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株式会社あすなろ建築工房

バリアフリー住宅のつくり方

こんばんは。

あすなろ建築工房の関尾です。

本日は一日六ッ川の家で
撮影が行われました。

「こんな時期に六ッ川の家で撮影?」
と不思議に思う方も
いらっしゃると思います。

そうなんです。

取材がありました。

テレビ局さんの取材でした。

日本テレビさんの撮影クルーさんと
タレントさんがいらっしゃいました。

メインのタレントの方は、
皆さんもよくご存じのあの方。

詳しく話をしたいけど、
まだ出来ない、、、。

全国放送のゴールデンタイムの番組で、
皆さんもどこかで一度は見たことが
あると思われる番組です。

お天気にも恵まれ、
いい感じで撮影頂けたのでは
ないかと思います。

放送日の予定は11月22日(月)です。

まだ詳細はお伝え出来ないので、
次々回あたりのメルマガで
お知らせさせて頂きたいと思います。

前置きはこれくらいにして
本題に入りたいと思います。

今回はウッドショック、
建材ショックの話は無しです。

本日は
「バリアフリー住宅のつくり方」
の話をしたいと思います。

先日、所属している
住環境価値向上事業協同組合
(SAREX)のワークショップで、
阿部建設の阿部社長から
お話をお伺いする機会がありました。

阿部建設のHPはこちら。
https://asunaro-studio.jp/l/m/yZT2EDr3tObVxG

阿部建設の阿部社長さんからは、
私の創業時からいろいろと
学ばせて頂いています。

11年前には、
ポートランド研修も
ご一緒させて頂いています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/KuoEz047FmsCJi
https://asunaro-studio.jp/l/m/2DrLfjJQ15lZ9P
https://asunaro-studio.jp/l/m/hbatj14aJnJ53G
https://asunaro-studio.jp/l/m/o3uk4la6Dh9F7r
https://asunaro-studio.jp/l/m/zg0k3yWsM0Cl03
https://asunaro-studio.jp/l/m/ETDavbrMnPp8FV

ブログで詳しく研修の内容を
書き記しています。

今見返してみても
「よく書いているな~」
と自分で感心してしまいます。(^^;

阿部社長は、9年前の事故で
車椅子生活になっていて、
障がい者目線での家づくりを
なさっています。

実は映画にもなった
「パーフェクトワールド」
のモデルは阿部社長です。
https://asunaro-studio.jp/l/m/HdQmF4XfitR2nv

本日の阿部社長の話で
興味深い話をお伺いしました。

「下半身が麻痺した状態なので、
胸から下の感覚がない。
つまり温度変化も分からない。
断熱性能の低い家にいると、
暖房はしていても
床が冷えている場合、
【頭寒足熱】の逆になってしまって、
頭が暖かいと思っていても、
身体が冷えていることを
感じないままになってしまう。
長時間そこにいると、
身体全体が冷え切ってしまって、
不調を感じるまで
分からないままになる。
障がい者にとっては、
温度ムラは命取りにもなる。
高気密高断熱の住宅で
温度ムラがないという環境は、
一番のバリアフリーになる。」
ということでした。

健常者の場合であれば、
足元が寒ければ靴下を厚くしたり、
暖房を入れたりと、
工夫することが出来ますが、
麻痺のために温度を
感知できない場合は、
「寒い」ということが
感知できずに内臓が
冷えてしまうまで
身体を冷やしてしまうそうです。

youtubeでも
「温度ムラの少ない環境によって、
自律神経が崩れずに済み、
健康を維持できる」
とお話させていますが、
まさにこの話の通りですね。

そして阿部社長からは
「障がい者のことだけを
考えて計画すると同居する家族が
住みにくい家になってしまう。
障害を持つ人以外が
我慢するようではよくない。
健常者も快適に
住まえるようにするには、
偏り過ぎない設計も大事。」
とのお話もありました。

これらの話を聞いて、
前職の組織設計事務所時代の
時の話を思い出しました。

20年以上前になりますが、
日建設計の本社ビルの設計を
していたことがありました。

設計事務所の本社ビルということで、
障がい者雇用の子会社があり、
主に車椅子の方が
多い部署がありました。

その部署でのヒアリングの際に
「温度ムラの無い
執務空間にして欲しい」
と言われていたことを
思い出しました。

阿部社長の話の通りで、
温度ムラがある執務空間だと
体調を崩してしまうとのことでした。

そして、その部署には
健常者の方も居るので、
お互いが使いやすい執務環境と
なるようにいろいろと
考えたことを思い出しました。

障害の度合いもいろいろあるので、
お互いに使いやすい環境と
なるように細かくヒアリングを
行っていました。

暖かい家にすることが
一番のバリアフリーであり、
そこに住まう家族、皆のことを考えて、
皆が快適に住まえるように
偏り過ぎない最適解を
求めることが大事なんですね。

大事なことを
思い出すことが出来ました。

そして阿部社長からは、
「これからは誰もが
高齢者になる。
高齢者というものは
ハンディキャップを負うこと。
バリアフリーが当たり前の
家づくりは誰にも必要なこと。」
というお話がありました。

