こんばんは。
あすなろ建築工房の関尾です。
新築見学会、社内検査、
竣工写真撮影とイベント続きの
一週間でした。
事務所にいる時間が少なくなると、
メルマガやブログを書く時間が
少なくなるので、
間際になってどうしても
忙しくなってしまいます。
ということで、
本日のメルマガも
慌てて書いています。(^^;
まずはウッドショック、
建材ショックの情報から。
前回のメルマガで、
ウッドショック、
建材ショックの影響で、
昨年と比較すると450万円位、
工事費用が高くなっていると
お伝えさせて頂きました。
メルマガの感想も
多くいただきました。
住宅価格の1割を超え、
15%という金額となりますので
影響はかなり大きいものです。
マイホームをご計画の方には
深刻な問題です。
我々もこの上がり幅を
少しでも小さく出来るよう
努力するとともに、
最新の情報を得ていきたいと思います。
ということで、
本日もウッドショック、
建材ショックの最新の
情報と言う形で
お伝えしていきたいと思います。
10月12日の木材新聞に
「需要最盛期で受注100%超
木材不足が一服」
の記事がありました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/3V5PzwA8b5vX4C
まだ関東地方では
柱と合板が不足しているという
現実はあるものの、
全体的には落ち着きが出てきたようです。
とは言っても、
あすなろ建築工房で
依頼しているプレカット工場も含め、
関東地方のプレカット工場は、
まだまだ依頼を受けている
受注量に対してラインの方で
捌き切れていない状況が
続いているようで、
発注してから納品されるまでの
期間の短縮は見られていません。
以前よりもかなり早い段階で
プレカットの依頼を
してはいるのですが、
数か月先の納品の回答と
なっていて、その日数も
ジワジワと伸びているように感じます。
そして記事にもあるように、
これから最高値の
欧州材が流通してくるので、
今後の材料価格の
アップは避けられない感じです。
そんなところに日経新聞にも
「建材・内装材 値上げの波」
の記事がありました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/Gum5VdESUrgit4
先週メルマガでもお伝えした
吉野石膏の石膏ボード
30%値上げの話や
ガラスや壁紙や
フローリングなどの
値上げについて報じられています。
石膏ボードについては、
業界一位の吉野石膏の
値上げに続いて、
業界二位のチヨダウーテも
追随する可能性があると
記事内に記載がありますが、
同日にチヨダウーテも
3割値上げの発表がなされています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/Yr0RmEkbPwvkBv
石膏ボードは6月に
2割値上がりされて、
半年の間に1.2×1.3=1.56と
5割以上の値上がりになっています。
フローリング材などの
成形材の値上がりはこれからなので、
価格高騰のピークは
この先の年末から
来年初頭にあるように思います。
先日取材を受けた朝日新聞の
記者さんの話では、
「ハウスメーカー他
住宅会社は取材を申し込んでも、
材料高騰の価格転嫁については、
あまり情報を出したがらない」
とのことでした。
「販売価格が高くなっている」
という情報は、自社の購買競争力を
低下させる可能性があるので、
表に話を出したがらないとのこと。
日経新聞の記事内も
「住宅の販売価格に
転嫁する可能性が高い」
という内容になっていますが、
実際はすでに転嫁は行われており、
その額も相当なものになってきています。
これからもっともっと
問題視されてくるものと思います。
今週のウッドショック、
建材ショック情報は以上となります。
さて、本日の本題は、
10月10日の日経新聞の
記事の内容から。
この日の日経新聞の
トップページに
「森林にも迫る高齢化」
の記事がありました。
https://asunaro-studio.jp/l/m/OJNBkQoTrFrn2f
国内の人工林の過半が
植林後50年を超えて、
国民同様に高齢化が目立ってきた、
という記事です。
ということで、本日は
「高齢化で代謝が少ない日本の山」
の話をしたいと思います。
森林は二酸化炭素を吸収し、
幹や根に貯蔵して、
地球温暖化防止の役割を
果たすことが知られています。
京都議定書、パリ協定で約束した
温室効果ガス排出量削減のためには、
森林によるCO2吸収も
同時に行っていかなければなりません。
その吸収量は、
50年生のスギで
1本当たり約190kgに
達するそうです。
https://asunaro-studio.jp/l/m/q6mQ9TfsaW8OCW
これを50年で割ると1年間だと、
1本当たり
約3.8kgの炭素
(約14kgの二酸化炭素)を
吸収したことになります。
人間1人が呼吸により
排出する二酸化炭素は
年間約320kgなので、
スギ約23本あると
一年分のCO2を
吸収してくれることになります。
しかし、記事にもあるように
木々が吸収するCO2は、
樹齢40年を過ぎ、
成長が緩やかになると
吸収量も頭打ちに
なってしまいます。
「森林伐採は環境破壊だ」
という意見も聞かれますが、
これは誤った判断と言えます。
しっかり植林され若返りが
図られた山林は、
CO2の蓄積を増やし
続けていくことが出来ます。
伐採することは、
決して環境破壊ではありません。
日本の山の木のほとんどは
植林後50年が経って
しまっていますので、
どんどん切り出して
新しく植林していくほうが、
資源が生まれ、
そしてCO2削減にも
つながるものです。
日本の山には、
旬を過ぎてしまっている
木が大量にあります。
現在はウッドショックで
木材が足りないこともあるので、
国内木材生産を増やすことは、
メリットのほうが
断然大きくなります。
これを契機に伐採されずに
