いつもありがとうございます。
菊池組キクチです。
まず、今日の「家づくり百貨」インスタライブは前半にキクチが出演します!
リアルタイムで見られる方はラーメン絵文字での応援をよろしくお願いします。
さて、値上げの情報です。
10月1日から、こちらのメーカーが値上げになりますので、
これらの採用が決まっている方は、間に合うように手配してもらいましょう。
https://kikuchigumi-mutsu.com/l/m/V5Y12yLRr4DmG6
LIXILも今年4月に既に値上げしていて、トイレでは平均23%程度、最大167%アップだったようです。
建築費、材料費の値上がりの急激さは収まっているものの、ジワジワ値上がりが止まっていません。
「一般財団法人 建設物価調査会」で調査、発表している「建設物価 建築費指数」によると、
木造住宅の場合は
2025年8月の建築費は昨年同月に比べて約3%高くなっています。
2020年8月からの5年前を比較すると建築費は39%アップですから、
そのころ2500万円だった家は約3500万円に。
3600万円だった家は約5000万円になっているという事。
(同じ広さ、仕様であれば)
私どもの地域では今のところ土地価格が高騰しているとは感じていないのですが、
首都圏など都市部では土地価格の高騰もかなり激しいようです。
収入が5年間に比べて4割アップできている人は少ないと思います。
ちょっと思う事があって、3年前の2022年8月、夏真っ盛りに書いたメルマガを。
「思う事」というのは最後に。
以下、2022年8月のメルマガから引用
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こんばんは菊池組・キクチです。
私たちのような住宅会社には現在、毎週のように何かしらの値上げのお知らせが届く状態。
もちろん住宅以外も値上げが激しいです。
私が定期的に購入しているプロテインや輸入サプリメントを購入履歴から再注文して、短期間での値上げ幅にビックリしました。
家を建てるのを辞めようという人も多いかもしれませんが、それはそれで一つの選択肢だと思います。
コストアップしているのに今までと同じ予算で性能を落とした家を建ててしまうとそっちの方が大変。
ここから先は未来をのぞき見た気になれる?話です。
現行の省エネ基準、いわゆる「等級4」と同水準の断熱水準が示されたのは1999年。
私は高校生でしたが、高校卒業までアルバイトしていたファミリーレストランでの私の卒業時点での時給は600円でした。
(それより前の、中学生時代に続けていた新聞配達は時給換算400円台でした笑)
1999年頃、青森県の最低賃金が確か595円だったと思います。
その頃の灯油の価格は1Lあたり約40円!現在の約3分の1ですね。
コロナ以前の2019年頃と比べても約半分です。
もちろん住宅の値段も、2000年頃というのはコロナ以前の2019年頃と比べても、ずっと安かった。
そして一般的に建てられていた住宅も、今よりずーっとスペックが低かった。
上記の通り、給料や物価の水準が現在よりずっと低かったのももちろん大きいですが、
それだけでなく現行の耐震基準が制定されたのは2000年ですし、
現行とほぼ同じ省エネ基準(めちゃくちゃレベルの低い基準ではあるが)が制定されたのも1999年。
耐震は義務ですが、省エネ基準の方は当時相当の基準が現時点でも義務化されておらず、当時はそんな低い基準でもそれをクリアする住宅自体、今よりだいぶ少なかったようです。
今、これから家を建てる人はもちろん大変だとは思うのですが、
今一番困っているのは、その頃に「安いけど性能の低い家」を建ててしまった人ではないでしょうか。
青森県では2000年頃といえば、灯油ボイラーによる温水暖房や、蓄熱式電気暖房機やスラブヒーターなどを用いた全館暖房が主流。
灯油の単価はその頃から見ると約3倍。
深夜電力単価は7円/kW位だったのが現在では再エネ賦課金を入れて約2倍、
昼の単価も1.5倍以上、
電気の方は上限が撤廃されれば、これからまだまだ上がる見込みです。
2000年当時は年間暖房費が10万円で済んでいた人が、2022年の冬は同じ水準で暖房しようとすれば年20~30万円も掛かる事になります。
