凰建設の森です。
選挙、終わりましたね。
岐阜は特筆すべき結果もなく
予定調和の全自民議席。
典型的な日本の地方都市。
本日は午前中打ち合わせ
お昼から現場検査、
夕方からまた打ち合わせ。
の予定だったのですが、
昼前に火災発生の連絡が。
消防団の活動が
ねじ込まれてしまいました。
消防団の活動ももうすぐ10年。
存在感はありませんが、
ベテランの部類に入りました。
走法大会とか、そういうのは
あまり熱心ではないのですが、
有事の際の出動はなるべく
出るようにしております。
そっちの方が大事ですから。
消防団も担い手が少ないです。
今日みたいな有事の際、
殆どの団員さんは地元では無い
職場に出かけており、
出動することができません。
地元で自営業をやっていたり
する団員さんはごくわずか。
今日も、私と、子どもがお世話に
なっている幼稚園の園長先生、
そして町の電気屋さん（自営）の
3人だけが出動です。
実働出来る人材が増えない事には、
辞めるに辞められないのが現状。
ただ、私が消防団を続けるのは
必ずしも後ろ向きな理由だけではなく
今の仕事や地域に対する考え方に
生かされる部分があるからです。
何といっても、建物の防火。
世の中、リアルに建物が燃えている
という現場を見たことのある設計者って
どのくらいいるでしょうか？
TVや写真には映らないものがいっぱい。
ある日突然自分の日常が無くなる。
思い出も財産も全部消えてしまう。
家族同然だと思っていたペットも、
ともすれば人の命も消えてしまう。
住宅の設計を生業とするものとして、
家が燃えている様や、それを見る
住人の方の様子は忘れてはならない。
そう思っております。
もし、自分が火事場を知らずに
設計をしていたのであれば、もっともっと
自由な設計をしていたと思います。
もし、自分が高性能住宅を知らずに
設計をしていたのであれば、やはりもっと
自由な設計をしていたと思います。
もし、自分が地域や社会に目を向けず
設計をしていたのであれば、同じくもっと
自由な設計をしていたと思います。
考慮すべきことが多くなるほどに
設計は不自由になっていきます。
どこまでを考慮に入れるのか、
どこまでから見て見ぬふりをするか。
一番気が楽なのは「知らない事」
人は知ってしまうから、
こんな家にしたら寒いのでは？
こんな家にしたら火に弱いのでは？
と、心配になってしまいます。
本当に家づくりを真摯に学ぶと、
ローコスト住宅などは建てられない。
恐らく良心の呵責に耐えられない。
だから、営業にも設計にも、
余計なことは教えたりしません。
法に触れないギリギリで
家づくりをすればよい。
知らぬが仏とはまさにこのこと。
今の世の中、ビジネスとして
最も正しいのは、サブスクなどに
代表される、長く継続的にお金を
貰う仕組みだと言われます。
入口の敷居は限りなく低く。
後で継続的にお金がもらえるような
ビジネスモデルを組み立てます。
そういう檻を作って
住まい手を閉じ込める。
10年の瑕疵保障期間を過ぎてからが、
利益回収の期間になります。
築10年以上の人の声は、まだ
SNSなどでも多くありません。
新築して数年の人の声が殆ど。
今のうちに、多くの人を檻に入れる。
10年が過ぎ、騙された！という声が
SNSに溢れてくるようになったら、
また違う手立てを考えて、
「今はそんなことありませんよ」
って言えるようにする。
家づくりは自分の人生を決める買い物。
だけど、みんな今の事、この先数年の
事しか考えないから、本当に騙しやすい。
30代で家を建てる人なら、50年住むんです。
だけど、みんなこの先10年程度の
事しか考えずに家を建てます。
自分のイメージと現実が矛盾している事に、
気づいている方はどのくらいいるでしょう？
30年後、あなたはまだその家に住んでます。
だけど、その時を想像している人は稀。
30年後の事まであれこれ言われるのは、
考えたくもないし鬱陶しいでしょう。
でも、確実に30年後はやってくる。
本当に、そういう事まで考えて、
家を建ててほしいです。
築30年の実家は、今、
どういう状況でしょう。
この先その家は
どうなっていくのでしょう。
それが、あなたの30年後以降
の姿でありあなたや子供さんの
30年後以降の悩みになります。
消防団の話とは大きく離れましたが、
これは全ての日本人の問題。
自分の家なんだから好きなように
建てればいいというのもその通り。
しかし、適切な制約は、回り回って
あなたの将来を助けてくれる。
どうぞ、少しは気にかけてあげて。
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