こんにちは。
プレゼントデザイン 川端です。
今日も少し、建築論。
こんなご質問をいただきました。
「パッシブデザインで有名な方も、
軒0の家をつくっていますが、なぜでしょう?」
結構、鋭いご質問ですね。
ちょっと、建築の勉強の話になりますが、
ご興味のある方はお付き合いください。
まず、キーワードはモダニズム建築です。
ル・コルビジェという建築家が、
モダニズム建築で有名ですが、
それ以前はヨーロッパでは
ゴシックやバロック様式というのが、主流でした。
おそらく、多くの人が想像するヨーロッパの街並みが、
ゴシックやバロック様式で建てられたものです。
それが、ある建材の登場で、建築様式は一気に変わります。
鉄とガラス。
それまでは、荷重をうけるために、
大きな窓はとれませんでしたが、
鉄とガラスの登場で、大きな窓が取れるようになりました。
また、地面からの解放という言葉で、表現される。
ピロティの登場もこのころです。
ピロティが何かわからない方は、
丹下健三が設計した平和記念資料館を画像検索してみてください。
建物が宙に浮いている状態の建築のことを
ピロティと呼びます。
モダニズム建築以前は、自然などに耐えれるように
構造計画がされ、デコラティブな装飾で、
建築が表現されていましたが、
機能を重視したシンプルなデザインが広がっていきました。
ちなみにコルビュジェの弟子のひとりが、
明治生まれの前川國男で、
その弟子が丹下健三だったりします。
私の大学院の時の恩師の一人の横内さんは、
前川國男事務所にいらっしゃいました。
蛇足ですが、
コルビジェの時代の三大巨匠が、
フランク・ロイド・ライトと、
三―ス・ファン・デル・ローエですが、
ライトの弟子が吉村順三さんで、
その弟子が、奥村昭雄、
その弟子が、私が通っていた住宅デザイン学校の
伊礼智さん
吉村先生の他の弟子が、益子義弘で、
その弟子が、大学院のもう一人の恩師、
堀部安嗣さんです。
会ったことがある人だけ、さんづけですみません。。。
ということで、日本にもモダニズム建築の影響は
大きく受けています。
特にビル建築は、モダニズム建築を近代化した結果ともいえるかもしれません。
機能的でシンプルなデザインを美しいという文化が入ったのは、
それは間違いなく、大きな空間を可能にする鉄筋コンクリートと
大きなガラスの普及によるものです。
ですが、皆さん、思い出してください。
こういう流れの一環で、小学校も同じようなデザインが
普及していったのですが、
その建物が快適だったでしょうか?
また、長持ちしていますか?
鉄筋コンクリートは100年持つといわれましたが、
実際は50年待たず、取り壊され、
庇など何もない建築は、大きな設備がないと、
暮らすことが困難になっています。
すみません、興に乗って、
久しぶりに長文になりましたが、
現在の建築は二つにわかれています。
モダニズム建築の延長で、軒ゼロで線を少なく見せる建築、
一部のパッシブデザインの設計者がこちらに行っているのは、
窓からの日射取得の最大化と、デザインの両方を狙っているからだと思います。
一方、私が学んできた、
伊礼さん、横内さん、堀部さんは、
みなさん、住宅には3角の屋根を設計しています。
この3人の片流れの屋根はほぼ見ない。
ここからは想像ですが、
モダニズム建築の弟子たちは、
その建築の経過をずっと見てきています。
なぜ、日本、特に本州では三角屋根が多いのか、
それは雨が多い国だからというのは、
知っています。
私は昔から、三角の屋根と軒の深い家が好きだから、
そのように設計しています。
軒のない家を設計する人は、
コストを抑えたいと考えているローコスト住宅か、
モダニズム建築を追いかけているのどちらかと思います。
私は落ち着く家が良いと思い、
日本の町に似合う、日本の家を設計したいと思います。
それでは、また次回。
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