賃貸でも同じで、今住んでいる賃貸の家賃が住んでいる最中に上げられる事は簡単には無いと思うのですが、入退去のタイミングで家賃改定は十分にありえます。
新たに建てられる賃貸住宅は建築価格の高騰が賃料に反映されるでしょうし、今後は建物が古くても賃料が下がりにくくなる事でしょう。
今までと同じ賃料の場合、暖房費は大きく上がってしまうので、
経済的にそのぶん今までより暖かくできない。
あるいは今までと同じくらい暖める場合は暖房費が多く掛かり、家計を圧迫するという事になってしまいます。
落ち込む話をしましたね(笑)
でも、「他の国と比べて経済成長してない」と言われているこの日本でさえ、この20年で最低賃金は1.5倍くらいに上がっているという事。
お隣の韓国は、その半分のたった10年で2倍まで上がっている事を考えると、日本の上がり方はかなりショボいのですが、物の値段だけが上がったわけではないという事。
もし20年前にタイムスリップして、その頃に家を建てた人に私が何か伝えられるとするならば、、、
「耐震や断熱、えげつないレベルでやりましょう!20年後は年間暖房費〇〇万円以上かかりますよ!2000年時点ではアホかと言われるようなハイレベルで建てても2022年では当たり前!売ったとしてもそのレベルの中古なら重宝されますよ!
全館暖房するための、その設備費用を全部断熱と耐震に振りましょう!」
こう言うでしょう。
2000年に家を建てる人達に、このアドバイスを届ける事はできません。
そして私達も2040年から来た人にアドバイスを貰う事はできません。
でも、「2022年の私達が2000年の人にアドバイスするならこれを伝えたい」という言葉は、
2022年に家を建てる上でも少なからず参考になるのではないでしょうか。
ちなみに実際の2000年頃の菊池組は、この地域の中ではかなり高断熱な家を建てていた方でした。
UA値でいえば0.4台の家を「これからはこれが普通になる!未来の性能だと思う!」というような事を言って建てていたようです。
周りの同業者の多くからは「未来もなにも、そんな高い性能はいらねえよ、やりすぎだ。値段も高いだろうが」と陰で言われていたようですが、
振り返ると、UA0.4台でも未来の性能とは言えなかった事が、その後の私達もわかってきて、20年後の菊池組はその頃の2倍以上の外皮性能になってますね。
そして、20年前に「そんな高い性能はいらねえよ、やりすぎだ。値段も高いだろうが」と言っていたような周りの人達が今では、その頃の菊池組くらいの性能の家を、その頃の菊池組よりもずーっと高い値段で建てている、というのが現実です。
20年後の未来をのぞき見る事はできませんが、
20年前を振り返る事はできます。
2022年に「こんな資材高のご時世、そんな高い性能はいりませんよ、家が建たなくなりますよ」と言っている建築会社が、どれだけ無責任か。
メルマガ書けない病にかかってしまい、以前ほどのペースでは無理ですが、私なりのコストコントロール法を次回以降、時々書いて行こうと思います。
ではでは。
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引用は以上
実は昨年2024年にもこの時の文章を引用してメルマガを書いていました。
なぜ、今この話を出してきたのかというと、
先日、全国の住宅事業者が約3500社加盟している「JBN」という団体の全国大会の中、環境委員会による分科会に講師として登壇しました。
その中でもこのような話を盛り込んでお話をさせて頂いたから。
私自身たくさんの住宅に関わってきた中で
もっと断熱をすれば良かったというのは数え切れない。
だけど
断熱をし過ぎて後悔した事はただの一度もない。
この言葉、いろいろな場面で何度も言ってきた事ですが、これからも言い続けて行きます。
「高気密高断熱住宅」が当たり前になって、
この国から「高気密高断熱住宅」という言葉が消えてなくなるまで。
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今日のお昼の「家づくり百貨」でも、JBNでの講演内容を含めてお話させて頂きますね。
キクチは前半でお待ちしています。
ではでは。
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