家百マガジン

こんばんは。 あすなろ建築工房の関尾です。 このところはめっきり冷えてきましたね。秋はどこに行ってしまったのでしょうか。このまま冬になってしまうのは寂しいです。もう少し、秋を楽しみたいと思います。 このところ、完成物件と着工物件が続いたこともあり、社内検査、竣工写真撮影、お引渡し、地鎮祭、四方固めと慌ただしい１週間でした。そのため、メルマガも少し間が空いてしまいました。(^^;楽しみにしていただいている皆様、申し訳ありませんでした。 さて本日のメルマガは、家のメンテナンス費用についてのお話です。１か月ちょっと前のことですが、2022年8月26日の日経新「人生100年の羅針盤聞 自宅の修繕費、築30年で900万円超 計画的な貯蓄不可欠」の記事がありました。https://asunaro-studio.jp/l/m/WgbNerUm9hnRKQ 会員にならないと全文を読むことが出来ないと思いますので、画像を添付しておきます。https://asunaro-studio.jp/l/m/fw82LoxE7azXLxhttps://asunaro-studio.jp/l/m/SC9UjA1U9bjXnBhttps://asunaro-studio.jp/l/m/57AW6PsbDn0H2lhttps://asunaro-studio.jp/l/m/cdnKd8L3zdYooD 記事にあるように、持ち家を持っていて、住宅ローンの返済がそろそろ終わるというシニア世代と呼ばれる方々の一部は「老後は住居費の負担は軽くなる」と考えられる方もいらっしゃるように思います。実際にお住まい頂くと分かるのですが、現実はそう甘くはありません。マンションにお住まいの場合と同様に修繕費というものが必要となります。特に築年数が古くなってくるといろいろと不具合も多くなりメンテナンスにかかる費用も増えてきます。 ご近所の方などで、メンテナンスのご依頼を頂いて見積をお出しすると、その修繕費用に「そんなにかかると思わなかった」と思われる方も多くいらっしゃいます。そこでメンテナンス費用を安く抑えようと思われると、さらに後々に費用がかかることになってしまいます。このことは以前のメルマガでもお伝えしている通りです。安く仕上げるメンテナンスは、結果的に高い費用を必要とする場合があるので注意が必要です。 メンテナンスで一番費用が掛かるのが、外回りの塗装です。記事にもありますが、外壁や屋根の塗り替えには100万円以上はかかります。屋根や外壁の塗り替えをするには、足場が必要になるのですが、その費用も20万円以上はかかります。屋根だけ、外壁だけ、と分けて塗装すると足場の費用も別々にかかってしまいますので、多くの方は屋根と外壁は一緒のメンテナンスすることになります。そのほか、雨樋の塗装も一緒に行うことが多いです。屋根と外壁と雨樋と塗装を行うとなると、200万円以上はかかります。 ネットなどで価格を調べる方もいらっしゃると思いますが、ネットなどで得られる価格は「最低の価格」となっています。ある意味で「条件が良い場合の価格」と言えると思います。「条件が良い場合の価格」とは、「築後最初の塗装」で「築後１０年程度」で「３０坪以下の総二階のシンプルな形」で「割れなどの劣化が無く」て「足場の設置に障害物がなく」て、などの場合です。実際にはそのような条件が良い場合ばかりではないので、見積価格は200万円以上、大きなお家の場合には300万円を超えることも多くあります。 そして、最近とっても気になるのは、建売住宅をご購入された方の多くが、10年以上塗装をしないままに放置されている方が多いことです。ご近所のお家を見ると、屋根の塗装はすでに剥がれ、外壁のコーキングも切れていて、外壁が苔がこびりついているお家がいくつもあります。コロニアルと呼ばれる屋根は定期的な塗装が必要となります。これは表面の塗装が剥がれてしまうとセメント自体に水分が入り込み、屋根材自体が劣化します。特に冬期に屋根材の内部に水分が入り込むと、凍結によって割れが生じてしまいます。割れが生じた屋根は雨水を下に流すことが出来ず、下のアスファルトルーフィングと呼ばれる防水紙に雨が流れることになります。すぐには雨漏りにはなりませんが、数年でこの防水紙も劣化してしまい、内部の構造体を濡らし始めます。そこでまたすぐに雨漏りにはならず、構造体を伝って、意外な場所でカビが生じたりしています。それをそのまま放置していると、大雨が降った際に「雨漏り」ってことになります。ここで天井を開けて確認すると、「時はすでに遅し」で構造体の一部が腐ってしまっていますので、屋根を外しての大規模な修繕工事が必要になってしまいます。シロアリを呼び込んでしまっていると、被害の範囲が広がり、さらに修繕費用は膨らんでしまいます。 前回に行っている塗装の良し悪しでは、ケレンと呼ばれる前の塗装を剥がす工程で費用を有してしまったり、屋根材に割れなどがある場合には交換の費用などが必要になってきます。塗装を行った職人や会社の知識や技術にもよりますが、コストをケチってしまうと思わぬ落とし穴があったりする部分です。