限りません。風邪を引いたり、病気になったり、ケガをしたり、失恋したり、マイナスな時こそ、家族を寛容に包み込んでくれるような家でありたいものです。 そして前回のメルマガでも書いた「ニセモノ」についても書かれています。「自然とつながらない色、模様のサイディングはまるで造花のようです。安いからいい、楽だからいい、枯れないからいい、情緒はいらない、そんなふうに誰もが家をつくってきた結果、美意識を疑う造花だらけの風景になってしまったのです。」と。本当にその通りと思います。身の回りが造花だらけの環境って、癒されるどころか、日々が疲れてしまうものと思います。ホンモノで癒されてほしいと切に願います。 性能が悪い家や大きすぎる家は、その家を次世代が引き継ぎたいという気持ちになれず、このことがいま、空き家問題の原因の一つになっているとも書かれています。そのような「家のありかた」そのものについて書かれていますので、読んでいただければ、家づくりの価値観が変わってくるものと思います。家を建てる前にその感覚を知っておいて欲しいと思っています。 三冊目は、出版時に私が方々で絶賛して紹介していた本です。 ●「家を建てたくなったら」丹羽修（WAVE出版）https://asunaro-studio.jp/l/m/GbKA54nxAZil0F 丹羽さんは、お客様の要望を適えたとても住まい心地のよい家を設計される建築家の方です。「どんな暮らしがしたいのか」「一応をやめる」「愛着のある家が長持ちする家」など、普段私がお客様にご説明していることが書かれています。題名の通り「家を建てたくなった」そんな方に是非読んで頂きたい一冊で、この本を読んで私自身が「こんな本を書きたかった」と思ってしまった本です。 巻末にある「住宅調書」は、あすなろ建築工房で使用している「住宅要望調査書」の元になったものです。この本が出る前に丹羽さんがどこかで紹介されていたものを参考にさせて頂きました。 家の広さ、使用する材料、窓の位置、照明器具、緑の配置など、「暮らし」に欠かせない要素を分かりやすく解説してくれています。 実は私自身も「家を建てようと思ったら最初に読んでおいて欲しい本」を書きたいとずーっと思っていました。丹羽さんの本を初めて目にした時には「悔しい、自分で書きたかった」と思ったものです。是非、この本は抑えておいて欲しい一冊となります。 四冊目は、建築の本というよりは造園の本です。 ●「荻野寿也の「美しい住まいの緑」85のレシピ」荻野寿也（エクスナレッジ社）https://asunaro-studio.jp/l/m/w27cSSy6vI5KcI 著者の荻野さんは、住宅作家の建築家の間では有名な造園家です。伊礼智さんと共同されることが多いのでご存じの方も多いと思います。 その荻野さんの手掛けられた実作の図面と写真が盛りだくさんの一冊です。そして荻野さんの緑に掛ける思いもいろいろと記されています。 巻頭に荻野さんのお言葉で「この本はこれから新しい住まいを手に入れる方々や、住宅設計をされる方々に向けて、庭に空いて改めて考えるきっかけとなることを願って書いたものです。」とあります。 「家族や友人と気持ちの良い時間を過ごすことが出来る居場所を、住宅とともに築いて欲しい」という気持ちから書かれたものです。荻野さんの願いは「建築や外構と造園とを分けずに一緒に考えて欲しい」ということです。 世の中には、造園工事を後回しにしたり、一本の木も計画しない家がとても多くあります。そんな家を見るたびに悲しく思います。「樹木が無い家に住むなんて、だったらマンションに住めばいいのに」とも思ってしまいます。 「生活を営む内部空間と、公共の外部空間をいかにして結ぶか」は快適な家づくりの基本です。この基本を実例とともに知ることが出来る一冊です。 そして、庭木の選び方やメンテナンスの方法についても解説されています。庭木のある家に住む人には必読な本となります。 この本を読んでしまうと「庭木にお金を掛けたくなる」と思います。(^^;荻野さんが普段使われている樹木の図鑑もあり、私の机の脇に常にある本です。 上記の４冊は、事務所にも置いてあるのですが、どの本も付箋だらけになっています。私もことあるごとに読み返しているものです。