バリバリのバリアフリー住宅に
する必要は無く、
その時にちゃんと対応できるように
考えておくことが大事とのこと。

阿部社長もこれまでも
たくさんのバリアフリー対応住宅を
手掛けてきたけど、
本当に車椅子生活になってしまった
人は「自分だけ」とのことでした。

これまで360棟を設計してきた
実績があるけど、
車椅子を使うことになったのは、
「自宅」の一棟だけだそうです。

私のお客様からも
「バリアフリーにしておきたい」
とのお話を良くいただくのですが、
車椅子ファーストの家づくりだと
実際には住まいにくいもの
になる場合があります。

「『将来対応できるように』
しておく程度にとどめて
おくことも大事である」
と阿部社長もおっしゃっていました。

車椅子生活になってしまう理由は、
交通事故であったり、
脳卒中であったり、
理由は様々です。

もしも車椅子生活に
なってしまった場合で、
自宅で自立して生活出来る人も
限られてきます。

上半身の動きがある程度
スムーズである必要があります。

介助が必要なレベルの
障害を負った場合には、
自宅での生活は
難しい可能性も高くなります。

「自宅での車椅子生活をする」
ということは、
加齢による身体能力の
低下によるものではなく、
事故や病気による原因の場合に
限った話となります。

加齢による身体能力低下の場合は、
介助がどうしても
必要になってくるので、
ご家庭に介助者が
常駐できない場合は
介護施設での生活と
なってしまう場合が多くなります。

以上から、バリアフリーを
意識しすぎた計画ではなく
「将来もしもそうなったときに
何かしらの対応が出来る計画」
としておくことがよいと思います。

私も過去に、交通事故で
車いす生活を送られている
お客様の住宅を2軒設計しています。

かなりヒアリングを密に行い、
設計に取り入れていきました。

その経験は現在の設計にも
活きてきていると感じています。

車椅子生活といっても
障害の程度によって様々で、
例えば、自走出来るのか、
介助が必要なのかで
車椅子の種類も違ってきます。

自走出来る場合には、
外用と家用の2種が
必要になります。

障害の違いによって、
手動であったり、
電動であったりします。

その種類によって大きさも
違ってきます。

大きさも違えば、
廊下や洗面所の
広さも変わってきます。

特に障害の程度の差で
変わってくるのが
トイレと浴室です。

介助なしでトイレを
使用できるのか否かで
必要なまったく広さが
変わってきます。

そして浴室はさらに
その生涯の程度の差で
設計が変わってきます。

上半身に麻痺が残る障害が
ある場合は、家族が介助しての
入浴はとても困難になり、
介護施設かヘルパーさんが
必要になってきます。

将来の障害が分からない状態で
バリアフリー対応というのは
実はとっても難しいものです。

重度の障害を見越して、
廊下幅を広くし、洗面所を広くし、
浴室を広くしていても、
普段が使いにくくなってしまいます。

そして障害を負うことなく済んだ
場合には、お金の無駄にも
なってしまいます。

なんでもかんでも安全を見て
設計してしまうと
結果として使いにくい家に
なってしまう場合があります。

これはハウスメーカーさんで建てられた
お家に多いようにも見受けられます。

バリアフリー対応は基本的には
広くして、汎用品でないものを
使うことになるので、
工事価格は高くなります。

「バリアフリー対応にしたい」
という要望は、住宅会社にしてみると
販売価格を高く出来るので
「ラッキー!」と思っている
場合もあると思います。

無意味にダイニングが広かったり、
廊下幅が広かったり、
洗面所が車椅子対応だったり、
浴室が広かったり、
手摺があらゆるところについて
しまっている住宅になってしまいます。

必要以上に広くて
使わない設備が付いていて、
結果として使いにくくなってしまっている
家というものをいくつも見てきました。

何も考えずにただ広くしてしまった家は
本当に生活しにくいものです。

このバリアフリー偏重の考え方を
脱却するには「ユニバーサルデザイン」
という考え方が必要になります。

「バリアフリー対応」
という考え方ではなく、
「ユニバーサルデザイン」
の設計思考である必要があります。

「バリアフリー」とは、
『障害のある人が社会生活を
していく上で障壁(バリア)
となるものを除去する』ことです。

「ユニバーサルデザイン」とは、
『あらかじめ、障害の有無、
年齢、性別、人種等にかかわらず
多様な人々が利用しやすいよう
生活環境をデザインする』ことです。

つまり家庭でのユニバーサルデザインは
「家族皆が使いやすい設計にする」
というものです。

とても明快で単純なものです。

障害の有無や年齢や性別に関係なく、
そこに住まう家族が
住まいやすい家であるべきと
考えています。

私が考えるバリアフリー住宅は、
断熱性能がしっかり確保され、
家中が冬に暖かく夏に涼しく、
まず健常者が普通に
生活がしやすいものです。

将来の障害に合わせて、
手すりや設備を追加できるように
なっているものです。

床は、弾力性があって、
暖かくて滑りにくい材料を選びます。

階段の段数も出来るだけ少なく、
蹴上も低くして、
上がりやすいものとします。

将来の障害の合わせられるように、
改修工事もしやすいものとしておきます。

つまりは、在来工法の木造で、
しっかりと断熱材を施した
普通の家こそが、
将来の変化に柔軟に対応できる
最良のバリアフリー住宅と
言えると思います。

設計を依頼する際には
「バリアフリー対応で」
と依頼するのではなく、
「将来の家族変化も考慮して
長く使いやすいデザインで」
と依頼するようにしてみて下さい。

本日は
「バリアフリー住宅のつくり方」
のお話でした。

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