水戸工務店代表の小林弘典です。
先週、流山市にある円東寺様の本堂新築工事について、建築請負契約を締結いたしました。
私たちにとってお寺の本堂を手がけるのは今回が初めてで、正直なところ身の引き締まる思いです。それでも、これまで培ってきた技術を注ぎこんで、完成までしっかりと取り組んでまいります。
住宅を主として取り組んできた地場工務店ですが、最近は幼稚園やクリニック、
そして今回のような寺院本堂といった木造非住宅の分野に、
積極的に取り組んでいく必要が出てきていると感じています。
奇しくも同じ時期に、大和ハウスが国内の新築戸建て住宅事業を大きく縮小する、というニュースが目に留まりました。
ダーウィンの「生き残るのは、変化に対応できる者である」という言葉がありますが、規模の大小を問わず、今の住宅・建築業界に強く当てはまる話だと感じています。
今月は、そんな大和ハウスの動きから考えたことをお伝えします。
9月4日の日経新聞一面に、
大和ハウス工業が注文住宅事業を23道県から撤退するというニュースが載りました。
https://m-mitok.jp/l/m/imlA0ICb0Udu6g
現在45都道府県にある拠点を、2027年4月をめどに東京・大阪など都市圏中心の体制へ集約し、
対象エリアでは自由設計の新築戸建てを事実上5000万円以上の価格帯に限定するとのことです。
資材高騰や職人不足、人口減少が背景にあると報じられています。
なお、撤退エリアの既存オーナーへのアフターサービス自体は、
新設される専門会社を通じて継続される方針とのことです。
ちなみに、今回の撤退対象23道県に、私たちのいる千葉県は含まれていません。首都圏は、大和ハウスがこれからも経営資源を集中させ、力を入れ続けるエリアです。
つまり今回のニュースは、私たちにとって「大手が退いた市場を工務店が引き継ぐ」
という話ではなく、「大手が本気で残り続ける市場の中で、何を基準に選ばれるか」
という話なのだと受け止めています。
このニュースをきっかけに、改めて考えたことがあります。「住宅会社のブランドとは、そもそも何なのか」ということです。
ブランドと聞くと、知名度やテレビCM、企業の大きさを思い浮かべるかもしれません。
しかし本質はもっとシンプルで、「この会社なら、自分を裏切らないだろう」という信頼の積み重ねなのだと思います。
多くの方が大手ハウスメーカーを選んできたのも、まさにこの安心感からでしょう。
ただ、今回のニュースは、その「安心」の中身を見直すきっかけにもなります。
大手が掲げる「60年保証」も、実際には10年目・20年目といった節目ごとに点検を受け、
必要な有料メンテナンスを行うことで延長していく仕組みです。
つまり「60年間何もしなくていい」ということではなく、
「60年間、その会社との関係を続けていく仕組み」
というのが実態に近いのだと思います。
今回の撤退についても、大手が採用してきた「型式認定」という仕組みがある以上、
事実上、構造に伴うリフォームはそのメーカーしかできません。
そのため既存オーナー向けのメンテナンスやリフォームという事業は、
新築を退いたあとも、むしろ強化されていくと思います。
実際に、既存住宅のメンテナンスからリフォームまでを一手に引き受ける専門の会社を、
全国規模で立ち上げる動きも出ています。
それでも、この受け皿がずっと続くとは限らないとも思います。
人口が減り続け、既存オーナーの数そのものがやせ細っていけば、
いつか「その地域のメンテナンス事業すら畳む」という
経営判断がなされる日が来てもおかしくありません。
企業である以上、それも当然の選択です。
そもそも型式認定という制度は、同じ仕様の住宅を大量に、
効率よく供給するために生まれた仕組みです。
人手も情報も限られていた時代には、大きな武器でした。
しかし今は、ソフトウェアの進化によって、私たちのような地場工務店でも、
1棟ごとにきちんと構造計算を行える時代になっています。
そう考えると、量をさばくための「型」を作ってしまうことが、
施主にとっては足かせになっているとも言えます。
こうした状況の中で、もう一つ見落とされがちなのが「直せるかどうか」という視点です。
家族構成は30年、50年という時間の中で必ず変わっていきます。
子どもが独立する、親と同居する、間取りを変えたい、断熱性能を上げたい、、、
そうした暮らしの変化に手を入れられることこそ、
本当の意味での「長寿命」なのではないでしょうか。
メーカー独自の構法や部材に依存した住宅は、
この「直せる」「変えられる」「別の作り手に引き継げる」という点で、
制約を抱えることがあります。
私たちのような地域工務店には、大企業のような規模もCMも知名度もありません。
それでも簡単にはこの地から離れられないという特徴があります。
社員がいて、一緒に家を作ってきた協力業者がいて、これまで建ててきたお客様がいるからです。
大手ハウスメーカーがこの先も同じ市場に残り続けるからこそ、
私たちは規模や知名度とは違う物差しで選んでいただく必要があると感じています。
柏市やその周辺の気候風土を踏まえた設計や、
建てたあとの点検・リフォームまで、責任を持って続けていくこと。
それが、私たちにつくれるブランドだと考えています。
私たちが大工を自社で育成し、社員として抱えているのも、
この「直せる」「変えられる」を将来にわたって担保するためです。
図面や構造をブラックボックスにせず、断熱等級7や許容応力度計算による耐震等級3といった性能を数値でご説明できるようにしているのも、同じ理由からです。
住宅は建てて終わりの商品ではなく、そこから30年、50年、それ以上の暮らしが本番です。
だからこそ住宅会社選びは、「この会社は何ができるのか」「暮らしの変化にどこまで対応できるのか」という中身で判断していただきたいと、私たちは考えています。
これからも地場工務店として、規模や知名度ではなく、
頼んでよかったと思っていただける工務店でありたいと思います。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
また次回もよろしくお願いします。
それでは!
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