家づくりを行う方にとっては、読んでおいてもらうと、間違いがないものと思います。 そして上記の４冊に追加させてください。自分の本もご紹介しておかないと、、、、。(^^; ちゃっかり五冊目は、私が書いた家づくりのお金に関する本。 ●「家づくりのお金の話がぜんぶわかる本 2022」田方みき・ 関尾 英隆（エクスナレッジ社）https://asunaro-studio.jp/l/m/tNMpxFsJAZlQcr フリーライターの田方みきさんとの共著となります。 長年家づくりの仕事をしてきて、初期段階である資金計画の時点で、誤った進め方をしている方を多く見てきました。住宅専門の設計者、施工者の目で見て、間違いのない家づくりをして頂くために、お金という視点で書いたものです。共著の田方みきさんにて「住宅ローン」に関わる部分について、解説頂いています。私の方は、イニシャルコスト、ランニングコストなど「家をたてる」ためにかかるお金について、解説させて頂いています。これまでのブログやメルマガで書き記したことをまとめた形です。家づくりという過程においては、「知っておかないと損をしてしまう」ということがたくさんあります。住宅会社の提案通り、銀行の提案通りに進めてしまうと、相手に都合の良い（自分にとっては都合の悪い）内容で進めてしまうことにもなります。実はこの本は毎年加筆改訂しており、昨年も状況の変化を踏まえて最新の情報に書き直しました。昨年は「ライフサイクルコストを最小にする」という観点で、６０年住み続けた場合でのコスト比較のページを追加しました。 是非、こちらもご一読いただければ幸いです。 そしてもう一冊足させてください。この秋に編集に協力している本が出版されます。六冊目は、家づくりに失敗しないための秘訣本です。 ●仮名「教えて！家づくりのこと」工務店編集会議（エクスナレッジ社） 現在、工務店の仲間と一緒に、本を書いています。住宅設計の仕事を長くしてきて、先にも書いたように「家づくりに失敗してしまっている人」をたくさん見てきました。「なぜこの方は建てる前にここを気にしなかったのだろう」「ここを知らないままに家づくりをしてしまったのだな」と思う方がたくさんいらっしゃいます。どうしても目先のことばかりが気になってしまって、家の将来のことや環境のことなどに気が回らなくなってしまっていたのだと思います。 世の中には耳障りのよいことばかり言っている住宅会社や自称専門家がとっても多いのです。人って都合のよいことが耳に入りやすく、都合の悪いことが耳に入りにくいものです。後から後悔することになるのに、それを知ろうとしない、知ることが出来ない人がとっても多いと感じています。 失敗しても後からリフォーム工事や住み替えなどで挽回が出来ればよいのですが、一生後悔が続いてしまうという方も多く目にしてきました。そんな方々をたくさん見てきたこともあって「後で後悔しないように、家を建てようと思ったら、最低限これだけは知っておいてから家づくりを進めてもらいたい」と思うことがたくさんあり、本にしておきたいと思うようになりました。 現在は住宅に関する情報がちまたに溢れています。家づくりを行おうとする人は、このたくさんある情報の中から正しい情報を見つけ、正しく理解しなければなりません。間違った情報や偏った情報では、理想の家とならない可能性があります。 実はこの多々しい情報の取捨選択が、これがなかなか難しいことなんです。我々のようなプロでも間違った解釈をしてしまっている人がいるくらいです。先にもお話しした通り、人って都合のよいことが耳に入りやすく、都合の悪いことが耳に入りにくいものなのです。都合のよい話だけをつなげて解釈してしまって、トータルのバランスを欠いてしまった家づくりを行ってしまっている人が多くいます。 執筆中の本を読んでいただくことで、本質を見つめ、正しい知識を得ていただき、一人でも多く長く住まい続けることが出来る理想の家を手に入れてもらいたいと考えています。 仲間と協力して編集が進んでいます。是非、出版をお楽しみにしていただければと思います。 本日は「正しい家づくりのために読んでもらいたい本」のお話でした。

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