必要な塗装の費用というものは、本当にケースバイケースで、現状を見てみないと費用は大きく変わってきます。 10年から15年ごとの塗装であれば、300万円で済んでいたものが、その適正なメンテナンス期間を超えて放置してしまったために、500万円とか予想外の費用になってしまいます。定期的なメンテナンスをしっかりと行っていただければと思います。 私の著書である「家づくりのお金の話がわかる本2022」をお持ちの方がいらっしゃったら、４４ページの「何年後にどのくらいのランニングコストがかかるの？」のページを見て頂けますでしょうか。ここで「一戸建ての修繕費は毎年５万円、１０年ごとに２５０万円にもなり、３０年間トータルで９００万円と無視できない金額となる」と書かせて頂いているのですが、先の日経新聞の金額は、この金額とドンピシャの金額です。今まで、いろいろとネットの記事などを見ていると「修繕費は30年で500万円程度」と言っている記事が多いように思いました。今回の日経新聞の記事を読まれて「そんなのかかるの！」と驚かれた方も多かったようです。私としては、やっと味方が得られたように思っております。(^^) 実際に家の維持には、皆さまが考えている以上のお金がかかるものなのです。だから「メンテナンス費用がかからない家づくりが大切」とお話させていただいています。上記の著書「家づくりのお金の話がわかる本2022」でも、一般的な建て方をしたお家と高性能化した住宅と、ローコスト住宅とでランニング費用を比較しています。結果として最初にお金をかけた高性能化した住宅の方が、生涯コストは安くなります。その金額差は1000万円以上になります。ローコスト住宅と高性能住宅とを比較すると、2400万円の差となります。 日本人の平均寿命は、男性が81.5歳、女性が87.6歳です。30歳代で家を建てたとすると、50年以上は住み続ける必要があります。そして一人になってからも住み続ける方は多くいらっしゃいます。これからもっと長寿命化していくと思いますので、これからの家づくりは60年のスパンで考える必要があります。 最初に紹介した日経新聞の記事内では、さくら事務所の田村さんが「期間を延ばすと流動的要素が多くなるが、仮に60年の総費用を考えると、2500万円程度になり得る」と話されています。「よくぞ言ってくれた」という金額です。外壁塗装で１０年から１５年ごとに300万円がかかり、その他にシロアリの防蟻処理、給湯器交換、設備機器交換、室内のリフォーム費用、給排水管の高圧洗浄や交換などを考えると、60年間快適に住まい続けるとなると、それくらいの金額はかかるものと思います。 JBNの既存改修委員会のワーキンググループで「住まいの健康計画表＆住まいの健康計画ハンドブック」を作成しました。その書籍の付属物として、エクセルを用いたメンテナンス費用を算出できるツールがあります。この書籍のワーキンググループのメンバーでしたので、発行に当たっては、あすなろ建築工房でも多くの資料を提供しています。書籍の事例写真の多くは、あすなろ建築工房でメンテナンスをしてきたお家の事例です。 これからお家をご検討中の方やリフォームをご検討中の方は、是非この住まいの健康計画表を用いて、メンテナンス費用を計算していただければと思います。全国のJBNに加盟している工務店さんには配布済みですので、お近くのJBN加盟工務店さんにご相談ください。 先の日経新聞の記事内では、マンション修繕積立金の不足についても触れられています。戸建てだから修繕金が少なくなるのではありません。マンションだって修繕積立をしています。戸建てもマンションもしっかりと将来を見据えて、修繕費を準備して備えておく必要があります。マンションの修繕積立金の問題についてはまた別のメルマガで詳しく解説したいと思います。 何か不具合が起こってから対処する対処療法よりも予防にかける費用の方がだんぜん安上がりです。これは人間の健康と同じですね。日頃から健康診断や人間ドックを受診して、大きな病気を事前に察知し、進行する前に治しておく、これが大事です。お家も日頃の点検をこまめに行い、定期的なメンテナンスを行い、大きな修理を必要としないようにしておくことで、トータルの費用を抑えることができます。そして最初から耐久性の高い材料を選んでおくことも大事です。 本日は「自宅の修繕費、築30年で900万円超！」のお話でした。

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外壁に塗る〇〇

小屋裏エアコンと設計者のメンテ。

～今日は、鹿児島から熊本に来ております～

天井断熱のブローイングってこんなの。

乾太くーん！！

地盤改良工事ってどれくらいの確率なのか？

仕様が間取りに影響する

見せる？見せない？

高気密高断熱の家はカビる！？

保証って何年？

家族の”これからどうする？”はとても重要です。

みのるほど首を垂れるおじさん。

家百パートナー企業様