こんばんは。
あすなろ建築工房の関尾です。
ゴールデンウィークも残り2日ですね。
皆様はどこかにお出かけされましたでしょうか。
あすなろ建築工房は、暦通りの営業日なので、今日も明日も通常勤務です。
私は子供たちも部活や塾などで連続の休みが無かったこともあり、結果的に家のウッドデッキで過ごす休日でした。
https://asunaro-studio.jp/l/m/jnWB4kRFQIefPz
前回のメルマガで、メルマガの文章を細かく改行した方がよいか、そのままが良いか、お伺いしたところ、圧倒的多数で「改行しない方が読みやすい」とのご感想を頂きました。
ということで、本日より「改行無し」にしたいと思います。
感想頂いた皆様ありがとうございました。
さて本日は「新建材の家づくりでいいの?(ホンモノとニセモノの違い)」の話をしたいと思います。
現在の日本の家の多くは、「新建材」と呼ばれる建材で作られています。
ググってみると、『新建材(しんけんざい)とは、新素材や新製法を用い、従来のものと同等の機能や外観を持つように作られた人工建材のこと。紙、木、石、金属等は従来の建材として用いられていたが、その代替建材として、ビニールやプラスチック製などが多く普及。安価で材料にばらつきがなく、加工簡単などのメリットがある。集成材や人工大理石など。』とあります。
高度経済成長期に大量の家が必要とされた時代の物不足の際に発明された新しい建材です。
「従来のものと同等の機能や外観を持つように作られた人工建材」ってことなので、つまりニセモノです。
ニセモノなので、その仕上がり方によって「〇〇調」と呼ばれる材料が多いものです。
その代表格がビニルクロスです。
石目調、織物調、和調など、漆喰や珪藻土などの左官仕上げを真似たり、織物のふりをしている仕上げ材です。
すべてホンモノを模したニセモノです。
破けたり穴が空くと、補修も効かないものです。
パターンがあるものなので、数年すると継ぎ目が悪目立ちしてきます。
糊が剥がれてくると目も当てられません。
床材も同じです。
例えば合板フローリング。
木材が不足していた時代に、貴重な堅木を効率よく使うために薄くスライスして表面に貼って誤魔化したものです。
安価なフローリングの中には、木材ではなくプリントしたシートを貼ってあるものもあります。
1mmにも満たない薄くスライスした木材やシートを貼ってあるだけなので、たった15年でみすぼらしくなってしまいます。
https://asunaro-studio.jp/l/m/iz11Q9b3ngRLSP
さらに超ニセモノな床材がクッションフロアです。
クッションフロアは、ある意味で一番安価な床仕上げと言えると思います。
安価とあって、賃貸の住宅などには多用されています。
クッションフロアとは↓
https://asunaro-studio.jp/l/m/JhINqSkWZzlB4r
クッションフロアには、木目調、大理石調、タイル調、テラコッタ調、ビンテージ調、コンクリート打ち放し調などなど様々な模様があります。
畳調や麻調もあります。
もうなんでもありです。(^^;
耐久性が数年で終わってしまうものです。
自分の周りの環境が「新建材」しかない環境つまり、ニセモノで育ってしまった子供たちはどのような大人になるのか、不安になってしまいます。
実際に身の回りを見てみると、賃貸アパートやマンションにお住まいの方の多くは、新建材しかない環境になってしまっている人も多いと思います。
小学校や中学校も同じで、学び舎の床はPタイル、壁もビニルクロス、天井は岩綿吸音板、扉は鉄扉やアルミ扉で出来ていて、残念ながらホンモノがありません。
実際に子供たちがホンモノに触れる機会が少なくなってしまっているように感じています。
神奈川県木造住宅協会に所属している工務店メンバーで横浜市の小学校に出張授業に行っています。
この2年間は新型コロナ感染防止のためにご依頼いただくことが無くなってしまって残念なのですが、以前は複数の小学校に教えに行っていました。
出張授業は、「のこぎりザクザク」「かなづちトントン」という図工の授業があり、その授業のための特別講師として呼ばれてお伺いしています。
https://asunaro-studio.jp/l/m/4Zj5QmsR1VLaZD
https://asunaro-studio.jp/l/m/vURzoFSIeO2diP
https://asunaro-studio.jp/l/m/G6a8SJxc85GyEn
https://asunaro-studio.jp/l/m/XeqdIZLmac6hrE
https://asunaro-studio.jp/l/m/2wfEZsdqhiW4Vt
https://asunaro-studio.jp/l/m/sy5POABpY1zEUx
この授業では、ノコギリとカナヅチと使って、工作をするのですが、最近はノコギリとカナヅチの使い方を知らない先生も多く、私たちが呼ばれることが多くなりました。
社員大工と一緒に伺い、子供たちにノコギリとカナヅチの使い方を教えています。
お伺いした際には、すこしお時間をいただいて「木材のこと」についてお話させていただいています。
