凰建設の森です。
本日は、来週から始まる
全館空調設計講座の準備。
全10回で、湿気に関する
基本のきから設備設計に
至るまでのプロ向け講座。
かなり敷居が高いですが、
終了後にはこんな空調を
自分で設計できるように
なるのが目標です。
↓ ↓
https://ohtori1.com/l/m/s5QWE0D7b7QgZP
がつがつ宿題を出すので、
受講する方も大変ですが、
私もたいへん。
全国にきちんと空調設計を
出来る人が増えて行くと、
湿気で悩む住まい手が減る。
実務者が勉強をすることで、
高価な空調システムに
頼らなくても済みます。
プロの知識向上というのは、
誰にとってもメリットしかない。
と思いますがいかがでしょうか。
さて、本日の話題は、解禁。
何が解禁かと言いますと、ナイトパージ。
岐阜のここ数日の気象情報を見てると
いよいよやっても大丈夫な感じに。
夜間、涼しくなった外気を取り入れ、
家の中を冷やしておき、
次の日の日中の冷房負荷を下げます。
ナイトパージのポイントをいくつか。
まずは窓の高低差です。
空気の入れ替わり量は
空気の比重に依存します。
家の中の暖かく湿って軽い空気は
家の高い所に溜まります。
なるべく高い所にある窓を開ける。
そして低い所にある窓を開ける。
夜間、二つの窓を開けると、
第一種換気、第三種換気に関わらず
上の窓から暖かい空気が逃げて、
下の窓から冷たい空気が入るのが
分かるかと思います。
次に、窓の開口量です。
50cm角程度の小窓であっても
ロフトと1階で1か所ずつ開いてて
外が19℃80%中が25℃60%
という気温の場合、
約200m3/hの換気量と、
それに伴う500W程度の
冷却効果が見込めます。
建物の熱容量が10MJ/K
とすると、10時間の
ナイトパージによって
明け方の室温は2度弱
下がる見込みになります。
25℃で寝る前に窓を開け
明け方は23℃強。
掃き出し窓を1階2階全開
みたいにすると、
明け方にはすっかり外気温に。
でも、19℃はちょっと寒い。
という事で、開口量は、
開けすぎ注意です。
季節が進むほど、外気温は
下がり続けます。
慣れてくれば、今夜は
このくらい開けておこうかな?
みたいな感じで、
丁度いい塩梅を狙えるように。
次が、和室に注意。
よく、和室におしゃれ地窓が
付いている家があるかと。
1階の地窓とロフトの窓だと
高低差が最高になりますので
ナイトパージの窓としては
とてもいい感じです。
しかし、畳を冷やすのは、
あまり得策ではありません。
畳のイグサに含まれる空気が
ナイトパージによって
冷やされると、露点温度を
下回ることも。
となると、畳表面に結露が。
その結露がカビを呼び、
畳にカビが生えるという事も。
↓ ↓
https://ohtori1.com/l/m/1DK1bXF4JCeuFF
そして最後の注意点。
ナイトパージの経路は
なるべく寝室を外して。
ナイトパージの大きな目的は
エネルギーを使わずに、
適度な快適を得る事にあります。
エアコンと違い、自然は
人間に忖度してくれません。
エアコンであれば、丁度いい
温度を勝手に保ってくれる。
ナイトパージは窓を開けてから
窓を閉めるまで室温は
下がりっ放しになります。
夜寝る時に、布団をかぶらず
いつものように寝たとして、
明け方が21℃だと寒い。
でも、明け方は少し寒いくらいに
しておいて、日中の室温上昇に
備えるという物ですので、
明け方は少し寒いくらいの方が
日中のエネルギーは使わずに
済むことになります。
なので、寝室以外はぐっと
室温を下げておいたとしても、
寝室だけは明け方まで、
風邪をひかない気温に
しておいた方がいいんです。
という事で、ナイトパージは
寝室の窓以外で行う事。
理想としては、朝起きて、
寝室の扉を開けたら、
ひんやりした空気が気持ちいい。
くらいな感じですね。
ナイトパージは、日中に
エアコンが欲しいなと
感じる時期であればずっと
使い続ける事が出来ます。
岐阜だと10月いっぱい位?
設計によっては高断熱住宅は
12月に入るくらいまでは、
日中にオーバーヒートを
起こします。
↓ ↓
https://ohtori1.com/l/m/O7AwExto8sfDyH
イメージできます?
11月中旬に、閉め切っておくと
気づいたら室温30℃!?
慌てて窓を開けて、外の
爽やかな空気を取り入れて、
「涼しくて気持ちいいね!」
って言いながら暮らす生活。
11月に入るとさすがに夜は
1桁台の気温も出てきます。
ナイトパージは控えておき、
代わりに日中に窓を開ける。
高気密高断熱住宅のリビングの
窓をがばっと開けるタイミングは
10月や11月にやってきます。
これから秋本番。爽やかな季節。
しかし、秋は短いですよね。
快適な季節はあっという間に過ぎ
すぐに寒い寒い季節が始まります。
ところが、本当に性能のバランスが
取れた家の秋は、このシーズン以降
12月まで続くんです。
上手にやれば、10月11月は冷房暖房を
使わない暮らしになります。
是非、これからの季節は、
ナイトパージや日中の窓開けを行い
エネルギーを使わず快適に
暮らしてくださいませ。
私が設計した家であれば、
ちゃんとそういう暮らしの為の
仕掛けがしてありますので。
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