放置された山林の活性化に
繋がっていくことを
期待していたのですが、
残念ながら、
ウッドショックを経ても、
国内生産量は微増に留まり、
積極的な生産増には
至ってはいません。
以前のメルマガや
youtubeでもお話していますが、
戦後の高度経済成長期には、
多くの木材需要に伴って
広範囲で木材伐採と
植林がなされてきました。
国土の約70%近くが
森林といわれる日本列島では、
江戸時代から地産地消の形で
造林・伐採・製材が
しっかりと行われ、
循環型の産業として
成り立っていました。
それが、1980年代以降に
安価な輸入木材が海外から
入ってきたことで、
日本の林業は急激に衰退し、
この数十年は補助金のための
林業となってしまっています。
補助金が無ければ林道を作れず、
補助金が無ければ間伐も出来ず、
補助金が無ければ伐採が出来ず、
補助金が無ければ工場も作れず、
補助金が無ければ植林も出来ないと、
ナイナイ尽くしの林業と
なってしまっています。
記事にもありますが、
結果として手入れがなされず
放置されている山が多いので、
台風などの大雨の際には、
林道が崩れ、
倒木が大量に
起こってしまっています。
数年前の関東直撃台風の際には、
千葉県ではこの倒木で
大規模な停電を引き起こし、
さらに復旧にも
時間を要してしまいました。
手入れのされない山は、
下草に日が当たらず、
表土が削られ、
木々は細くなり、
ちょっとした風雨で
倒木してしまいます。
補助金頼みで作られた林道は、
効率を重視し、
熱海の土砂崩れのような
直線的な谷の埋め方が
なされてしまい、
大雨に弱いものと
なってしまっています。
税金が大量に投入されて
造られた林道が、
簡単に台風で崩れて
使えないものに
なってしまっています。
ハッキリ言って
税金の無駄遣いです。
この検証もなされないまま、
毎年大量の補助金と言う名の
税金が投入されています。
そして近年では、
海外資本に山が買われ、
伐採され海外輸出
されてしまっています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/lXiEUUC6S7dBpt
https://asunaro-studio.jp/l/m/l5rkXPd0GKxsv6
税金を使って切り出された材木が、
「安い」という理由で
海外に輸出され続けています。
どこかでこの負の連鎖を
断ち切らないといけないのですが、
補助金漬けになっている業界は
何も言えないままで、
そこには利権が絡んでいますので、
国も森林組合も動こうとはしません。
伐採後の植林規制が緩いものだから、
植林されることなく
そのまま放置され、
全国にはげ山が
増えてきてしまっています。
記事内では「造林未済地」が
増え続けているとあります。
そして急峻な日本の山は、
切り出すにも費用が
掛かることから、
切り出しやすいところは
伐採されても、
山奥の木々は
放置されてしまっています。
山奥の木々を伐採し、
運び出すには、
林道を築造していると
それはそれは大変なので、
「索道」と呼ばれる空中に
渡したワイヤーロープを用いるか、
ヘリコプターを用いるなどが
必要となります。
コストのかかることなので、
これまでの原木価格では
まったく採算に合わず、
放置されるしかありませんでした。
結果として植林後50年を
超える森林は、
人工林全体の半分以上を
占めるに至って
しまっているとのこと。
先にお話しした通り、
皆伐して植林せずに
放置することでは
環境破壊となってしまいますが、
伐採の後にきちんと
植林されることで、
今後のCO2の吸収を
期待できるので
環境破壊にはなりません。
しかし現在の原木価格では、
伐採して木材を売って得た
利益よりも植林する費用の方が
高くなってしまいます。
補助金がなければ植林もしません。
そして、植林してもシカなどに
食べられてしまって
育たない山もたくさんあります。
この国の山持さんにとっては、
意欲が削がれてしまうこと
ばかりだと聞いています。
一方で、中国は現に自国での
大量の植林に動いていると
記事にもあります。
日本もこのウッドショックを
機会にして、あるべき姿の
林業に戻していかなければ
ならないと思います。
林業をビジネスから
遠のけてしまったのは、
安易な海外からの材木輸入と
補助金施策と
言ってもよいと思います。
伐採して、植林して、
間伐などで山を手入れして、
循環させていくには、
30年から50年のサイクルと
なってきます。
今植えた苗木が使われるのは、
自分たちの子供たちか
孫の時代となります。
林業は数十年単位の
事業ですので、
深い理念がないと
成り立たないものとなります。
防災や脱炭素といった
社会的有用性の前に、
現実にはビジネスとしての
厳しさが立ちはだかります。
スギの丸太の立木価格は
1980年ごろピークの一割に
なってしまっていましたが、
昨年からのウッドショックにより、
採算ベースに合う金額近くには
戻ってきています。
なぜか今回のウッドショックの
価格高騰は、川下での
流通価格のアップばかりで、
山側への還元は一部に
留まってしまっています。
この木材の販売価格上昇を
しっかりと山に還元できるようにし、
林業そのものを本来ある形に
戻して欲しいと切に願うばかりです。
記事にもあるように、
山が抱えた問題は、
これだけでなく
相続の問題や森林組合の問題など
たくさんあります。
私が所属する
全国工務店協会JBNからも
林野庁他関係各省庁に
申し入れは行われています。
今後の政策に
期待したいところですが、
コロナ対策もすべてが
後手後手の政権では、
期待は出来ない感じですね。
解散総選挙なんてやっていないで、
早く国会を開催して、
国の施策をしっかり
行って頂きたいものです。
本日は
「高齢化で代謝が少ない日本の山」
のお話でした。
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