授業の最初に、子供たちに「見の周りにある木材を教えて」と質問をするのですが、最近はなかなか子供たちから出てこない感じがしています。
最初はもじもじしている子供たちですが「学校の中にも生えているね」と話をすると「サクラ!」「イチョウ!」「スギ!」など元気良く回答が出て来ます。
そしてその挙げてもらった木の特徴を説明し、身の回りで「何に使われているか」などを説明します。
「イチョウは色が黄色くて、水に強く腐りにくいので、まな板などに使われているよ」
「サクラは、木目がピンク色で堅くて丈夫なのでテーブルや家具に使われているよ」
「スギはまっすぐに成長するので、家の柱に使われているよ」
と具体的な使い道について話をします。
木の特徴つまり長所と短所がありますので、その話をし、「みんなと一緒だね。皆も得意なことや苦手なことがあるように、木材も一緒だよ。皆に得意な科目と苦手な科目があるのと一緒。同じように、木も得意不得意があるので、その長所を活かして身の回りで活用されているんだよ」と話をしています。
「長所を活かせば使えない木はない。皆も長所を伸ばして好きなことには全力で取り組もう」なんて話をしています。
先生にはとっても喜ばれます。(^^)
出張授業の話が長くなってしまいましたが、子供たちの周りにはニセモノばかりです。
家も学校もニセモノに囲まれて育ってしまっています。
個性と言える長所も短所もない、ニセモノなんです。
子供たちは授業でホンモノに触れることで目をキラキラさせて反応してきます。
授業で使う材料は、あすなろ建築工房で用意させてもらっています。
現場から出てきた端材です。
現場では、スギやヒノキ、ヒバ、マツ、アカシア、タモ、ウォルナット、クリ、ナラ、ツガなど多種多様な無垢の材料が使われていますので、教材としては充分です。
堅い材料、柔らかい材料、匂いがする材料、重い材料、軽い材料、明るい色、濃い色ほんとにいろいろな材料があります。
これらは無垢の木なので、ノコギリで切ると教室内からは様々な木の香りで一杯となります。
授業では実際に子供たちに道具の使い方を教え、実際に使ってもらいます。
子供たちからは「いい香りがする」「上手に切れた」「上手に釘が打てた」と楽しそうな声が聞こえてきます。
ホンモノに飢えているようにも思います。
そして、授業の後のお昼ごはんの際は、子供たちと一緒に給食を頂いています。
子供たちと一緒に給食を食べると、本当に授業が楽しかったらしく、思い出したように身の回りの木の話をたくさんしてくれるようになります。
最後には子供たちから「次はいつ来るの?」と質問攻めになります。
小さなころから、ホンモノに触れることが大事なことと改めて感じています。
生まれた時からニセモノに囲まれてしまって育ってきてしまい、モノの価値が分からないままに、物事の本質、つまり良いものと悪いものが分からないまま、大人になってしまうのではないかと危惧してしまいます。
まずは「住まい」の周りにある「モノ」が「ホンモノ」なのか「ニセモノ」なのかを見極める力を持ってもらいたいと思っています。
ホンモノの材料は時間が経つと味わいが増してカッコよくなります。
ニセモノの材料は時間の経過で色があせてきてみすぼらしくなります。
ホンモノの材料は、アイロンを当てたり、削ったり、塗ったりして補修が出来ます。
ニセモノの材料は、補修がしにくくく、基本的に補修ではなく、全取り換えが前提となります。
ホンモノの材料は、見ていて飽きがこないものです。
ニセモノの材料は、パターンがあるので長く見ていると飽きが来ます。
ホンモノの材料は、傷がついたり、穴が開いたら、自分で補修して満足度が上がります。
ニセモノの材料は、傷がついたり、穴が開いたら、補修もせずにそのまま我慢することになってしまいます。
ホンモノの材料は、何十年後でも補修する材が手に入ります。
木材なら山に行けば生えていますので、同じ大きさに切り出せば取り換えが効きます。
漆喰なら石灰石を拾ってきて高温で焼いて、水に溶けば手に手に入ります。
ニセモノの材料は、メーカーが作るのを辞めてしまうと手に入らなくなります。
3年に一度程度で品番変更があり、大抵世から消えてしまいます。
ホンモノの材料は、耐久時間がとても長いです。
住まい手の寿命よりも長いものです。
ニセモノの材料は、耐久時間がとても短いです。
耐久時間を過ぎたら別のものに取り換えるしか無くなく、住んでいる間に数回の取り換えが生じます。
ホンモノの材料は、再利用が可能です。
リフォームの際には再度使うことが出来ます。
ニセモノの材料は、再利用が出来ません。
いろいろなものが接着剤でくっつけられていますので、粉砕処分するしかありません。
ホンモノの材料は、古くから日本の家づくりに使用されて来ており実績のあるものです。
ニセモノの材料は、物不足の日本での家づくりのために開発されたもので、早く安く作るためのものです。
昨今の住宅はとても性能が良くなり、長く住み続けることが出来る住宅が増えてきました。
そんな高性能な住宅にこそ、ホンモノを使って欲しいと思います。
本日は「新建材の家づくりでいいの?(ホンモノとニセモノの違い)」のお話でした。
続きを読むには会員登録が必要です。